第97管理外世界の赤い球   作:破壊光線

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少女の魔力が消えた午後

 浩たちが温泉に行っている頃、高町なのは、アリサ・バニングス、月村すずかの三人はパーティの準備をしていた。

 今日はフェイトと時空管理局の人たちが地球に訪れる日だからだ。裁判をはじめ様々な手続きが終わり、一応自由の身になったフェイトと、休暇をもらった時空管理局アースラスタッフが地球で『ジュエルシード事件、お疲れさまでした会』を開く。

 

 パーティに必要な物の買い出しのため出かけている三人。空は青く、気温も秋の風が涼しい。絶好のお出かけ日和だ。お気に入りの服に着替えた少女たちがデパート目指して歩いていく。

 

「待って」

 

 のんびり歩いていると空の色が変わった。青かった空が緑のような紫のような、不気味な空間へと変わり、さっきまで歩いていた人がいなくなった。

 

「結界」

 

 すずかの瞳が赤くなって、ポケットからグロッケンを取り出した。すずかにならってアリサとなのはも変身する。

 三人が警戒して辺りを見渡すと、空から同い年くらいの赤い少女と青色のオオカミが降りてきた。

 赤い少女はなのはと同じような形の赤いバリアジャケットで、頭にはウサギの飾りがついた赤い帽子をかぶっている。オオカミの方はアルフを青くしたような感じで瞳は赤い。両足は金属製の防具を身に着けていた。

 

「てめーらに恨みはねーけど、ちょっと痛い目にあってもらう」

「ヴィータ、相手は三人だ。無理はするな」

「は、分かってら。ザフィーラも気を付けろよな」

 

 赤い少女ヴィータと、青いオオカミザフィーラは打ち合わせをすると、なのは達に襲い掛かった。

 

「え、ええ!? お話ししようよ、そうすれば分かり合えるから」

 

 なのはは動揺しつつ回避しながらも話し合いに持ち込もうとする。だが、襲撃者たちは止まらない。

 なのは達は余儀なく戦闘に持ち込まれた。

 

 

 

 すずかがヴィータの攻撃を受け止める。

 グロッケンは氷で出来ているが、モデルになった武器は剣だ。ヴィータの鉄槌を受け止めるだけの耐久力はある。

 

「どうしていきなり攻撃するの?」

「こっちにはこっちの事情があるんだ!」

 

 赤い少女の武器はハンマー、小さいなりにも攻撃力は高い。鈍器を振るってすずかに攻撃を仕掛けるが。

 

「当たらねえ、バケモンか」

「……バケモンだよ、私は」

 

 月村すずかは人間ではない、吸血鬼だ。

 ギマイラとの戦闘で正体を明かしたが、なのはとアリサはそれを受け入れている。最近はなのはとアリサと一緒に魔法の訓練に励んでいた。

 

 すずかの魔力はかなりあるが、なのはほどではない。総合的な戦闘力もなのはに劣るし、遠距離攻撃が苦手。しかし吸血鬼の能力か、体術と動体視力に関しては三人の中でぶっちぎりでトップ。グロッケンが剣のデバイスともあって、接近戦ではなのはとアリサを圧倒する。バインドや絨毯爆撃でも駆使しないと、そもそも攻撃が当たらないほどだ。

 すずかはヴィータの隙をついてグロッケンを振るうが、相手も手慣れなのかダメージにはならない。互いに有効打なし、あくまで拮抗だった。

 

 

 

 少女の金髪が爆風でなびく。

 

「アンタの相手は私よ」

 

 アリサはザフィーラ相手に攻め立てていた。

 アリサの武器は扇状のデバイス、デスローグ。火球を無限に召喚できるのが最大の特徴だ。接近戦は苦手で、魔力も三人の中では低く、ディバインバスターのような砲撃を連射すればすぐにガス欠になってしまう。

 

 しかし、アリサは三人の中で地頭がよかった。マルチタスクに関しては、なのは、すずかを抜きトップ。デスローグの火球は砲撃よりも魔力を使わず、必要な量を必要な分だけ召喚できるので燃費がいい。そこにアリサのマルチタスクが拍車をかけ、特訓の結果、召喚したすべてを自在に操ることができるになった。……接近戦に持ち込まれると何もできずに落ちるのが玉に傷だが。

 

「デスレムインフェルノ、十発追加ぁあ!」

 

 アリサの火球がザフィーラに降りそそぐが、敵の防御が堅く防がれている。

 ザフィーラの防御力もかなりものだが、反撃を許さない攻撃からアリサの凄さが分かるだろう。

 こちらも拮抗状態。だが、アリサやすずかが策を用意して戦っていないわけがない。

 

「二人ともお待たせ、準備できたよ」

 

 二人には高町なのはという心強い味方がいる。

 なのはの最大の武器は圧倒的な破壊力だ。その砲撃は、ベムラーの撃破から始まり、デスレム、グローサム、ギマイラ、数々の強敵を倒してきた。さらに浩の切り札、キングオブモンスにも勝利している。

 

「ガツンとやっちゃって」

「分かったよ、無理しないでね」

 

 三人の狙いは最初からコレ。なのはの砲撃だ。

 射線上にあるもの全てを破壊する必殺の一撃は、欠点として準備までに時間がかかる。すずかとアリサの役目は足止め、最初からヴィータとザフィーラを倒すつもりなど無い。

 砲撃の威力を悟ってか、ヴィータとザフィーラの目の色が変わり、回避すべく身構えた。

 ギリギリまで粘って、すずかが離脱。

 

「スターライトブレイカー」

 

 轟音をまとって必殺技が炸裂する。しかし軌道が読めていたのか、ヴィータとザフィーラは掠めるだけで当たらない。

 ピンク色の破壊光線は突如空中に出現した穴の中に消えていくのを確認すると、ヴィータが突っ込んできた。なのはもすずかもアリサ、誰一人もバリアを張らず、避けるそぶりも見せず、ヴィータを待ち構えている。

 

「待てヴィータ、罠だ」

「かかったわね」

 

 不審に思ったザフィーラが制止するがもう遅い。

 アリサが笑う。扇を広げると、ヴィータの足元に穴が開いて中から、スターライトブレイカーが放たれた。予想しなかった砲撃はヴィータの左腕を掠め、有り余る衝撃が波となってヴィータに襲い掛かり、そのまま吹っ飛ばした。

 

 アリサの元になった怪獣デスレムは、時空を歪ませて火球召喚を得意とする。以前になのはとフェイトと戦った時は、歪んだ穴にフェイトが飛び込んでデスレムまでワープし、勝利していた。

 今回はその応用。スターライトブレイカーを時空の歪みに取り込んで、アリサが再利用する。避けたはずのスターライトブレイカーがチャージ無しで、何処からともなく飛んでくるというチートじみた連携技だ。……それに直撃しなかったヴィータもすごいが。

 

 ヴィータは悲鳴を上げながら回転して墜落する。それでも左腕を抑えながら立ち上がるとアリサを睨みつける。勝ち誇ったようにアリサが扇であおいでいた。

 状況は三対二で、なのは達の方が有利。手負いのヴィータにすずかが追撃を仕掛けるべく、グロッケンを振るう。しかし、刀身がヴィータに届くことはなかった。

 

 何故? 何者かによって弾かれたからだ。

 

「シグナム!」

 

 ヴィータが嬉々として叫ぶ。すずかのグロッケンを受け止めたのは、シグナムという女剣士で、ヴィータたちの仲間らしい。

 

 シグナムは前の開いたロングスカートとジャケット、ガントレットとサバトンを装備している。手にはすずかのグロッケンに引けを取らない刀を握っていた。紫色の長い髪を一つに束ね、目つきは鋭い。衣装も彼女の紫色の髪の毛に合わせたようなデザインだった。

 

 新しい敵が増えたとはいえ、シグナムの武器から刀を使った接近戦が得意だと判断する。

 すずかの最大の武器は体術と動体視力だ。なのはのような広範囲を殲滅する砲撃には弱いが、ヴィータのような範囲の狭い武器ならば回避できるため相性がいい。刀が武器ならシグナムという女剣士とも渡り合えるかもしれない。淡い期待を抱いて、すずかはシグナムとぶつかった。

 

「レヴァンティン」

 

 シグナムのデバイスはレヴァンティンというらしい。それは主の命を受けて、刀身に炎をまとった。燃え盛る業火を見て、すずかが怯む。シグナムはお構いなしに切りかかる。

 すずかは自慢の体術でレヴァンティンの連撃をやり過ごし、ヴィータ戦同様に隙をついてグロッケンで切り付け、反撃に出た。しかし助っ人に現われただけあって、シグナムの実力はすずかの上を行っている。さらに、すずかにとって悪いことがもう一つ。

 

「っく、炎が……」

 

 レヴァンティンの炎だった。すずかの動体視力と体術をもってしてもシグナムの太刀筋をやり過ごすのは至難の業、直撃しない程度に避けるので精いっぱい。ヴィータの時は掠めるだけでもなんとかなったがシグナムの場合は違う。回避するたびにレヴァンティンの業火を避け切れず、すずかの体力をじわりじわりと奪っていった。

 

「動きはいいが……回避だけで倒されるほど私は弱くないぞ」

「うぐぅ」

 

 すずかの反撃は次第に少なくなり、ついには避けるだけで精一杯。すずかにとって、シグナムの戦法は分が悪い。

 レヴァンティンの餌食になるのも時間の問題だった。

 

 

 

 すずかという近接役がいなくなってから、なのはとアリサの戦況は一変した。アリサとザフィーラ、ヴィータとなのはが一騎打ちになる。なのははなんとか互角に渡り合っているが、問題はアリサの方だった。

 これまでの攻防から分かるように、アリサの攻撃ではザフィーラを倒せない。距離をとりながら火球で足止めするのが関の山。

 すずかとは異なり、殲滅戦が得意で接近戦が苦手なアリサ。ザフィーラに近寄られた瞬間、オオカミの牙の餌食になる。お互いにそれが分かっているのか、アリサは我武者羅に火球をまき散らし、ザフィーラはバリアをまとって突進してくる。

 

「もう! そんなに突撃して、戦いにくいじゃないのよ! もっとオオカミらしく戦ったどうなの、これじゃあイノシシじゃない」

「相手にとって嫌な行動をとる。戦いの基本だと思うが」

 

 感情と火球を爆発させるアリサに対し、ザフィーラはいたって冷静だった。そしてこの差が両者の命運を分ける。

 

「これで、もう仲間たちは追いつけないな」

「あっしまった」

 

 アリサが正気に戻り、辺りを見渡すが仲間たちの姿は何処にもない。完全に孤立してしまう。ザフィーラの狙いはコレ。アリサと彼女の味方がコンタクトをとれない場所まで移動すること。

 アリサの火球は脅威だが、ザフィーラの防御力をもってすれば耐えられないことも無い。さらに、アリサ最大の連係プレーもこれだけ離されれば発揮されない。相性もザフィーラが有利。後はザフィーラの牙がアリサを捉えるだけだ。

 

 

 

 なのはとヴィータの対決は、なのはの方が有利だった。

 アリサとの連携が効いたようだ。なのはの強力無比な砲撃でヴィータを攻め立て、ヴィータが牽制で放った誘導弾もアクセルシュートで撃ち落とした。しかし、それも一時的なものに過ぎない。

 

「すずかちゃん!」

 

 シグナムのレヴァンティンがついにすずかを捉えたのだ。ばたりと倒れる友人に気をとられてしまった。

 

「よそ見してんじゃね、いくぞアイゼン」

 

 ヴィータに接近を許してしまう。ヴィータは手負いの状態だが、接近戦は彼女の本領。ハンマーの一撃はなのはのバリアを破って、直撃。なのはをそのまま吹き飛ばした。

 砂ぼこりの中、レイジングハートに体重をあずけて立ち上がるが、なのはの視界にはシグナム、ヴィータ、ザフィーラが入る。アリサもすずかも倒れている。肩が上下に動いていることから生きているようだが。

 

「……すまない」

 

 ヴィータに変わり、シグナムがなのはの前に立つ。ザフィーラとヴィータはアリサとすずかに手をかざすと、光のコア、魔力を抜き取って本に吸収させた。

 

 シグナムがレヴァンティンを構える。三対一、なのはが覚悟を決めたその時、一筋の閃光がシグナムを襲う。

 

「フェイトちゃん!」

「なのは! アリサ、すずか。どうなっているの?」

 

 フェイトだ。

 ロストロギア『ジュエルシード』と『赤い球』をめぐる戦いにて、なのはと戦い、時に協力し合った戦友にしてライバル。本当はリンディたちと地球に訪れるはずだったが、お疲れ様会が待ちきれなくて一足先に地球に戻っていた。彼女にとってはもう一つ、別の目的があったが。

 フェイトはシグナムを睨みつけると、デバイスのバルディッシュを構えた。

 

「時空管理局、嘱託。フェイト。あなた達は何者、答えて」

 

 嬉しい助っ人になのはの強張った表情が緩んだ。これだけでは終わらない、アリサが弱弱しくも一体の怪獣の名前を呼ぶ。

 

「……ティグリス、お願い」

 

 返事をするようにコンクリートが割れて地面が盛り上がる。砂ぼこりを巻き上げて地中から現れたのは、地殻怪地底獣ティグリス。

 元はシベリアンハスキーだったが、ギマイラの超能力で怪獣ティグリスに姿を変えられてしまった。姿は怪獣だが、心は犬のままでアリサに懐き、彼女の家で暮らしている。今回はご主人様を守るべく駆けつけてくれた。

 

 フェイトとティグリスはなのはを守るように立ち塞がると、シグナム達目掛けて攻撃を仕掛ける。シグナム達は冷静にデバイスを構えて迎えうつ。

 

 

 

 結果から伝えると、なのは達の敗北に終わった。

 フェイトとティグリスの加勢により、一時は三対三の戦いが繰り広げられた。しかし、なのはのダメージが相当大きかったことによりヴィータに倒され、二対三。なんとかフェイトがなのは、すずか、アリサの三人を逃がすもののティグリスだけでシグナム達と戦うことはできない。

 なのは、すずか、アリサの魔力はシグナムの持っている本に吸収され、ティグリスは本体ごと吸い込まれてしまう。

 なのはが目を覚ますと、管理局の医療室のベッドの上で親友二人はまだ気を失っている。そして疲れて寝ているフェイトだった。




 以前、活動報告で募集した怪獣達ですが、その報告をしようと思います。

ファイブキング,ダークルギエル,ガタノゾーア,ハネジロー,ゴロサンダー,ホロボロス,ヤメタランス,宇宙化猫ミケ・タマ・クロ,ハイパーゼットン,エンペラ星人,モコ,ミジー星人,ガラオン,ザムシャー

 この辺を出してほしいとの事でした。
 扱いにくい怪獣と、強い怪獣が見事に入り混じっています。感想欄見ても、強くてカッコいい怪獣が大好きという人が多いですね。僕も好きです。
 活動報告では展開が未定だったため、答えられませんでした。すみません。なので、この場を借りて答えます。

 この中から確実に二体は出ます。以上。
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