戦姫絶唱シンフォギア MP   作:ROGOSS

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敵の足音は軽やかに (2)

「響さんもクリスさんも特に大きなダメージを受けてはいません。少しばかりの休養は必要ですが、また前線に復帰できると思います」

「そうか……それにしても一難去ってまた一難といったところだな……再び錬金術師の襲撃に合うとは」

「司令、それに関して少しだけ気になるところがあります」

「言ってみてくれ」

「これは先程の現場をスキャンした画像となります」

 

 藤尭がコンソールを巧みに操り、モニターいっぱいに戦闘が起きた場所を映しだした。やがて画像は徐々に切り替わり中央には数色の色が浮かび上がる不思議な画面となる。

 

「これはエルフナインちゃんの協力を得て、観測できたアウフヴァッヘン波形を解析したものです。中央に色が付いている場所のアンノウンエネミーが戦闘時に立っていた場所なのですが……同一人物から4種類のアウフヴァッヘン波形を観測していることとなります」

「つまり、敵は4つの聖遺物を所持しているということか?」

「少し補足すると、敵は4つの聖遺物を何かしらの力を持ってして一つの聖遺物として扱っているということです。本来は4つがバラバラにあるはずのものを無理矢理1つにしていていると言った方がいいでしょうか?」

「なるほど……エルフナインくん、君の見解はどうだね」

「正直に言うとまだわかりません……ただ、聖遺物を1つ持つだけでもかなり難しいはずなのに4つも持っているとなると大きな組織の協力があるのではないかと思います」

 

 弦十郎は腕を組み椅子に深々と座った。理屈は理解できるが、理論ベースの話となるとどうも頭が痛くなる。いつも勘に頼ってしまうことの弊害だろうか。

 とにかく、今の話で敵には大きなバックがいる可能性があることがわかった。

 

「やはり謎に包まれたパヴァリア光明結社の影があるのかもしれないな」

「あらゆる歴史的事件に関与していると噂されている秘密結社。その秘匿の壁を壊すとなるとなかなかに難しいでしょうね」

「なに、心配することはない。こちらは元々情報戦には腕があるんだ。緒川、頼んだぞ」

「情報部と連携して情報収集に当たります」

 

 緒川はそう言い残すと司令部を後にした。

 今は考えすぎてもしかたない。目の前にある事だけに取り組まなければ隙を見つけられ付け込まれてしまう。

 

「ウェル博士の遺したチップの解析はどうなっている?」

「すみません……僕の力不足でまだ途中です……」

「そうか……エルフナインくんは引き続き解析を続けて欲しい」

 

 その時だった。司令部に大きな警報音が鳴り響く。モニターにアルカノイズの出現が表示される。

 

「場所の特定完了しました! 装者達を至急急行させます」

 

〇●〇●〇

 

「まさかこうも早く相まみえるとは……」

「今はやるしかない。私達にできることをしましょう」

「だが……マリア……」

「心配しないで。まだ戦えるだけのリンカーはあるから」

 

 翼とマリアがヘリから飛び降りる。

 

Seilien coffin airget-lamh tron(セイレン コフィン アガートラーム トロン)~♪」

 

 瞬間、地上にはアガートラームと天羽々斬を纏った二人が立っていた。幸いにも避難誘導が迅速に行われたらしく、周囲に人影は見当たらない。

 

「一気に片付けるぞ!」

 

 今更アルカノイズに退けをとることなどあり得ない。

 二人の装者がアルカノイズの大軍に向かって斬りかかっていく。応戦するアルカノイズであるが、その動きは単調であり、まったく意外性がない。ただ斬る、先へ進む。その繰り返しが続いていた。

 

「私達が負けるわけがないッ!」

 

 伸びるムチのような手を躱し、マリアが目の前のアルカノイズを切り裂く。続いてステップを踏むように左右にいる敵を斬る。チラリと翼を見るも、彼女も問題なく討伐を続けていることがわかった。

 いったいどういうことなの……? 何の目的でアルカノイズは出現したの?

 マリアが考えていると悲鳴が聞こえた。

 

「逃げ遅れがいるのか!」

「翼、行くわよ!」

 

 マリアと翼が流れるような連携で道を切り開く。ビルとビルの谷間にあたる通路にアルカノイズが大挙をなして侵攻しているのが目に入る。

 逃げ遅れた人がそこにいるであろうことは容易に想像がつく。

 

 

『ハァァァァ!』

 

 二人の息が合う。接近に気がつかなかったアルカノイズが次々となぎ払われていく。

 

「怪我はないかッ!?」

 

 翼が腰が抜けて立てなくなっている少女へ駆け寄った。

 

「は、はい……ありがとうございます」

「ここは危険よ。アナタも早く避難を」

「え、は、はいっ!」

 

 返事が聞こえる。しかし、そこから去って行くような気配を感じられなかった。不信に思いマリアは視線を逃げ遅れた者へと向けた。どこにでもいるような普通の少女がそこにはいた。髪色こそ雪のような白さであるがそれ以外は何ら特徴はない。年齢的にはクリスくらいだろうか? 高校生くらいのように感じられた。

 

「どうしたの?」

「えーと……その……二人って……」

「なにかあったのか?」

「マリアさんと翼さんですよね?」

 

 二人は目を丸くした。

 少女は私達の名前を的確に当てたのだ。メディアにもそこそこ登場しているし、顔を知っていてもおかしくはない。ただ、戦場で一般人に名前を言い当てられたことは初めての経験である。思わず驚いてしまった。

 

「二人が噂の……ノイズを倒す英雄なんですね! 私……二人に会いたかったです!」

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