第97管理外世界の赤い球   作:破壊光線

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一期
プロローグ


 ゴジラにあえますように。 かしま ひろし

 

 それが物心ついた時の七夕の短冊に書いた初めての願い事だった。

 当時、幼稚園に上がる前だった俺は映画館のスクリーンで暴れるゴジラは実在すると信じていたし、その後にテレビでみるウルトラマンと戦う怪獣も地球のどこかに居ると思っていた。

 そんなこんなで翌年、幼稚園に入園すると粘土をこねて怪獣を作り、今でも部屋に飾ってある。友達とサッカーもしたが、ウルトラマンごっこで遊んだ記憶の方が多い。七月に短冊に書いた願い事は『エアロヴァイパーの背中に乗りたい』で、その翌年は『メトロン星人に会いたい』だった。

 

 ここまでくれば分かると思うが、俺はウルトラマンよりも怪獣が好きなクソガキだ。

 メジャーな怪獣の得意技はもちろん、身長体重だって暗唱できているし、マイナーな怪獣だって戦ったウルトラマンとそのサブタイトルだって言えるくらい怪獣が好きだった。

 

 しかし、現実は悲しいもので、生活しているだけでクソガキの願いなど叶うはずもない。海の中には巨大な帝国が沈んでいるらしいことが分かったが、その帝国はムー帝国であってゾイガーがいるルルイエなど存在しなかった。さらに、宇宙がいくら広い言えどメトロン星人はもちろん、地球ではUFOや宇宙人の存在は信じられてすらいない。たまにやるテレビのUFO特番で芸能人が騒ぎ立てるくらいだ。

 そんな環境に居たから存在を信じてしてたはずの怪獣や宇宙人は架空のものだと気づくのは時間の問題だったし、一緒にウルトラマンごっこをしていた友達も小学校に行く頃にはウルトラマンごっこなどしなくなった。

 

 それでもやっぱり怪獣が好きで、小学生に入学してもウルトラマンは毎週見ていたし、ゴジラやガメラが公開すれば親を引き連れて映画館に押し掛けた。

 小学生一年生の七夕は『モキアンに乗って宇宙旅行がしたい』。二年生は『タイラントと遊びたい』と曲がることなく怪獣尽くしだった。友達や先生にバレないように考えているふりをして、ギリギリまで粘り、時間の最後で笹の上の方に括り付けて誰にも見られないようにした。サンタクロースは怪獣をくれないけど、織姫と彦星なら何とかしてくれそうだと思っていた。空を見上げてはガヴァドンを探しているのは内緒。

 親は「ウルトラマンから卒業しなさい」とか言ってくるが、俺から言わせてもらえばポケモンごっこやプリキュアごっこで遊んでいる友達を見て、どうしてウルトラマンは許されないのか不思議だった。ゲームで遊んでいるよりもウルトラマン見てたほうが健全だと思う。友達に勧められてDSを買ってポケモンをしたが、考えていることは何時も一つ。怪獣はやっぱりカッコいい。

 

 どうして怪獣が好きかは分からない、気が付いたら俺の周りには怪獣がいた。だから自然と好きになった。ただそれだけ。でも、なんで怪獣が好きになったのか、俺の考えたオリジナル怪獣と一緒に考えてみる。

 怪獣好きな俺が作った粘土の怪獣はゴジラをリスペクトしたもの。直立二足歩行、太い脚と長い尻尾、細い腕にはするどいツメを持つ。太い首の先端についた小さな頭、赤い目を持ち、口からは破壊光線を放つ。

 出来上がってみると、寂しい気がしたのでパーツを加えてみる。お腹には口をイメージして、牙の代わりに棘を生やした。背中には穴の開いた金色の翼をつけた。

 

 そんなオリジナル怪獣みたいな怪獣らしい怪獣も好き。でも、グローザムみたいな武力特化の超強い悪役怪人も好きだし、逆にデスレムのような卑怯と言われようと相手を徹底的に攻撃する怪獣も好きだ。

 ベムスターみたいなかわいい顔して戦闘機を捕食してくるえげつないことをするギャップに痺れたし、バキシムやドラゴリーみたいな全身凶器で、殺意の塊みたいな超獣はウルトラマンだからこそ許されたようなもので好き。

 ドラコやテレスドンのような中堅クラスの怪獣にも魅力があるし、レイキュバスやキングジョーみたいな単体でウルトラマンを倒してしまうくらい強い怪獣も大好きだ。ギラス兄弟の連携には興奮したし、ゾイガーやスコーピスのような尖兵怪獣も好きだ。ジェロニモンの60体の怪獣総攻撃は見てみたかった。

 きっと俺は怪獣の多種多様なその姿に衝撃を受け、熱狂し、愛してしまった。だからここまで怪獣が好きなんだと思う。

 

 周りの反応は一年生、二年生はウルトラマンを理解してくれる友達はいた。だけど、小学三年生になるとウルトラマン好きなクラスメイトはいじめられていた。俺は勉強も運動も出来たから標的にはされなかったけど、ウルトラマンを見ているといじめられる。こんな公式ができあがった。こうして俺の趣味は理解者を失い、親もウルトラマンは卒業しろと言ってくる。ついに俺は人前で怪獣が好きとは言わなくなった。

 それでも、諦めきれなくてポケモンやディズニーを肯定する連中の影に隠れて怪獣のソフビを密かに集めてたし、ウルトラマンは毎週録画して夜遅くに起きて見ていた。図鑑を買ってもらえなくなったので、自分で絵を描いて怪獣図鑑を作ったこともある。その時に描いたゴルゴレムは自分でも上手くいったと思ってる。

 

 転機が訪れた三年生の七夕の願い事は『宇宙飛行士になりたい』。無難な夢を書いて親の機嫌を取った。え、宇宙飛行士になってどうするか? 遠くの星にでも行こうかな。好きな物をバカにされるくらいなら地球になんていたくない。なんならギマイラと遭遇して怪獣化されてもいい。

 そんな感じで時間が流れて小学四年生になった。今は春だけど、いずれ夏になる。短冊に書くことはもう決まっている。『メフィラス星人と話がしたい』。え、悪質宇宙人と何を話すのか? 会って一言言ってやるんだ。

 

「あなたに地球をあげましょう」って。

 

 

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