第97管理外世界の赤い球   作:破壊光線

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 サブタイトルが思いつきませーん。


二つのロストロギア

 バルタンが怪獣達を引き連れて総攻撃を行っている最中、俺とメトロン、メフィラス、デスレムとグローザム、それからダークバルタンのメンバーは八神家の玄関前にいた。

 先日、メフィラスが仕事で八神家に訪れた時シグナムが出迎えたことから、この家がシグナム達の拠点になっていることが分かった。シグナム達を怪獣軍団で引き付けている間、俺たちが主を降伏させるという作戦になっている。

 

 あと怪獣軍団を出した理由については、地球侵略概論っていう授業でグローサム先生が。

 

「怪獣軍団並べて、ぶん殴ればみんな倒せるんだ」

 

 って言ってたから。デスレム先生やメフィラス先生も大事なことを教えてくれたけど、何言ってるのか分からなかったので参考にできませんでした。

 

 騎士たちは完全に敵だが、主は守護騎士をボコボコにしている映像を見せれば交渉の余地あり。俺が判断してメトロンを連れて来た。そもそも主の降伏が目的だし。

 もし突然攻撃されてもいいように、グローサムとデスレムっていう用心棒も呼んだ。バルタン星人に関しては分身してくれて一緒に付いてきてくれた。本体と分身で事態を共有できるようで、戦況も分かるから大助かり。バルタン星人、めっちゃ便利。

 

「ねえ、ここで合ってるよね」

「はい。この時間帯は一人でいるという情報もあります。留守でしたということにはなりません」

 

 下調べは全てメフィラスがしてくれた。八神はやてという人物は小さな車いすに座っている女の子って言うのも分かっている。俺はただインターフォンを押すだけ。警戒させたくないからメフィラス達には姿を消してもらい、俺だけがはやてと会うことになっている。

 ピーンポーン。とチャイムが鳴ると家の中から、はーいって可愛らしい声が聞こえる。ガチャガチャと音を立てて玄関のドアが開いた。

 

「どちら様?」

「あ、どーも。シグナムの知り合いです」

 

 キョトンと首を傾げる女の子に、俺はギリギリ本当の事を言って入れてもらった。

 室内はバリアフリーになっていて、段差や坂がほとんどない。玄関からの廊下を抜けると電話機があり、リビングに出た。キッチンと併設されたリビング、テレビとそれを囲むように並んだソファー。なんか俺ん家を思い出す間取りだなあ。あそこのテーブルをちゃぶ台に変えて、デスレムとグローザムを創ったっけ。

 

「ごめんなあ、せっかく来てくれたのに。シグナム達はちょいとお出かけや」

 

 関西なまりが特徴的な口調で、はやてはお茶とお菓子を持ってきてくれた。

 

「お構いなく」

「すぐに帰ってくると思うから、これでも食べて待っててな」

 

 ルマンドと紅茶を出されて、それらをつまむ。はやてはテレビをつけると、俺の近くに車いすを転がした。

 

「シグナムのお友達かあ。シグナムとはどうやって知り合ったん?」

「普通に切られました」

 

 テレビを見ながらルマンドの包装紙を剥いて、ボリボリとお菓子を食べる。

 さっきからはやてが無言なのでそっちを見ると、言葉を失って硬直していた。

 

「き、斬られたってホンマか? なんでや、あんた何悪いことしたんや」

「ちげーよ、道歩いてたら突然切られたんだ。魔力がどうたらって難癖付けられて」

「……ああ! シグナム、収集はせんでええって言ったのに」

 

 思い当たる節があったのか、はやては一瞬驚くと、申し訳なさそうに頭を下げた。

 

「ホンマにゴメン。私は収集なんかせんでええって言ったんやけど……うんん、言い訳やな。シグナムの主として、私が責任取りますぅ。どうか許してやってください」

 

 え、何この子。めっちゃいい子じゃん。

 

 シグナムやヴィータ、シャマルのイメージから悪人を想定していたのに、ここまで聖人だとは思わなかったぞ。

 俺たちの予想では八神はやてが正義か魔力収集で怪獣達に攻撃したって思ってたけど、あの様子だと騎士たちの自己判断だったのね。どうしよう……ボロボロになるシグナム達を見せて降伏させる作戦が不用になってしまった。むしろ徹底的に騎士を攻撃した俺たちが悪者じゃないか。

 どうしようか、俺は宇宙人の知恵を借りるためにラインを開く。

 

「八神はやて、実にいい子ですね。お嫁さんにしたら幸せになれるでしょう。メフィラス」

「ところで、フェイトっていう彼女はどうしたんだい? メトロン」

「早く戦わせろ。グローサム」

「守護騎士を人質にとって支配するんだ。デスレム」

「生命とは何か。バルタン」

 

 こいつらに頼った俺がバカだったのかなぁ。バルタンはさ、ちょいちょい初代ネタぶっこんでくんの止めてくんない。お前、マックスに登場したじゃん。

 

 

 

 それから俺は裏で起きていることは内緒に、正直に正体を明かして、メフィラス、メトロンをはじめ、連れて来た宇宙人たちを紹介した。はやては最初こそ驚いていたが、すぐに慣れてしまう。彼女が言うには以前にもこんなことがあったらしい。シグナム達との出会いがそれに当たるらしい。

 

 それから俺たちとはやてはお互いの状況を教え合った。その結果、分かったことがある。

 一つ目は、シグナム達は闇の書から出てきたということ。二つ目は、はやての足は原因不明。でも闇の書が関係しているであろうということ。三つ目は、闇の書の白紙のページを全て埋めれば足が治るかもしれない。そのためにシグナム達が魔力収集をしてページを埋めているはず。この三つだった。

 最後に関しては守護騎士たちが勝手に始めたことらしい。それでも責任は自分が負うとしきりに謝った。

 

「不味いな……そんなことになっているとは知らなかったから、シグナム達を倒せって命令しちゃった」

「なんやて! シグナムは、ヴィータは、ザフィーラ。シャマル。みんな無事なんか?」

 

 俺が戦闘中であることをカミングアウトすると、はやてがおっとりとした普段から考えられない気迫で迫ってきた。それだけ守護騎士の事が大切なんだろう。

 

「バルタン、どうなの?」

「万が一を考えて、殺さないようにはしてあるが……再起不能くらいには倒すつもりでいた。それに、もう遅い」

「もう遅いってどういうことや、こうしちゃおれへん。今すぐ助けに行かんと、ヒロシ、場所どこや」

 

 バルタンが機械を取り出して画面を付ける。瓦礫の山と雄たけびあげる怪獣達、ボロボロになったヴィータ達と孤軍奮闘するシグナムが映った。今まさに、シグナムの業火が怪獣を焼いている瞬間だった。

 

「ヴィータ、ザフィーラ、シャマル! 何してくれてるんや」

「ブラックギラス、レッドギラス! おい、ふざけんじゃねえ」

 

 ブラックギラスとレッドギラスはシグナムの持っている本の中に吸収され、守護騎士は四人中三人が重傷だ。お互いに大切なモノが傷つけられてブチ切れる。

 しかし、主に戦意がないのであればこれ以上の戦闘はしなくて済むかもしれない。俺は怪獣と一緒に暮らせればそれでいい。

 

「バルタン、早く止めてくれ!」

「了解、はやて。君も一緒に行ってくれたら早く終わる。付いてきて欲しい」

「分かった」

 

 

 

 

 かくして、俺たち怪獣軍団と守護騎士たちとの戦いは、主はやての人柄によって終わりを迎えた。俺たちはヴィータをはじめ、戦闘不能になった守護騎士たちや傷ついた怪獣達を手当てした。メフィラスとバルタンの医学や薬品が功を奏して命に別状はない。ギラス兄弟のみが犠牲者となった。……ごめんよ、ギラス。

 

 もちろん、怪獣達の中には守護騎士たちに不満を持つものいる。しかし俺たちの敵は時空管理局。守護騎士たちとは戦う理由が無いし、守護騎士たちも時空管理局とは幾度となくやり合っている。俺とはやては情報共有する仲間になれると言って、怪獣達を納得させた。こうして俺たちと守護騎士達との間で、一応、和平を結んだ。

 

 戦闘に関わった怪獣達をデスレムとグローザムが異次元に帰し、俺と宇宙人たちと八神はやて、シグナムで話し合いが行われた。

 

「ここまでボコボコにされたとはいえ、シグナム達が悪いんやで。私の許可なしに収集なんかはじめて」

「……しかし、このままでは、はやての足が治るどころか、悪化すると判断して」

「う、でも私は収集せんでええって言ったやろ」

「すみません」

 

 怪獣軍団相手に凛々しく戦っていたシグナムが項垂れている。スゴイ変わりようだ。主の前とはいえ、コイツ本当にシグナムかよ。

 

「まあ、暴力を暴力で返した俺たち側にも責任があるのかな……。でもギラス兄弟やゾイガーは犠牲になっているし」

「やっぱり、暴力はいけませんね」

「彼らを元に戻すことはできないのかい? それができれば何も言わないよ。ウチでバイトしてくれたら尚更だね」

 

 メトロンの言うように、俺としては怪獣達を元に戻してくれればそれでいい。シグナムは腕を組んで悩んでいる。

 

「バイト? 仕事内容が分からないが私たちにできることなら喜んで。怪獣達に関してだが、試したことがないから分からないが……成功したとしてもページが減ってしまう」

「だから、『闇の書』なんかどうでもええって」

「しかし、主はやての足を治すには『闇の書』の完成が一番かと」

 

 先程からシグナムは主の足を治すために闇の書を完成させると言っているが、どうも俺には引っかかる。だから俺は確かめるようにシグナムに聞き返した。

 

「ほんとにさ、その本のページが埋まったら足が治るの?」

「ああ、『闇の書』は魔法を記録するために創られたデバイス。だから魔力で白紙のページを全て埋めることで完成します。未完成の今は魔力を求めて主であるはやての魔力や生命エネルギーを吸収している状態です」

「なるほど、完成すればはやて君からエネルギーを吸収しなくなる。だから足が治るって訳だね」

 

 メトロンが頷いたように、俺にも理解できた。でもね、それだけじゃない気がする。だって、『闇の書』はシグナム達を内蔵していた。プログラムとはいえ、人間や獣を内蔵する本なんて聞いたことがない。

 魔法のアイテムって言えば済むかもしれないが、シグナム達はあくまで『闇の書』を完成させるためのオマケみたいなものだ。本体は『闇の書』であり、その機能は魔法を記録するためのもの。魔法を記録さえできればいいわけだからシグナム達など無くてもいい。

 

「ごめん、ちょっと怖い」

 

 俺は底の見えない『闇の書』に不安を感じた。今のシグナム達は『闇の書』の完成に固執して、『闇の書』に振り回されているように見える。上手く言葉にできないけど、かつて俺が『赤い球』の力に魅了され、破壊の限りを尽くした時と似ているような気がした。

 

 『赤い球』にすべての願いを託した俺と、『闇の書』に主の足を託したシグナム達。なんだろう、道具を使う立場ではなくて、道具に使われているという立場に逆転している気がする。

 

「正直、俺は『闇の書』の完成には反対したいな」

「確かに不安な気持ちも分かるし、私たちが原因で君たちの大切な怪獣達を傷つけてしまった。それについては君たちが納得いくまで償おう。しかし、私たちは主はやてと静かに暮らしたい。そのためには『闇の書』の完成がどうしても必要なんだ。都合が良すぎると思うが……」

 

 頼む。シグナムが頭を下げる。

 さっきまで殺し合っていた敵に頭を下げてまでも主の身体を優先している。きっと、八神はやてという主が相当好きなのだろう。怪獣達の一応の主である俺もはやてを見習いたいところ。だって、アイツら言うこと聞かないし。

 

「勘違いするな。俺は『闇の書』の完成が嫌なだけで、はやての足を治すことには賛成だ。ここにはメトロン星人やメフィラス星人みたいな連中がいる。みんなの力を合わせたら何とか出来る気がするんだよね」

「私もそれがええと思う。さっきみたいに私の知らないところでみんなが傷つくのは嫌や。それに、魔力収集するにしても誰かを傷つけるだけやろ、人様を踏み台にしてまでも私は幸せになりたくなんかないんよ」

 

 はやての言葉を聞いて、俺はメフィラス達に視線で合図を送った。二人ともコクリと頷いて、承諾してくれた。

 

「分かりました。それではまず『赤い球』を使ってみましょう」

 

 メフィラスは『赤い球』を取り出すと俺に渡す。キラリと光る『赤い球』を見て、はやてとシグナムから、おお。と歓声が上がった。俺は二人の期待に応えるべく、お願い事でもしましょうか。

 

「八神はやてを立てるようにして」

 

 『赤い球』はピカリと光るとはやての足を光で照らす。しばらく光ったままの状態が続き、次第に小さくなって赤い光が消えた。終わったみたい。

 

「はやて君。立ってみてくれ」

 

 メトロンに言われるまま、はやてがシグナムを支えられながら、恐る恐る車いすから立ち上がる。二本の綺麗な足は震えながらも、しっかりと床を踏みしめた。はやてが驚きながら、ゆっくりとシグナムから手を放す。そして両手を上にあげてバンザイした。

 

「立てる、立てる! すごい、見てシグナム、私、立ってるで。立てるようになったんや」

「はやて……これは、うう、おめでとう……ございます」

「何泣いてるん、もっと喜んだらどうや」

 

 二人とも抱き合って泣いてしまった。俺たちは完全に蚊帳の外に追い出されてしまったが、これはこれでハッピーエンド。守護騎士たちと八神はやては幸せに暮らしました。おしまい。

 ……にはならなかった。八神はやてがいきなり崩れ落ちたのだ。

 

「主、大丈夫ですか」

「えへへ、無理が祟ったみたいや。まだ立つことにも慣れてへんしな。これから練習していくで」

 

 はやては強がりを言っているが、絶対にそんなことはない。俺はこの一連の流れを見て確信に至った。

 今、俺たちが使っている『赤い球』は暴走しないように、邪悪な願いに飲み込まれないように調整されたものだ。だから『時の庭園』で使っていたものと比べて効果は落ちるがそれでも『赤い球』。仮にこれを上回るとすれば、『闇の書』の力は途轍もないものになる。少なくとも、今のシグナムやはやてが使いこなせるようなものではないはず。

 

「メトロン、メフィラス、バルタン。これは不味いことになった」

「少年も同意見か」

「ええ、それくらいわかります」

 

 『闇の書』。それは魔力を収集するためのものであり、そのために守護騎士プログラムを持っている。これほどまで強力なアイテムがただで使いこなせるわけがない。かつて俺が手にして暴走した『赤い球』のように。

 

 身の丈に合わない科学が暴走して怪獣が生まれた。ウルトラマンをはじめ、特撮の世界ではありふれた話だ。無言をつらぬくバルタンだって、もとは狂った科学者によって母星を破壊されている。その原因は核兵器、つまり行き過ぎた科学だ。人間が道具を使いこなせなくなったことよる世界の破滅。

 

『闇の書』は、はやての足と引き換えに強力な力を授けた。これでも未完成だ。もし完成してしまったら『闇の書』は何を要求するだろうか。逆に未完成のままだったらはやてはどうなってしまうのだろうか。疑問は尽きない。だけど、これを完成させるのは、今はまだ早すぎるということ。

 

 事の重大さを知った俺が次に何をするか。考えを巡らせていると、八神家のテーブルに魔法陣が展開した。

 

「『闇の書』の完成に君たちは邪魔だ。消えてもらう」

 

 中から仮面の男が現れ、俺にそう告げた。




 出してほしい怪獣アンケートをとったところ、以下の回答が帰って来ました。

 恐竜戦車、ザンドリアス、グビラ、マガオロチ、ファイヤーモンス、ブラックビジョン、カメレキング、スノーギラン、Uキラーザウルス、グランドキング、ヤプール、ミズノエリュウ、コスモリキッド、ババルウ星人

 隠れ強い怪獣が多いです。皆さん強い怪獣が好きなんですね。
 この中だと二体くらいは出せそうです。
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