書きたくなったから書きました。
キャラがあまりうまく描写できていないと思いますが、宜しければどうぞお読みくださいませ。
では、本編をどうぞ。
———小鳥のさえずりが聞こえてくる様な静かで平穏な朝は、彼『上条雷輝』にとっていつもと変わらない日常のひと時である。
何処にでもいるような、極々普通の学力を持つ極々普通の少年であるのが上条雷輝という人間だ。
そんな彼は、世間的に見れば少しばかり変わったところが2つある。
1つはこの歳にして、1人暮らしなのである。
今彼が住んでいるのは、ワンルームマンションの一角で内部構成は部屋1つに、ベッドが1つと本棚が2つに、主に勉強時に使うデスクが1つ。
後は、台所に冷蔵庫と電子レンジが置いてある程度である。
2つ目は、長くしなやかな後ろ髪。
同年代の女子にも負けないほどの艶を持つ茶髪を持っていることだ。
そんな彼はベットの上で目を覚ました。
「……朝か」
少し沈んだ気持ちの彼は、ベッドから起き上がり、身支度を始めた。
彼は、今日から『羽丘学園』に通う事になるがそこは昨年度まで女子校であった。
だが、理事長の教育方針の変更により、今年度からは共学校となった。
そして、何を隠そう今日が入学式なのだ。
つまり、男子生徒が『羽丘学園』に通う初めての日である。
彼はそんな事を気に留める様子も無く、身支度を終えて朝食を済ませると、家を出る。
そして、のんびりと学校に向かって歩いて行く。
穏やかな陽気を感じながら、彼は歩き続ける。
そんな調子で歩き続けていると、彼の前に楽しそうに話しながら歩く五人組の少女が現れた。
彼は、そんな事など気に留めず、自身のペースで歩いていく。
その際、彼の方が歩くペースが速かった為、彼と少女達の距離は縮まっていった。
そして、人が1人分ぐらいの距離で彼の耳に少女達の会話が入ってきた。
「同じクラスになれるといいね」
「そうだねー」
そんなことを話しているようだった。
彼は、何も無かったかのように、その隣を抜き去っていく。
「あ、君」
直後、雷輝は呼び止められた。
「……何か?」
彼はその場に立ち止まると、振り返って尋ねた。
「君のその制服、羽丘のだよね?」
と、ピンク髪の少女に尋ねられた。
「そうだが……それがどうかしたって言うのか?」
「あたし達も羽丘なんだ!」
と、制服を指差しながら言った。
「そりゃ、見ればわかるさ。それだけかい?」
「あ、いや……そう言うわけじゃ……」
「ごめんよ、俺は少し用事があって急いでいるんだ」
そう言って雷輝は、背中を向ける。
「もし、また逢えたならその時は話しようか」
そう言って、学校へ向けて再び歩き始めた。
「……何アイツ」
そう呟いたのは、黒髪に赤いメッシュを入れた少女だった。
「まあ、急いでるって言ってたししょうがないんじゃないかな?」
隣にいた茶髪の少女が、宥めるように言った。
「と、とりあえず私たちも学校に行こ!」
ピンク髪の少女の言葉に全員は頷き、再び歩き始めるのであった———
入学式後、雷輝は人混みの中、発表されたクラス分けに目を通していた。
雷輝のクラスはA組であった。
彼は、人混みを潜り抜けると、昇降口へと向かう。
その際、チラッと掲示板の方へ目を向けると、先ほどの少女達が見えた。
その様子は、1人の少女を慰める様な構図であった。
彼は、『関係無い』と思いながら教室へと向かった。
そして、1-Aの教室に入る。
黒板には、席順の書かれた名簿があった。
雷輝の座席は、1番窓際の席の1番後ろ。
即ち、教室の最奥である。
彼は、机の脇に荷物を掛けると、座って窓の外を眺めた。
外には、桜の花弁が無数に舞っていた。
「……桜吹雪、か」
彼はそう呟いた。
そんな状態を暫く維持していると、教室内にもチラホラと人が見られ、数分後には教室内の座席が殆ど埋まっていた。
その大半が女子であったが、その中にはチラホラとだが男子の姿もある。
周囲を一瞥した彼は、不意に隣へと視線を向ける。
其処には、机に突っ伏したままの少女が居た。
それは、何処と無く泣いているようであった。
対する彼は、何かをする訳でも無く、自身の鞄から文庫版を取り出し、本の世界へと入っていった。
その後暫くして、担任が教室に入ってきて挨拶した後、一言ずつ自己紹介をするように促してきた。
そして、廊下側の列から始まった自己紹介は、現在自身の隣の少女の番であった。
「……美竹蘭です。宜しく」
そう言った少女は、先ほどまで泣いていたであろうにも関わらず、何もなかったかのように自己紹介をして、席に着いた。
「じゃあ、隣り行って上条」
すると、突然雷輝の番が訪れた。
正確に言えば、順番は決まっていたが彼は、考え事をする余り見落としていただけである。
雷輝は、立ち上がりクラスメイトの方を向いて口を開いた。
「上条雷輝です。ここ最近この辺りに引っ越して来ました。1年間と言う間ですが宜しくお願いします」
そう言って、彼はお辞儀をしてから席に着く。
すると、隣の少女———蘭が自身の方へ視線を送って来ている事に気が付いた。
「……何か?」
雷輝は、首を傾げた。
「……アンタ、さっき会ったよね?」
「あー、通学してる時……居たね」
雷輝は思い出す様な仕草をしてから、答えた。
「で、用事はそれだけ?」
「うん……」
そう言って蘭は、黒板の方へと視線を向けていた。
対する彼は、再び窓の外へと視線を向けるのであった———
放課後。
今日は午前中で
特にすることのない生徒達は、下校するのであったが、雷輝は違った。
彼は、密かに図書室に篭ろうと考えていたのであった。
しかし、彼は昼食を持っていなかった為、昼食を摂る事を優先し食堂へと向かった。
そこで彼が見たのは……戦場だった。
弁当……否、パン1つですら命懸けで奪い合っている。
その形容が正しく当てはまる様な状況が繰り広げられていた。
その状況を見て、雷輝は慄いたが、意を決してその中へと突入する。
そして、揉みくちゃにされながらも、人の波を潜り抜け、弁当を掴むと、会計を済ませて命からがら食堂から脱出する。
「……なんだったんだ……アレ」
彼は、振り向いて食堂を見ながら呟いた。
その後、教室に戻った彼は買ってきた弁当を食べ終えると、荷物を教室に置いたまま図書室へと向かったのだが———
「休館……だと……?!」
無情にも、図書室は休館日であった。
「……ナンテコッタ」
それに繋げてとあるキャラクターの名前を言いそうになったが、その言葉を寸前で飲み込んだ。
諦めた彼は、適当に校舎内をフラついた。
そして、屋上へと辿り着いた。
誰も居ない屋上は、とても静かであった。
聞こえてくるのは、風の音とグラウンドから聞こえるホイッスルの音だけ。
「暫くここにいるかな……」
彼はそう言って、屋上の入口の上に登り、そこで寝そべった。
そして、そのまま眠りへと着いた。
どれくらい経ったのだろうか、不意に扉が開く音が聞こえ、雷輝は目を覚ました。
「……ん?」
寝起きではあるが、気付かれ無いように雷輝は自身の気配を潜めた。
そして、耳のみをそちらへと集中させる。
「……蘭、しっかりしなよ」
誰のものかまでは分からなかったが、話し掛けている対象が自身の隣の席の彼女だと言うことは予想できた。
そこから、今屋上にいるのが、朝の少女達だということも予想ができた。
「……なんで……あたしだけ皆んなと……」
そう言った彼女は、泣き始めてしまったようだ。
「やっぱ……美竹だったのか……」
彼は誰にと無く、呟くのであった。
そして、そっと目を開くと、日が傾いていた。
「……アレ、俺そんなバカみたいに寝てたのか」
そう言って彼は、自身が気配を消していると言うことを忘れて、上体を起こした。
「……誰?!」
自身の背後から、そう声が飛んでくる。
雷輝は、軽く振り向いた後、入口の上から屋上の床へと降りた。
「……何やってるの?」
蘭は雷輝を見るなり、そう尋ねた。
「……何も。ただ昼寝してただけだよ。そっちこそ、こんなところで何してるんだよ?」
雷輝は後頭部を右手で掻きながら、そう聞き返した後にまあ、と言って話を続けた。
「俺にとってはどうでもいい事だからな。じゃあな」
そう言って、屋上を後にしようとした。
「待って」
「……なんだ?」
ピンク髪の少女に呼び止められた彼は、振り向いて尋ねた。
「朝言ったこと、覚えてるよね?」
「……あー。分かった。取り敢えず、何を話すんだよ」
なら、と言ってピンク髪の少女は言った。
「まずはあなたの名前を教えて」
「俺は上条雷輝。クラスは1-A。宜しく」
「1-A? 蘭とおんなじクラスですなー」
「そうなのか、蘭?」
尋ねられた蘭は頷いて言った。
「……あたしの隣の席だよ」
「じゃあ、蘭ちゃんとはもう知り合い……なのかな?」
茶髪の少女に問いかけられた。
「どっちかっていうと、同級ってだけだな。ところで、俺はまだ君たちの名前を聞いていないんだが?」
彼がそう言うと、ピンク髪の少女が名乗った。
「私は上原ひまり! 宜しくね、雷輝君!」
それにつられて、他の少女達も名乗っていく。
「あたしは宇田川巴。宜しくな雷輝!」
「私は羽沢つぐみ。宜しくね、雷輝君!」
「青葉モカでーす。宜しくね〜、ライライ」
「ああ、宜しく」
で、と言って雷輝は続けた。
「青葉」
「モカちゃん」
「……はい?」
モカの言葉に、雷輝は素っ頓狂な声を出した。
「モカちゃんって呼んでほしいなぁ〜」
「いや、青葉は青葉だ……」
そう返す雷輝に対して、モカは徐々に徐々に詰め寄っていく。
その圧に負けた雷輝は、諦めてこう言うのであった。
「分かった。モカって呼ぶからそれで勘弁してくれ……」
「フッフッフッ。分かれば宜しいのだ〜」
「あ、ズルイ! 私も下の名前で呼んでほしい!」
一連のやりとりを見ていたひまりが、そう騒ぎ出すのだった。
「なんでだよ……」
「じゃあなんでモカは良くて私はダメなの!?」
今度はひまりが詰め寄ってくる。
雷輝は、下がろうとしたが、壁際まで追い詰められていた為、それができなかった。
「あー、もう分かった! お前ら全員下の名前で呼ぶ! それで文句ないだろ?」
「本当?! やったー!」
ヤケクソと言った感じで、雷輝は叫んだ。
対するひまりは、その言葉を聞いて喜ぶのであった。
「ハァ……というわけだ、ひまり早いとこ離れてくれ」
「はーい!」
「で、俺はやること終わったから帰るぞ。じゃあな」
そう言って雷輝は、ドアノブに手をかけたが、後ろから肩を掴まれ止められるのだった。
「な、なんだよ……モカ」
「まあまあそう焦らずに〜。ライライも少し付き合ってよ〜」
「何にだよ?」
「えっとね〜、蘭だけ違うクラスになっちゃったからどうしようかっていうお話〜」
「いや、俺関係ないんですけど……」
「いーじゃん、雷輝君は蘭と同じクラスなんだしさ!」
ひまりの言葉に、雷輝は冗談じゃないと叫びそうになるが、それを必死に堪えるのだった。
「……なんだよその理由。モカも俺を離してくれない?」
「ライライが話し聞いてくれるって言うなら良いよ〜」
そう言ったモカは現在、雷輝に後ろから抱きつくようなら体勢になっている。
「分かった。聞く。だから離れてくれ」
「はーい」
モカから解放された雷輝は、扉から離れた。
そんな彼の元に、つぐみが駆け寄ってきた。
「ごめんね雷輝君。2人が無理なおねがいしちゃって」
そう謝ってくるつぐみを見た雷輝の脳裏には、『天使』の2文字が浮かぶのであった。
「……つぐみが謝ることじゃないよ。で、結局俺を呼び止めたがどうしろって言うんだ?」
「確かに。モカもひまりも、雷輝に何を頼むんだ?」
雷輝の言葉に、巴も疑問を抱いていたようで、モカとひまりに尋ねる。
「それはね〜」
「雷輝君に、蘭と仲良くしてもらおうと思って」
「「は?」」
ひまりの言葉に、蘭と雷輝は全く同じ反応を示した。
「おい待て、なんでそうなるんだ」
「えー、だってライライ、蘭と同じクラスだし〜」
「そんな理由だけで、アタシはこいつと仲良くしないといけないの?」
モカの言葉に反応した蘭は、辛辣な言葉を雷輝に突きつける。
「蘭ちゃん、それは言い過ぎだよ……」
「今日会ったばかりの奴といきなり仲良くなんて無理だよ。そもそも名前で呼ばれるのも抵抗があるのに」
『いきなりなんて、無理だよ』
その言葉が、雷輝の脳裏に木霊する。
「……無理か」
「どうしたの雷輝君?」
不安そうに声をかけるつぐみを他所に、雷輝は踵を返す。そしてそのまま、屋上の出口へと歩み始める。
「ライライどうしたの〜」
「……帰る」
振り向くことなくそう答えた雷輝はポツリと言葉を溢す。
「結局……誰とも友達になんて、なれないのさ」
「そんな事ないよ」
その言葉を否定したのは、ひまりだった。
「……なんでだよ」
「だって私達、
「……え?」
振り返った雷輝は、理解できていないような表情をしていた。
「今、なんて……」
「だから、私達はもう雷輝君の友達でしょ?」
「そうだよー。モカちゃんとライライはもう友達だよ〜」
「うん。私もだよ雷輝君!」
「私もだぜ!」
そう言われた雷輝は佇んだ。
そんな彼の瞳からは、彼自身の意思とは関係無しに、涙が溢れていた。
「ライライ泣いてるの?」
「……え?」
モカに指摘されて、雷輝は初めて自分が泣いていることに気がついた。
「アレ……? 可笑しいな」
雷輝は、そう呟きながら自身の袖で涙を拭った。
何故泣いているのかわからない。
今この瞬間も、自身の中ではずっとそう思い続けていたが、彼の自身の本心はわかっていた。
故に彼はこう呟く。
「そっか……俺、友達が欲しかったのか」
そう言って笑った彼の元に、蘭が歩み寄った。
そして、こう告げるのだった。
「なんか、さっきはごめん……」
「気にしてないさ」
「で、あんたが良ければだけど……友達になろうか?」
突然の言葉に、雷輝は固まったが、直ぐに我に帰るゆっくりと頷いた。
「……宜しく」
そう答えた彼を見た蘭は、微笑むのだった。
そんな蘭を茶化すように、外野が騒ぐのだった。
「おお〜、蘭がデレた〜」
「明日は氷柱でも降ってくるのかな?」
「モカ! ひまり!」
『わぁー』と言って、逃げる2人を蘭は追い回し始めた。
「どうしてこうなった……」
「まあ、いつものことだ」
「これがいつも通りなのか……」
「アハハハ……それだけ仲がいいって事だと思うよ」
私達も含めて、と付け加えてつぐみは言った。
そんな3人を暫く見ていた雷輝だったが、ふと視線を別の箇所へと移した。
「……綺麗な夕陽」
無意識の内に、雷輝は言葉に出した。
その呟きを聞いたつぐみと巴も、雷輝と同じく夕陽を見るのだった。
「綺麗だね〜」
「ああ。3人も見てみろよー」
巴にそう言われた3人も、雷輝達の側へとやってきて、夕陽を眺める。
「なんか、私達がバンド組んだ日もこんな夕焼けだったよね」
「そうだね〜」
「つぐがバンド組もうって言った時は少し驚いたけどな」
そんな会話を他所に雷輝は、夕陽を眺めるうちに、黄昏ていた。
過去の自分自身との、決別という意味合いで。
そんな彼は、フェンスの側まで歩み寄った。
一同が、彼の行動に首をかしげる中、フェンスを掴んだ彼は思いっきり息を吸い、叫ぶのだった。
「———ありがとう! どうぞ宜しく! 」
その声は、何処まで通るような声だった。
「凄い……」
「ライライの声〜凄く良く通るね〜」
振り返った雷輝は、ニッと笑って5人にこう告げた。
「改めまして、宜しく」
これが彼、上条雷輝と『Afterglow』の5人との出会いだった———
雷輝達が屋上にいるのと同時刻、倉中第一高等学校にて。
2学年のフロアの教室の一端で、書類に目を通している青年がいた。
時刻のせいもあってか、今教室内には彼以外に誰もいない。
そんな彼は、ふと開いておいた窓から外を眺めると、彼の耳にその『音』は届くのだった。
「……?」
音を聞いた彼は、辺りをキョロキョロと見回した。
そんな彼の元へ、新たに青年が現れる。
「どうした洸夜、キョロキョロして」
「いや、今なんか聞こえてきたんだよな」
「俺は何も聞こえなかったが?」
「それは祐治の耳が悪いだけじゃないか?」
「いや、聴力は平均的だからな?」
祐治と呼ばれた青年は、洸夜と呼んだ青年に反論するのだった。
「まあ、いい。で、後どれくらいで終わるんだい
「後、10分かな」
「了解。終わるまで屋上で待ってるわ」
「はいよ」
そう言い残した祐治は、教室を後にした。
1人残された洸夜は、再び書類に目を通し始めた。
そして、呟くのだった。
「誰に……お礼を言って、挨拶をしたんだろうか……」
先ほど聞こえた
今回はここまで。
ここまでお読みくださいましてありがとうございます。
宜しければ感想・評価等お願い致します。
次回の投稿日は不明ですが、どうぞ気長にお待ちいただけると幸いです。
では、これで。
次回もどうぞお楽しみに!