第97管理外世界の赤い球   作:破壊光線

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暗黒四天王を倒せ!

 温泉旅行から帰った俺は家で宿題をしていた。だらけてた分のツケがたまってしまい、デスレムを呼んで勉強を教えてもらっている。

 メフィラスは忙しいとのこと。温泉旅館以降、一人でコソコソ動いていた。異次元ではメトロンが新入りのドラコ、テレスドン、ジェロニモンの三体と超獣組を引きわせて何かやっている。連携の練習だとか。

 

「だからヒロシ、これは時速に対して答えが分速だから直さねーと」

「ああ、ゴメンゴメン。めんどくせぇな、速さって」

「ベムスターの飛行速度がマッハ5と時速5キロだと全然違うだろ!」

「確かに。くっそー、ここは秒速、こっちは分速、60かけて」

 

 飛行できる怪獣の名誉にかけても速さの計算を習得せねば。そんなこんなでプリントと格闘すること一時間、塾の宿題を解き終わり自由を獲得した。この単元は学校だと予習だからなおさら難しい。

 

「デスレム、ありがとう。助かったよ」

「俺が教えてやったんだから当たり前だ。フハハハハ、こんな問題で苦しんでいるとは地球人もそこが知れるな」

 

 デスレムに感謝し、達成感に浸っているとスマホが鳴った。

 

「あ、フェイトからラインだ」

「フェイトだと? あの子娘かデートの誘いか?」

「デートって、そんな関係じゃないし。君たちがなんかしたからでしょ? 温泉旅館で喧嘩売ったの……。え、もしかしてフェイトも来てた」

「みたいだ。なのはもろとも吹っ飛ばしといたぞ」

 

 フハハハハ、いつもの笑い声をあげる策謀宇宙人。勝手に行動してもらったら困るけど、なんやかんや笑っている君が好きです。

 

「それでなんて書いてあったんだ」

「メビウス見るけど来るかって」

 

 貴重なウルトラマン仲間の誘いだ、断るわけにはいかない。荷物をまとめているとメフィラスが現れた。

 

「ヒロシ君、最悪の事を想定した結果、一つ作戦を考えまして。デスレムとグローザムを使おうと思っているのですが、いいでしょうか」

「かしこまってどうしたのさ。別にいいけど」

「二人が死ぬの前提で作戦になってしまいました。最終的にはまた甦りますが」

 

 え、どういうこと? 意図がつかめなくて困惑しているとメフィラスは楽しそうに笑った。

 

「それは、お楽しみということで。そうですねぇ……作戦名は『ゴーストリバース』とでも名付けておきましょうか」

「まあ、最後にみんな一緒だったらいいけど」

 

 個人的に再生怪獣も好きなので、特に言うことはないから許可しとく。いざとなったらジェロニモンにお願いすればいい。

 

「ありがとうございます。それではいってらっしゃい。あと、グローザムとデスレムは今日一日寝ると言っていました。我々もこれから起きることは他言しませんので」

 

 メフィラスに見送られると不吉なことが起こりそうで怖いんだような。すっげえ意味深なこと言っているし。メフィラスもしかしてデスレムたちを倒してもらいたいのかな……。宇宙人たちって考えてること全然違うし。まあ、いいや。

 俺はフェイトの家に向かった。

 

 

 

 でかいマンションにたどり着いて、インターフォンを押す。ドアが少し開いて、フェイトが出迎えてくれた。

 

「どうぞ」

「お邪魔しまーす」

 

 殺風景といったら殺風景なリビングに案内された。ソファにはオレンジ色の髪の女の人が座ってる。

 

「君がヒロシ君? アタシはアルフ。フェイトとは家族さ」

「あ、はじめまして」

 

 失礼のないようにお辞儀をして、テレビの前に着席。

 

「えっと、今日はデスレムとグローザムっていう怪獣について知りたいな」

 

 フェイトが麦茶を持ってきてくれた。いつも麦茶ばかり飲んでいるけど、フェイト家の麦茶は俺ん家と味が違って新鮮だった。

 グラスをテーブルに置くと、メビウスのDVDが積まれていた。本日の怪獣講座は暗黒四天王の二人、やっぱアイツら旅館で何かやらかしたようだ。

 

「デスレムとグローザムか」

「うん、一緒に見よ」

 

 これはお誘いと捉えていいのだろうか。この前学校で女子が話してたお家デートになるのか。好感度ゼロだったのにどこかで盛り返したか?

 メビウスはシリーズを観てからの方が面白いと思うけど、フェイトの好きなように見させるのがいいだろう。

 

 一時間くらいして45話と46話が見終わった。個人的にはその次の47話が好きなんだけど、それはまたの機会で。

 フェイトはDVD片づけてくる。と言って別の部屋に行った。その間、スマホでメビウスについて調べてたら廊下が光った。何事かと光の方向を向くと、きわどい衣装に着替えたフェイトが現れた。

 

「びっくり、したかな」

「何それ」

 

 スクール水着に申し訳程度についたスカート、黒ニーソに黒手袋という、ドラクエに出てきそうなよく分からない格好。ベムスターと戦ってるときに見たあの姿。一度見たことあるけど、カミングアウトは予想外だったので目が点になる。バレたかと思い、カバンを手繰り寄せ、その中にあるバトルナイザーを握りしめた。

 絶賛驚愕中の俺をおいてフェイトが語り始めた。

 

「突然こんな格好しておかしいよね。でも私は本気なんだ」

「フェイト……」

 

 お姉さん公認なんだね。この格好。

 ジリジリとフェイトが迫ってくる。

 

「大丈夫だよ、攻撃なんかしないから」

 

 この後何が起きるんですか。さらに困惑する俺。助けを求めてスマホを見ると、ラインには様々なメッセージが送られていた。

 

「今だ、壁ドン。メトロン」

「その後はキスしろ。ベムスター」

「いやぁ、初々しいですねぇ。メフィラス」

「お―だいたん ドラゴリー」

 

 何なのコイツら。勝手にお祝いムードになってるんだけど。壁ドンって何さ、メトロン。キスされるのはおそらく俺だぞ、ベムスター。ドラゴリー、文字打てるようになったんだ。告白ってやつだよな、お姉さんいるんですけど。

 俺はチラリとポケットのバトルナイザーを見る。三つの画面には一文字ずつ映し出されていた。上から順に、『こ』『く』『れ』。

 マズくない、ケータイもバトルナイザーも敵しかいないよ。誰か助けて。バキシム助けて。

 

「末永く爆発してください。バキシム」

 

 裏切ったなバキシム!

 

 唾を飲み、滝のように汗を流す俺、どこまでも真剣な表情のフェイト。きれいな瞳に俺の間抜けな顔が映った。彼女は机の上に青い宝石ジュエルシードをおいた。いよいよか。

 

「この宝石はジュエルシードっていうんだ」

 

 これからジュエルシードに付き合ってってお願い事するのか。それもう、俺に拒否権無い。男女不平等とはまさにこのことだ。

 それもとコレ使って指輪作ったよって報告されるのか。それは式上げてケーキをぶった切るヤツなのか、君も俺も法律的に出来ないと思が。フェイトって異世界人じゃん。日本の法律、適応されないのを忘れてた。

 

「私とアルフでこのジュエルシードを集めてるけど、ジュエルシードには大きな力があって対象の願い事を叶えられるんだ」

 

 どっかの『赤い球』みたいな能力だな。それで、指輪は……。

 

「指輪? 何それ。ハッ、もしかして指輪型のジュエルシードがあるとか」

 

 何でもないでーす。よかった。別の話で。スマホのバットコール凄い。

 ジュエルシード。メフィラスから話は聞いてるけど、当事者から直接聞くのは初めてだな。みんなに説明できるように真面目に聞かなきゃ。

 

「たまにその力が暴走して、間違った願い事が叶うこともあるんだ。猫が巨大化したり、スライムみたいなモンスター出来たり。中にはベムスターみたいな怪物も出てきたの」

 

 あー三つとも知ってる。そのうち一つは俺の生み出した怪獣です。ごめんなさい。

 

「そんな相手と私は戦ってるんだ」

 

 そしてこれは私の武器。フェイトは黒い杖を俺に見せた。

 

「バルディッシュって言うんだ。あと、この格好はバリアジャケットって言って、魔法で出来た防具みたいなもの」

 

 魔法って、メタリックな杖に魔法って似合わないと思う。俺の知ってる魔法の杖は先端にドラゴンの装飾があったり、材質がヒノキだったりする。ここまでメカメカしいと科学に分類されると思う。

 その後もフェイトの説明は続いた。アルフが実は使い魔でオオカミだということ、フェイトは雷の魔法が得意だということ。白い少女なのはについて。途中でバルディッシュが喋って補足したけど、日本語じゃないから分かりませんでした。

 

「最初は順調だったんだけど、デスレムとグローザムが現れたんだ。それで、戦ったんだけど負けちゃって……。信じられないよね。こんな話」

 

 メフィラスからある程度聞いてるし、俺自身も君が戦ってるのを映像で見たから信じてる。信じてるよ。

 だけどさ、分速から秒速への単位変換で悲鳴を上げてる人がこの話を理解できますか? できませんね。専門用語多いし。必死にノート取ったとしても、頭パンクする。

 ただ、デスレムとグローザムが勝手に暴れてたということはよく分かった。

 

「いや、分かった。仮にその……ばる、何とかがオモチャだとしてしゃべれても、エネルギーの刃出すのは見たことないし。……信じるしかないよ」

「ありがと」

 

 俺が信じてくれのがよっぽど嬉しかったのか、フェイトが抱き着いてきた。めっちゃいい匂いがした。バルディッシュの刃の部分がさっきより伸びて首の裏に当たりそうなのは気のせいだと信じたい。

 超獣と宇宙人どもがスタンプでバンザーイを送ってくる。バトルナイザーは『キ』『ス』『だ』だって。しないから。さっきまでバッドコールだったくせに。こいつらの掌、レギオノイドになってるんじゃないですかね。

 フェイトは照れながら離れると、小さく咳をした。

 

「さっきはゴメン。それでヒロシ君、デスレムとグローザムの弱点って何?」

 

 出かける直前でメフィラスが言ったことを理解した。これが本題か、仲間を見捨てるようで気が引けるけど、ここまで聞いてしまった以上は何か言わねばなるまい。

 

「弱点、そうだな……合体光線はウルトラマンだけだから。格闘戦じゃない? デスレムなんて棒立ちでやられてたじゃん」

 

 フェイトはいつのまにやらメモを取り出して必死に書き込んでいた。何事にも一生懸命だから素直に応援したくなる。一緒にいても気が利くし。地雷多いけど。

 

「あとは……人を甘く見ているとことか?」

 

 個人的にこれが一番の弱点だと思ってる。二人とも人間とウルトラマンの絆や人間の学習能力に倒されたから。今朝、算数できないのバカにされ事とは関係ない。

 

「甘く見てる?」

「うん、グローザムなんて、人間をひ弱な生き物って言ってたじゃん。それでメビウスの復活を許して負けてるから、さ」

「なるほど」

 

 フェイト、スゴイ喜んでいるんだけど、目がキラキラしてる。これ以上喋ったら二人とも倒されそうな気がする。

 

「でもそれ以外に弱点は無いんだよね」

「アルフさん、確かにその通りだと思います。だから彼らは暗黒四天王なんです。しかし、最後まで諦めない限り、かならずチャンスは巡ってきます。逆に作り出すように戦えばいいんです」

 

 フェイトもアルフも聞き入ってくれた。グローザムはメビウス倒したし、デスレムも作戦で追い詰めてた。二人とも中途半端に勝てるほど弱くない。だけど。

 

「コノミ隊員だって言ってたじゃないですか、仲間がいればどんな強敵にも勝てるって」

 

 アルフとフェイトはお互いを見て頷いた。

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