第97管理外世界の赤い球   作:破壊光線

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平和と戦闘とその間に

 『赤い球』

 

 俺が拾ってきた不思議な球で、なんでも願い事が叶うという優れもの。それを使って、俺は怪獣キングオブモンスを生み出した。そこまではよかったんだけど、キングオブモンスを倒され、『時の庭園』の崩壊と一緒に俺は意識を失った。

 それから目が覚めるといつもの異次元に居て、メフィラス星人とメトロン星人をはじめ怪獣たちに出迎えられた。激戦が繰り広げられていたようで、ゾイガーとスコーピス軍団が数を減らしたものの、基本的には多くが存命。デスレムとグローザム、倒された怪獣たちもいつの間にか復活して、俺との再会を喜んでくれた。

 

 それからは管理局の目を逃れるために異次元に待機し、地球の様子をうかがっている。俺たちはキングオブモンスを筆頭に、時空管理局という異世界の警察に喧嘩を売った。人間とは言え、俺はこの事件の首謀者だ。管理局のクロノやお手伝いのなのは等、管理局の関係者に遭遇すれば即逮捕になってしまうだろう。

 よって、学校に通えない。代わりにメフィラス星人やメトロン星人に勉強を教えてもらっている。宇宙人たちは学校という物に興味があったのか、それなりのクオリティで学校を再現してくれた。俺をはじめ超獣と怪獣を生徒に地球の国語や算数を教えてくれた。図工はもちろん、国語算数理科社会に関しては俺がクラスでトップ。ちなみに道徳の授業だけ無い。理由は知らん。

 一風変わった授業として、『高町なのは撃破論』や『対時空管理局戦闘学・入門』という難しい授業がある。暗黒四天王三人とメトロン星人が講師なのだが、難しくて俺の理解力を超えており、睡眠時間が増えただけ。ただ、グローザム先生の授業だけは俺にも理解できた。結果、赤点は回避できたものの、クラスでは俺の成績が一番低い。休み時間も作ってくれて、怪獣と超獣たちとドッヂボールをやった。え、感想? 生きた心地がしなかった、とだけ伝えておく。

 

 そんな感じで学校生活モドキを送ってきたが、俺たちに一つの問題が発生する。それは。

 

「うん、金がねえ」

 

 金銭面の問題である。今俺は通帳とにらめっこをしているが、預金はゼロを目指して光の速度でまっしぐら。来週の晩御飯はもやしのフルコースが並びそうだ。この状況にメフィラスもメトロンも頭を抱えているようで、管理局の動きも静かになった七夕期間中に地球へ戻る。

 不真面目なことに俺たちは短冊に好き勝手なお願いを書いて、普通に七夕を楽しんだ。俺としてはフェイトがその後どうなったのか気になるし、なんやかんやでアイツは俺の友達でもある。だから願い事は『フェイトに会いたい』にした。案の定、メトロンに茶化されたので、お祭りで買った『アイスラッガー』の模型をぶん投げた。効果は抜群だ。

 

 祭りを楽しんだ後は求人広告を駆使して、自分たちにできそうな仕事を探すも、個性が強すぎる故に断念。そもそも怪獣たちは日本語を理解できても、喋れない。メトロンが作った翻訳マシーンを使えば日常会話くらいには話せるが、面接で志望動機を聞かれたら答えられるはずがない。

 地球侵略です。なんて答えられた日には一発不合格に決まってる。

 

 仕方がないので起業することにした。経理とか人事とか経営とか難しいことは宇宙人たちに任せて、事業内容を考える。

 

「ねえ、バキシムのさ異次元を移動する能力とか、ベムラー、ゾイガーの飛行能力を使って宅急便でも始めたらいいんじゃね?」

 

 という、俺の軽い一言により事業内容が決定。かくして怪獣たちによる運送業が始まった。飛ぶ鳥を落とす勢いで準備が進み、細かいことや依頼主との契約などはすべて宇宙人たちがやってくれて、事業スタート。

 

 無人となった鹿島ハウスを見せかけの事務所に改造。本命はもちろん異次元の中にある。

 無限の空間ともよべる異次元に倉庫を作り、荷物がどれだけ増えてもいっぱいにならない。冷凍保存もグローザム、レイキュバス、ラゴラスエヴォの冷凍怪獣組が力を使えばコストはかからない。保管体制は万全だ。ミスしてもエアロヴァイパーが過去を変えてくれる。

 肝心の配達だが、異次元を使えば目的地まで一瞬に移動できるし、マッハで空を飛ぶ怪獣もいる。もちろん、トラックや飛行機のようなものは使わない。料金がそっくりそのまま利益になった。怪獣擬人化マシーンや、翻訳マシーンもフルに活用して人間相手も大丈夫。

 面白いくらいにお金が入り、夕飯ももやしのフルコースが高級ステーキに変わった。

 

 そして新たな問題が発生する。

 

「人……従業怪獣、足りねー」

 

 人員不足に陥った。しかし、これもすぐに解決する。

 

「はい、ヒロシ君。『赤い球』です。今回は暴走しないように、破滅に関する願いは叶えられないようにしておきました」

 

 メフィラスが『赤い球』を俺に渡してくれた。彼によると、俺とフェイトと知り合っていなかった頃からコピーを取って保管していたとのこと。球を受け取った時に暴れまくるキングオブモンスが頭によぎったが、このままだと事業が失敗しそうだ。タイラントが餓死してデスボーンになっては困る。俺は素直に『赤い球』に頼った。

 俺はテレポートが出来る怪獣と分身ができる宇宙人と、個人的に友達になりたかった怪獣。合計三体のソフビを買うと、適当に素材を置いてお願いをした。

 

「この三匹を仲間にしてください」

 

 見覚えのある赤い光を放つと、三体の怪獣が俺の前に現れた。

 

 まずは一体目、両手が大きなハサミになった宇宙人、バルタン星人だ。

 ウルトラ戦士と度々戦っている宇宙人で、もっとも有名なウルトラ怪獣と言っても過言ではないコイツ。創った理由はもちろん、数がたくさんいるから。初代ウルトラマンの2話、『侵略者を撃て』で登場したバルタン星人は20億3千万という途方もない数で地球にやって来た。その多くは円盤に乗っていたため、ウルトラマンと戦ったのは一体だけだけど。

 初代バルタンは両手のハサミからは赤色凍結光線は白色破壊光線などを放つほか、分身もできる。今回は初代バルタン星人だと日本語が話せない危険性があるため、別の個体を願ったつもりだ。……人の役に立つためにバルタン星人を願ったから侵略はしないと思いたい。

 

 次、二体目は宇宙恐竜こと、ゼットンである。

 ウルトラマンを倒した功績を持つ宇宙恐竜ゼットン。黒い身体に、胴体には黄色の発光器官を持つこの怪獣は、顔に目や口などがない。無表情で襲い掛かるため、最恐でもあると俺個人は思っている。

 この怪獣もテレポートが出来るため、生み出しました。テレポートの他にも、バリアを張ったり火球を放ったりと多芸。あまつさえ、スペシウム光線を吸収し、跳ね返してしまった。ウルトラマンを倒した理由もうなずける。

 ゼットンはウルトラマンの最終回、『さらば ウルトラマン』に初登場した。その時はゼットン星人に、二代目はバッド星人に操られて地球を攻撃したが、ゼットン自体に地球侵略の意志があったかどうかは不明。きっと地球を破壊しないと思う。

 

 最後、三体目。古代怪獣ゴモラだ。選んだ理由は、単純に俺が好きだから。

 直立二足歩行、茶色い身体、太い尻尾、額に生えた三日月の角に太い腕。と典型的な怪獣のゴモラは怪力を誇り、地中を掘り進む。武器は長い尻尾と怪力。最近では角を振動させて衝撃波を放つ、超振動波なる技を習得した。

 そんなゴモラも初登場はウルトラマン『怪獣殿下 前編・後編』。この怪獣殿下は怪獣が好きな少年のあだ名。どうでもいいが、俺が友達になりたい子供の一人だ。

 そんなゴモラは大阪城をぶっ壊して、ウルトラマンを撃退した過去を持つ。しかし、元はジョンスン島に寝ていたところを日本に拉致されただけなので、被害者だ。最近ではレイという人間の怪獣として人間のために戦っている。だから配達中に大暴れすることはないと思う。

 

 

 三体とも運送業にすぐに馴染んで、人手不足も解消。……ほとんどバルタン星人のおかげだが。

 そんな三体の日常だが、ゴモラは人気者になった。ドラゴリーやキングジョーなんかと腕相撲をしているが、結構いい勝負。ほかの怪獣たちとも仲良く昼寝している姿も見れる。

 ゼットンはボーっと突っ立ていることが多い。配達でも不愛想なのか、あまりしゃべらないようで、たまにクレームが入る。以前、冗談半分でスカートをはかせてみても無反応。よって、ゼットンに擬人化マシーンを使うときは女の子にして相手の注意をそらした方が良くね? という意見も出ている。

 バルタンは日本語を理解できる個体だったので一安心。やたらと科学力を自慢してくるが、コイツの個性なんだろう。そんなバルタンだが、以前メトロン星人とレイキュバスとバルタン星人で、残り一つのシュークリームを誰が食べるか、ジャンケンで決めるという不毛な争いが起こった。結果はタイラントが途中で参戦し、ハンマーの手を突き出してシュークリームをかっさらっていた。タイラント、マジ暴君。

 

 こんな感じで怪獣たちは自由に過ごし、時々プロレスごっこをしながらも楽しく暮らしている。俺たちはさらに利益を上げ、管理局も最近は見ない。調子に乗った俺たちは、みんなで温泉旅行に行くことになった。今回は豪華にも貸し切り。

 だって、この前にみたいに高町なのはと遭遇したくないからね。

 

 

 

 そんなある日、モチベーションを上げて仕事をしていると、配達中のゾイガーが一体行方不明になっていた。

 翻訳マシーンに位置情報を特定する機能があり、カメラも搭載している。海鳴市の防犯カメラはハッキング済みでもある。不審に思った俺たちはゾイガーの生存を確認するために通信を行った。スクリーンに映し出された映像にはスコーピスと緑色の服をきた金髪の女性が戦っていた。

 

 金髪の女性はゾイガーに襲われても、緑色の光を使って自分の傷を癒してしまう。さらに、結界やバインドを使ってゾイガーを封じ込めて時間を稼いでいるようだ。むろん、ゾイガーも暴れては結界やバインドを破壊して女性に襲い掛かる。以前戦ったユーノ・スクライアという少年と似ている戦法だ。

 女性が防御に徹しているから、ゾイガーが有利に見えるが実際はそうでもないと思う。

 

「シャマル! コイツはアタシがやる」

「お願い、ヴィータちゃん」

 

 ヴィータと呼ばれた赤色の少女が乱入し、ゾイガーに攻撃を仕掛けた。途中で叫んだ「シャマル」というのは、あの金髪の女性の名前だろう。

 

 ゾイガーはスピードと火球で攻撃するが、ヴィータのバリアや光弾にかき消されてしまった。しかし、スピードは健在で一定の距離をとりつつ、様子を見ている。翻訳機のカメラでヴィータとシャマルを捉えられるように飛行していた。おかげで二人の行動がはっきりと映っている。

 ヴィータはハンマーによる打撃を主軸に、鉄球を飛ばして攻撃する近接系の戦士タイプ。シャマルは回復やバリアなどで観方をサポートする後方支援タイプの魔導士だ。

 

 ゾイガーは二人を敵と判断し、今後のためになるべく長くカメラに収めようと回避を主体として戦っている。それでも二人の攻撃を避けるのは至難の業で、たびたび被弾していた。なんとか持ち前の戦闘本能で立て直し、隙を見て攻撃して相手の防御手段を明かそうとするから有能だろう。現にメフィラス達はデータを打ち込んでいる。

 

「ったく、ウゼー! コイツで終わりにしてやる。シャマル、援護頼む」

 

 回避主体のゾイガーに対し、ヴィータが切れた。

 ヴィータの武器が煙と共に銃の弾丸のようなものを吐き出すと形状が変形。金づちのようなハンマーの先端がドリルみたいに尖って、反対外の部分からジェット機のような炎を吐き出した。ヴィータはその炎を利用して大回転、ゾイガーに急接近すると、ドリルのような先端で文字通りゾイガーをぶち抜いた。

 俺の怪獣は回転攻撃に弱いのがお約束。案の定、ゾイガーは対応できずに墜落、起き上がることはできない。シャマルは動けないゾイガーに近寄ると、手に持った本をかざす。

 

「魔力、収集」

 

 それだけ告げるとゾイガーの身体から光の結晶が生まれて、本の中に吸い込まれていった。ゾイガーの光が吸われるにつれて、身体がだんだん透明になると、消えてしまった。いや、あの本に吸い込まれたと言った方が正しい。

 この件に関してメフィラス星人とデスレムが話し合っている。

 

「……どうやらあの本は対象のエネルギーを吸収する性質を持っているようです。シャマルという人は『魔力』と言っていましたが」

「メフィラス、じゃあどうしてゾイガーは消えたんだ? 魔力だけなら身体は残ってもいいじゃないか」

「これは推測ですが、我々は『赤い球』から生まれました。ヒロシ君がソフビや様々な道具で実体化しましたが、エネルギーないし魔力が占める割合が大きい。ゆえにエネルギーを吸われてしまうと実体を保てなくなってしまう可能性がある。もしくは魔力が高いからゾイガー自体を吸収してしまった。」

 

 メフィラスの推測を聞いて、俺の頭の中が真っ白になる。

 

「なんだよあの本、俺たちをこの世界から消すために創られたようなもんじゃないか! 敵は管理局か?」

「分かりません。ヴィータという少女が使った弾丸はパワーアップアイテムのようなものだとは思います。しかし、我々と戦ったクロノさんやなのはさんのデバイスは、弾丸は使用しません。技術が進歩したと言えばそれまでですが……

 それに、あの魔法陣もなのはさんたちのソレではありません。なのはさん達の物は円で、ヴィータやシャマルの物は三角ないし六方星ですから。管理局とは違う勢力だと思います」

 

 メフィラスはスマホをいじって怪獣たちに招集をかけた。

 ゾイガーは尖兵怪獣とは言え、強い怪獣だ。『時の庭園』での戦闘を映像で確認したところ、管理局スタッフとプレシア、リニスと激しい戦闘を繰り広げている。

 結果は仲間のギラス兄弟が戦意喪失し、プレシアが参戦してから劣勢になったがそれまでは完全に優勢だった。もし、これらが無ければアースラスタッフを全滅したはずだ。

 二対一とはいえ、そのゾイガーを倒してしまうなんて。

 

「なんでこの星の女や女子はクソ強いんだよ! ウルトラマンいらねーじゃん、ちったあ怪獣に倒されろ」

「はぁ~、これは一波乱ありそうですねえ」

 

 俺の本音が異次元に響き渡る。メフィラスのため息と共に緊急会議が始まった。




 サブタイトルが思いつきませーん。
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