第97管理外世界の赤い球   作:破壊光線

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 リインフォース覚醒回&ベリュドラ登場回。


ウルトラ作戦第一号

 俺が生み出した怪獣、キングオブモンスは実体化すると大きく吠えた。砦の屋上に陣取って、影たちの気を引くと、そのままオレンジ色の破壊光線で一網打尽にする。さらにスキューラ、バジリスを生み出して、ギラス兄弟をはじめ怪獣達も加わった。怪獣達は色とりどりの光線を連発、影の進行を少しでも抑えていた。

 

「グランドキングは大群に攻撃して、ファイブキングは残党狩りを頼む。ゲオザークとブラックピジョンは近くに来たのをお願い。ギラス兄弟、スピンぶちかましていいよ」

 

 俺が司令塔となって、怪獣達に指示を与えていく。みんなの華麗な連係プレーは影の数をどんどん減らしていった。

 

「ヒロシ、この城の内部には侵入していない。君たちが接近させなければ攻め落とされることはないだろう。我々を影という形で攻撃している以上、『闇の書』は起動しているとみて間違いない。この影は防衛機能による影響かは分からないが、プログラムや修正すべき箇所はすでに終わっている。あとは八神はやてと管理プログラムの頑張り次第だ、もう少しこらえてくれ。もちろん私も協力する」

 

 バルタンから念話が入った。次の瞬間、内部に続く扉が勢いよく開くと、千を超えるバルタン星人が飛び出した。大きなハサミを開いて白色破壊光線で影を蹴散らしていく。

 そのうちの一人が俺の隣についた。

 

「ヒロシ、ここは私の分身が引き受ける。君は八神はやての元へ行き、バグを治す手伝いをしてくれ。具体的な原因が発覚すれば『赤い球』の力で治すことができるかもしれない。それに、内部の空間が歪んだ形跡がある。もしかしたら新しく侵入してきた者がいるかもしれないぞ」

 

 この辺りの影はあらかた片付いたけど、他の場所はどうなんだろうか。ダークバルタンの分身だけで何とかなりそうな気がする。それに、『闇の書』に侵入してきそうな人物って、管理局関係もしくは守護騎士たちくらいしかいないと思う。

 俺は侵入者が味方だと判断して、怪獣達を呼んだ。キングオブモンス、グランドキング、ファイブキングの三体だ。

 

「了解、バルタン。数も減っているし、キングオブモンス達に迎えに行かせる。いいな」

 

 三大キングは、了解。と各々ジェスチャーで応えてくれた。バジリスとスキューラは残念だけど俺と一緒にお留守番。三体と一緒に道案内役にバルタンの分身を付けた。……だれが本物かは分からないけど。

 

「バルタン、戻るぞ」

「分かった」

 

 さっきまで話していたバルタンと怪獣達を連れて俺たちは、はやての居る部屋へ戻った。

 上がったばかりの階段を駆け下りるとプレシアがバタバタしながら術式を展開していた。なんとか制御しようと必死になっている。はやてと管理プログラムさんはプレシアの横で座っていた。

 疲れ切った管理プログラムさんはすでに諦めたようで、下を向いていた。はやてや俺よりも年上なのに、みっともなくポロポロと涙を流している。

 

「ヒロシ……すまない。もう、お終いだ」

「大丈夫や、まだ終わりやない」

 

 そんな彼女をはやてが必死に慰めていた。ここで管理プログラムさんに諦められては困ると、俺の怪獣達も管理プログラムさんにエールを送った。バルタンたちは一人を残してプレシアの作業を手伝い始めた。

 しばらく時間が経ったと思うが、一向に状況は良くならない。俺の耳元ではエラー音が鳴り響いている。

 

 今まで作戦は上手く行っていたのに、想定外のバグが明確な敵となって俺たちを襲った。助けてもらっている立場なのに、主のはやてを含めて逆に傷つけてしまった。管理プログラムさんはきっとそれが許せなかったのだろう。

 

「これ以上、君たちに辛い思いはさせたくない。私の力で眠りにつけば苦しい思いをしないで済む」

 

 管理プログラムさんはいつの間にか弱々しい姿になっていた。どうしてか、昔の俺と同じ感じがする。

 

「なあ、ホントに迷惑だよな。今まで必死こいて頑張ったのに、いつの間にか犯罪者認定されて。じゃあ逃げて破壊して全てを終わらせようとしたら助けるだのなんだのって、そのくせ状況は悪化する。絶望するのは当然だよな」

 

 怪獣を受け入れてもらえなくて塞ぎ込んでしまった俺。『赤い球』の影響でまともに物事を考えられなくなって、破壊へと走った。

 管理プログラムさんもきっと同じ。『闇の書』とか言われて、嫌われて誰からも受け入れてもらえなかった。その果てにあったのがバグによる破壊。そりゃあ、こんな感じになるわな。

 このまま滅んでまた転生、そしてまた滅ぶ。その繰り返し。でも、今までとは違うことが一つだけある。

 

「けど、めんどくさいことに好き好んで助けるヤツらもいる。そうさ、こっちの都合なんか考えず、あいつらはやってくる。そこに怪獣軍団が溢れ返ろうと、不気味な影がうごめいていていようと関係ない」

 

 知らないとは思うけど、ここには昔デカい建物があって、その建物の中に怪獣軍団がはびこっていたんだぜ。破壊衝動が創り出した大ボスを中心に、嫉妬と承認欲求から生まれた子分が二体。

 そんな怪獣相手に立ち向かって、『赤い球』をぶっ壊して、俺を助けてくれた人がいる。忌々しくもありがたい、彼女たちの小さな背中を思い出して言い放った。

 

「それでも魔法少女はやって来るんだよ」

 

 次の瞬間、城の壁を黄色い魔法が打ち抜いた。轟音と共に厚い壁が崩れ落ち、光が差した。怪獣達が雄たけびを上げる。これは喜んだ時やテンションが上がった時の咆哮。いや、歓声に近い。前にビデオ見てた時にもあった。高町なのはが守護騎士との戦闘中、アイツが参戦したときと同じ。

 

「ヒロシ、無事!?」

 

 ほらね。

 

 はやてが笑った。管理プログラムさんは瞳が小刻みに震えて、信じられないと顔に書いてあった。マイナス思考なお姉さんに、ざまあみろ。と笑ってみせる。そして、俺は振り向くと、涙でぐしゃぐしゃになったアイツの名前を呼ぶ。

 

「おせーぞ、フェイト」

 

 涙を拭かずに俺の胸に飛び込んだ。

 

「ヒロシ、ヒロシ。もう二度と離さない」

 

 精一杯フェイトの背中や頭を撫でた。俺のシャツが湿っていくが、そんなものは気にしない。七夕の願い事って、叶うんだね。

 俺は壁の穴の先にいる怪獣達に手を振った。助けを呼びに行ったキングオブモンス達と外から来たのかタイラント、エアロヴァイパー、キングジョーもいる。そうだ、外の様子だ。

 

「フェイト、外はどうなっているんだ」

「管理人格って名乗る人が攻撃してきたけど、ガタノゾーアが味方になって、なのはと一緒に戦っている。一緒に帰ろ、ヒロシ」

「もちろん」

 

 はやての方を見ると、守護騎士たちに囲まれていた。

 

「主!」

「はやて」

「シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ。みんな来てくれたんか」

 

 はやては守護騎士たちを抱きしめている。ヴィータ達もはやてに抱き着いた。怪獣達も寄ってきて、みんなで吠える。グランドキングの咆哮がファイブキングの鳴き声を抜いて一番大きかった。

 管理プログラムさんはぺたりと座り込んでいる。未だに状況を読み込めていないのか、口を開けて、目を見開いたまま固まっていた。はやてはそんな彼女に向かい合う。

 

「悪い人がバグを作って狂わせたのは分かるけど、これだけの人があなたを助けようとしてくれている。それなのに諦めてええんか? これほどのチャンスを逃してええんか?」

「しかし、私はこれからどうすれば」

「何したい?」

「……みんなを助けたいです。このループを終わらせたい」

 

 管理プログラムさんがポツポツとひねり出した願いを聞いて、はやてが優しく笑った。守護騎士たちと一緒にタイラント、グランドキング、ファイブキング、キングオブモンス。四大キングが見守っている。

 

「んー、これから『闇の書』を治すのに、名前が闇の書の管理プログラムさんなんて自分の首を絞めているみたいで嫌やな。

 わたしが主として、新しく名前を付けてあげる。もう『闇の書』とか管理プログラムさんとか呼ばれんでもいいように」

 

 ああ……と嗚咽を漏らす女性の頬をはやての小さな両手が包んだ。

 今まで世界を滅ぼして、散々嫌われてきた。管理プログラムさんの心は荒んでしまったくらい俺にだってわかる。でも、その荒れた、雪のように冷たい心は八神はやてという一人の少女によって溶かされた。凍えついていた表情が優しく笑っている。

 

「強く支えるもの、幸運の追い風、祝福のエール。あなたの名前はリインフォース」

 

 怪獣達が歓声を上げた。黒かった床に魔法陣が広がった。三角形のソレは強い、白い光を放ちはやてとリインフォースを強く照らして、守護騎士たちも飲み込んだ。

 バルタン、プレシア、他の怪獣達も駆けつけて神秘的な光景を見守っている。今までのERROR音は嘘のように消え去って、沢山のウインドウにはCLEARと書かれていった。機械が意志を持つように、自分たちで改変作業を行っている。

 この奇跡にバルタンが声を漏らした。

 

「すごい……こんな事。守護騎士プログラムが、リインフォースが『闇の書』から切り離されていく。もはやプログラムではない、人間だ」

 

 因縁や恨み、絶望を閉じ込めていた城は跡形もなく崩れ去り、内部の闇は光によってかき消された。黒一変だった床は花畑へと変わり、空からは白い光が雪のように舞い落ちる。そして、どこからともなく、風が優しく俺たちを包み込んだ。

 

「我が主、あなたのおかげで『闇の書』はかつての輝きを取り戻しました。『闇の書』改め、『夜天の魔導書』です。」

 

 リインフォースははやてを抱きかかえて立ち上がった。二つの足は力強く伸び切って、堂々と胸を張り真っ直ぐ前を向いた。リインフォースは八神はやてに一冊の本を渡した。本体は外の世界にあるから、コピーとかそんなもんだろう。

 頬はまだ濡れているが、希望が光となって瞳に宿っている。はやてはリインフォースから『夜天の魔導書』を受け取ると、大事に抱きかかえた。八神はやてがリインフォースさんやシグナム達のマスターになった瞬間だ。

 リインフォースさんははやてを見て嬉しそうに笑うと一度目を瞑った。それから視線を俺に移す。目を開いた彼女はさっきまでと変わって、何かを決心した顔だ。

 

「みなさん、ご迷惑をかけました。そして、初めまして。私の名前はリインフォースです」

 

 名前をつける。一見、無駄なような行為は管理プログラムというただのプログラムから一人の人を生み出した。

 それはリインフォースに意思があるということ。滅びを仕様だと、運命だと受け入れて指示を待つだけのプログラムは存在しないということ。防衛プログラムの暴走は止まっていない。だけど、今なら明確な意思や願いを持って、リインフォースが答えを出せるだろう。

 

「ヒロシ、私も覚悟を決めました。作戦通り、私はバグを治します。暴走した防衛プログラムの中に残って絶対に改変させます」

 

 決意を聞いて驚く守護騎士達、プレシア、バルタン。俺とフェイト、はやては静かに聞いていた。

 

「それじゃあ、お前だけ取り残されるじゃねーか」

 

 自分一人が犠牲になると知って、ヴィータが反抗した。不安と怒りが入り混じった少女のあ影を撫でて、リインフォースさんが微笑んだ。

 

「違う。たしかに私は一人でこの中に残って作業をするが、それは一時的なもの。終わったら君たちの傍へと戻るさ」

 

 もし、戻れないときは?

 

「その時は『赤い球』に、いや、君たちに頼むさ。『私を助けてください』と」

「大変なお願い事をされたなあ。うん、任せとき。その時までお別れや」

 

 はやてが朗らかに笑うと、キングオブモンスの背中にまたがった。俺もブラックピジョンに乗せてもらう。フェイトはキングジョーに乗って他の怪獣達は自力で付いていくらしい。

 あとシグナムさん、ソイツの名前はエアロヴァイパー。エアヴァイパーじゃないから。『闇の書』の内部に連れてきてもらったんだから名前くらい覚えて帰ってね。

 他の守護騎士もプレシア、バルタンも続き怪獣達と一緒に脱出していく。光が照らされた空間は真っ暗だった時とは変わって、ずっと奥、その先まではっきりと分かる。一番星のように一番強い光目指して俺たちは飛んでいった。

 

 

 

 『闇の書』から解放されて外に飛び出した俺たち。リインフォースさんだけが『闇の書』の内部に残ってしまったけど、それ以外のメンバーは無事に生還。メフィラス達からどんな状況になっているのかを簡単に説明してもらう。

 『闇の書』の闇の暴走、それがリインフォースさんの姿を借りて具現化。対抗するためにガタノゾーアの復活、隙をついてフェイト達が突入したという訳だ。

 現在、『闇の書』の闇は、改変の影響か黒い塊となってうごめていている。あの内部にはリインフォースさんが今も作業を行っているから下手に攻撃ができない。俺たちは体勢を整えつつ、様子を見ている。

 

「よくこれだけ創りましたね」

「あー、好き。見てるだけで癒される」

 

 メフィラスがぼやいた。俺の目の前には雁首揃えてたたずむ怪獣軍団。今までの生き残りと、復活させた組、新しく創った連中と、種類だけでいえばオールスターがそろった。個性豊かな顔ぶれに心が躍り、俺は限界オタクと化した。

 俺の怪獣達は自分の肉体で戦うタイプなので、俺の命令があれば戦ってくれる。もうすでに戦闘準備は整っている。対して魔法使い組はデバイスの整理だったり、魔力の補給だったり、スタッフの傷の手当と忙しなく動いていた。俺たちも手伝おうとはしたけど、タイラントやファイブキングの手を見て断念しました。

 それでも優秀なリンディさんの指示により、戦闘準備は早急に整えられた。

 

「おかえり、ヒロシ君」

「げ、高町なのは」

「げって、何さ。もう」

 

 レイジングハートなる凶器を抱きかかえて、申し訳なさそうに近づいてくる少女。心なしか、頬が膨らんでいるように見える。なのはは白いいつものバリアジャケットに身を包んで、栗色のツインテールを揺らしながら頭を下げた。

 

「ごめんなさい。キングオブモンスを倒した後、ヒロシ君だけ助けられなくて」

「なんで謝ってんのさ」

「ヒロシ君が居なくなって、ゼットンさんと駄菓子屋で会ったの。その時に怪獣達ともお話し……コミュニケーションは取れるって分かった。

 今までは悪い奴だと思って一方的に倒してきちゃった。でも、もし、どこかで分かり合えたら、ヒロシ君がキングオブモンスを創らなくても済んだのかなって思ったから」

 

 高町なのはは俺の怪獣達を否定する一人の人間として見てきたけど、誤解していたのかもしれない。どう考えてもキングオブモンスを生み出して暴れさせた行為は許されないはずなのに。

 なのはは素直に気持ちを話してくれた。なのはの友達はなのはが魔法少女になっても受け入れて、自分たちも魔法を使って俺の怪獣達と戦っている。対して、俺の友人は俺の趣味を受け入れてくれなかった。何が違うのかと、ふと疑問に思って聞いてみる。

 

「……君の友達ってさ、いいやつ多いよな。人と違う力を持っても味方でいてくれて。なんか友達を作る秘訣とかあんの?」

 

 俺は視線を足元に落として、頭を掻いた。恥ずかしいから直視できないし。なのはは驚いたのか、一瞬間があったものの元気よく答えてくれた。

 

「秘訣なんて何も無いよ。お互いの名前を呼び合えばもう、友達だよ」

「それだと君と俺は友達になるけど?」

 

 俺となのはは敵同士。感謝はしているけど。少なくとも俺はそう思っている。怪獣を倒された俺と、怪獣に殺されそうになったなのは。

 だと言うのに、なのはは屈託のない笑顔で堂々と言ってくれた。

 

「そうだよ。私とヒロシ君はもう、友達だもん。違うの?」

 

 なるほど、コイツには勝てねーや。

 めでたく仇と和解した? 俺となのはのところにフェイトとクロノ、はやてがやってきた。クロノは複雑な表情を浮かべる。

 

「いい知らせと悪い知らせがある」

 

 映画のような台詞。どっちから先に聞きたいってか。

 まずはいい知らせから。なのはが聞いて、はやてが答えた。

 

「いい知らせは?」

「『闇の書』改め、『夜天の魔導書』のマスターになったんや。んでな、さっきリインフォースから通信が入ってバグが治ったと」

 

 リインフォースが成し遂げてくれたようだ。一人だけ残って作業に当たっていたから心配だったけど、杞憂に終わってくれてよかった。無限転生バグも防衛プログラムもこれで完治したみたい。とすると、悪い知らせって何だ? 今度はクロノが答えた。

 

「守護騎士プログラムが切り離されて、シグナム達が独立して動けるようになった。それと同じ現象が防衛プログラムにも起こっている。

 防衛プログラムのバグだけ独立して暴走している。まあ、これさえ何とかなれば事件解決なんだが」

 

 黒い球体となって今もなおうごめいている『闇の書』の闇こと防衛プログラム。今、目の前にあるバグを消せば『闇の書』の悲劇は本当に終わる。

 クロノが暴走という単語を使っているから、おそらく戦闘が起こると思う。俺は直接戦ってないから強さが分からない。けど、周りを見る限り、地面に穴が開いていたり、管理局のスタッフが大ケガしたりしている。めっちゃ強そうなんだが。

 

「でもな、今回はリインフォースが内側から防衛プログラムの力を抑えてくれるって」

 

 でも戦うに変わりないんですよね。君たちは魔法を使えるけど、俺は生身。パンチ一発で致命傷なんだよ。

 

「キングオブモンス、一緒に倒したよね」

 

 なのはに退路を断たれた。どうやら現地で怪獣達の直接指揮を執るらしい。やっぱり、アイツは敵だ。俺が深いため息をつくと、怪獣軍団を代表してグランドキングがやってきた。デカい両腕を挙げて喜んでいる。頼むよ、俺を守ってね。グランドキングは任せろ。と言わんばかりに吠えた。

 そんなやり取りをしているうちに、すずかとアリサ、アルフやシグナム達もやって来た。ユーノ、リニス、プレシアと今まで関わって来たメンバーが全員集合だ。

 

「どうやら相手も準備完了みたいだな」

 

 クロノが防衛プログラムを指さした。黒い塊だったのが、腕と翼が生えて、角と共に顔らしきものが作られる。足は無くて、代わりに木の根のようなものがねじ曲がって一つに合体した。姿形は悪魔みたい。特徴的だったのが、身体も顔も指の一本一本まで怪獣で作られている。

 

「ベリュドラやんけ」

 

 ウルトラマンベリアルとかいう悪いウルトラマンが怪獣墓場で、怪獣の怨念を合体させて創りあげた大怪獣。合体怪獣ヨロシク、それぞれの怪獣からビームや火炎放射を発射してくる。映画のボスだけあってもちろん強い。

 魔法を収集する機能を持った『闇の書』に怪獣のデータが組み合わさり、そこに『闇の書』に溜まった恨みが合体したのだろう。その生まれはオリジナルのベリュドラと似ている部分があった。こっちとしては迷惑極まりないことだが。

 

「あれ見て! 頭の角の付け根にリインフォースがいる」

 

 フェイトが指をさす。本来ベリアルがいると場所にリインフォースさんの上半身があった。彼女はペチペチ叩いて抜け出そうとしていた。みんなの視線に気づいたのか、困った顔で苦笑いをしている。

 現状、ベリュドラは動く気配がない。司令塔になったリインフォースさんの仕草も相まって、今一つ緊張感に欠ける。とはいえ、敵が動かないのはチャンスだ。クロノがベリュドラ攻略会議を開く。

 

「ヒロシ、ベリュドラの弱点とかはあるか?」

 

 弱点ね……。怪獣達が反旗を翻して、ベリアルの命令を無視。その隙をついてウルトラマンゼロ達の総攻撃で倒したけど。だとしたら、司令塔のリインフォースさんを救出すればベリュドラも崩れ落ちるのか?

 分からないけど、やってみる価値はありそうだ。

 

「ベリュドラが相手なら、頭の角の付け根にいる司令塔をどうにかすればいいと思う。初めに腕や胴に攻撃して破壊する。弱体化したら本命の頭部に攻撃して、リインフォースさんを助け出す。とか? もしくはリインフォースさんが司令塔なら怪獣達の動きを鈍くできるかもしれない」

「……分かった、ありがとう。みんな、リインも内側から出来る限り抑えてくれるって」

 

 俺の身もふたもない作戦に全員がうなずいて、同意を示してくれた。はやてを介してリインフォースさんにも伝わったようだ。パーツとなった怪獣達の攻撃を抑えてくれるのは非常にありがたい。

 

「相手は『闇の書』の闇ともいえる防衛プログラム、その姿は映画のラスボスであるベリュドラ。僕たちに加えてヒロシ率いる怪獣軍団。内部からはリインフォースが抑えてくれる。内側と外側からの攻撃……勝算はアリか」

 

 作戦の概要をクロノがまとめてくれた。独り言のように呟いていたけど、勝算はあるらしい。情報ソースが不安しかないけど何とかなるだろう。だって、スターライトブレイカーあるし。一人でうなずくクロノを横に、なのはが一つ提案した。

 

「ねえ、作戦に名前を付けようよ」

 

 作戦名か、呑気だね。でも俺はそういうの好きなんです。うーんと悩む俺たち。うめき声を破ってフェイトが手を挙げた。

 

「管理局、守護騎士とその主、ヒロシの怪獣軍団。種族や敵味方を超えた共同戦線。内側のリインフォースと外側の私たちからの同時攻撃。そして、何よりみんなで戦う初めての作戦。だから名前は……」

 

 フェイトがふう、と息を整え、注目する俺たちに向かって言った。

 

「ウルトラ作戦第一号」

 

 それは奇しくもすべての始まりと同じ名前だった。




 恋愛描写嫌い。

 あと一体怪獣が登場します。
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