第97管理外世界の赤い球   作:破壊光線

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あの日見た過去

 時空怪獣エアロヴァイパー。

 ウルトラマンガイアに登場した怪獣の一体だ。積乱雲のようなエネルギー体の内部に潜んでいる怪獣。両腕が翼になっていて大気を操るほか、頭部の二本の角を使えばタイムワープすることもできる。一言で表すなら、ガタイのいいプテラノドン、赤色版ギャオス。

 

 エアロヴァイパーなど創った理由は怪獣の中には時空を行き来できるし便利だから。

 残念ながらエアロヴァイパーのソフビは持っていなかったので、イラストと粘土で模型を作り、さらに時計と掛け合わせて『赤い球』に願った。『赤い球』は見事叶えてくれて、小さいながらもエアロヴァイパーが新しい仲間として加わった。

 

 メフィラスのゲームが行われている裏で、俺はメトロンと一緒にフェイトと会う約束している。

 女の子に会うが、あちらにはアルフも一緒でこっちにはメトロンもいる。つまりデートではない。メトロンは黒スーツとサングラス、俺は適当な格好のままで、待ち合わせの場所に行く。集合場所の図書館前にはすでにフェイトとアルフの姿があった。アルフさんはジーパンにTシャツ姿で動きやすそうなチョイスだ。

 

「あ、ヒロシ、それとメトロンさん、こんにちは」

 

 フェイトが元気に手を振っている。黒シャツと、同じく黒いフリルのついたスカート。リボンもブーツも黒。真っ黒。だけど、逆に金髪が目立って可愛かった。

 

「少年、やっぱりフェイト嬢は優良物件だと思うんだけどなぁ」

「うるせえ」

 

 サングラスの下でメトロンの目が笑っている。完全にからかわれているので、適当にドツイた。

 

「ヒロシから呼び出すなんて珍しいね。どうしたの?」

「時空管理局についてって言えば分かる?」

「違うだろうヒロシ君、そんなのは建前で本音はお見あ、ッ痛っあい」

 

 懲りずにふざけたことをぬかしてきたので、思いっきりスネを蹴とばした。痛そうにぴょんぴょん跳ねているが罪悪感など何処にもない。ざまあみろ。本当に痛いかは分からないが。

 

「これはさ、俺とメトロンの考えなんだけど、フェイトとアルフ二人でジュエルシードを集めてるけどさ、実は裏に協力者とかいないの? もし居るならここで会っておきたい。そんでどうやって管理局と戦うかの意見交換したいって思ったから」

 

 もちろん、俺の意見じゃない。メトロン星人の意見だ。いつもはふざけているが流石は侵略者、いろいろと考えている。

 

「えっ、あ……うん。アルフ」

「アタシはこの二人なら大丈夫だと思ってる。フェイトの好きにしていいよ」

「うん、ありがとう」

 

 フェイトが躊躇った。絶対になんかあると思う。でも、案内してくれると決心してくれたようだ。

 フェイトは戦う前のような勇ましい顔つきになって俺を見た。

 

「今から案内します。付いてきて」

 

 人気のない場所で魔法陣を広げると俺たちは一瞬にして消え去った。

 

 

 

 ここはどこだろう。転移の影響か、吐き気をおぼえて周囲を見渡した。俺とメトロンの前にはクソデカい石で出来た城のような建物と、これまた岩で出来た柱があった。そしてバックに広がるのは真っ黒な空間。

 地球離れしすぎた場所に連れてこられて、俺たちは言葉を失っていた。

 

「ここは『時の庭園』、私の母さんがいる場所です」

 

 フェイトの説明を受けながら、俺たちは『時の庭園』の中に入っていった。

 建物の内部は見た目と違って近代SFチックになっていて、金属で出来た床は青く俺たちの姿を映し出してた。

 壁には機械の兵隊、レギオノイドみたいなロボットが両側に並んでいる。今にも動き出しそうなのが非常に怖い。

 俺たちが歩いている場所は廊下、等間隔で並んだ機械兵と、時折見える扉。この二つで構成されていた。それからも、大きな広場とか、よく分からない凄そうな機械が置いてある部屋など、城にふさわしく複雑な道を通って一つの大きな扉の前にたどり着いた。

 

「この先に母さんがいます」

 

 フェイトの母さんって何者なんだろうか。以前それとなく聞いたら俯いて答えてくれなかった。結果、フェイトの前で家族の話をするのはタブーになっている。

 緊張してきた。どんな敵が出てきてもいいように準備は済ませてきたから戦闘になっても大丈夫だと思う。最強怪獣軍団も出来つつある。

 

「ほいじゃあ、フェイトの母親に会いにレッツゴー」

「メトロンさ、目的何かわかってる?」

「もちろんだとも。フェイトの母に、フェイトを僕にくださあ、っ痛あーい」

 

 地球でも変わらないメトロンに、地球でも変わらないすね蹴りをして、俺たちは扉をくぐっていった。

 狭い通路を少し歩くと、円状のスペースになってその奥にフェイトの母親がいた。フェイトが変身したときのようにきわどい恰好のままでこちらを睨みつけてくる女性。一児の母の表情ではないソイツがフェイトの母親なんだろう。風格がゲームのラスボスみたいだ。

 『時の庭園』にあるフェイト母の部屋。今からここをラスボスの部屋と呼ぶ。

 

 ラスボスはゆっくりと立ち上がると武器を構えた。

 

「フェイト、私はジュエルシードを集めてきなさいって言ったの。こんなよく分からない連中を連れてきてどういうつもりかしら」

「ご、ごめんなさい。でもね母さん」

 

 黙りなさい。ラスボスの武器から衝撃波が放たれた。ご立腹のラスボスと、怯えるフェイト。アルフはフェイトを守るように抱きしめている。静観を決め込む俺。

 そんな中メトロンが変身を解いて宇宙人の姿に戻った。これにはラスボスも驚きを隠せないのか、ひとまず攻撃が止んだ。武器は向けられたままだが。

 

「はじめまして、私はメトロン星人。Nace to meet you ってやつだ。フェイトの母」

「……プレシア、プレシア・テスタロッサ。それで、用件は何かしら? 私は忙しいからさっさと帰って欲しいのだけれど」

 

 メトロンは呑気にしゃしゃり出てあいさつを交わす。フェイトの母、プレシアは一瞬嫌そうに表情を歪めると武器を下ろした。

 

「ここはメトロンにまかせよう。大丈夫、こういう時のアイツは頼りになる。だって、アイツはウルトラマン二人と対話しているからな」

 

 メトロンの事が心配になってフェイトが何か言いたげだが、俺が制止する。メトロンに視線を戻すといつの間にかちゃぶ台を取り出して、あぐらをかいていた。缶まで置いてある。中身はきっと麦茶。

 

「ふむ、自分の娘にジュエルシードを集めさせておいて忙しいか。何をしているのか非常に興味があるね」

「……殺されたいの」

「ハッハッハ、真逆だよ、協力したい。時空管理局が地球に来たことは知っているだろう? このままいくと私も君も犯罪者だからね」

 

 メトロンはジュエルシードをちゃぶ台の上に置いた。プレシアがどこで手に入れたと聞くと、メトロンが君の娘から預かったと答える。

 なのはと戦って勝った方に渡すって約束してたときに預かったものだ。

 

「こんな感じで私たちもジュエルシードを持っている。しかし、このままだと時空管理局に狙われてしまうだろう。

 それだと私が困るのだよ、捕まりたくはないからね。そこでだ、同じ犯罪者モドキ同士、仲良くしようと提案をしに来た」

「なるほどね、それで私が断ったり裏切ったりするとか考えなかったの」

「君は忙しいんじゃなかったのか? ジュエルシードを集めている以上は使う目的があるのだろう?

 密告したところでジュエルシードは没収、我々と事を構えてもいいが、時空管理局に加えて私が敵になる。そんなことになったら君が過労死してしまう」

「……分かった。ならあなた達が集めたジュエルシードを渡しなさい。それが協力するための条件よ」

「確かに最もだ。その前にプレシア女史がジュエルシードを集めている理由を教えてくれないか。

 私は宇宙人だ、君たちとは文化も異なれば科学力だって違う、もしかしたら我々の力で解決できる可能性があるかもしれないからね。別にそれからでも遅くないだろう」

 

 付いてきなさい。プレシアは立ち上がるとメトロンを連れてどこかに消えていった。

 

 

 

 プレシアにメトロンが連行され、取り残された俺はフェイトたちに『時の庭園』を案内してもらった。思い出の詰まった部屋を見て回り、フェイトが過去の事を教えてくれる。その中の一つにリニスという家政婦がいたことを教えてくれた。

 リニスはフェイトに魔法を教えてくれた人でアルフの師匠だったとか、あとバル何とかっていうフェイトのデバイスの制作者。結構時間を潰したつもりだが、メトロンが帰ってくる気配はない。

 ラインしたところ、プレシアと盛り上がってるらしくゲームをするとのこと。暇な奴らだ。そして、もう一文送られてきた。

 

「プレシアから聞いた。リニスっていう仲間がいるそうじゃないか、きっと管理局ともめるときに力になってくれるだろう。何とか仲間に出来ないかね。メトロン」

 

 これをフェイトに見せたところ、食いつきがよかったのでリニスを探すことにした。

 フェイト曰く、リニスと別れたのはかなり昔とのこと。それでも詳細に覚えてくれたので問題ない。

 

「ほんとにリニスと会えるの」

「やってみないと分かんないけどさ、出来んじゃね、出てこい! エアロヴァイパー」

 

 俺は時空怪獣エアロヴァイパーを異次元から呼び出した。身長は2メートル50センチほどに抑えたため、部屋が壊れない。

 フェイトはデスレムとグローザム、メトロン星人に会ったことで耐性が付いていたのか、特に驚く様子も無くエアロヴァイパーを受け入れた。

 そして、エアロヴァイパーに目的地と時間を言って連れてってもらう。

 

 

 タイムトラベルを終えた俺たちは『時の庭園』に出た。もちろん過去だ。『時の庭園』の見た目は変わっていないが、岩石むき出しだった今と比べて、草が生えている。のどかだった。数年後に岩石むき出しの城になるとは思えないほど。

 ジュエルシードを探すときと同じようにフェイトが索敵魔法でリニスを探す。心なしかフェイト、アルフ、バル何とかはいつも以上に張り切っている。

 一方で俺はエアロヴァイパーの背中に乗って、のんびりと後を追いかけていた。フェイトとはぐれてもコイツ強いから問題ないし、未来に戻るときにはフェイトがこっちに来てくれるから問題ない。

 

「ヒロシ、こっちに何かいる! きっとリニスだ」

「速くしないと置いてくよ」

 

 仕方なく速度を上げて追いかけると、ドラクエに出てきそうな僧侶のような姿の女性がいた。それだけならよかったのだが、女性の周りに巨大なオオカミがいて、明らかに女性を襲っている。

 

「リニスッ!」

 

 フェイトがオオカミの群れに突っ込んでいった。一方の僧侶は名前を呼ばれてフェイトを見る。一瞬驚いたが、視線がオオカミの群れにすぐ戻る。

 あの僧侶がリニスか。フェイトが駆けつけ、リニスと一緒に魔法を使いオオカミの群れを一瞬で追い払らった。やっぱりこの世界の女性は圧倒的に強い。さらに、みんな美人。ベムスター倒した女子の先生だったら普通か……普通とは。

 

「リニス、リニスッ」

「フェイト! どうしてフェイトがこんな場所に」

 

 フェイトはリニスの胸で泣きじゃくる。アルフも姿を見せてそのまま抱き着いた拍子にリニスの帽子が落ちた。

 リニスは一見すると普通の、大人の女性に見える。俺は母親と学校の先生、プレシア、塾の先生くらいしか女性と関わったことないが、リニスの容姿、スタイルともにきれいだと分かるくらい美人だった。

 一方で、帽子の中には猫のような耳が生えいていた。お尻からは髪の毛と同じ茶色い、猫の尻尾が生えている。人間というよりは、フェイトの使い魔のアルフに似ていると思う。

 

「リニス、久しぶり。アルフだよ」

 

 アルフは目じりに涙を浮かべながらリニスに抱き着いている。こうなると困惑するのはリニスの方だ。

 俺たちはフェイトと別れたばかりのリニスを追って未来からやって来た。リニスから見れば、フェイトとアルフと別れたばかりなのに再会を果たし、二人は成長している。困惑しない方がおかしい。そこに怪獣連れた俺が出てきたら。

 

「何者ですかあなたは! その怪物を使って何をしようとしているのです」

 

 そらそうなるわな。フェイトには早く泣き止んで欲しい、エアロヴァイパー倒されたら俺たち帰れなくなるから。

 

「待ってリニス、この男の子はヒロシ。私の友達だよ、こっちの怪獣はエア、エア……エアヴァイパー。この子が私たちを未来から連れてきてくれたんだ」

 

 エアロヴァイパーだ、二度と間違えるな。

 フェイトを中心にこれまでの経緯を話して何とか信じてもらえた。

 

「まったく、プレシアも困ったものですね。フェイトが犯罪者になりそうなのにジュエルシード集めを続行するなんて」

「母さんを責めないで、それよりもリニス、一緒に行こう」

「とても嬉しいです。ですが、私はもう契約が終わって消えるのを待つ身。フェイトたちと一緒に行くことなど……」

「じゃあ私と契約してよ。それなら!」

「フェイトにはアルフがいます。これ以上使い魔を持つのは」

 

 大丈夫だから。絶対にリニスを連れて帰りたいのか一歩も引かないフェイト。いつも人を心配して控えめなフェイトが食い下がるなんて珍しい。おそらく何とかしてリニスを連れて帰るつもりだろう。

 

 

「んーなんとかなるんじゃないかな。だって、未来にはメトロン星人いるし、賭けてみる価値はありそうだよ。それにこのままいくとフェイト、犯罪者になるけどいい?」

 

 メトロン星人だめでもメフィラス星人がいるから何とかなると思う。見よう見まねでデバイス作ることくらいやってのけるから。

 俺は露骨な挑発でリニスを釣って、ひとまずフェイトと契約させ、未来に連れて帰ることにした。エアロヴァイパーの背中に俺とアルフ、フェイト、リニスの四人を乗せて飛び立った。

 未来に戻るとフェイトはリニスとの契約で疲れ果て、エアロヴァイパーは四人を乗せてタイムトラベルしたことでひっくり返っていた。怪獣を異次元に帰して、俺たちはプレシアの元に向かった。




 物語的にもう1イベント追加したいので、次の更新は明日じゃないと思います。
 ごめんなさい。
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