立花響に勝利したい   作:うみうどん

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いつのまにか100のお気に入りを超えていました( ^ω^ )
嬉しい( ^ω^ )


十一話

「……で、お前はどこまでついて来る気だよ!」

「家がこっちなんだよ」

 

 兄妹と別れた二人は、家路を急ぐ。

 といっても少女の方は帰るところがないので、このまま夜をさまよう予定であった。

 

「ったく、んじゃ私こっちだから、ついてくんなよ!」

「誰もついていってねーよ」

 

 鍵音がため息を吐き、少女に背を向けたその時だった。

 路地に入った少女の方からドサっという音が聞こえた。

 こけたのかと思い、路地の方を見てみるとそこに少女が倒れていた。

 

「なっ! おい! 大丈夫か!」

 

 鍵音が少女に駆け寄り、額に触れる。

 どうやら高熱を発しているようで、かなり熱かった。

 

「……風邪か。しかし……どうすれば」

 

 そのまま寝ている少女をそのままにも出来るわけもなく、鍵音は少女をおんぶする。

 

「俺の家……は、ダメだ」

 

 鍵音は自分の家に連れて行こうかとも考えたが、今の部屋の惨状を見るとその考えは却下された。

 しかし、行くあてもない。

 いや、一つだけあった。

 

 鍵音が週一で通っている店がある。

 そこのお好み焼きは大変美味で、昔、響に連れてこられた時以来、鍵音も何年も通っているのだ。

 しかし、こんな時間に迷惑ではないだろうかとも考えるが、そんな事を言っている場合ではなかった。

 

 ──ー

 

「お友達は大丈夫?」

「すみません、こんな時間に」

「いいよ、困った時はお互い様だからね」

 

 少女を布団に寝かしつけ、ふらわーのおばちゃんに頭を下げる鍵音。

 ちなみに少女の服はおばちゃんが脱がしてくれた。

 

「……着替えはどうするか……」

 

 流石に着替えまでもおばちゃんのを借りるわけにはいかないと思い、持っていた携帯を見る。

 アドレス帳を開くと、そこには二件のアドレスが入っていた。

 立花響と小日向未来だ。

 

 鍵音は迷いなく未来の方に電話をかける。

 ここに響を呼ぶよりか未来の方が頼りになると判断したからだ。

 

『もしもし? 黒森君の方から電話なんて珍しいね』

 

 どうやら少し不機嫌だったようだ。

 声色が怒っている感じがする。

 

「すまん、こんな時間に。急で悪いがふらわーに女性物の着替えを持って来てもらえないだろうか」

『え? 急にどうしたの?』

 

 困惑する未来であったが、鍵音が事情を詳しく説明すると、すぐに行くと返事が聞こえた。

 

 ──ー

 

 そのあと未来がふらわーにやってきて、少女に服を着させる。

 鍵音はその光景を見て、ホッと一息ついた。

 

「はい、黒森君、未来ちゃん、あったかいものどうぞ」

「どうも」

「ありがとうございます」

 

 おばちゃんからあったかいお茶を貰い脱力する二人。

 なんだか一仕事を終えたような感覚だった。

 

「よし、ありがとう小日向。送って行こう」

「いや……今日はおばちゃんの家に泊めてもらおうかな……って」

「……立花と喧嘩したのか?」

「……」

 

 なんとなく察しはついていたが、本当に喧嘩しているとは思っていなかった。

 二人は本当に仲良しで、喧嘩してもすぐに仲直りするものだと思っていたのだ。

 鍵音も幼馴染ではあるが、二人の世界にはとてもじゃないが足は踏み入れたくない。

 鍵音は響を倒そうとするだけで、そのほかの私生活には一切手出しはしていなかった。

 

「まったく……」

「鍵音君は知っていたの?」

「まあな」

「だよね……じゃなきゃ……病室にいないもんね……響もツヴァイウィングの二人も」

 

 あの時はどうやら鍵音の勘違いではなく、ちゃんと見ていたらしい。

 何か言われるのかと鍵音は思ったが、そのまま未来は押し黙ってしまった。

 

「まあ、相談できることがあったら話せよ。一応、長い付き合いだしな」

「……うん」

「ま、今日は寝ろ。アイツは俺が診ておく」

 

 俺が拾ってきたようなもんだしなと付け加えると、未来が少し笑う。

 どうやら少し気が紛れたようだ。

 

「……うう……ママ……パパ……」

「……ひどい、うなされようだな」

 

 鍵音が少女の額にあったタオルを変える。

 鍵音自身、なぜこのような事をしているのかとも思ったが、それも昔からであった。

 

 鍵音も響程ではないが人助けはする。

 困っている人間を見捨てては置けないからだ。

 昔はよく響と一緒に人助けをしては遅刻して先生に怒られていた。

 

(まあ……今は学校に行ってはないが)

 

 鍵音は中卒である。

 理由としては高校に入ってまで勉強する価値が見出せなかったから。

 それと人付き合いに少し疲れたのもあった。

 

 ふと、鍵音は窓を見る。

 どうやらもうそろそろしたら夜が明けるみたいで、雨が降っているが当たりが明るくなってきた。

 

「身体が少しだるいと思ったら……雨か」

 

 嫌な空気だなと、早起きしてきた未来に少女の看病を任せて、鍵音も眠りにつくことにした。

 

 ──ー

 

「私、クリスの友達になりたい」

 

 鍵音が仮眠から戻ると未来がそんな事を言っていた。

 

(そうか、クリスという名前なのか)

 

 そんな時だった。

 街中に警報が鳴り響く。

 この警報はノイズが出たという緊急避難警報。

 この音が鳴り響いたら一般市民はシェルターへ避難しなければならない。

 

「二人とも!」

「鍵音君!」

 

 おばちゃんを連れて四人とも外へ出る。

 外へ出たら逃げ惑う人々で溢れかえっていた。

 

「おい、一体なんの騒ぎだ」

「ノイズが出たんだ」

「警戒警報知らないの!?」

 

 ノイズが出た。

 そういうとクリスが渋い表情を浮かべ。

 シェルターへと逆の方向へ走り出す。

 

「クリス!?」

「くそ! 取り敢えず、小日向とおばちゃんはシェルターへ! アイツは俺が追う!」

 

 鍵音もクリスを追って走り出す。

 

「どこまで行きやがった」

 

 鍵音が拓けた場所まで行き着くと、そこには大量のノイズに囲まれるクリスの姿があった。

 この距離ではガングニールを纏っても追いつけない。

 助けられない、そう思った時だった。

 

「オラァ!」

 

 轟音と共に地面が捲り上がる。

 

「はあ!?」

 

 鍵音の視線の先にいたのはクリスを守っていた弦十郎だった。

 どうやら震脚で地面を捲り上げたようだ。

 同じようにノイズが迫ってくるのを震脚でクリスを守り、その場で跳躍し建物の上へ移る。

 

 それを見た、鍵音も右手にガングニールを纏い、向上した身体能力で建物の上に飛び移った。

 

「鍵音君」

「弦十郎さん、アイツは?」

「彼女なら、今」

 

 弦十郎が指をさした場所を見てみると、シンフォギアを纏い戦っているクリスの姿があった。

 

「なんだ、戦えたのか」

「そういえば、鍵音君。状況が状況だが、これを返しておこう」

 

 弦十郎からペンダントが渡される。

 鍵音はよかったと安堵した。

 

「すまないが、その聖遺物に関してはデータが全くなかった。いや、何者かに完全に破棄されたと言った方が正しいか」

「聖遺物には違いはないんですか」

「ああ、それもかなり強大な」

 

 響華はそんな物を纏って戦っていたのか、と鍵音は思った。

 

「まあ、そんな事より早く市民の避難誘導をしましょう。俺がノイズを叩くので」

「待て、戦闘行為は一般人には」

「させれない……だろう? だがな、ここに奴らに対抗できる槍を携えているのは俺だけだ。市民の避難だけでいい。それ以上は無茶はしない」

「むぅ…………分かった……鍵音君を特別戦闘要員として認める。しかし、絶対に無茶をするんじゃないぞ!」

「合点承知! …………ところで……あの技なんですか??」

「震脚の事か?」

 

 未だに弦十郎の人外離れた力の一端を見たことがなかった鍵音であった。




誤字とかありましたら教えてくれると幸いです!٩( 'ω' )و
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