ドラゴンクエストX ~父を探して~   作:ゴミ収集車

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第3章 ガートラント
ガートラント城


 

 

 

 

 

ザマ峠の中央にあるザマ峰火台から空高く立ち上る煙は、昔から旅人や商人達が方向を見失わないようにする役割を持っている。煙に向かえば必ずザマ峰火台に着くので、今も昔も重要な役割を果たしている。

そしてザマ峠は峠だけあって非常に急な上り坂と、反対に非常に急な下り坂が両立している。しかも道中には其処ら中にばくだん岩がゴロゴロと微笑んでいる。人を押そう事は無いが、よく商人の馬車がばくだん岩に邪魔されて動けない等、刺激して誘爆しないように何人係かで退かしたり、結構迷惑な奴なのだ。しかもしかも、そのばくだん岩の対応に時間を費やしていると、さんぞくウルフが商品や金品を根こそぎかっさらっていってしまい、精神と商売に痛恨の一撃を貰う者も少なくない。

因みにさんぞくウルフが盗んできた物は特殊な闇ルートで売り飛ばされているらしい・・・。

 

「それ本当?だったらそのさんぞくウルフめっちゃムカつく」

 

「奴等も生きる為に山賊やってるんでしょ。其々の生きる術に対してとやかく言わないけど、あいつらも生きるの大変なんだな」

 

「・・・さんぞくウルフって魚と野草が主食なんだって。盗んでてにいれたお金は使わないんだって・・・図鑑に書いてある」

 

「・・・あいつら許さん」

 

兎に角会わない事を願い、不気味に微笑んでいるばくだん岩を避けながら長く急な坂を上っていく。

特にクワレーは2本の大剣を背負っているので体力消耗は激しい。ギールが抱えるスラリンガルも自分ではまだ動けないので水分約100%の超潤いボディでなかなか重たい。

 

「ひぇー・・・キツいー」

 

「あと少し・・・」

 

此方を見るばくだん岩の微笑みが、まるで必死に上る姿を滑稽だと見下しているかのようで、その面に1発蹴りを入れたくなる。

耐えて耐えてやっと峰火台に到着。階段でへばっていると、峰火台の中が騒がしい事に気付いた。

 

「どういう事だ?グレンから帰ってきた使者がガートラントに着いていないって事なのか?」

 

「ああ。まだ帰還報告が無い」

 

「でも、確かに昨日此処を抜けてガートラントに向かって行ったのをこの目で見たんだ」

 

「・・・では、ガートラント領内での犯行か」

 

ガートラントの兵士と数人の男達が落ち着きが無い様子で話している。ガートラントの兵士はパラディンだろうか、フード付きの防具パラディンチェインをはじめとした装備一式を身に纏っている。すると、そのパラディンが見ていたクワレーと目が合い、険しい顔で寄ってくる。

 

「君。ちょっと良いか?」

 

「は、はいっ」

 

「君はどうやらグレンから此処まで来たようだが、道中馬車を引くパラディンの一行を見なかったか?」

 

当然そんな一行は目にしていない。知らないと答え、立ち上がる。

 

「!!!」

 

クワレーは目を皿にした。

立ち上がった瞬間、パラディンの肩越しに坂を下っていく白いベールの女の姿を見たのだ。我を忘れ、パラディンを押し退けて一気に女を追い駆け出す。

 

「待て!白いベールの女!」

 

峰火台中の階段を飛び下り、反対の上り階段をビッグブレードⅡを引き抜きながら駆け上がった。白いベールの女は声に気付いたのか、クワレーに背を向けて立ち止まっていた。パラディンも数秒遅れてクワレーを取り押さえる。

 

「ふふふ・・・」

 

「待て!お前がゴーレムを呼び寄せたんだろ!答えろ!」

 

「暴れるな!あの女に何で武器を向ける!」

 

「あの女は!グレン城下町にゴーレムを呼び込んだ奴だ!」

 

「何!?それは本当か!?」

 

「あらあら、何処でそれを知ったのかしら?」

 

白いベールの女は振り向いて妖艶に笑う。パラディンも女の異様な様子にクワレーを離し、持っている槍の刃先を女に向ける。

 

「お前は何者だ!もしや、この事件と関係があるのか!」

 

「事件?」

 

「あぁ。実はここ最近、ガートラントの兵士が居なくなる事態があってな。しかも、強い奴等ばかりだ。お陰でガートラントは警備や警護等の人員が激減し、魔物に攻められたらすぐにお仕舞いだ」

 

「ん・・・?貴方、確かゴーレムを切り落とした・・・ふぅん、意外な事もあるのね」

 

1歩1歩腰をくねらせながら近づきだした女を威嚇するようにクワレーが頭上に持ち上げたビッグブレードⅡを渾身の力で地面に叩き付けた。

 

ズガン!と地面が捲れ、亀裂が走る。巻き起こった風に押された女は咄嗟に半歩下がり、埃を払う。

 

「乱暴ねぇ・・・まぁ良いわ。また逢いましょう、“特別な”戦士さん」

 

フッと瞬きした瞬間に姿を消した女。隣のパラディンも驚き竦み上がっている。

 

「畜生!」

 

「・・・君、さっきの女の事を知っているのか?」

 

「全然です・・・。!分かってる事は何でも話します!だからガートラント城下町に連れていって貰えませんか!」

 

なんてセコい男なのか。このパラディンが乗って来た馬車を見るやいなや自身が知る情報を商品に馬車に乗せてくれと言っている。極論だがこれも立派な交渉の1つだ。

 

「馬車に乗りたいのか?うーん・・・座り心地が良くなくても良いか?」

 

「はい!喜んで!」

 

最早座り心地の良し悪しは問わない。兎に角歩かなければそれで良いのだ。

不承不承で同意したギールも棒になった足でクテクテと歩む。正直、馬車に乗れてラッキーだと思っていたのはおくびにもだせない。

 

「交渉成立だな。お前には王の前で全て話して貰うからな?30分後、ガートラント城下町に向けて出発だ」

 

 

ガートラントは、昔からグレンと良いも悪いも深く関わってきた国だ。昔は戦争で世界が「オーグリード大陸と戦ったらマジで死ぬ」と恐怖させるほど戦いは激しかった。以降、2国は友好関係を築き、アストルティア1戦争を嫌う大陸となった。

そしてこのガートラントの王は老いても強靭な肉体は衰えない、グロズナー王だ。最近は王女であり、孫娘のゼラリム姫が病気で寝込んでるらしく、人間の賢者マリーンに治療を任せているようだが心配で趣味の狩りにも行けない様子。

 

「・・・なるほど。グレンの騒ぎを小耳に挟んでいたが、その女が黒幕とは」

 

「グロズナー王。この旅人も腕がたちます。彼らに協力出来るかもしれません」

 

「彼ら?」

 

「私達よ」

 

後ろからの声に振り返り、王の間に入ってくる男女を見る。2人ともオーガで、1人はバニラの高い位置からポニーテールで腰に剣らしき物を吊るす女性。もう1人は同じくバニラで長い髪を後ろに長し、左頬に十字の傷、左肩にショルダーアーマーを装備している男性。

 

「あ!アロルドとマイユ!?」

 

「あれ?ギール!?わぁ、久しぶりね!元気にしてる?」

 

「そっちこそ。おしどり夫婦はどうなんですか?」

 

「今は世界を旅してるんだ。・・・ジーガンフはどうなった?」

 

「ジーガンフは」

 

「・・・ワシは空気になっているのか?どうじゃマグナス」

 

「ぅっふぉん!」

 

グロズナー王に参謀として仕える人間の男、マグナスがわざとらしく咳をする。すぐに私語をつつしみ、正座をするクワレーの隣に立つ。

 

((何で正座?))

 

「グロズナー王。今回は私達が助力できるなんて光栄です」

 

「すまないな。此処にはもう腕のたつ兵士は居ないのだ。こうしてお主たちの力を借りなければ何もできん」

 

「おやおや。こんなにお揃いでどうしたんだい」

 

王の間の奥にある階段から1歩1歩重たそうに降りてくる大きな人影。背中に特殊な長い武器を背負い、大きな体に目付きが悪い。

彼女が賢者マリーン。今はこうしてゼラリム姫の治療を行っているのだ。

 

「グロズナー王、姫さんはもうしばらく掛かりそうだね。まぁ心配しなくても大丈夫だよ。ん?アンタ・・・」

 

クワレーに気付いたマリーンは目を細め、ゆっくり近付いてくる。

 

(うわっ、こっち来た!ヤダァー止めてくれぇ)

 

因みにクワレーは太った奴と関わるのは好きではない。以前、財布の中身が空になるまで奢らされたトラウマがある。

 

「・・・良い男じゃないか。そこのお嬢さんが居なかったらお近づきになりたかったね」

 

(イヤァー!キモい!)

 

「はっはっは。冗談だよ。ではグロズナー王、私はそこら辺の見回りにでも行ってくるよ」

 

巨体を揺らしながら出ていくマリーンを見たギールもあの体躯には驚きを隠せない。

 

「話を戻そう。今このガートラントは危機に陥っておる。この問題を解決できた暁には、キーエンブレムを送ろう」

 

キーエンブレムとは、功績を立てた者に贈られる証。これを求めて旅をする者も少なくない。持っていれば将来肉体系の就職にも困らないかも。

それぞれグロズナー王から激励を貰い、王の間を後にした。

 

 

 




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