「皆、集まったな」
装者達の顔ぶれがそろっていることを確認すると弦十郎は咳払いを一つした。
「ではまず、今回の敵の詳細について通達する」
モニターに4人の姿が映し出される。
沙優、アイン、ツヴァイ、ドライと呼ばれている4つの人格と1つの体。1つの体に4つの人格を宿している特異体。
「情報部の調べによると1つの体に4つの人格が宿っているとされているが、今現在はそれぞれの人格が体を持っており、4人の敵が現れていることがわかっている」
緒川が続いて資料を装者達に配る。
「彼らの目的はわかっていない。しかし、エルフナインくんの予測により薔薇十字団が今も継続して組織を保っているとしたならば、言語を操るといった点から月にかけられているバラルの呪詛を掌握する事と思われる。従って近い内に何かしらの動きがあることが予測されるだろう。話は以上だ。何か質問はある者はいるか?」
「本当に……本当に沙優ちゃんは敵なんですか?」
響が誰もが思っている問いを投げかける。
ほんの数日間しか一緒にはいなかった。出会いも唐突で些細なきっかけだった。それでも、一緒に過ごした思い出が色褪せることはない。確かに刻まれた日々の轍は残っている。
「知るかそんなの。私の家に勝手に居座りやがって。これでせいせいしたってもんだ」
「クリス……」
「なにをらしくない声出しているんですか先輩。私は喜んでいるんですよ」
「クリスさん……」
「本当にそうもっているデスか?」
畳みかけるように調と切歌がクリスへと質問を投げかける。しばらくの間クリスは黙り込む。やがて「話は終わりだろう」と吐き捨てて彼女は部屋を後にした。その背中を皆が追い続ける。クリスは最後まで振り向くことはなかった。
「はぁ……同じ屋根の下にいたんだもの。誰よりも思い入れがあるのはしかたないわ。ただ、問題はひとつだけじゃないわよね、司令」
「……あぁ。復活をしたウェル博士の行方も以前不明となっている。彼がどこへ向かったのかはわからないが……警戒を怠ることはできない」
弦十郎は腕を組み、装者達を見つめる。
強大な二つの敵と戦うことになる彼女達。大人である自分達は彼女達を支えることしか出来ない。
まったく、不甲斐ないことだ。
〇●〇●〇
湯気が立ちこめるお風呂。
浴槽にはお湯がいっぱい張ってある。
「ねぇ、未来。友達ってどうしたらできるんだろう?」
「どうしたの? 友達を作りたいの?」
「ううん、友達ってお互いに思う時ってどこかであると思うんだよね。でも、どういうタイミングなのかわからなくて」
「響は私と友達になろう! って意気込んでからなったの?」
「そんなことはないよ」
「そうでしょ? 友達ってそういうもんだよ。気がついたら友達になってるもんなんだよ」
未来が立ち上がる。
湯気が邪魔をして大切な場所は隠されている。未来がニッコリと笑う。
そうだ。友達は作りたくて作るものじゃない。気がついたらなっているもんだ。だからこそ、絆というものは徐々に強く結ばれていくんだ。そうすることでどれだけ喧嘩をしても決して絶交にはならない。私と未来が喧嘩をしようとも必ず仲直りできるのと同じはずだ。
「クリスちゃん……大丈夫かな?」
「心配なの?」
「うん……」
「だったら考えないで聞いてみればいいんじゃないかな? 響はバカなんだからさ」
「未来、それ褒めてないでしょ?」
「秘密でーす」
「もうー!」
響が未来に水をかける。未来も対抗するように響へと水をかけた。お互いに水をかけあい、笑い合う。これもまた大切な思い出となるはずだ。そうして絆を強く結びつける。私達はいつまでもズッと友達でいれるはずなのだから。