「ほら、食えよ」
ヤッチーノはレオにパンを渡した。
「すまない、ヤッチーノ」
「んで、これからどうするんだ?」
「幸いにもルーカスのアジトはまだそのまま使えるし、まだ資金もある、当面はこれで生活しながら新しい稼ぎ方を模索するしかないな」
「どこで資金調達する?」
「パイラかアイオポートだな」
「俺たちだけでパイラって少々危険じゃね」
「そうだな、アイオポートで何か探すか、流石にこないだのアリスの件はほとぼり冷めただろう」
レオとヤッチーノは資金を稼ぐためアイオポートにやって来たのだ。
「俺を捨てた親父はよくサニーゴの角とか拾って加工して売りさばいてたな」
「サニーゴなんてもう殆どいねぇよ、最近じゃハンターの取引するポケモンになってるらしいしな、俺らが生まれる前は腐る程生息してたのに今度はそのポケモンを商品にとか生態系狂ってんな」
「そうだな」
「俺たちだけじゃ金稼ぐの難しいかもな、パイラとか盗掘しても俺たちじゃ買い取ってくれねぇし」
「そもそもこれからもルーカスと組んで動くつもりだったしな、生活準備があまりできていない」
「なぁ、レオ」
「ん?」
「あいつらどうなったかな」
「……ルーカスは罪を償うんだろうな」
「ルーカス、そのつもりだったし、それはしょうがねぇよ、ダニエルとキャサリンはイッシュにちゃんと家があるし問題ない、一番心配なのは……」
「アリス……だよな」
「ああ、実家に戻りたくないってずっと言ってたしな」
「……ヤッチーノ、稼ぐぞ」
「え?」
「稼いで金ためてイッシュに行こう、すぐじゃないルーカスが出てくるまでまって、また、みんなで飯を食おう」
「でもよ、あの時、ルーカスも俺たちもアリス見捨てたみたいになってるから怒ってるかもよ」
「いいじゃねぇかよ、怒ってたらそれはそれで、会わないでこれで終わりは嫌だ」
「そうだよな」
「そして、みんなにまた会うことを目標に生きて行こうぜ」
「お前、ポジティブだな」
「で、その目標のためにどうやって金貯めるかだな」
「……振り出しに戻ったな、これよ、どっかの組織に加入するとかしかないんじゃないのか?」
「俺もそう思う」
そこへ、
「やっぱりお前だ、見つけたぞ」
男がひとり近寄ってきたのである。
「誰だお前?」
「……ヤッチーノ、見覚えがある」
「え?」
「お前と初めて会った時に俺のイーブイたちを捨てたやつだ」
「イーブイの元トレーナーってことか」
「そうなるな」
「そそ、あの後、色々調べて、俺が捨てたイーブイはお前が捕獲したって聞いたんだ、悪いが返してもらえるか?」
「何年前だと思ってるんだ、悪いがこいつらは俺のポケモンだ」
「てか、おっさん、どうして今さら返してもらおうとしてるの?」
「あの時よりも値上がりしてるからだ、カントー地方やジョウト地方で人気が高い、ハンターに流す」
「断る」
「……じゃ、力づくで返してもらうか」
男はモンスターボールからグラエナを2体出した。
「どうするよ、レオ、ずらかるか?」
「今、逃げてもまた来るだろう、ここでやる」
レオはモンスターボールからイーブイたちを出したのだ。
「もしかしたら進化してるとか思ってたけどイーブイのままで安心したぜ、これなら簡単に倒せるな、やれ、グラエナ」
『『グラッ!!』』
「イーブイ、お前たちの力を見せてやれっ!!」
『『イーブイ!!』』
しかし、イーブイたちのレベルは低く、レオのバトル経験も浅くグラエナには敵わなかったのである。
「やっぱり弱いな、そのイーブイ」
レオは今までイーブイたちを強くしようと訓練はしていた、しかし、バトルの仕方を殆ど知らないかったレオは弱かったのだ。
「おい!!レオ、ずらかるぞ」
「あ、ああ」
しかし、
『グラァァ!!』
ヤッチーノのバイクの前でグラエナはヤッチーノを威嚇していた。
「うそだろ……ナゾノクサのねむりごな間に合わねぇよ」
「クソ、こいつら渡すものか!!」
「黙れ、治安のいいアイオポートとはいえ、路地裏なんかにいるお前らが悪い、さ、大人しく渡せ」
その時
「ダーテング、リーフブレード」
ダーテングが現れ、グラエナたちをリーフブレードで戦闘不能にしたのである。
「本当に路地裏なんて歩くもんじゃねぇよな」
グラエナを戦闘不能にしたのはエクロ盗賊団のボス、ヘルゴンザだった。
「レオ、やべぇ、こないだエクロ盗賊団だ、今のうちに逃げるぞ」
「……」
「どうしたレオ!!」
ヘルゴンザは男から金品を奪うとモンスターボールを確認した。
「ちっ、手持ちはグラエナだけか、金品は……まぁ、それなりにだな」
「ボス、グラエナは連れてきますか?」
「いらん、そんなチンピラが育てた雑魚グラエナ、ハンターも扱わねぇさ……ところで……」
ヘルゴンザはレオとヤッチーノを見たのだ。
「そこのイーブイのトレーナーはこないだ俺に挑んできたやつだろ、相変わらず弱いイーブイ連れてるじゃねぇか」
ヘルゴンザはレオに近づいたのである。
「……仲間にしてくれ」
「は!?何言ってんの、レオ」
「……ヤッチーノ、このままだと生きていくのは難しい」
「……そうだけどよ」
「こないだ挑んできたと思ったら今度はこれか?……うちはな保育園じゃねぇんだよ……いや、まてよ、お前ら雑用とかエンジンの点検とかできるか?」
「雑用はどのレベルかわからないが身の回りのことは自分でやって来た、エンジンはバイクのぐらいなら多少の組み立てはできる、俺もそこのヤッチーノも」
「なるほどな……まぁ、いいだろう」
「え、ボス、そいつら連れてくんですか?」
「ああ、うちも人数増えてきて雑用係を増やしたいところだった、まぁ、腕がいいなら戦闘員もさせるさ、さ、お前らとっとと車に乗りやがれ」
レオとヤッチーノはこうしてエクロ盗賊団に入団したのだった。
それから1年後。
エクロ盗賊団のボス、ヘルゴンザはフェナスシティ近くの砂漠で密会していた。
「ヘルゴンザ、ほら、追加のモンスターボールと今回の報酬だ」
「ジャキラ様、ありがとうごさいます」
「ポケモン集めは順調か?」
「……それがですね」
「言ってみろ」
「オーレには野生のポケモンが少なく空のモンスターボールだけでは集めにくいんですよ、他人のポケモンの強奪はできないことはないんですが扱いが困難でしてね」
「なんだそんなことか」
「はい?」
「今、スナッチマシンというものを開発中だ」
「スナッチマシン?」
「これはモンスターボールの機能を狂わせトレーナーがいるポケモンでも野生のポケモンと同じように捕獲できるようにする機械だ」
「なんて便利なんだ……」
「これでこの地方でポケモン集めろ、そうしたらエクロ盗賊団の今後は我々シャドーが保証しよう」
「ありがとうございます、ジャキラ様」
「……ところでこちらからも相談なんだが」
「はい?」
「とある女性トレーナーをそちらの幹部にしてくれないか?」
「女性トレーナーをですか?」
「ああ、腕はたしかだ、エンジンから電子システム、何でも扱えるぞ」
「なぜ、うちのような末端の反社組織に?」
「ちょっと
「シャドーはダメなんですか?」
「シャドーではその組織に目を付けられるがお前のところなら問題ないだろう、しっかりと戦闘力にもなる」
「そうですか、では、シャドーさんとの今後の付き合いも含めて特別なお部屋とNo.2の席を用意いたします」
「助かる、頼んだぞ、ヘルゴンザ」
その頃、
「レオ、どうして急にボスはお前にポケモンバトル教え込んだんだ?」
「さぁな、俺は雑用だけで良かったんだけどな、ヤッチーノ、お前は積極的に強奪に参加してるらしいな」
「だってよ、ボスの役に立ちてぇじゃねぇか」
「たった1年でなに信奉者になってんだよ」
「だってよ、ボスはよ、怒ると怖いけど男気あるじゃねぇかよ、修行させてもらってるレオが羨ましいぜ」
「ただ、俺にはイーブイとエーフィへの虐待にしか感じねぇよ、毎回、傷だらけだ」
レオのメスのイーブイはヘルゴンザとの訓練でエーフィに進化していたのだ。
「ん?イーブイは進化させないのか?」
「ヘルゴンザからかわらずのいしを持たされてる、夜に外してブラッキーに進化させろとよ、バランスいいからって」
「さすがボスだな」
「ヘルゴンザに信奉するのもいいけど俺とお前の目標忘れるなよ」
「……わかってるよ、イッシュだろ」
「ああ……所でよ、最近なんか妙じゃないか?」
「あ、それ俺も思った、なんか団の金回りいいよな、それに金品も強奪するけどポケモンも集めろってよ、たまにいる野生のポケモンやハンターが取引してるポケモン強奪したり」
「けど、ハンターのポケモンが野生の場合はタコ殴りにしてモンスターボールで捕獲すればいいけど、ポケモンが誰かに捕獲されてる場合は言う事聞かないし、空のモンスターボールには入らないでし、大変だろ?そもそも野生のポケモン減り続けてるオーレじゃモンスターボールは殆ど売ってないし、売ってたとしても輸入品で割だがだし、必然と誰かのポケモンを強奪する形になるよな、胸糞悪い」
「相変わらず、ポケモン好きなんだな、なんかボスの部屋に空のモンスターボール、たくさんあったんだよな、輸入購入してるのかな?」
そこへ、
「ようお前ら」
エクロ盗賊団のボスヘルゴンザがやって来たのである。
「ヤッチーノ、最近、頑張ってるじゃねぇか、この調子で頼むぞ」
「ありがとうございます」
「レオ、お前はもっと強くなれ」
「ああ」
「そうだ、うちの新しい幹部が来るからお前たちにも紹介しておくぞ、J」
ヘルゴンザの呼びかけに応じ通路の奥から強面の女性が出てきた。
「女性ですか?ボス」
「ああ、エクロ盗賊団始まって依頼初の女性だな、とある組織から引き抜かせてもらったエンジニアだ、若いがエンジンの組立の腕前はピカ一、ポケモンバトルの腕前も俺様に匹敵するらしいぜ、今後はうちのNo.2だ」
「おお!!ボス以外は幹部は同格だったのにNo.2とはすごいですね、よろしくお願いいたします、J様、ヤッチーノと申します」
「ああ」
「ところでレオ」
「ん?」
「今度ポケモンの捕獲部隊を構成することにした、お前はそこのメンバーな」
「は?」
「モンスターボールが今日また多く手に入ったからそれでポケモン捕獲しまくるんだ、まだ、エーフィとイーブイは戦力外だから組織保管のポケモン使っていいぞ」
「なぜ、俺を、俺なんかよりヤッチーノの方がいいだろ」
「いずれはな、だが、お前、こないだ偶然近くに現れた野生のチルットにうちにあった空のモンスターボール当ててたろ、捕獲には失敗したがな」
「あんなの別に普通だろ」
「いや、ひこう中のポケモンにモンスターボール当てるとか結構な腕前だよ、だから抜擢した」
「それにヘルゴンザ、野生のポケモンは本当に少ない、こないだのチルットも偶然だ、そんな捕獲部隊出してもたかが知れてるだろ」
「それに関しては問題ない時期に良いものが手に入る」
「なんだそれは?」
その時
「うぷっ……」
Jがレオのみぞを殴ったのだ。
「……おい、レオ」
「……大丈夫だ、ヤッチーノ」
「今まで雑用だった分際でなめた口を聞くな、ガキが……」
「てめぇ……」
「レオ、だったな、また殴られたいか?」
「J、こいつにそれを言っても無駄だ、敬語というものを知らない」
「まぁいい、捕獲部隊には私も参戦する、せいぜい足手まといにならないようにするんだな」
そう言い残しJは去っていったのである。
「あの野郎……」
「落ち着けレオ、新参とはいえ相手はNo.2だぞ」
「そうだ、それにNo.2 とは言えあの子は特別だ」
「特別だと?」
「ボス、どういう意味で?」
「悪い、口が滑った、気にするな」
そして、ヘルゴンザも去っていった。
この出来事が後にレオとヤッチーノの運命を左右することになるなど知る由もなかったのだった。
投稿を再開します、が、一応、次回でコロシアム前日譚は終了する予定です。