2年半前、私の故郷である“白い町フレバンス”にて“珀鉛病”と呼ばれる奇病が全世代に発症した。これが起きたのは政府、王族が危険を承知の上で利益だけを求めた代償である事は当時、何も分からずにただ珀鉛を掘っていた私ですら察するものがあった。
周りがどんどん珀鉛病に侵されていく中で、ついに私も病に侵されてしまった。体中に強い痛みが走り、その痛みゆえに動く事も出来なくなり、そのまま倒れ、意識を失いかけたときに、
―蒼い鳥を見た。
この世の物とは思えないほど美しいその御姿に私は、神様が私を迎えに来て下さったのだと、まるで心の底から安心するように、ゆっくりと瞼を閉じた。
意識が朦朧とする中で次第に体の痛みが薄れていき、何かに触れられる感触がした。そして
「待ってろ、今すぐ助けてやるよい」
――その余りにも優しく、透き通る声を私は今でも覚えている。生涯忘れる事の無いであろう、この声。
その声の主のおかげなのか、目が覚めたときには体を侵していた珀鉛が全て無くなっており、緑生い茂った島に他のフレバンス国民達と共に寝転んでいた。そして海沿いの方にはありったけの食料と衣類、医薬品が置かれていたのだ。
それ以来私は腕に自身のあるフレバンス国民達と共に海に出て、「ヴァイス海賊団」を名乗り、この偉大なる航路を航海している。私達をお救い下さった蒼い鳥に会うのと私達の国を滅ぼした世界政府を倒すために
そして先日、世界政府より“王下七武海”とやらの勧誘がやって来た。手紙の送り主の欄を見た瞬間に燃やそうとしたが部下に止められたので渋々開封した。
その勧誘書に記載されていたのは収穫の何割かを納める代わりに海賊および未開の地に対する海賊行為が許される、という物だった。私達ヴァイス海賊団は基本同業者を狩り、立ち寄る国々で政府に対する反乱意識の付着、活性化(政府にはバレていない)をしているのでこの王下七武海は私達のスタイルを合法的に認めてくれる非常に有益な物だった。政府側に組するので船員から反論が飛び交ったが、この海で生きていくには憎き政府との交流関係は絶対に必要になるものなので仕方ないと言い聞かせ、何とか船員が王下七武海に入ることを許してくれた。
...もしかすると私は船員に刺されるかもしれません。いや、やり返して海の底に放り捨てるだけですが。
「...
見張り台で辺りを詮索していた船員から報告が入る。
「敵ですか?」
「わかりません......ただ、あれ?...何処かで見覚えが.........。」
...何処かで見覚えがある??なんだそれは。飛行物体に見覚えがあるなんてありえないんだが。
そう思っていると例の飛行物体が甲板に降りてきた。それは蒼い炎の様な羽の生えた、人間だった。
「成程、お前らがヴァイス海賊団か、聞いてた割には案外弱そうだよい。」
その声を聞いて、私は、私たち全員はその男が
マルコside
「成程、お前らがヴァイス海賊団か、聞いてた割には案外弱そうだよい。」
危険視してるって聞いてワクワクしながら飛んできたんだが...名を挙げてる海賊団の割には手練れそうな船員が少ない。
どういうことだ?まさかとは思うが船長の名声のみで
俺が彼らに対して思案に暮れていると、突然彼ら全員俺の前で跪きだした。
「...どうしたんだよい?」
あまりに奇怪な行動を取るものなのでつい口から言葉が漏れ出た。
「...フレバンスという国を覚えていますか」
返ってきた言葉はそれだった。
フレバンス...ローやフレバンスの人たちに悲惨な人生を歩んでほしくないから赤髪海賊団全員で行った国だな。諸事情で着いたのが壊滅一歩手前になったんだが確かに全員救い切った。
政府にはばれてないと思うがその時に王族に手をかけたってのは秘密で。
「......知ってるよい、それがどうした?」
だがそんな痛ましい国のことを素性も知れず、ましてや海賊に伝えるわけにはいかないなあ。
まあ俺にも言えることだけど。
「やはり......
恐らく“海の悪魔”と思われる女に頭を下げられる。身に覚えがない俺は一瞬頭が固まった。
「待て、話が噛み合ってないよい!初めてあったやつらに礼を言われる筋合いはねェ!」
「蒼い鳥」
「!」
「
疑うまでもなかった。こいつらは確実に俺たちが助けたフレバンス国民だ。
「...成程、そこまで知ってるならアンタらは確実にフレバンス国民だな、認める、俺は確かにアンタらを助けた。」
「!やはりそうですか」
本当のことを言えばこの人達には海になんか出てほしくなかったわけだが、人が選んだ道に口出しできるほど俺も立派じゃない。
だが聞いておきたい。
「後悔しなかったのか、海に出て。」
「当たり前です!こうして貴方に会えることが出来たのですから!!」
それだけの為に海に出て、
......見ておきたい、彼女らの強さを。
「そうか、後悔しないと言うのなら、構えろい。」
「!?!?」
俺は愛用しているサバイバルナイフを腰から引き抜き、構える。
「
「え!なんでですか!?」
「王下七武海に入るって聞いたからなぁ。」
「...皆さんは下がっていてください。
☆★
さて、無理矢理戦闘に持っていった感が強いが、やるとするか。
「嵐脚“線”ッ!」
小手調べとして嵐脚を放つ。これを捌けないようでは笑い話もいい所。
「行きます...“
「いきなり能力できたかよい!」
嵐脚が彼女の手に触れた途端反射し俺の頭部目掛けて一直線に飛んできた。俺はすかさずナイフで相殺し、彼女と距離を取った。彼女は俺が斬撃を相殺したことに驚いているようだ。
跳ね返すという行為で俺の頭を正確に狙うのは素人では不可能に近い。これは相当練度が高いな。だがそんなもん誰でも対処可能だ。
そんでもって驚くという行為は戦闘でやっちゃならねぇ。隙を生むからな。
ほら、簡単に間合いに入れた。こっから一突き入れれば終いだ。
そのまま俺は彼女の腹目掛けナイフを突き刺した...が、まるで
なんだこれ?武装色も纏ってるんだぞ!なのに刃が刺さらないはずがねェ!!
「もらいました!」
少し動揺している隙に頭部を
武装色の覇気を会得しているのかと思ったが、
「...油断してた、まさかお前、自分の肉体の強度を反転できるだけじゃなく
「ご名答です、というか知られていると思いましたが。」
そう、再生の炎で打撲した頭部を癒そうと思ったんだが、
...ハハッ、イカれた能力だ。
「成程成程、そらよっと!!」
「キャッ!!」
少し痛むが幻獣形態となり、彼女を振り払う。すると反転していた性質は元に戻り本来の能力である再生を開始した。
成程、触れなければ問題なしか。ならそうだな...
「...流石に後輩に一本取られたままじゃ先輩面出来ねぇってもんだよい。一回見せとくか、
「え......!!!」
★☆
結局手合わせはお互いが一本取られあったので引き分けという形で幕を閉じた。あの一戦以降彼女らは尚更俺を崇めだした。まあ崇められるのも悪くは無いが落ち着かない気分になる。
そして手合わせが終わった頃には夕暮れ時だったので勝手ながらこの船に泊まっていくことにした。まあ向こうも了承してくれたからいいだろう。
そして今、すっかり日も暮れた時間帯、俺は甲板で
「...いいのですか?マルコ様が宴をしようと言ってくだされば直ぐに開始するのに。」
いつの間に来たのか、先程の戦いで頭に大きなたんこぶが出来た“海の悪魔”が声をかけてきた。
「ああ、俺はあんまり飲めないクチだからよい、あとマルコ様ってのはどうにかならないか」
「恐れ多いです!!私たちを救って下さった方に砕けた会話など不敬の極みでございます!!!」
......どうにもならないようである。こういうタイプはめんどくさいなぁ。まあ嫌われるのよりは遥かにマシだけども。
「...あ、そう言えばアンタ七武海になるんだってな」
「そうですね、この制度は私の海賊スタイルを合法的に認めてくださるので...一つの島を拠点にするくらいなら許してくれると思いまして。」
...ああ、確かにこの人達からすればもう国を失うなんて二度と御免の筈だよな。だから王下七武海に入ったのか、賢い選択だ。
「そうかよい、ならお前は
「はい..?......同僚って、え!!?」
“海の悪魔”は俺の言ってることを理解したのか、目が飛び出る勢いで驚いた。
「お察しの通り、俺もこの度王下七武海に加入したよい、理由はまぁ聞かないでくれい。」
「えええええええええええ!!!???」
―どうしましたシスター!!何かありましたか!?
“海の悪魔”の絶叫で何かあったのかと出てくる船員たち
俺は苦笑しつつ
「別になんでもねえよい」
と言って部屋に戻らせた。戻っていく奴らの表情が疑心暗鬼だったので見聞色で少し先を見通してみたら、俺が“海の悪魔”に告白したんじゃないかという話をしている未来が見えた。
...海に叩き落とすぞ。
「...アイツ等には後で何の話してたか言っといてくれ」
そう言って“海の悪魔”の方に振り向くと、妙に顔を火照らせていた。
「...どした?」
「......あ!い、いえ...私、船員の前で初めて嬌声を上げたので......そ、その、恥ずかしい...」
「ブッ!!...ハハハハハハハァ!!!」
あまりに乙女チックに恥じらう彼女を見て、俺は盛大に笑い転げた。
「ちょっ!!笑わないでください!!」
「だっておま、お前!仮にも二億レベルの賞金首が、乙女みたいな恥ずかしがり方するなんてよい、はは、ハハハハハッッ!!」
「や、やめてください!これでも私は元教会のシスターですよ!?と、当然の反応ですぅ!」
「ヒー、ヒー...腹痛え...」
「............」
笑い疲れて痛くなった横腹を抑えて彼女の顔を見ると、涙目の顔を真っ赤にして膨らませて俺の方を見てきた。
流石に笑い過ぎたな。素直に謝ろう。
「悪かったよい、笑ってよ。ていうかお前元々教会のシスターだったんだな。」
「......そうです、私は教会のシスターです、まあ今も貴方様を奉る教会のシスターを務めているのですが。」
......俺そんな祈られるような立場じゃないんだけども。
「そうか、ならこれからお前の事は俺もシスターと呼ばせてもらうよい」
「えっ!そんな恐れ多い!私の事はお前で大丈夫です!!」
「何度言わせるつもりだよい、俺とシスターはもう友達、肩っ苦しいのはやめだよい」
「と……とも、だち?」
「じゃあシスター、そういうことで。俺はもう寝るよい。おやすみ~」
「あっ、え、は、はい...おやすみなさいませ......」
まあ、信頼できる奴がいて良かった。なんせこの先の海は
そんな事を思いながら、俺は船内へと足を運んだ―
“海の悪魔”シスター・マリー
原作第762話にて殺害されたシスターその人。
フレバンスの件でマルコ達赤髪海賊団に救われ偉大なる航路の名もなき島に移住後、その島に生えていたリバリバの実を食べ、能力者となる。
移住してから一年後、かつて自分を救った蒼い鳥にお礼を言いたい、フレバンスを破壊した世界政府をという思いから度々島外へ出ていた探検家の船に自分の意志に賛同した同志たちと乗る。その初めての航海で運の悪いことに商船などをカモにしていた海賊と出くわし、これと対決、能力を駆使して勝利する。
それをきっかけに探検家からこの船の顔になってくれと言われ、渋々承諾し、冒険を続けるも何故かよく海賊たちと鉢合わせして交戦し次第に自分に戦闘の才能があることを理解した彼女は出くわした海賊をどんどんその能力で倒していくようになった。そして政府にその存在と能力がバレて賞金首となったのだ。
行き着く島々に革命を呼びかける行為を行う。この行為はまだ懸賞金が付いていない頃から行っている。
こんな感じの過去(雑ですみません)があって今に至ります。
マリーって名前はこちらが勝手につけさせていただきましたすみません...
リバリバの実:反転人間
触れたものもしくは自らの性質、原理をさかさまにする能力、例えば自分の体が貧弱なほど能力を発動すれば強靭な肉体になったり、触れたものにかかっている力の向きを逆にして弾く事もできる。
本人の強さ
偉大なる航路編ルフィに毛が生えた程度。能力は最強クラスのそれだが技術面が圧倒的に足りない。能力がなければただの一般人。強靭な肉体はそこらの億越えでは傷一つつかないレベルで頑丈だが、マルコやシャンクスなどの屈強な海賊やその幹部クラス、海軍本部大将、元帥、強い方の中将なら傷付けることは可能。