日常が戻ってきた。
メトロンもメフィラスも、キングオブモンス、バキシム、テレスドン、ドラコにグランドキングやゲオザーク。この家で過ごし、異次元で運送会社を立ち上げて、『闇の書』の内部でガラクタを漁った怪獣はもういない。みんな元のソフビ人形や絵、粘土で作った怪獣の模型になった。再び俺の部屋の本棚に飾られている。
メフィラス星人とメトロン星人へと変わった俺の両親も元に戻り、毎日に飽きずに宿題をやれ。とうるさく騒いでいる。仕方ないので俺も約一年におよぶ不登校生活も終えて、学校へと通っていた。授業はメフィラスに予習してもらったので余裕。黒い宇宙人が言うには偏差値50そこそこの高校二年生の学習内容までついていけるらしい。ただし、俺が忘れていなければ。
そんなんだから授業をさぼって落書きをしたり、新しくできた私立の友達にラインを飛ばしたりしている。
「今日、そっち遊びに行っていい? 鹿島ヒロシ」
「いいよ、フェイトも呼んでおくね アリサ」
新しくできた友達とは、高町なのは、アリサ、すずか、はやて、ユーノ、そしてフェイト。ユーノを除けば女子ばかりだが、俺とウルトラマンを語れるのは、こいつらと一つ下の新星ツトムという少年だけだ。
さて、そんななのは達の状況だが、この地球から魔法を封印した。よって、なのは達は魔法少女に変身することができなくなり、文字通り普通の女の子になった。魔法が使えない以外は大した変化はない。なのは以前のようにアリサ、すずか達と一緒に遊んでいるし、たまに俺もお呼ばれして一緒に遊んだ。
……未だに高町なのはに苦手意識を感じているのは内緒。
なのはと一緒にいたユーノ。コイツは普通にラインする仲になった。彼はメトロンが行きつけだった喫茶店翠屋の手伝いをしている。そこの養子になったんだと。ユーノがフェレットに戻ってないとか驚かれたようだが、俺には関係ないので省く。
ティグリス? アイツは怪獣から犬に戻って、アリサの家で暮らしている。犬だけど、名前はティグリスになった。
「なんでフェイトが出てくるんだよ、最近プレシアさんに目付けられてて困ってんだ ヒロシ」
テスタロッサ家に関してだが、こちらはみんな元気。フェイトは週2くらいの頻度で遊んでいるし、アリシアも元気で元使い魔のアルフと散歩している。リニスは俺ん家を第二の家と認定したらしく、たまに遊びに来る。
テスタロッサ家に関してはもう一つ、俺も含めて鹿島家がお世話になっていた。
というのも、メフィラス星人になっていた父親が会社を辞め、怪獣達と立ち上げた運送会社はデスレムとグローザムのバカが経費を使いまくった挙句、守護騎士たちとの戦闘で潰れた。
そんな中、プレシアが新しく会社を立ち上げた。事業に関しては一度説明されたがよく分からない。クローンがうたらかんたらって言ってた気がする。
でもプレシアが天才であることに変わりはなく、その証拠に会社は成長中。そこに俺の父親がめでたく就職した。メフィラス星人になっていた影響なのか、父親も秀才として覚醒したらしく、プレシアの右腕として働いている。そもそもバックにアリサとすずかの二大お金持ちが付いた時点で勝ち確だけどね。
「フェイトは喜ぶのに アリサ」
「わたしも行っていい? はやて」
「もちろん アリサ」
「マジか ヒロシ」
八神家はというと、はやてを中心に守護騎士たち、リインフォースさんは楽しく暮らしている。ヴィータはゲートボール、シグナムは剣道、シャマルは料理とそれぞれ趣味を見つけた。ザフィーラは魔力を失った結果、人型を保てなくなり、獣モードでペットとなった。たまにリインフォースさんやはやてがザフィーラと散歩している。
魔法を使えなくなっても守護騎士は守護騎士。身体能力が異常で、シグナムに関しては歴戦の元ボディーガードや古武術に精通した青年と互角にやり合ったらしい。
「そうだ、はやて。クロノたちから連絡無いの? ヒロシ」
「うん、今回の『闇の書』事件があまりにも特殊すぎるって嘆いてた はやて」
クロノやリンディさんたち時空管理局の皆さんは、自分たちの居た世界、魔法の存在するミッドチルダへと帰っていった。たまに連絡が来る程度には付き合っている。
地球上から魔法が消えたことが幸いして、俺たちはお咎めなし。どれだけ危険な装置があったところで、それを動かす燃料、つまり魔力が使えなければ危険性は無いんだと。『闇の書』が扱えない人を『闇の書』の主として認識できないそうだ。名前も変わったし。
それにあっちの世界では魔力が多い人ほど重宝される傾向にある。魔力を封印された、なのはやプレシアさん達は微妙な立ち位置になったようだ。
魔法の使えないプレシアはプレシア本人として認められなかったらしく、本物は行方不明。本物であるはずのプレシアさんがそっくりさんとして処理されたそうな。
同じ理由でシグナム達守護騎士も無罪になった。レヴァンティンという凶器をブンブン振り回していたシグナムが犯人なのに、デバイス一つまともに使えなくなった人をシグナムだって認めるわけにはいかないでしょ。シグナム本人は剣道の道場で竹刀をブンブンしているけど。
証拠隠滅に関してだけど、宇宙人たちの悪知恵も含まれているから質が悪い。
「デバイス、やっぱり使い物にならないのが決め手だっけ? ヒロシ」
「らしいわね。わたしとすずかのは消えちゃったけど、動かないんでしょ? アリサ」
「そうやなぁ はやて」
お次レイジングハート他、デバイス組。
彼? 彼女らは物言わぬキーホルダーとなった。プレシアさんが言うにはデバイスとしての機能は失われておらず、魔力さえあれば再びディバインバスターを打ち放題になるらしい。間接的にではあるが、この悪魔の機械を封印したのが俺最大の功績だと思う。
「で、フェイトとはどこまで進んだの? アリサ」
「ごめーん、授業だ ヒロシ」
「あ、逃げた はやて」
そんな感じで怪獣を失い、代わりに友達を得た俺は今日も今日とてダラダラと平穏な日常を過ごしている。教室の外から空を見上げて、数日前まではこの青空の下を怪獣が飛んでいたことを思い出す。
怪獣だ。俺が願ったのは、『日常に戻りたい』。なんとも抽象的な願い事だが、『赤い球』はいい感じに叶えてくれた。地球にいるかぎり魔力は封印され、怪獣たちは消えてなくなった。効果範囲は地球限定なので、クロノたちが住んでいるミッドチルダという都市には影響はない。おそらく魔法が街のあちこちで使われているだろう。
逆を言えば、地球にいる限り、魔法関係でトラブルに巻き込まれることはないと言える。本当に平和だ。
「何して遊ぼうか」
平和になった世界でボケ―ッとしながらどうでもいいことを考える。ゲーム? 外で遊ぶ? ビデオ鑑賞もいいな。玩具を思い浮かべながら棚に並べた怪獣のソフビを連想する。アイツらは人形に戻ってしまったけれど、アイツらが作り出したものはまだ残っている。パソコンに保存された運送業のデータとか、俺のスマホに入っている集合写真。タイラントが破壊した木とかね。
そう、俺のすぐそばに非日常は広がっていた。薄っぺらい結界をくぐれば怪獣達が暴れて、子供部屋の押し入れのベニヤ板を外せば真っ赤な異次元が広がっている。あの『時の庭園』の崩壊と共に次元の狭間へと消えていった怪獣は関与していない。もしかしたら、あの怪獣はまだ生きているかもしれないし、地球のどこかに潜んでいる可能性だってある。
日常と非日常の境界なんて数センチ、数ミリの壁でしか隔たれていない。その壁をぶち壊して魔法や怪獣という非日常がやってきた。
俺たちの知っているこの世界は古本の一つや宝石の一個で容易に壊れてしまう。魔法は蓋をして封印をしただけだし、怪獣達は甦る。友達に吸血鬼だっていた。新しい敵が現れないとも言い切れない。
新しい非日常がやってきた。その時が怪獣達の復活する合図だろう。俺の手に真っ赤なガラス玉が握られていることを信じて、この願いは取っておくとしよう。
『ゴジラに会いたい』
最後の浩の願い。これが叶うか、否かは想像に任せます。
あと、なのは勢置いてけぼりにして申し訳なかった。すまぬ。でも、しょうがないね、プロローグも、あらすじも怪獣についてしか書いてないし。予防線は張ったよ。
あと、最後なんで質問あったらください。頑張って答えます。