個性『睡眠時、地獄往き』、睡眠時は非常勤獄卒しています。 作:新人獄卒候補
AFOとオールマイトは多分キャラ崩壊しています。
AFOは現状の観察をしているから大人しいです。
AFOは眼前の光景に、驚愕を禁じ得ない。
「ぬぅ、力が入らない……」
(オールマイトの不意を打ったんだろうが、それができる者がどれだけ居る?)
「夢見少女一体何を……」
オールマイトの前には、既に戻ってきた幽鬼子が居た。
「いえ、何事も無ければ悪い事をしたと謝るつもりでしたが、その様子だと助けに行こうとしましたね?」
そう言い、オールマイトの背後に周り彼の身体から針を引き抜いた。
「力が入らなくなるツボに針を打っていました。力を込める動作が出来なかったでしょう?」
(簡単に言ってるけど、よく僕や奴に気づかれずに出来たものだ。それに、よくあの筋肉達磨に針が刺さったものだ)
「何故このような事をした夢見少女!彼は、ヴァジュラ君は私に助けを求めていたんだ!」
「いえ、あちらの方は亡者なので関わらないで下さい。このように貴方方は、善きにしろ悪しきにしろカリスマがあります。オールマイトさんは言わずもがな、AFOさんも裏社会で有名で腐れヴィラン共を引き付けてやまない存在のようですね。臨死体験中、このように亡者の秩序を乱さないように我々獄卒が貴方方に付く事になりました。今回はお二人同時に臨死体験されましたので、人手不足も相俟って、相性は悪いとは思いましたがお二人を一緒にさせて頂きました」
(まぁ、貴方方は問題児としてマークされていたようです。本当は、今日の担当も別の獄卒だったのですが、有給を取っていらっしゃったので、手が空いている私が来ましたが……現世も生きている私が、臨死体験される方のお相手をするのは本当はよろしくないのですが……鬼灯様も苦い顔してしまいましたし、これも人手不足のせいですかねぇ)
「彼は……ヴァジュラ君はどうなる」
そうオールマイトは悲痛な表情で問う。
「はい、他の亡者の方同様に十王様の裁きを受けて貰います」
「十王様というのは?」
「文字通り十人居られる地獄の裁判官で、閻魔大王様の名前なら聞いた事があるかと思いますが」
「閻魔大王というと、嘘を付くと舌を抜くというあの……」
「閻魔大王は知っていたけど、そんな存在が十人も居るとは知らなかったよ」
「閻魔大王様以外の知名度……」
閑話休題。
「ここが、死後の裁判所の一つです」
3人が大きな建物に入ると、丁度裁判が行われていた。
「貴様は己の個性を使い、女性の下着を覗き見た。相違ないな?」
「はぁ?そんな事してませーん。しょーこだして下さーい」
「我等十王は嘘には厳しいぞ、もう一度だけ聞く。貴様は個性『透視』で女性の下着を覗き見た、相違ないな?」
「だから、しょーこ出して下さーいっつってんだよ!」
「思ったより、しょうもない罪状だな」
「『透視』か汎用性に優れたいい個性だね、でも使い方がしょうもないのには同感だ」
見学者である、二人も納得のいくしょうもない罪状だ。
「篁!証拠を持ってこい」
「はい、只今。っと丁度いい所に、幽鬼子ちゃん、ちょっとこっち来て!」
そう、篁と呼ばれた特徴的な頭髪をした青年がやって来た。
「なんだか、嫌な予感がします……」
そうして被告の前に連れて行かれる幽鬼子、すると……
「おい嬢ちゃん、着物だからってサラシなのはどうなのよ?でもパンツは……ぐへ」
言い切る前に、幽鬼子の拳が深々と顔に刺さる。
「今の行動がなによりの証拠!判決、衆合地獄逝き!次の裁判へ逝け」
オールマイトとAFOの前に幽鬼子は戻って来ると、何事も無かったかのように話を進めた。
「と。あのように、亡者は魂のみの存在なので行動が正直になるのです*1」
「あれが閻魔大王……」
「閻魔大王、なんて威厳と威圧感だ」
それが聞こえていたのか、篁と呼ばれた青年は「あー、またか」と頭を抱え、閻魔大王と呼ばれた方は顔をしかめる。
「あー、あの方は十王様の一人で
解説を聞いていると、二人の身体が薄れてきた。
「これは身体が薄くなってきた……」
「この現象は……生き返るのかい?」
「さぁ?生き返るのか、改めて新たな亡者となるのかのどちらかです。現世のお医者様が優秀な事をお祈り下さい」
そうして、オールマイトは気が付くと病院だった。
生還の代償は重かった、呼吸器官半壊、胃の全摘と傷による弱体化と活動制限が出来た。
それは、巨悪であるAFOも一緒だった。
彼は仲間の老医により治療を受け生存したが、オールマイト同様全盛期と比べその力は失われた。
AFOは裏社会の更に、闇深い場所に潜伏する事にした。
その悪意を継承させる者の教育に、力を注ぐ事にした。
その頃、地獄。
「あの腐れヴィランの大将最後まで大人しかったな、ちょっとでも暴れてくれたら色々都合が良かったのに……っと、鬼灯様に報告書上げなきゃ」