第97管理外世界の赤い球   作:破壊光線

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 ついにエピローグという言葉を書くことができました。


エピローグ

 かくして『赤い球』をめぐる戦いに終止符が打たれた。『時の庭園』は崩壊し、『赤い球』は消滅。『ジュエルシード』に関してはキングオブモンスに使われたもの以外はすべて回収できた。死者0名、行方不明者一人。負傷者たくさん。ただし、怪獣は含めず。という結果に終わり、ロストロギアが2種類関わった事件としては上出来だ。

 

 なのは、フェイト、クロノの三人も無事に『時の庭園』を脱出することに成功。建物の外でアリサとすずかに回収され、アースラへと帰還した。その後もフェイトはモニターにかじりつき、『時の庭園』崩壊を泣きながらも見送った。ヒロシ、ヒロシと叫びながら。

 フェイトをあざ笑うかのように『時の庭園』は崩れ去った。真っ赤な光が輝くと『時の庭園』は消えてなくなっていた。それはまるで星が爆発して消えるような光景だった。

 

 アースラの内部では、なのはやフェイト、アリサ、すずか達が疲労で熟睡し、すぐ傍にはティグリスが丸くなって眠っている。

 疲れて夢の中にいる子供たちとは対照的に、リンディをはじめとする大人たちは大忙しだった。

 ただでさえ複雑なテスタロッサ一家に加え、『赤い球』で登場した怪獣たちとその戦闘も報告しなければならない。さらに、報告するために今まで記録していたメモリが、モキアンの影響とメトロン星人の工作によって消去されていた。それでもクロノが上層部に報告したところ「テレビの怪獣が現実に現われる訳ないだろう」と怒鳴られて、一週間の謹慎を食らった。

 

「いつから管理局はTACになったんだ」

 

 その時のクロノの一言がこれである。なのは達は苦笑いするしかなかった。

 結局、プレシアは『赤い球』の影響から身を守るために『ジュエルシード』を集めていた。『赤い球』は消滅、プレシアの過去も加味した結果、裁判では無罪になった……クロノとプレシアが無罪にさせた。というのが正解になる。

 ティグリスに至っては『赤い球』の影響で地球の原生生物が変化したもの。凶暴性は低く、人を襲う心配はない。結論、無害。アリサが今後とも飼育する、以上。怪獣たちに関しては幻の事件ということで決着。訂正、闇の中に葬られた。

 

「ほんとに大丈夫なの? 管理局……ティグリスと一緒にいられるなら文句は言わないけど」

 

 心配するアリサに対してリンディがしきりに謝り、アースラのオペレータースタッフも目をそらして苦笑いしていた。

 

 

 

 裁判は怒涛の勢いで進み、月日は流れて7月に入る。海鳴市では七夕祭りで話題が持ちきりだ。地球人のなのは達はもちろん、リンディをはじめとするアースラスタッフや、テスタロッサ一家も参加することになり、全員で短冊に願い事を書いている。

 

「フェイトちゃん、願い事決まった?」

「うーん。まだ、かな」

 

 私はね、これ。なのはは短冊に書いた願い事をフェイトに見せる。そこには『フェイトちゃんと一緒の学校に通えますように 高町なのは』と書いてあった。

『赤い球事件』と通して二人は仲良くなり、よく遊んでいる。もちろん、アリサとすずかも一緒だ。

 

「アリサとすずかは決まったの?」

「もちろん」

「決まったよ、フェイトちゃんはゆっくり考えてみてね」

 

 アリサの短冊は『ティグリスが好き嫌いしませんように アリサ・バニングス』。すずかの短冊は『みんな仲良くいられますように 月村すずか』と書いてある。

 フェイトは初めての七夕ともあって、願い事を決められずにいた。そこで、いろんな人たちの願い事を見てみるとこに決めた。

 

『世界平和 クロノ・ハラオウン』

『アリシアとフェイトが元気に育ちますように プレシア・テスタロッサ』

『みんなでピクニックに行きたい アリシア・テスタロッサ』

『肉が食べたい アルフ』

『フェイトとアリシアに友達がいっぱいできますように リニス』

『クロ助に彼女ができますように エイミィ』

 

 みんな色々な願い事をしていた。リンディの『ババ抜きが強くなりたい』だけは理解に苦しんだが、深い事情があったんだろうとフェイトは察した。フェイトはマジックペンを持ったまま考えていると、なのはに腕を引っ張られた。

 

「フェイトちゃん、これ見て!」

 

 なのはに指をさされて、その先を見ると見覚えのある名前が書いてあった。

 

『角ミサイルの代わりが欲しい バキシム』

『魚が食べたい ドラゴリー』

『ガスよこせ ベムスター』

『これ以上蘇生したくない ジェロニモン』

 

 あの事件で知り合った仲間たちの事を思い出す。フェイトは一つの短冊を探すべく走り出した。

 

『ベガとアルタイルを貴方にあげましょうと言ってはくれないかね メフィラス星人』

『リア充爆発しろって書いたら、君たち織姫と彦星は爆発するのかい? メトロン星人』

『リア充爆発しろ デスレム』

『彼女ができても俺は死なねえ! 不死身のグローザム』

 

 思わず吹き出して。

 

『体力が欲しい タイラント』

『なまえをよんで エアロヴァイパー』

『暴走したくない キングジョー』

『翼がもげないようになりたい ゾイガー』

 

 いろんな願い事があるなと思いつつ。

 

『邪悪生命体のもとで働きたくない スコーピス』

『操られたくない レイキュバス』

『上司がザムシャーに切られますように ブラックギラス』

『上司がローランと別れますように レッドギラス』

 

 君たちの上司がいないで本当に良かったと安心し。

 

『存在感が欲しい ゴルゴレム』

『捕まりたくない ベムラー』

『ティグリスと遊びたい ラゴラスエヴォ』

『O型の女性の血を吸ってみたい ギマイラ』

 

 一人の男の子の願い事を探す。

 

『羽を返して ドラコ』

『視力をもっと良くして テレスドン』

 

 その人の願い事は見つかった。海鳴市で一番大きい竹に飾ってあった。

 フェイトは自分の短冊を取り出すと、マジックペンで書き込み、男の子の短冊の隣に飾る。

 夜風に揺れる二枚の短冊にはこう書いてあった。

 

『浩に会いたい フェイト』

『フェイトに会いたい 鹿島浩』




 本編完結。

 楽しかったです。チートやハーレムが流行っている中で怪獣が主役の話にここまで読者がついていただけるとは思いませんでした。感想を頂けることも、評価バーに色が付くことも考えてなかったし、一瞬とはいえ日刊ランキング33位に乗った時はビビりました。投稿してみるものですね。
 ※日刊ランキングに関しましては☆10が一つでも入れば乗れるみたいです。ご参考までに。

 あとは読者の皆様から話全体を通して質問とかあれば頑張って答えたいと思います。不満、質問、疑問などは感想まで。評価で1付けるなり、10付けるなり、面倒くさいから付けないなり自由にしてください。今後の参考や今回の反省点にします。

 最後に、これを読んでなにか感じるものがあれば作者として嬉しい限りです。
 ここまで読んでいただきありがとうございます。二期は……知らん、後で考える。

 以上、完結!

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