幻想偽熊華説   作:蓮山

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友人たちに感謝を


本編
第1話 偽物と熊公とハーフサキュバスと(元)男子高校生


ここは幻想郷。外の世界で忘れ去られた者たちがたどり着く最後の楽園。

この幻想郷には3人の強者と1人の可能性があった。

 

 

~~紅魔館~~

「また来たぞー。熊公」

「おう、また来たのか。おら、通れ通れ。パチュリー様はいつも通り図書館に引きこもってるぞ。」

「そうか、ありがとな」

フレンドリーに巌のような男に華奢な少年が話しかける。

男の名前は久万慶篤(くまよしあつ)

人間でありながら鬼をも超える力を持つ異常な強者だ。

少年の名は綺堂(きどう)フォルス。

人間ではなくホムンクルスであり、強力な能力に目覚めている。

2人はほぼ同時期に幻想入りしたという縁で仲が良くなった。強さはどちらも土俵が違うのでどちらが強いかはわからないが、幻想郷屈指の強さを誇ることは確かだ。

「じゃ、またな」

「ああ」

 

 

~~人里~~

「女将さーん。ぜんざい一つ~」

そう言うのは退廃的な美しさを持つ少女だ。

彼女の名は結月カレン。

淫魔と吸血鬼と人間の混血であり、魔法において魔女たちと同格か、それ以上とまで謳われる。

人間に極めて友好的であり有事の際は率先して人里を守護するため、見た目と相まって人里でも人気が高い。

「んん~。美味し~」

 

 

~~博麗神社~~

「霊夢~昼飯できたぞ~。ここに置いとくからな。じゃあ行ってくる」

「は~い。今日は…アユの塩焼きね。…いただきます」

少女に声をかけてから人里の方へ向かった少年は先谷 説(さきたに せつ)

博麗神社に居候しながら人里でバイトをする無能力者。

比較的物怖じしない性格が幸いしたのか、幻想郷の名だたる実力者たちと友好的な関係を結んでおり最近は強くなるために魔法や霊術を学んでいる。

 

 

~~紅魔館~~

「よっす。パチュリー。」

「こんにちは、フォルス。あなたが探していた本はFDの58番あたりにあったわよ。」

「あ~そこだったか。FCの51番あたりだと思ったんだが…」

「多分、魔理沙さんが返すのを忘れて慌てて入れたから場所が変わっていたんですよ」

「よお、こあちゃん。魔理沙かよまた…。またシメなきゃだめか?本は元あった場所に戻す。常識だろうに」

魔理沙<ブェックシッ…なんだぁ、誰か噂してんのか?

(魔理沙にとって)不穏な話をしている中、不意に

 

ドガアアァァァァァァァァァァァァン

 

と、爆音が響いてきた。

「そういや食後の運動の時間か…熊公もよくやるよ」

「彼はなんだかんだで身内に甘いもの…フランにおねだりされたら断らないでしょうね」

轟音が聞こえているというのに世間話をするようにパチュリーとフォルスは会話を続ける。

それはここではいたって普通の日常であることの証左。そもそも、魔法で守られている図書館では何の危険もないため現実味が少々薄いというのもあるが。

「俺も参加しようかな…」

ぽつりと、フォルスがつぶやいた。

「あなた…本当に変わったわね…幻想郷の一部の人に毒されたのかしら…」

「だ、だめですよぉ。もし何かの間違いで妹様が来たら私を守れる人が居なくなるじゃないですか!」

フォルスはそのセリフを聞いて目頭を押さえた。まるで頭痛をこらえるように。いや実際そうなのだ。

「こ~あ~?」

「ひぇぇぇぇ!?たっ、助けてくださいぃぃ。」

パチュリーが怒るのも仕方のないことだ。何せ自分の一番自信がある特技が「何かの間違い」で破られるのではと言われたのだ。

「フォ、フォルス様~、助けてください!」

「あ~、なんだ。合掌。」

「目をそらさないでくださいぃぃぃ。パ、パチュリー様、許してもらえたり…?」

「しないわ。」

フォルスは去った。

(面倒ごとは嫌だし、帰る。すまない、こあ。君の勇姿は忘れない。)

<パチュリー様ぁ!?その魔法拳は何ですか!?

<大丈夫。ちょっと燃えるだけだから

<全然大丈夫じゃないですよねぇ!?って熱いです!近づけないでくださいぃぃ!

<むっきゅっ!

<アーっ!

安らかに眠れ

 

 

~~人里~~

「あら?説じゃない。久しぶりね」

「お久しぶりっす、カレンさん。今日は何の用で?」

「スイーツを食べにね~。あそこのぜんざい美味しかったわ。今日もバイト?頑張るわね~」

「ええまあ。霊夢に恩を少しでも返せればと。」

「健気ね~。だからこそ好感が持てるのだけど。仕事、頑張りなさい」

「うす。それでは」

その時、説とカレンの足元に振動が走る。

「またあの二人ですか…」

そうつぶやく説の頭には巌のような男と金髪の少女が浮かんだ。

「考えないほうがいいわ。まだ慣れていないようだけど必ず慣れるわ」

そういうカレンの顔は少し陰っているように見えた。

「…………………うっす…」

長い間をおいて説が首肯する。

そして、心なし疲れた表情でバイト先は向かうのであった。




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