第97管理外世界の赤い球   作:破壊光線

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少年が創る怪獣たち

 地底怪獣テレスドン。

 直立二足歩行、つまりゴジラみたいな体格の怪獣で、茶色い身体と太い尻尾、大きな口を持っている。怪獣らしい怪獣だ。別名の通り、地底に住んでいて怪力をほこり、地面を掘って地中を移動する。

 ナパーム弾でもビクともしない強固な皮膚と、口から吐くデプス火炎が武器だ。あと、重いらしい。ウルトラマンにめっちゃ投げられてたけど。

 

 彗星怪獣ドラコ。

 こちらも直立二足歩行の怪獣だけどテレスドンとは違い、尻尾は短く背中に羽が生えている。凶暴な性格で、両手のカマを武器に戦う宇宙怪獣だ。

 ジェットビートルっていう防衛軍の戦闘機を上回る飛行テクニックを持つ。この前言ったように手はムチになったりカマになったりと色々変化する。生き返ると指が生える。あと、よく羽をむしられる可哀そうな奴。

 

 

 とりあえず、俺はこの二体を作った。羽が生えている奴が欲しかったので、ホームセンター売ってた草刈り用のカマ、それを包装していたレジ袋とドラコのソフビを使って彗星怪獣ドラコを創った。テレスドンはコンクリートブロックとソフビで創ったけど、ちゃんとカッコいいテレスドンになった。

 ジェロニモンと顔合わせをして、軽く親睦を深めてもらい、メフィラス、メトロン率いる他のメンバーを紹介する。

 ドラコ、テレスドンともにジェロニモンと俺をトップだと認めてくれた。目を離すと二人で喧嘩するのが玉に瑕。肝心な時に羽の無いドラコが出てこないことを祈る。

 

 現状、俺たちの戦力はこんな感じ。

 俺こと、鹿島浩が率いるジェロニモン、ドラコ、テレスドン。メフィラス星人率いるデスレム、グローザム。メトロン星人率いるドラゴリー、バキシム。あとお助けキャラでベムスター。我ながら結構強いと思う。

 フェイトとなのはに関してだけど、ベムスターが倒されてから一週間は経っていて、その間にも二人が戦っていたらしい。メフィラスが言うには、ちょくちょく戦力を図っていたからそれなりのデータはたまったとのこと。いつでも二人同時に相手しても勝てるとまで断言していた。頼もしい限り。

 10体の怪獣が揃ったことと、計画が上手くいっていることを記念して、週末に温泉旅行に行くことになった。もちろん塾と学校にも行ってる。塾の宿題をメフィラスに手伝ってもらっているが。最近は友達と遊んでいないけど。

 

 

 

 

 バキシムとドラゴリーの能力で温泉旅館にワープした俺たち。旅館は大自然の中に建っていて都会とはちがい、空気がきれいだった。宇宙人の皆さんはあらかじめ人間に変身してもらい、怪獣、超獣組はIQの高い宇宙人が開発した擬人化マシーンで人間に変身してもらう。

 そんな訳で、宇宙人4人、怪獣4体、超獣2体、人間1人、合計11人という団体で旅館に押し掛けた。女将に畳のにおいがする和室に案内され、みんなゴロンと寝そべった。女将が退出すると全員が一斉に元の姿に戻った。

 

「ほい、怪獣と宇宙人の皆様。本日は仲間10体達成記念、おめでとうございます。これからもよろしく」

 

 俺が挨拶をするとあちこちから鳴き声が上がった。普段異次元に押し込められているからストレスたまったのだろうか。ベムスターは部屋に置かれていたお菓子を食べていて、すでに周囲には包み紙が散乱していた。

 

「さて、今日この後は温泉に入る。それでいいかい?」

「ギャース」

 

 メトロン星人側は温泉でリラックスする気満々だ。バキシムとドラゴリーも同意見のようで一緒になって騒いでいる。

 

「我々はどう動きましょうか」

「冷気を操る俺にお湯につかれと、スケート場にしてやろうか」

「フハハハハ、それも面白いがマッサージなんてどうだ」

 

 悪態付くグローザムと不気味に笑うデスレム。メフィラス側は不穏な空気が漂っていました。事件が起こらないことを切に願います。

 

「ヒロシ君、私たちは怪獣の素材に使えそうなものを探してきます。周りは自然に囲まれているのですから、何かしら見つかるでしょう」

「ご苦労なことで」

「土日も宿題に追われているあなたに言われたくありませんがねえ」

 

 メフィラスめ、根に持っているな。最近、分数の計算が手ごわくなってきたばかりなのに。塾の授業は予習だから難しい。

 メトロンたちとベムスターは温泉目掛けて突撃して、メフィラス達は探索に出かけた。

 

 残された俺たちは持ってきたトランプで遊んだ後、擬人化マシーンを使って旅館内を探索することにした。

 俺、おじいさんの姿をしたジェロニモン、色黒の若い兄ちゃんの姿をしたテレスドン、若い男子高校生風の姿のドラコ。この四人が旅館の木でできた廊下を歩いていく。

 

「今日は十分のんびりするぞー」

 

 俺たち以外にも客は来ているようで、反対側から可愛らしい女の子の声が聞こえた。

 最近、女の子という言葉にトラウマを植え付けられがちだが、今回はきっと関係ない。そう思いたい。

 

「いきなりだもんね~こんな話」

 

 穏やかそうな青髪の少女だ。そうそう、女子はこうだよな。

 

「でも、嬉しいじゃない」

 

 フェイトと同じ金髪の子だ。ちょっと強気そうなこの子はクラスの中心人物なんだろう。同じ金髪でもフェイトとは正反対だな。

 

「アリサちゃんも、すずかちゃんも今日はいっぱい遊ぼう」

 

 真ん中の二つ結びの女の子だ。髪の色は栗色。色とりどりな髪の毛だな。でもどっかでこの声聞いたことがあるような。

 

「そうよ、最近元気なかったし。パーッと遊びましょ、なのは」

 

 なのは。なのはだ。ベムラーをぶっ倒した少女、なのはだ。ああああ俺の休日が、俺の怪獣が。再びなのはに爆破される。いや、ベムスターがいるから大丈夫。フェイトと俺は友達になったし、今日はきっと。

 

「なのは発見 ヒロシ」

 

 メフィラスとメトロンにラインで連絡を入れる。めっちゃ荒れた。

 その後みんなで卓球をして遊びました。楽しかったです。小学生の感想。

 

 

 

 ヒロシたちが旅館で豪華な夕食を食べた後、メフィラス星人はデスレムとグローザムを引き連れて夜の森を探索に出かけた。森といっても旅館の付近だ。念のために三人とも人間の姿に化けている。

 当てもなくブラブラしてから川で魚を捕らえて異次元に送った。後で怪獣でも作るのだろうか、丁寧に水槽に放す。それから再びブラブラするとグローザムが何かを見つけた。

 

「まて、お前ら。この辺に何かある」

 

 グローザムが茂みに入り、もぞもぞ動くと青い宝石をもって出てきた。

 

「ほら、ジュエルシードだ。こんな場所にあるなんてな、温泉に入れなかったとは付いてくるもんだ」

 

 ガハハハとご機嫌に笑うが、すぐに声のトーンが戻った。

 

「おい」

「ええ、気づいていますとも。こちらに向かってきていますね」

「昼間、ヒロシから連絡が入った。きっとそいつらじゃねーか?」

「デスレム、グローザム、ヒロシ君からは、問題を起こさないように。と忠告されていますが」

 

 メフィラスが二人に聞く。

 

「俺たちの作戦を忘れたとは言わせーぞ」

「は、子供はおねんねしてるだろ。バレなきゃ構わん」

 

 二人とも戦う気満々だった。メフィラスはその返事に満足したのか、顎に手を当てる。

 

「分かりました。あなた達ならそういうと思っていました。しかし、ヒロシ君にバレないようにやるとなれば、この三人で戦わなければなりません。相手の数が分からない以上、こちらの手札を全て見せるのは危険です。私はもしものために控えておきます」

 

 メフィラスが消えて、豪将と謀将が残る。それからほどなくして、白い少女なのはが現れた。

 

「あの! 青い宝石を知りませんか? 私、それを探しているんです」

 

 なのはに尋ねられ、人に化けたグローザムが浴衣の袖からジュエルシードを取り出した。

 

「これのことか」

「あ、それです。返していただけますか?」

 

 なのはが無防備に近づいていく。グローザムが笑った。

 

「いいぜ、俺に勝てたらな」

 

 グローザムの浴衣が凍り付き、木っ端みじんに吹っ飛んで正体を現した。驚くなのはが叫ぶ。

 

「貴方は」

「俺は不死身の、グローザムだッ!」

 

 肩をゴキゴキと鳴らし、ジュエルシードを握りしめる。ゆっくりとなのはに近づいて、グローザムブレードを振り回す。

 

「チッ、外したか」

「どうして戦おうとするの?!」

「この宝石にはとてつもないエネルギーがある。こいつを使えばこの国なんざ消し飛ぶだろうよ。俺はそれでこの星を支配する。ガハハハ」

「そんなこと、させない!」

 

 なのははベムスターという怪獣相手にも、攻撃理由を訊ねるほど温厚だ。誰であっても話を聞く、その上で判断し、必要となったら戦う。これがなのはのスタイルだ。

 しかし、なのはは怒らないわけではない。相手がグローザムのような暴力にまみれた思考を持ち、自分にそれが止められる力があるのなら全力で止める。

 なのははレイジングハートを強く握りしめ、グローザムを迎え撃つ。

 豪将の剣が少女に振り下ろされたその時、グローザムの角を金色の刃が切り落とした。

 

「何者だ!」

「はぁぁああっ!」

 

 茂みの中から黒い服の少女、フェイトがカマを構えて飛び出した。

 

「デスレム!」

「いくぜ、ゴラア」

 

 デスレムが元の姿に戻ると、扇形の腕を振り下ろして、必殺技デスレムインフェルノをまき散らし、フェイトを攻撃する。フェイトは降りそそぐ火球をかいくぐり、ジュエルシードを持つグローザムの腕に切り込んだ。しかし、すぐに傷を修復させて、氷の剣を振り回した。

 

「デスレム、交代だ。なのはをやれ」

「オーケー、お前はフェイトを潰せ」

 

グローザムがフェイトの前に立ちふさがり、デスレムがなのはを牽制する。

 二人の少女は何かを感じたのか、同時に叫んだ。

 

「アルフ!」

「ユーノ君!」

 

 なのはの肩にフェレットのユーノが、フェイトの隣にオレンジ色の狼が現れる。この狼がアルフのようだ。

 

「仲間か、まとめて氷漬けにしてやる」

「フハハハハ、面白い」

 

 グローザムVSフェイトとアルフ。デスレムVSなのはとユーノ。二対一で戦いが始まった。

 

 

 結果から言うとグローザムとデスレムの方が一枚上手だった。

 フェイトの戦法は相手の急所に一撃を入れていくスタイルだ。それに対しグローザムは不死身と自負しているようにどんな攻撃もすぐに再生してしまう。フェイトがどんなに切り付けても、アルフが加勢しても、グローザムに有効打は無かった。

 これに対し、グローザムの冷気は広範囲に及ぶ。フェイトの防御は回避が中心ともあり、相性は悪い。もちろんバリアで防げなくはないが、足を止めた瞬間に氷の剣の餌食になる。

 

 一方でなのはは敵に隙を作り、超火力でねじ伏せる戦法を得意としていた。ユーノもそれを分かっているようで、バインドという技で相手を縛り上げて、なのはのサポートに徹した。

 しかし、デスレムには通用しなかった。デスレムインフェルノは時空を捻じ曲げて火球を放つ技。ユーノがデスレム本人をいくら縛っていてもこの技は使えるし、威力、精度ともに高く、発動までに隙が無い。さらに何発でも同時に攻撃できる。

 なのはのディバインシューターで火球は打ち落とせるが、絶えずディバインシューターを打ち続けていないといけない状態だった。ゆえに、なのはの必殺技を撃つ隙は無い。

 

 もし、なのはがグローザムと、フェイトがデスレムと戦っていたならば勝機はあった。しかし、今の二人は協力関係にある訳ではないので、対戦相手を変更するという考えがない。

 なにより、デスレムとグローザムが二人の情報を知っていた。これが一番大きかった。二人の戦法や得意技を知っていたからこそ、有利な相手と戦えたのだ。元から暗黒四天王と呼ばれるほどの実力者、初見でおいそれと勝てるほど弱くない。

 

「まだ、まだだよ」

 

 なのはが息を切らす。

 

「つ、強い」

 

 フェイトが膝をつく。

 

「フッ。女、それもガキにしてはなかなか楽しめだぞ」

「ああ、今倒すのは惜しいくらいだ」

 

 強敵と戦えて上機嫌な四天王二人。トドメはどうしようか。しかし、突如明後日の方を見ると、獰猛な笑みを浮かべていた宇宙人が舌打ちする。

 

「ボスが目覚めた。これ以上戦いを長引かせたらめんどくせえ。切り上げろと」

「まだ寝てろよな、いいとこなのに」

 

 戦闘中止の知らせが入り悪態をつく。気になる単語になのはが食らいついた。

 

「ボス、ボスって誰っ!」

「うるせぇ! クソガキ。俺たちは帰る。ケッ、命拾いしたな」

「フハハハハ、また来るぞ。なのは! フェイト!」

 

 デスレムが笑い、グローザムが捨て台詞を吐いて、そのまま姿を消した。ジュエルシードはグローザムが握ったままだった。

 

 

 

 宇宙人が立ち去り、四人が残さて沈黙が支配した。フェイトもすぐに立ち去ろうとはせず、グローザムがいた場所を見つめるばかりだ。凍り付いた葉が火球でできた穴に落ちる。

 なのははフェイトに向かい合った。

 

「フェイト……ちゃんだよね」

 

 フェイトが頷いた。

 

「フェイトちゃんもジュエルシード、集めてるんだよね」

 

 もう一度頷いた。

 

「私も集めてる。ジュエルシードはユーノ君が見つけたものなんだけど、事故で地球にバラまいちゃったんだって。だから、集めて渡したいの。

 でも、グローザムっていう怪人にとられちゃった。アイツらは地球を侵略するって言ってた。それだけは絶対に止めさせたい。でも私だけじゃ無理。お願い、力を貸して」

 

 なのはの真摯な言葉にフェイトがうつむいた。見かねたアルフが割って入る。

 

「なのはって言ったっけ。手を組んで、仮にアイツらを倒したとしてもどうするんだい? その後はまた奪い合うんだろ? 言えないけどアタシ達にも集めてる理由があるし……さすがに地球は侵略しないけど、さ」

 

 いくらフェイトの目的が分からないとはいえ、グローザム達よりはマシだろう。今日の戦いの結果らも、なのはだけでは手に負えないし、それはフェイトにも言える。

 フェイトはしばらく考えてから顔を上げた。

 

「いいよ、協力しよう。グローザムとデスレムを倒すまでだけど」

「フェイト、いいのかい?」

「フェイトちゃん!」

 

 フェイトが共闘を受け入れ、なのはが喜ぶ。協力することは決まったが、課題は山積みだ。それをアルフが突っ込んだ。

 

「だけど、作戦はあるのかい?」

 

 今まで黙っていたユーノが口を開いた。

 

「うん、今日戦って思ったんだ。グローザムの再生能力はすごいけど、斬られた破片や身体がくっついて再生する。だから、破片が残らないように消し飛ばしてしまえば復活できないと思うんだ。つまり、バラバラになった状態ならなのはの砲撃が有効だと思う。

 デスレムは縦横無尽に飛んでくる火球が武器だ。だけど、それらはディバインシューターで相殺できる。さらにデスレムの身体は骨と筋肉が逆になっている。だから、骨の間を正確に切り裂けるフェイトの攻撃が有効だと思うんだ」

 

 デスレムとグローザムという共通の敵に対抗するため、二人の少女は更なる作戦を練る。

 こうして夜は更けていった。

 

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