レーンの村のウェディ男です。
レーンの村
ある日、アストルティアの中心に位置する大陸、レンダーシア大陸を闇の雲「魔瘴」が覆い尽くした。
その「魔瘴」のせいでレンダーシア大陸へと続く航路は断たれ、1度はレンダーシア大陸へと向かったグランドタイタス号も「魔瘴」の中では方向が分からないどころか舵もとれず、命からがら帰還した。
それによって、グランドタイタス号は故障。どちらにしても暫くはレンダーシア大陸へ行くことは出来なくなったのだ。
当然、レンダーシア大陸側からも他の大陸には行けなくなった。
「・・・母さん。泣いてるの?」
銅の大剣を背負ったウェディの青年がすすり泣く母を見てそう訊ねた。
息子に気付いた母は涙を拭き取ると、「何でもないわ」と笑顔で返した。
「そう・・・分かった」
青年もまた笑顔で返した。
青年は知っていた。レンダーシア大陸に向かって帰ってこれなくなった父を心配していつも泣いているのを。
(父さん・・・)
◇
ブン!ブン!
「・・・止め」
ガラン!
200回の大剣素振りを漸く終えた青年は腰が曲がったオーガの老人の一言で銅の大剣を放り投げ、その場に腰を下ろした。
「ぅはぁ!はぁ、はぁ」
「ひっひっひ・・・流石でございます」
「はぁ、はぁ、アガペイさん、何が流石なんですか・・・?」
「あなたさまは強いのです。わたくしめは今まで幾人もの戦士見習いを見てきましたが、あなたさま程大剣に適した者は初めて見ました。将来、あなたさまが戦士でなくても、素晴らしい大剣使いになっている事でしょう」
腰が曲がったオーガの老人、アガペイはいつものように目を閉じたまま「ひっひっひ」と笑う。
この老人、アガペイはここウェナ諸島から遥か北のオーグリード大陸のグレン城下町から旧友に会いに来た者だ。
旧友はジュレットの町に居るが、観光がてら此処レーンの村まで来ている所、戦士の修行に汗を流す青年を見掛け、今に至る。
「そうなれば良いですけどね・・・」
「ひっひっひ・・・ご心配しなくてもあなたさまは大丈夫でございます。・・・おや、もう夕方でしたか」
アガペイはあくまで旧友に会いに来ただけ。宿泊費など持ってきては居ない。
「あ、じゃあジュレットまで送りますよ」
正直、青年はアガペイが魔物が彷徨く中、此処まで(ジュレットからの道中、ジュレー島下層の巨大空洞を抜けてくる必要があり、その巨大空洞にはなかなか手強い魔物が居る)1人で抜けてきたのか気になっていた。
「この老人を労ってくれるとはありがたや」
「じゃあ暗くなる前に行きましょう」
青年は銅の大剣を背中に収めるとゆっくり歩みだしたアガペイに合わせて歩き始めた。
如何でしたでしょうか。