「クマシュン」
『クマシュゥゥン!!』
キャサリンは再開できたクマシュンを抱き締めていた。
「キャサリン、抱き締めすぎだろ」
「ダニエル、だって嬉しいんだもーん」
『クマシュゥゥン!!』
「本当に良かったな、なぁ、レオ」
「そうだな、ヤッチーノ」
「本当に良かったです……あの、クマシュンを見つけたってことはダニエルとキャサリンはイッシュ地方に戻るってことですか?」
「どうしようかな?」
『クマシュゥゥン』
「そうだよな、長くこっちにいすぎたよ、俺とキャサリン」
そんな様子を見ていたルーカスはアリスとの出会いを思い出していたのだ。
数年前、イッシュ地方のとある屋敷。
「お茶をお持ち致しました、アリスお嬢様」
「あ、ありがとう」
女性の使用人がアリスにお茶を差し出したのである。
「どうされましたか?」
「い、いえ」
アリスはイッシュ地方のとある地主のお嬢様だった。
「……あ、そうだ、わたくし出掛けて来ますわ」
「……なりません、ご主人様からのいいつけです」
「……でも……」
アリスの父親はアリスが幼い頃から厳しい教育をし続けてアリスが無断で外出することも許さなかった。
そこへ、
「私が責任を持とう」
「!!ルーカス」
「ルーカスさん……しかし……」
当時、アリスの屋敷で使用人として働いていたルーカスがやって来たのだ。
「大丈夫です、お父様もルーカスならお許ししてくださいます」
ルーカスは使用人として優秀であり主人であるアリスの父親からの信頼も高かったのである。
「やっぱりルーカスがいると安心です」
「……私はそんないい人間じゃないですよ」
「えっ?」
「いえ、なんでもないです」
「ルーカス、わたくしに敬語は結構です」
「そういうわけには……」
「そういえばルーカスは使用人をする前は何をしてたんでしょうか?」
「……まぁ、色々とですよ」
「……そうですか?」
「ほら、なんでお前はこんなこともできないっ!!」
「はい、申し訳ありませんっ!!」
この日も夜遅くまでアリスは父親から厳しい教育を受けていた。
「ルーカスっ!!」
「はい、ご主人様」
「アリスを見張っておけ」
「承知いたしました」
そう言いアリスの父親は部屋から出ていったのだ。
「お嬢様、勉強を……」
「ねぇ、ルーカス」
「ん?」
「わたくし、もう嫌です、この屋敷」
「……しかし、お嬢様はまだその年齢、自分のことをやるのは10歳を越えてからです」
「……きっと10歳を越えてもお父様はわたくしがポケモントレーナーになることも旅に出ることも許さないですよ、きっと」
「……」
「そうだ、ルーカス、気晴らしに他の地方に連れてってくださいよ……あ、このオーレ地方なんてどうですか?」
アリスは本に載っていたオーレ地方をルーカスに見せたのである。
「……お嬢様、それはいくらなんでも……それにこのオーレ地方は治安が悪くて危険、旅行なんてとても」
「ここよりはましです……お父様はわたくしをご自分の利益のためにしか考えてません」
「……」
こうしてアリスは厳しい父の教えに耐えきれなくなっていたのだった。
数日後。
『続いてのニュースです、○✕屋敷から骨董品及び金品数点が何者かに窃盗されました……』
「また、盗みですね、ルーカス」
「……そうですね」
イッシュ地方の別の屋敷で窃盗事件が発生しそのニュースを見ながらルーカスは浮かない顔をしていた。
「どうしたんですか?」
「……いいえ」
その夜。
「ルーカス、面倒を頼むぞ」
「かしこまりました」
アリスの父親はルーカスにアリスを任せて出ていったのだ。
「……ねぇ、ルーカス」
「はい」
「これって」
アリスの手には鉱石があったのである。
「……これってたしかパイラタウンで採掘される鉱石ですよね」
「……ええ」
「どうしてこれを?」
「……」
「……もしかしてルーカスはオーレ地方の出身なのですか?」
「いえ、出身というわけではありませんが一時期滞在していたことがありました」
その頃、イッシュ地方の警察では、
「連続している窃盗犯ですが遂に居場所が判明しました」
警察のモニターにはルーカスの姿が映し出された。
「居場所はこの屋敷です、使用人として潜伏しています」
「逮捕状が発行され次第確保に!!」
「ルーカスさん、これを」
「ん?」
女性の使用人が手紙を持ってきたのだ。
「先ほど、マメパトがこれを運んできました」
「そうか、ありがとう……!!」
「……ルーカス、それは?」
「……アリスお嬢様には関係ないことです」
「もう!!」
数日後、屋敷には警察が迫っていたのである。
そして、ルーカスは逃走しようとバイクに乗ろうとしていた。
その時
「ルーカス!!」
「アリス……お嬢様、どうして……」
「これを……」
アリスの手にはマメパトが届けた手紙があったのだ。
この手紙はルーカスの友人である警察官がルーカスに危機を知らせるために送った物をルーカスが処分しそれをアリスが回収した物だった。
「……そうだ、俺はずっとイッシュで窃盗をしながらこの屋敷の使用人を隠れ蓑にしていた」
「これからオーレ地方に?」
「!!どうしてそれを……ああ、手紙に書いてあったか」
「ええ、手紙にはオーレ地方に逃げろと」
「そうだ、さ、今までありがとうございました……アリスお嬢様」
「ルーカス!!わたくしもオーレ地方に連れていってください」
「は?」
「わたくし、この屋敷から出たいのです、準備もしてきました」
「ふざけるな」
そして、屋敷には警察が到着していたのである。
「もし、連れていってくれないのならわたくしは叫んでここに警察を呼びます」
「なっ……ちっ、仕方がない」
こうして、ルーカスはアリスと共にバイクで逃走し、オーレ地方への貨物船に乗り込みそこで同じく乗り込んでいたダニエルとキャサリンに出会った。
「どうしました?ルーカス」
「いや、アリスと出会った頃の事を思い出していただけだ、本当にお前を屋敷から連れ出してよかったのかと思ってな」
「もう、ルーカス、わたくし、今、とても幸せですよ」
「……そうか……ダニエル、キャサリン、イッシュ地方に戻るなら好きにすればいいさ」
「うーん、どうする、クマシュン?」
『クマシュゥゥン』
「キャサリン、俺はもう少しここにいたいな」
「あれ、ダニエル、奇遇、いいよね、クマシュン」
『クマシュゥゥン!!』
「そうか」
それを聞いてルーカスは微笑んだのだった。
その頃、オーレ警察の本部に国際警察の捜査官が集まっていたのだ。
「やはり、そうですね、これは……」
「ええ、イッシュ地方で窃盗を繰り返した男はやはりオーレ地方にいるようですね」
「操作を続け見つけすぐに確保しろ」
モニターにはルーカスらしき人物が移り混んでいたのだった。
ルーカスとアリスの過去が明かされました、そして、どんどんポケモンコロシアムXD本編へと近寄って行きます。