………まだまだ続くんだなぁこれが。
せめて、"アレ"を出すまではこの章を抜け出せんのですよ
「はい。粗茶ですが」
神社の居間に通され、寛いでいた俺の前に博麗が緑茶らしきものを出してきた。
「ふむ、ありがとう」
「……ほんっと偉そうなんだから…」
博麗が何かブツブツと言っていたが、聞いていないフリをしておこう。これも魔王故、仕方ないのだ。
「…それで、話があるのではなかったか?」
「はぁ…はいはい、そうでしたね。 それじゃあ遠慮なく聞きまくろうじゃないの」
・意図的に幻想郷へ来たのか否か。
・害を及ぼすつもりがあるのか否か。
・具体的な目的はあるのか否か。
・その偉そうな態度をどうにかしろ。
これらを聞かれたのだが…最後に至ってはタダの文句だな。
「まず、意図的に来た…というわけではない。 招待されたのだ」
「招待? 誰によ」
「誰…か。 八雲 紫という名に覚えは?」
その名を出した途端、博麗の顔が歪んだ。
うむ、覚えはあるようだが聞きたくなかったようだ。
「あー…はい、はいはい。 アイツ…アイツなのね……ッ」
…聞きたくない所ではないようだが、紫の奴…何しでかしたんだ?
「んんっ! それでな、例のアナザーライダー…先ほど戦ったのはアナザービルドというのだが、それを倒すのと、何故幻想郷に現れるようになったのか、その調査を任されたんだ」
「ふーん…でもなんで? そんくらい、私たちでも出来るじゃない」
「…ふぅ。 先ほども言ったはずだが、幻想郷にいる者たちでは倒せない。これは確定だ。だからこそ、紫も俺に頼んできたんだからな」
俺はビルドライドウォッチを取り出し、博麗に見せる。
「これには仮面ライダービルドという者の力が入っている。 そしてアナザーライダーはそれに該当する同名のライダーの力で倒さなければ完全には倒しきれないんだ」
「へぇ…こんなちっちゃいのがね…。 じゃあ、最初に瞬殺されたのが?」
「あぁ…本来なら、あのようなやられ方はしないのだがな。 恐らく、幻想郷に来てアナザーライダーたちも独自の進化を果たしたか、何者かが介入したか…その大元を特定し、解決するのが俺の具体的な目的だ。これで3つは答えたぞ」
「……嘘は言ってなさそうね。 勘だけど、私の勘ってよく当たるのよ」
ちゃぶ台に肘をつき、博麗はため息を吐いた。
どうやら納得してくれたようだ。
「……そういや、アンタ寝床あんの?」
「寝床か…いや、ないな」
「はぁぁ…なるほど、思惑通りってことね」
???
一人だけ勝手に理解されても困るのだが…。
「アンタと私、こうやって喋ることまで彼女は分かってたってことよ。 つまり、アンタの衣食住は私に全部任されてるってこと」
「分かるのか?」
「十何年の付き合いだしね…アイツの考えそうな事よ」
幼馴染…というより、腐れ縁というものだろうか。
……羨ましいな。そのような相手がいるなんて。
「それで、俺はここにいてもいいのか?」
「まぁ、いいわよ。 貧乏だから文句は言わないでね」
「その辺は構わない。 多少なりともこちらで稼ぐつもりだ」
出来る仕事があるかは分からないがな。
「……あと、博麗じゃなくて霊夢、ね。 名字で呼ばれるのはムズムズすんのよ」
「ふむ…分かった、霊夢」
これを絆の芽生えというのだろうか。
少なくとも、今の霊夢や俺は、相手を疑うような目などしていなかった。
魔王が出来そうな仕事って……()