第97管理外世界の赤い球   作:破壊光線

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 お待たせしました。
 コロナで予定が潰れた人へ退屈しのぎにでも読んでください。



 それと、5000字を目標として書いていたんだけど、今後は4000字になったり7000字になったりとバラつきがでました。
 みなさん何文字くらいが読みやすいですか。何も無ければこのまま続けます。参考までに今回は8700字。長いようだったら教えてください。


闇を継ぐモノ

 すずかのスマホになのはから返信が届いた。

 すずかは隣に立っているメフィラスにそれを見せる。メフィラスは予測できたようで、とくに慌てることも無く文章を読んでいた。

 そんな二人はデパートの屋上にいるが、もちろん屋上で生活しているわけではない。メフィラス達は今まで通り、異次元を拠点として活動していた。

 

 屋上の食事からメフィラスと守護騎士たちは協力することになった。とはいえ、守護騎士たちの拠点となった八神家はすでに時空管理局に特定されている。したがって、異次元を中心として活動することになった。

 超獣不在の中、どのように異次元と地球を行き来するかと言うと、ゴルゴレムの結晶を使っていた。ゴルゴレムは位相に移動する能力を持っている。その源になっているのが背中の結晶だ。メフィラスは浩に内緒でゴルゴレムの結晶を少しずつ集めていた。拠点となっている異次元に移動できるような装置を作った。これにはデスレムの異次元のゲートを繋げる能力や、守護騎士たちの転送魔法などがふんだんに盛り込まれている。

 

「やはりそうでしたか。癪ですが、我々も管理局と手を結ぶことも視野に入れますかね……あっちはメトロンに任せていますが、上手くやっているでしょうか。」

 

 案の定、メトロンとメフィラスは裏で手を組んでいたようで、いろいろなパターンを想定して動いていたようだ。グローサムと繋がっているかどうかが不明だが、グローサム達が拠点としている場所が鹿島家であることから何らかの手は打っていてもおかしくないだろう。管理局、守護騎士、フェイト達。それら三つの勢力の情報を握っているのがメフィラス達だ。

 

 しかし、メフィラス達は他の勢力と戦えるほどの力を持っていない。グローサム、タイラント、ラゴラスエヴォ、キングジョー、ゴルゴレム。主戦力となりそうな怪獣達は離脱し、フェイトの仲間となって鹿島家で生活している。グローサムたちが狙うのはメフィラスと手を組んだ守護騎士たち。もちろん、時空管理局も守護騎士を敵として動くだろうし、メフィラスとも敵対関係にある。メトロンが許されたのは彼の人柄だろう。

 

「ギマイラの力を使えば撤退も容易でしょう。いざとなればエアロヴァイパーの力を使えばいい。それに、彼が動いてないから、未来はすこし明るいかもしれません」

 

 メフィラスはブツブツと呟いて、こちらの戦力を考えている。

 すずかは、そんな表情の読めない宇宙人の顔色をうかがっていた。しかし口と思われる器官が光っているだけで、やっぱり何を考えているのか分からない。

 

「これからどうするんですか?」

「はい。問題の『闇の書』ですが、守護騎士たちとは協力関係にあります。私たちでも少しくらいは彼女達の動きをコントロールできるでしょう。全てのページを埋めることなく、ゆっくりと収集すれば問題ないかと。ちょうど魔力を持った生物が生息している星も見つけられましたしね。

 彼女たちにはのんびり収集してもらうとして、我々が管理局と協力できるようにこちらで動いておく必要があるでしょう。すずかさんは引き続き情報収集をお願いします」

「はい、メフィラスさんは?」

「私は守護騎士たちのバックアップをします。敵は管理局の他にフェイト達もいますので」

 

 メフィラスは守護騎士と一緒に魔力収集を担当するようだ。メフィラスがバックアップを望んだことから、あくまで表向きは守護騎士たちが収集していると見せかける作戦になっている。

 メフィラスの怪獣達は時空を移動できるエアロヴァイパー、霧を発生できるギマイラ、ウルトラマンから逃げ切ったベムラー、異次元を移動できるデスレム、すずかの用心棒のレイキュバスとトリッキー。タイラント達と比べると、戦闘はイマイチだが、後方支援においては優秀だ。

 

 すずかは引き続き情報収集を担当。メトロンが管理局にいるとはいえ、高町なのはやアリサ・バニングスと直接やり取りでき、信頼もあるすずかはメフィラスにとって重要な人物になっていた。

 すずかのそばにはデスレムとレイキュバスという用心棒もついている。レイキュバスはカプセルに入れられ、デスレムは異次元からすずかを見守っていて、いつでも駆けつけられる体制が整っている。すずかが出発しようとした時、メフィラスに呼び止められた。

 

「あと、すずかさん。ヒロシ君の創った怪獣を調べてもらえませんか? 拠点、異次元のヒロシ君の部屋を探しても構いませんから」

「『カギ』が必要って言っていた?」

「はい」

 

 守護騎士たちと戦うときに、浩は切り札となる怪獣を生み出していた。メフィラスはその存在は知っていたものの、名前までは把握していなかったらしい。なのは達を破った守護騎士を倒す怪獣となると、非常に強力な個体に違いない。だから正体を知っておきたいし、出来ることなら味方につけておきたかった。『カギ』があるのなら尚更。

 すずかも異論はないようで素直にうなずいた。

 

「分かりました。じゃあ、はじめにそっちをやります」

 

 よろしくお願いしますよ。メフィラスの言葉を聞いてすずかはデスレムを呼び出し、異次元へと入って行った。

 

 

 

 真っ赤な異空間。それがすずか達が生活している異次元。運商業で倉庫がいくつもおけるほどの広いこの空間は隠れるのに持って来いの場所。守護騎士たちの居住スペースを完成し、怪獣達と生活している。守護騎士たちも怪我が治り、カートリッジの補填も十分。いつでも戦える。

 すずかはメフィラスに言われた通りに浩の部屋へと入って行った。浩の部屋はベッドが一つ、怪獣の人形がズラリと並んだ本棚が二つと、怪獣図鑑が置かれた本棚が一つ、それからウルトラマンのDVDが並んだ本棚が一つある。これら全て運送業をしていたときに集めたもの。金銭的にも余裕ができ、中古の情報も多く入って来たので、これほどまで集められたらしい。

 すずかはデスレムを呼んで、一緒になって浩が生み出した怪獣のヒントを探していく。

 

「デスレムさん、ヒロシ君の創った怪獣で、行方不明になっているのっていますか?」

 

 無言に耐えられなくなったのか、すずかがデスレムに話を振った。デスレムは黄色の発光器官を光らせて答える。

 

「ゼットンとゴモラ。この二体だな。聞いたとこだとバルタンやドラコ、テレスドンやジェロニモンなんかは浩と一緒に吸い込まれたらしい」

「らしいって、その辺分からないんですか?」

「いやーな。あの時はごちゃごちゃしていたから。ヒロシが居なくなって、俺たちが集められて、その時にようやく分かったんだ。ヒロシがやられたって。そん時にはゴモラとゼットンは居たのを覚えている。まあ、アイツらは新参者だし、社会に溶け込めるように創られたから上手くやっているだろうよ」

 

 フハハハハハ。と笑うデスレム。すずかが仕入れた情報には、怪獣が暴れたというものはない。ゴモラは地中に潜れるし、ゼットンはテレポーテーションが使えるから人目の付かない場所でひっそりと暮らしているのだろう。

 そんな二体とは別の名前をデスレムが挙げた。

 

「問題は……ゾイガーとスコーピスだな」

「群れで海にいるんだったよね……」

 

 デスレムが挙げたこの二体。ゾイガーとスコーピス。海で見かけたとの情報が入っている。ゾイガーとスコーピスは複数生み出され、一体ずつが守護騎士たちに倒されている。浩が二体を生み出した目的は管理局を倒してほしい。他の怪獣達よりも凶暴な性格となった二体が、打倒守護騎士を掲げるフェイトの味方になっていない。それが不安だった。

 

「デスレムさん、海。ヒロシ君の創った怪獣も海にいる。ゾイガーとスコーピスも海にいる。これって、何か関係があるんですかね?」

「知らん」

 

 すずかが奇妙な共通点を見つけたものの、デスレムによってバッサリと切り捨てられてしまった。それ以降、無言で探していると、すずかはベッドの下に怪獣図鑑が積まれているのを見つけた。

 昭和から平成までの怪獣図鑑。だが、注意してみるとティガ、ダイナ、ガイア。平成三部作の図鑑だけが無い。すずかが一つ一つ整理していくと、とある怪獣図鑑の間に一枚のメモが挟まっていた。

 

『前に俺が拾った『赤い球』完全に消えたと思っていたけど、破片が三つ残っていました。今回はそれを使いたいと思う。だけど、俺は一度『赤い球』に乗っ取られてしまいました。だから今回はそうならないように気を付けたいです。このメモはそれを忘れないように残しました。

 念のため、『赤い球』ならぬ、『赤い欠片』で怪獣を呼び覚ます『カギ』にしよう。怪獣の目は二つあるから、『赤い欠片』の二つを『カギ』として目とリンクさせて、一つを素材で使うか』

 

 浩の戒めが書かれていた。すずかはそれを見つけると、デスレムに見せる。

 

「すずか、お手柄じゃねーか。後はその『赤い欠片』で何を作ったかが問題だな……いや、違う。マズいぞ」

 

 デスレムは少し考えると、慌ててすずかを見た。剣幕に追いやられ、すずかはひるんでしまったが、デスレムはお構いなしに続ける。

 

「『赤い球』の事件はヒロシが復讐心と怪獣に破壊を求めた結果だ。今回、創られた怪獣はそれとそっくりじゃねーか」

「それって、とんでもなく強力な怪獣だって事ですか? キングオブモンスが復活するとか?!」

 

 かつて大暴れした大怪獣、キングオブモンスと同じ創られ方。キングオブモンスはなのはを倒すことを目的として生み出され、その根底にあるのは復讐と破壊。今回の怪獣は守護騎士たちに対する復讐と破壊。奇しくもその生い立ちは似ている。さらにすずかが共通点をあげた。

 

「デスレムさん、赤目! このメモには『赤い欠片』を目にするって書いてあったから目が赤い怪獣だと思う。キングオブモンスって直接見たことないから分からないんですけど、目は赤でしたよね」

「その通りだ。生い立ちといい、赤目といい……キングオブモンスはヒロシの絶対的存在だったからな。たしかに切り札としてはちょうどいいか」

 

 すずかはメモが出てきた怪獣図鑑を見る。それはゴジラの怪獣図鑑だった。図鑑のページに挟まってあったというよりは、図鑑と図鑑の間に埋もれていたと言った方が正しい。

 

「挟まっていたのがゴジラの図鑑だったんだけど……何か関係があるのかな? あとはティガ、ダイナ、ガイアの怪獣図鑑が無かったんだけど、ヒロシ君持ってないんですか?」

「そんなはずはない……だって、レイキュバスやエアロヴァイパーってダイナとガイアの怪獣じゃねーか。ゴジラはキングオブモンスを創るときに参考にしてたけどよう」

 

 しかし、浩が注意書きのメモまで残して弱い怪獣など創るはずない。となるとキングオブモンスが濃厚だが決めつけるには早すぎる。

 すずかもデスレムも正体不明の切り札に頭を抱えていた。とはいえ、すずかにはまだなのはとアリサ、フェイトという仲間たちがいる。それぞれの現状が分からないものの、『赤い欠片』と赤い目をした凶悪な怪獣についての情報は何かしら手に入るだろう。

 浩の部屋だけではこれ以上のヒントが無いと判断したのか、デスレムがこんな提案を持ち出した。

 

「すずか、デパートに行かねえか? ヒロシは怪獣を創るときにソフビや絵を使ってた。何かしらヒントがあるかもしれねえ」

「たしかにその通りですね。行ってみます」

 

 タイミングの良いことに、この後はメフィラスと守護騎士たちが協力して魔力収集に出かけることになっている。管理局の注意は確実にそちらへ向くだろう。守護騎士たちが発見される時間を逆算して、すずかとデスレムは異次元を飛び出し、デパートへ出かけに行った。

 

 

 

 

 すずかと擬人化マシーンで人に化けたデスレムがデパートをぶらついている。すずかは学校の制服で、デスレムは見事に中年の男性に化けた。おっさんと呼ばれる年齢とはいえ、スタイルは引き締まったもので、灰色のセーターと中に赤いシャツ、パンツも灰色。傍から見ればちょい悪おやじ、カッコいいお父さんに上手く変身した。

 一見、娘と父親がデパートに買い物にやって来たがようにも思える。今二人がいる場所は怪獣人形売り場、小学生の女の子が怪獣のソフビを欲しがるのは少々不思議に思えるが、周りの人は変わった子だと思って素通りしていた。

 

「こうしてみると最新作の怪獣が多いですね」

「そうだな……昔は俺のソフビが売られていた時もあったが、今となってはないな。それにずいぶん小さくなったし」

 

 時代が変わったことをデスレムはしみじみと思い返している。ソフビ人形のラインナップは時代と共に変化しており、放送されている最新作に登場するものが多い。

 中にはタッコングやギマイラなどの復刻怪獣の姿があった。あとはファイブキングやタイラントに使われた怪獣のパーツなどだ。

 

「せっかくだし、ギマイラとレイキュバス、ベムラーのソフビを買って帰ろうかな……」

 

 すずかは協力関係にある怪獣のソフビを見つけて、買い物かごの中に放り込んだ。

 

「まて、ゴルザ、メルバ、ガンQ 超コッヴの人形も買って帰ろう。平成三部作の図鑑が無かったんだ、せめてソフビだけでも買っていいだろう?」

「私に聞かれても……それよりお金、大丈夫ですか?」

「フハハハハ。俺たちは働いて稼いでいたからな、金に関しては大丈夫だ。」

 

 デスレムがさらに四体の怪獣の人形を放り込んで、合計金額を計算していると女性が二人やって来た。二人は見た目も服装もそっくりで、おそろいのニット帽をかぶっている。双子なのか髪の長さくらいしか二人の見分けがつかないほど似ていた。

 

「ロッテ、怪獣売り場に来て何を探しているんだい?」

「えー、アリア。リンディたちが言うには地球には怪獣がいるらしいじゃん。だからお土産にでもって思って」

 

 すずかはロッテという女性の言葉に反応した。地球に怪獣がいるということ、リンディという人の名前からニット帽をかぶった双子が管理局の関係者だと見当をつける。目線は怪獣の棚に向けつつも、耳は双子の会話を聞き洩らさないように息を殺した。

 

「そうかい。しっかし、色んな怪獣がいるね」

「ほんと、良く思いつくよね。うわコイツ、ガンキュウだって。目だけしかないし、ホントに眼球じゃん」

 

 二人はたわい会話を繰り広げながら、すずかとデスレムの方をちらりと見た。しかし、気にも留めることなく、お土産の怪獣選びに戻る。

 すずかはデスレムの正体がバレないかとひやひやしながら二人の観察を続けた。アリアと呼ばれた髪の長い女性は、プラスチックのフックにつるされたソフビの人形を手に取った。

 一方で、ロッテと呼ばれた女性は下の段にある、大きな箱に入った怪獣の人形を見ていた。創り込まれたタイラント、関節部分が稼働するゴモラ、ウルトラマンなど様々な人形の箱が並んでいる。だが、しゃがんだロッテの視線は一つの箱に釘付けだった。

 すずかもその視線で追った。箱に描いてある怪獣のイラストは。

 

「ガタノゾーア。いいねコイツ。デカいし、強そうだし気に入った。アリア、これを買うよ」

「えっと、値段は……高っか。もっと安い奴にしようよ、ほら上の段のやつとか」

「いいや、これがいい。コイツがいいんだ」

「そこまで言うならいいけどさ……」

「買うったら買うの!」

 

 怪獣の人形を買うかで喧嘩が始まった。とはいえ、ロッテが一方的に強い口調でまくし立てているだけだが。すずかは巻き込まれたくないと思い、その場を離れていく。デスレムは喧嘩が見たかったようで、少し名残惜しそうだったが、すずかの後に続いた。

 二人が喧嘩中の双子とすれ違う時、すずかはロッテの胸元に『赤い欠片』を見つけた。『赤い欠片』もすずかを見つめ返しているように赤く、淡く光っている。双子の姉妹もデスレムもそれに気づいていない。すずかは不気味な『赤い欠片』から逃げるようにレジへと向かった。

 

 

 

 デパートで候補を探したものの、最新作一式に染められた怪獣売り場からは、何のヒントも得られぬままに終わった。

 次の目的地を探してブラついていると、メフィラスから守護騎士たちが魔力収集に出かけたとの連絡が入る。管理局、フェイト達も動き出したから、地球で少しくらい派手に動いてもいいとのこと。

 

「レイキュバス、出てきて」

 

 すずかは折角だから人に化けたレイキュバスを呼んで一緒に捜索することにした。買ったばかりのレイキュバスのソフビをあげる。

 擬人化マシーンを使い、すずかよりも小さい女の子の姿になったレイキュバス。海獣は自分のソフビを受け取ると、よほど嬉しかったのか、すずかに抱き着いてきた。

 

「あははは、くすぐったいって」

 

 すずかの胸辺りに顔をうずめて幸せそうな笑顔を見せる。すずかはくすぐったそうにしながらも幼女となったレイキュバスの頭を撫でた。

 

「すず×レイてぇてぇ」

 

仲睦まじい姉妹のようなすずかとレイキュバス。その光景を見てデスレムはほっこりしていた。

 すずかから離れた後もレイキュバスのソフビは本人がハサミをいじくって楽しそうに遊んでいた。デスレムがそれ以外のソフビを異次元に放り込んで、さらに調査を続ける。

 

「じゃあ、鹿島家にでも行ってみるか」

 

 デスレムに引き連れられるまま、すずかとレイキュバスは留守になった鹿島家へと移動。デスレムの能力で扉を抜けてリビングに侵入。フェイトとアルフ、リニス、アリサの持ち物を見つけ、フェイトの仲間と味方をした怪獣が判明した。これらをメールで書いてメフィラスに送った。

 フェイトチームの戦力を分析した後、浩の部屋に入った。浩の部屋はベッドと学習机の置かれた部屋。あとは全て異次元においていあるのだろう。机の引き出しを開けていくと、平成三部作の図鑑が積まれていた。そして最上段には例の浩のメモが。

 

『これを見つけた誰かへ。

 この上に置いてある『赤い欠片』は俺たちの切り札。必要な時に勝手に動き出します。それまではいじらないでください。決して海に持って行かないでください。ゾイガー、スコーピス。頼んだ

鹿島浩』

 

 すずかが引き出しの奥に手を突っ込んでみても『赤い欠片』は見つからなかった。すなわち、誰かが持ち出したということになる。鹿島家を拠点としていて、欠片を持ち出せそうな人物はアリサ、リニス、アルフ……そしてフェイト。

 特にフェイトは浩の仇として守護騎士を倒すために管理局と別行動をとっている。さっき上げた四人の中で一番守護騎士たちを憎んでいるはずだ。もし、フェイトが『赤い欠片』を手にしたら……考えたくもない。

 

「レイキュバス! その辺に『赤い欠片』が落ちてたりしない?! 今すぐ探して」

 

 すずかはレイキュバスに指示を出す。擬人化したレイキュバスは驚きながらビシッと敬礼をすると、すずかと一緒に血眼になって探し始めた。

 目が赤くて強い。復讐と破壊を願いとして生まれた。海にいて、今は『赤い欠片』に封印されている。ゾイガー、スコーピスと何かしらの関係がある。参考にしたものはゴジラと怪獣図鑑、いや、海に封印されていることを考えると、地球で創ったと考えるべきか。

 ならば異次元の浩の部屋に無くて鹿島家の浩の部屋にあった怪獣図鑑だろう。つまり浩の切り札は平成三部作の怪獣になる。ゾイガーも平成三部作の怪獣図鑑だからなおさらだ。よってキングオブモンスは浩のオリジナルだから候補から外れる。

 

「答えはこの中に」

 

 すずかは平成三部作の怪獣図鑑を開いた。この中に浩の生み出した切り札が眠っているはず。ひたすら赤目の怪獣を探していくと、候補が一体挙がった。他に候補は無いか、自分の推測が間違っていないか。すずかが色々と考える。

 となりではメフィラスと交信していたデスレムが叫んだ。

 

「フェイトとなのはが交戦した!? さらに守護騎士たちが管理局の増援から逃げ切れなかった、と。相手は二人組だが、腕の立つ双子かあ……分かった。今すぐ戻る。……守護騎士たちと空中戦をしているが、このままだと海に行くと。……OK待ち伏せして、ゾイガーとスコーピスが参戦しないように食い止めるか……どっち側に着くか分からねーし」

 

 ここまで怒鳴れば嫌でもすずかの耳には入ってくる。

 海、浩の切り札、ゾイガー、守護騎士、双子の管理局。すずかの頭の中でグルグルとこれらの単語が駆け回った。

 

「双子の管理局? たしかデパートで会った、あの双子も確か管理局だったはず。それで、一人は『赤い宝石』をネックレスにしていた」

 

 怪獣コーナーで出会った双子の女性。そのうちの一人が赤い宝石のネックレスをしていた。気持ち悪くて形とかは覚えていなかったけど、宝石を見た感覚だけは覚えている。誰かに見られているような気味の悪い、見つめていれば狂気に侵されてしまいそうなあの感覚。もしかして、怪獣の目?

 たしか、浩が『赤い球』を手にいれて狂っていった。狂気に陥る点で、引き出しにあった『赤い欠片』は『赤い球』の破片と言えなくもない。そういえば、あの『赤い宝石』を身に着けていた人も少しおかしかった気がする。一体の怪獣に執着するなんて、まるで浩みたいだった。たしか、その女性が買った怪獣は……。

 

 すずかが怪獣図鑑に目を戻す。ウルトラマンティガの最後のページ、ソイツはゾイガーと一緒に描かれていた。ゾイガーたちの主で海から現れた。ウルトラマンを一度は倒すほど強力で、その目は赤い。

 

「ヒロシ君の切り札、分かりました。絶対に双子の管理局を海で戦わせないでください。片方が『カギ』を持っています」

 

 すずかは今まで調べて来たことと自分の推測を確かめるように静かに言った。ただならぬ雰囲気にデスレムもレイキュバスも作業を止めて黙っている。すずかは図鑑から視線をデスレムに向け、言い放った。

 

「ヒロシ君の切り札は、邪神ガタノゾーアです」

 

 海から黒い霧が噴き出していることを、すずかはまだ知らない。。




 読者希望怪獣第一弾は邪神ガタノゾーア。

 ですが、ガタノゾーアと戦う前にフェイトとかすずかとかアリサを合流させないといけないので、邪神様はもう少し後になります。
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