立花響に勝利したい   作:うみうどん

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十六話

 街に降りた二人は取り敢えず腹ごしらえとしてファミレスに入る。

 鍵音の目的は雪音クリスの監視。

 保護が難しいのなら鍵音自身の時間を犠牲にして、クリスの保護に努めようと思った。

 

(保護も何も戦えるのなら別にいいんだけどな)

 

 そして鍵音はちらりとクリスを見やる。

 すごい勢いで頼んだナポリタンを食すクリス。

 その行儀たるや、女性の仕草ではなかった。

 

 口いっぱいにケチャップをつけ、ボトボトと食べカスを落とす。

 

「ふぁにみふぇんだよ、ふぁらねぇぞ」

「何言ってるかサッパリ分からん」

 

 鍵音は溜息をついて、テーブルの横にあったナプキンでクリスの口をふく。

 

「ふぁ!! ふぁにしてんだよ!!」

 

 食べ物を口いっぱいに頬張らせた状態で喋るものだから、食べカスが鍵音の顔に満遍なくついた。

 顔をヒクつかせながら、鍵音は自分の顔に付いたものをナプキンで拭い取る。

 

「もうちょっと食べ方どうにかならんのか」

「ごくん、…………昔からの癖だよ」

 

 失言だと思った。

 クリスは大人に教育を受けていない。

 食べ方も、クリスぐらいの年代の女子の遊び方すら知らないのだ。

 

「すまん」

「ん」

 

 そう言ってクリスがテーブルの上にある呼び出しベルを押す。

 まだ食べ足りないようだ。

 

(残金あったかな)

「なあ……」

「何だ?」

「お前も……パパとママが居ないんだよな」

「ああ、生まれた頃から親父は他界していて、母さんは…………」

「言いにくいなら言わなくていい。あたしも、同じだ……」

「だけどよ」

「?」

「俺の母さんは立派だったぜ。本当に尊敬できる人だった」

「……そうかよ」

「だから、お前の母さんも親父さんも立派だったんじゃねぇかな。根拠は無いがな」

「なんだよそれ……」

 

 そんな時だった。

 鍵音とクリスの端末が同時に鳴る。

 

「おい……これ……」

 

 窓から外を覗き込むと、外で逃げ惑う人々を見つけた。

 どうやらノイズが発生したようだ。

 鍵音は金を置き、ファミレスから急いで外に出る。

 

「お、おい! なんだって……なっ」

「ちっ、デカイな」

 

 上を見ると鍵音が見たこともない飛行大型ノイズが空を飛んでいた。

 鍵音は取り敢えず、鳴り続ける端末に出る。

 

「はい鍵音です」

『そこにクリス君も居るか?』

「はい」

 

 弦十郎に端的に伝えられたのが、大型ノイズが四体出現し、現在スカイタワーへ向かっているという物だった。

 

「行くぞ! クリス!」

「っ! おう!」

 

 こうして二人はスカイタワーへと駆け出す。

 運のいいことにスカイタワーの近くのファミレスに居たので、シンフォギアを纏ったら数十分で着けた。

 

 しかし、戦いの中で数十分というのは長い時間だ。

 鍵音は先に戦闘を始めている、響、翼、奏に助っ人に入った。

 クリスがイチイバルのガトリングで小さなノイズを打ち消し、取り零したのを鍵音が突き刺す。

 

「ち、こいつがピーチクパーチク喧しいから、ちょっと出張ってみただけ。それに勘違いするなよ! お前たちの助っ人になったつもりはねぇ!」

「待たせたな! 助っ人2名参上したぜ!」

「なっ!」

 

 クリスが鍵音の言うことに赤面したのち、クリスの持っていた端末から弦十郎の声が聞こえた。

 

『助っ人だ、少々到着が遅くなったかもしれないがな」

 

 追い討ちをかけるようにクリスの顔は真っ赤になっていた。

 

「あは!」

「遅えぞ!」

「……助っ人?」

 

 翼が疑問に思ったのに弦十郎が答える。

 

『そうだ、第2号聖遺物、イチイバルのシンフォギアを纏う戦士。雪音クリスだ!』

 

 そう言った瞬間、響が満面の笑みでクリスに抱きつく。

 それをクリスはひっぺがした。

 

「とにかく今は、連携してノイズを!」

「勝手にやらせてもらう! 邪魔だけはすんなよな!」

「よし! 連携だな! クリスは弾幕を頼んだ!」

「人の話を聞け!」

 

 飛来するノイズをクリスがイチイバルで打ち消す。

 それを勝手に連携して鍵音がクリスがガトリングを斉射しやすいように道をガングニール で作った。

 

「ははっ、いつの間にか息ピッタリでやんの、嫉妬するな畜生!」

「奏!」

 

 奏がクリスと鍵音の方へ加勢に向かう。

 

「ちぃ! 邪魔だ!」

 

 クリスが勝手に連携していた鍵音を鬱陶しく思い、自ら奏と交代するように離れていく。

 

「はは、からかいがいのある奴だ」

「こーら、趣味が悪いぞ鍵音」

「いて」

 

 奏にコツンと軽く殴られる。

 そして、鍵音は正気に戻ったかのように顔をハッとさせた。

 

「……俺、今どんな顔してた?」

「意地の悪そうな顔してたぜ、私は嫌いだなその顔」

「ぬ」

 

 ここ最近自分が自分で無いような感覚に陥ることがたまにある。

 まるで別人格が鍵音の中で生まれているような感覚だった。

 まるで、イタズラを子供のように心から楽しんでいるかの様な感情。

 

「そーんな顔すんなよ! アタシがそんな簡単にお前の事嫌いになると思うか?」

 

 暗くなった表情を浮かべた鍵音を落ち込んだと解釈して、奏はわしゃわしゃと撫でまくる。

 

「だから、そんな簡単に撫でるな!」

「はは、アタシより身長が低くて、撫でやすいお前が悪い」

「んっだよ! それ!」

 

 鍵音は怒りながら、響たちの方を見やる。

 ほのぼのとしている空気が流れており、どうやらクリスは響と翼に馴染むことが出来たそうだ。

 響がこっちに近づくと、ニコニコしながら手を振ってきた。

 奏もそれに答え手を振る。

 

「さて……あれをどうにかしねぇとな」

「親玉をやらないとキリがない」

 

 奏と翼が顔を顰める。

 するとクリスが提案してきた。

 

「だったら、あたしに考えがある。あたしでなきゃ出来ないことだ。イチイバルの特性は長射程広域攻撃、派手にぶっ放してやる!」

「まさか……絶唱を!?」

「バカ、あたしの命は安物じゃねぇ!」

「ならばどうやって……!」

 

 翼が問うと、クリスは口角を上げ答え出した。

 

「ギアの出力を引き上げつつも、放出を抑える。行き場のなくなったエネルギーを臨界まで溜め込み、一気に解き放ってやる!」

「おいおい、それだと溜めてる間は丸裸だぞ?」

 

 奏が心配するように言ったら、響が自信満々に答えた。

 

「そうですね、だけど私達でクリスちゃんを守れば良いだけのこと! ね! 鍵音君!」

 

 話を振られた鍵音が、クリスに向かって親指を立てる。

 了承の合図だ。

 それを見たクリスが揺れ動く。

 

「じゃあ、行くぞぉ!」

「何故、黒森が仕切っている。私はお前を認めたつもりは無いぞ」

「仕方ないですよ、翼さん。鍵音君ですから」

「そうだぜ、出しゃばりたい年頃なんだよ」

「お前ら全員無事に帰ったらしばく」

 

 そう言うと一斉にノイズに向かってクリスを守るために戦い始めた。

 

(頼まれてもいない事を……あたしも引き下がれないじゃねぇか!)

 

 戦場にクリスの優しい歌が流れる。

 それを聴きながら鍵音は嫋やかに戦う。

 迫り来るノイズを触れずにガングニールの風圧で弾き飛ばし、あたりのノイズを一斉に炭化させた。

 

(母さん……母さんの意思は俺が継ぐ。困ってる人を全部助けて、その行動に命を燃やそうと思う。だってそれが……母さんの……)

 

 そんな時だった、鍵音の頭の中に響華の声が聞こえてくる。

 

(違うよ、鍵音)

(!)

(私はね、シンフォギアで困ってる人を全員、助けれたらなぁって漠然と思ってたんだよ。でもね、それは無理だった)

 

(だからね、私は、無責任だけど近くにある大事な物を守ることにしたの。それは鍵音……貴方だよ)

 

 そして、響華の声が鍵音の中で大きくなっていく。

 

(だからね……守りなさい。貴方の一番身近にある一番大事な物を。その為に命を燃やしなさい…………出来たら、命は燃やさない方がいいんだけどね)

 

 鍵音の奥底にある記憶の響華が舌を出して笑ったような気がした。

 

(……やっぱり、母さんと立花は違うよ)

 

 鍵音は攻撃の手を辞め、クリスの方に叫ぶ。

 

「「「「託した!」」」」

 

 どうやら、四人とも同じことを考えていたみたいで、同時に同じことを言った。

 そして、ノイズに向けて、クリスのギアの放出が始まる。

 ガトリング砲と小型ミサイル、大型ミサイル4基を展開させ、それらを一斉に大型ノイズへ撃ち放った。

 

【MEGA DETH QUARTET】

 

 小型ミサイルから更に小型ミサイルへと変形させ、あたりに散らばっていた小さなノイズを一気に殲滅させ、撃ち漏らしたノイズもガトリング砲で撃ち落とす。

 大型ミサイルはそれぞれ大型ノイズに直撃させ、爆発四散した。

 

「やった……のか?」

「ったりめぇだ!」

「ド派手にぶちかましたなぁ!」

 

 鍵音は右手のガングニールを解き、クリスに近づく。

 

「ナイスだ」

「へっ!」

 

 鍵音が拳を出したら、クリスが鼻を擦りながら鍵音と拳を合わせた。

 

「やったやった!」

 

 そんな事をしていたら、後ろから響が抱きつきにくる。

 鍵音がクルッと避けると、響はそのままクリスに抱きついた。

 

「やめろバカ! 何しやがるんだ!」

「勝てたのはクリスちゃんのおかげだよぉ〜!」

 

 響がクリスにまたもや抱きつく。

 

「だ、だから辞めろと言ってるだろうが! いいか? お前たちの仲間になった覚えはない! あたしはただ、フィーネと決着をつけて、ようやく見つけた夢を果たしたいだけだ!」

「夢? クリスちゃんの? どんな夢!? 聞かせてよー!」

 

 そうやってまたもや抱きつこうとした響の首根っこを鍵音が捕まえる。

 

「そんぐらいにしとけ、見てるこっちが可哀想になってきた」

「……はあ……悪ぃ」

「いんや、でもよ。その夢、手伝わせろよ」

「は?」

「なんの夢かは知らねぇけど、手伝うぐらいなら、別に良いだろ?」

「……まあ」

 

 クリスが少し顔を赤らめて、頷く。

 すると、響が鍵音の手をすり抜けて、クリスと鍵音、両方に抱きついた。

 

「私も手伝うよ!」

「辞めろバカ!!」

「う、うるさいバカァ!」

 

 そしてクリスと鍵音が声を揃えて言う。

 

「「お前、本当のバカ!」」

「にひひ」

 

 その光景を見た、奏と翼は笑っていた。

 和やかな雰囲気が漂う、そんな中、響の端末が鳴る。

 

「? はい」

『響!? 学校が! リディアンがノイズに襲れッ────ー』

「……え?」

 

 紛れもなく小日向未来の声。

 その声で切羽詰まった状況を確認出来た。

 

 

 ──ー最終決戦がすぐ目の前にまで迫っていた。




大方四千文字も行ってた……:(;゙゚'ω゚'):

最近デモンエクスマキナ買いました。
昔のアーマード・コアというゲームみたいで面白いです^o^
ACと比べてデモンエクスマキナの傭兵さんみんな優しいね…。

誤字とかありましたら教えてくれると嬉しいです!
お気に入りやポイント、感想などもお待ちしてます!



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