夕焼け少女達と紡ぐモノガタリ   作:希望光

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どうも希望光です。
今回はタイトル通りモカの誕生日回となっております。
そして、時系列が毎度の如く吹き飛んでおりますが悪しからず……。

それでは、本編の方どうぞ


モカ誕生日回:『煌めく思い』

 とある日学校が終わった後———つまりは放課後、モカに呼び出された俺は指定された場所で彼女を待っていた。

 

「来ねぇな……」

「ライラ〜イ」

 

 ボヤいた直後、モカが抱きついてくる。

 

「なんだよいきなり……」

「う〜ん、こうしてると落ち着くんだよね〜」

 

 そう返すモカ。初めの頃なら迷わず振り解いてたけど、なんかもう……慣れたな……。

 

「はいはい……で、今日は何処に行くんだ?」

「ふっふっふっ〜、よくぞ聞いてくれました〜」

 

 そう言って懐から取り出したものを掲げるモカ。

 

「映画のチケット……?」

「あたり〜。リサさんが譲ってくれたんだ〜」

 

 ……待って、良い予感がしない。

 まあ、気のせいだと思おう。うん。

 

「OK、OK。今日行くところは分かった。ショッピングモールだろ?」

「うん」

「じゃあさ、なんで待ち合わせが()()()()()()()なんだよ」

 

 そう、今の今まで俺がモカを待っていた場所は商店街の山吹ベーカリー前。

 

「やっぱりパンを買わなきゃね〜」

「はぁ……さいですか」

 

 溜息を吐いた俺はモカと共に山吹ベーカリーの中に入る。

 

「いらっしゃ〜い。お、モカと雷輝じゃん」

「やっほ〜」

「いらっしゃいましたよ」

 

 店に入ると、レジの前に立つ沙綾の姿があった。

 

「あれ、今日ポピパは練習ないの?」

 

 レジの方へと歩きながら沙綾に尋ねる。

 

「今日は休み。そう言うそっちも休みでしょ?」

「佑磨のやつから聞いてるんだろ……」

「まあね」

 

 笑いながらそう答える沙綾。

 

「はぁ……で、もう一個聞きたいんだけどさ」

「なになに?」

 

 俺は身を屈め沙綾との距離を縮める。

 沙綾も意図を理解してくれたらしく身を屈めてくれる。

 

「モカの誕生日プレゼント何あげるんだ……?」

「え、もうあげたよ?」

「……はやくね?」

 

 驚いた俺は身を上げる。

 

「何あげたんだよ」

「それはちょっと言えないかな」

 

 悪戯な笑いを向けそう答える沙綾。

 

「一体なんなんだ……」

「さーや〜、これお願〜い」

 

 考えている俺の傍からトレイ一杯にパンを積んだモカが現れる。

 

「……全部食うのか?」

「もち〜」

 

 そう言って会計を済ませるモカ。

 

「ありがとうございました〜」

「また来るね〜」

 

 そう言い残して、俺とモカは山吹ベーカリーを後にする。

 そして、俺達はショッピングモールへと向かう。

 因みにこの間に山のようにあったパンは既にモカの手元から消え去っていた。

 

「相変わらず食うの早いな……と、なんの映画見るんだ?」

「ん〜」

 

 モカに差し出されたチケットを手に取る。

 

「あー、モカが前に俺とかに勧めてきた漫画のやつか?」

「そ〜。面白そうだから、前々から見たかったんだよね〜」

「なるほど。とりあえず時間も時間だし入ろ?」

「あいあいさ〜」

 

 そう言葉を交わした俺達は劇場内へと足を運ぶ。

 そして、チケットに指定された座席に行くと……ん? 

 

「席ここだよな?」

「みたいだね〜」

 

 俺たちの目の前にあるのは、所謂カップル席。

 

「うっそだろ……リサさん冗談がきついぜおい……」

 

 頭を抱えた俺は先に腰を下ろす。

 そんな俺の傍にモカが腰をかける。

 

「ライライ肩貸して〜」

「へいへいどうぞ〜」

 

 そう答えると、モカは俺の肩に頭を乗せてくる。

 

「いつ見ても、ライライの髪綺麗だよねぇ」

 

 後ろで縛っている髪をいじりながらそう告げるモカ。

 

「手入れは欠かしてない……からな」

 

 そんな会話をしていると、劇場内が暗くなる。

 

「始まるみたいだな」

「うん」

 

 言葉をかわした後、俺達はスクリーンの映し出す世界に引き込まれていくのだった———

 

 

 

 

 

 映画を見終わった後、俺とモカは西陽を浴びながら帰路についていた。

 

「楽しかった〜」

「それなら良かったよ」

 

 微笑した俺は茜色の空を眺める。

 もう、夏が終わる……そんな空だ。

 

「綺麗だね〜」

「ああ」

 

 空を眺めながら歩く俺達。

 そんな中、俺は不意に足を止める。

 

「なあ、モカ」

「ん〜? どうしたの〜?」

「誕生日おめでとう———って言うのを言うの忘れてたなと思って」

「ありがとう〜。そう言うってことは、何かプレゼントがあるのかな〜?」

「あー、そのことなんだが……」

 

 俺は一度視線を逸らし、答える。

 

「その、何も用意できてないんだよね……」

「そっか〜……」

「だから、モカのお願いを1つだけ聞いてあげる」

「なんでも……?」

「ああ」

「じゃあ……キスして欲しいな〜」

 

 ……キス……ですか。

 

「……約束だもんな。良いよ」

 

 そう答えた俺はモカと正対し、自身の顔を彼女の顔に近づける。

 その途中、顔を赤くしたモカが顔を逸らす。

 

「こっち向いてくれなきゃできないよ……」

「だって〜……」

 

 俺はそんな彼女の頬に手を当てるとそのまま引き寄せ唇を重ねる。

 

「ぷはっ……」

 

 数秒間と言う短い間だったがとても長かった気がする。

 そんなことを思っている俺はふとモカの方を見ると、顔を赤くして俯いていた。

 

「……モカ?」

「ライライは……やっぱりズルいよ……」

「自分から頼んでおいてそれはないぜ……」

「もう……」

 

 そう言って軽く頬を膨らますモカ。

 そんな彼女が不意に何かを呟く。

 

「———でも、嬉しかったよ」

「なんか言ったか?」

「なんでもなーい」

 

 そう言って俺達はまた歩き出す。

 その後、何故か俺の部屋にいた他の4人と共にモカの誕生日会をするのだった。




閲覧ありがとうございました。
以上でモカな誕生日回は終了となります。
次回は、本編を進めたいのですが……先にひまりの誕生日回の可能性も考えられます……。
ですが、現状では本編を進める方針でございます。
それではこれにて失礼いたします。
最後に、モカ誕生日おめでとう!

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