ドラゴンクエストX ~父を探して~   作:ゴミ収集車

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新たな仲間

 

 

 

 

 

チュンチュン。

朝日がさすランガーオ村の教会の前で久々の清々しい朝を迎えた神父がいつになく元気に雪を掻き出していた。

 

「おぉ、神よ。今日も1日みなが元気に過ごせるように見守り下さい」

 

手を合わせ、神に祈りを捧げる。昨日、この村を瀕死に追いやっていた魔瘴竜はもう居ない。漸く生きた心地を感じる事が出来たランガーオ村人は祝福パーティーの酔い等でまだ起きられない。物資も届きはじめて村人はギージスとギール、そしてクワレー達にこれ以上とない感謝の気持ちでいっぱいだ。

 

「しかし、悪鬼ゾンガロン・・・やはり魔瘴が強まったのが原因か」

 

ここ最近になって魔瘴が活発化し、世界中で魔物の凶暴化等が報告されている。今回の悪鬼ゾンガロンがメラリを半分手下に出来たのもこれが原因である。

 

「神父さんおはようございます」

 

神父が考え込んでると不意に声を掛けられた。

昨日の戦闘でボロボロになった皮装備を身に付けたウェディの青年、クワレーが目の前に立っていた。

 

「おぉ、クワレーさん。おはようございます。こんな朝からどうしたんですか?」

 

「ここを旅立つまえに祈っておこうと思いまして」

 

「おや、もう此処を出てしまうのですか?」

 

神父はせめて皆が起きてる時にじゃ駄目なのか?と聞く。クワレーとしてはレーンの村を出た時のように、見送りも無く、静かに出たいのと、単純に見送られるのが恥ずかしいからと言う理由だ。

 

「そうですか・・・残念ですが、旅の無事を祈りましょう」

 

クワレーは神父の指示に従い、足元のスラリンガルと一緒に旅の無事を祈った。

 

 

それから数十分後、旅立つ準備を終えたクワレーが村の西にあるギージスとギールの家(昨日は此処に泊まらせてもらった)にもう一度立ち寄り、せめて2人にも旅立つ挨拶をしようと中に入る。

 

「・・・」

 

2人はまだ寝ているのか、物音1つ聞こえない。

やっぱり昨日の戦闘の疲れもあるだろう。流石に起こしてしまうのは可哀想だ、と静かに家を後にした。

 

「さようなら」

 

「なんだよ水臭ぇなぁ」

 

「!」

 

突然の声に振り返ると顔半分を包帯で巻いたギージスが仁王立ちしていた。

 

「ギージスさん・・・」

 

「なんでそうよそよそしいかなぁ?別に起こされたって怒りゃあしねぇよ?」

 

「すみません。ちゃんとお礼もせずに出ていこうとしてしまって」

 

「いや、お礼を言うのは俺達だって。ギールは特に感謝してたぞ」

 

ガハハ!と豪快に笑い、クワレーの肩をバシバシと叩く。この村の人は笑いながら叩くのが好きなのか・・・?

クワレーが苦笑いしていると真面目な話だ。とギージスが真顔になる。

 

「本当に感謝してる。お前と会わなかったら、きっと俺達は死んでいた。俺も充分強いと思っていたが、ヒョロいウェディにも救われる事があるんだな。俺達はお前を次の世代にもその次の世代にも伝えていく。ありがとう」

 

「こちらこそありがとうございました、皆さんの勇敢な心を、僕も伝えていきます」

 

2人は固い握手を交わし、共に無事でいつか合おうと約束した。ギールはまだ寝ているから。とギージスに言われ、今度こそそっと家を後にした。

 

「じゃあな!また会おうぜ!」

 

「また遊びに来ます!また!」

 

ギシギシと雪を踏みしめ、静かな村を歩いて行く。オーガは寒さにも暑さにも強い強靭な種族。だから修行のためにこの極寒のランガーオ村に来るものも居る。当然、寒さが厳しいと感じる他の種族は滅多に来ないしクワレーもこの寒さが好きになることは絶対無いだろうと身を震わす。

村の中心、道具屋等が並ぶ所を通過した所で冷たい風をかんじる。早朝過ぎて道具屋も開いていないから薬草なども買うのは途中の獅子門まで我慢するしかないが辛うじてヌーク草が鞄に数枚入っている為、途中で凍え死ぬことは無いだろう。

 

「鎧も買わないとな」

 

ベシ!

 

「イデッ」

 

「遅い!」

 

「・・・は?」

 

突然食らった後頭部の一撃はなかなか重たく、もしかしたら眼球突出が、とそうではない。今は何故彼女が此処に居るのかだ。

 

「ギールさん?何してるんですか、って言うか何するんですか」

 

「叩いたのよ。あまりにも遅いからもう行ったのかと思ったわ」

 

「・・・話が合わないんですが」

 

「んむぅ、まだ分からないの?私も旅についていくって言ってるの!」

 

はぁ。と口を半開きにして返事するとギールが恥ずかしそうに手を出してきた。

 

「?」

 

「あ、握手」

 

「OK。これから宜しくお願いしますギールさん」

 

「宜しくね。あと、私クワレーと同い年だからタメ口でヨロ」

 

若干ギールの方が身長が高く、なんだかタメ口するのが難しくかんじたクワレーだった。ギールが旅立つのはギージスも承認の上らしい。彼女の大目的はまだ不明だが、昨日のパーティーの時に共通の目的があった。アガペイから戦士の証を貰う事。

証とは、其々の職業で存在する、ある程度の強さまで達した者のみが受け取れるバッジ。これを貰えるのは誇りであり、強さの証明。持っていれば装備出来る武器や防具(証が無いと買うことも貰うことも装備することも許されない物も沢山ある)増える為、誰しもが求める物なのだ。

 

「じゃあ、まずはグレンに行きまし・・・行こう。アガペイさんを探さないと」

 

「OK」

 

「で、道が分からないから、案内お願いしま・・・お願い」

 

「任せて」

 

ウィンクしながら親指を立ててOKサイン。ギール自信は恥ずかしいが、実はちょっと気になってしまったクワレーに可愛く見せようとしてみた。が、当のクワレーはスラリンガルの皮の帽子のズレを直していて見ていなかった。こう言う時、女子は大抵不機嫌になる。

 

「行くわよクワレー」

 

「え、あ、うん」

 

何か感じたクワレーはどうしたのか声を掛けたかったが、敢えて控えることにした。

今日のランガーオ山地は快晴、大地を覆う白い雪が日を強く反射している。

 

 




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