立花響に勝利したい   作:うみうどん

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三話G

 兎にも角にも、俺はあの後二ヶ月ほどセレナの家で世話になった。

 今更姉ちゃんとは呼べないので、セレナで統一することに決めた。

 

 一応俺はこの街で、強くなるための訓練は欠かさなかった。

 体が動けるようになり、俊敏に動けるようになったからだ。

 

 毎日の薪割りに加え、普通の体力強化、ボクシングの真似事、剣の素振りに加え、棒術もやっておいた。この街には元々聖遺物に関係する仕事に着いていたものも多いので、そのために己の身体を鍛えていた人も少なくはなかった。

 

 しかし、その中で一番群を抜いていたのは、棒術を操るボブさんだろう。

 ボブさんは小柄な体型なのだが、それを利用し自分の持った棒を自在に操ることができる。

 その実力は、俺が一番強いと思ってた弦十郎さんに匹敵するかもしれなかった。

 

 目の前に突き出された棒を避けようと思ったら、いきなり後頭部へ痛みが走る。

 ボブさんが繰り出した棒の先端が生き物かのようにうねり、俺の後頭部へクリーンヒットしたのだ。

 

「ダメよ、ダメダメよ、かぎね、手首のスナップ、もっとイカすべき」

「うっす」

 

 この人、冗談かと思うぐらい強い。

 しかし、この棒術の達人のお陰で、俺はかなりレベルアップする事が出来たに違いはない。

 それにボブさんから面白い話を聞いた。

 

 俺の母さん、黒森響華はかなりの達人だったらしい。武術の世界では孤高の女拳士と呼ばれ、その名はアメリカの武術界ではよく知られた名だったらしい。

 ボブさんであっても引き分けるのでやっとだったと言っていた。

 

「そんな人、シンフォギア纏ってた、敵うものいないと思ってた、ケド……」

 

 しかし、その母さんを屠った完全聖遺物。

 その実力はとんでもないものだったのだろう。

 

 やはり、完全聖遺物の名は伊達ではないということか。

 

 ──ー

 

 それから数週間後。

 ドクターが、大はしゃぎで俺とセレナの元へやってきた。

 

「やりました! やってやりましたよ!」

「どうかしたんですか? ウェル博士」

 

 セレナが訝しげに聴く。

 すると興奮冷めやらぬといった表情で力説し始めた。

 

「やってやったんですよ! 国に僕たちの事を正式な街として認めさせてやりました! これでパスポート発行し放題、大騒ぎぃ!!!」

 

 凄い顔で凄い勢いで喋るドクター。

 セレナとちょっと引いたのは内緒だ。

 というよりパスポート発行し放題はダメだろ。

 

「まあ、その代わり、僕単身日本へ行って聖遺物の研究をしなければならないのですが」

 

 顔芸を見せたかと思えば、すぐにシュンとした表情になるドクター。

 というか、日本……だと? 

 

「それって」

「はい、近々僕は日本に発ちます。それでですね鍵音さん」

 

 俺にはパスポートはないし、殆ど不正入国みたいな物だった。

 しかし、ドクターが懐から出したのは紛れもなく、俺のパスポート。近年の電子化されているパスポートではあるが、これは一昔前の紙の奴だ。

 一応この紙の奴でも、国を行き来する事ができる。

 

「どうやって……!?」

 

 俺が聴くと、ドクターは悪どい顔をして、俺に顔を近づけてポツリと囁く。

 

「いやぁ…………ちょっと言えば簡単でしたよ……まあ僕は天才ですからね」

「……はは」

 

 何をしたかまでは教えてはくれなかったが、まあ人に言えない悪い事をしたのだろう。

 そして、その後に出したパスポートはセレナに渡した。

 

 どうやらドクターはセレナのパスポートも作っていたようだ。

 

「どうして?」

 

 セレナが聞くと、決心を固めた表情でドクターが言う。

 

「どうやら、今日本に強硬派が居るようです」

「っ!!」

「そう……ナスターシャ教授と、貴女のお姉さん。マリア・カデンツァヴナ・イヴも」

 

 そのためにも、僕は日本へ行かなきゃならないとドクターは言った。

 マリア・カデンツァヴナ・イヴ……セレナのお姉さんか。

 俺はあの時の小さな記憶しかない為、はっきりとは覚えてなかったが、かなりのしっかり者だったはずだ。

 

「そう、僕たちで強硬派の研究を止めようと思っているのですが、セレナさん。着いてくる覚悟はありますか?」

「……」

「無理はしなくていいんです……。鍵音さん。貴方は……言うまでもありませんね」

 

 その通りだった。

 俺は母さんの事が聞きたい。そしてその鍵を握るのがナスターシャ教授だと言うのなら、着いて行くしかないだろう。それに、遅かれ早かれ日本には必ず戻ると決めていたからな。

 俺はコクリとうなづく。

 俺は母親の事を、ドクターは強硬派の研究を止める。

 そのためにはナスターシャ教授を……! 

 

 俺とドクターの利害は一致していた。

 

 そして、セレナも。

 

「……行きます! 着いて行きます! 私は姉さんを止めたい!」

 

 決心した表情で俺とドクターを見据える。

 ドクターは髪をかきあげ、俺たちにこう言った。

 

「強硬派との戦闘は避けられないものと考えています。あっちが何を考えているのか分からない以上、僕たちは慎重に行動しなければいけません。いいですね?」

「「はい!!」」

「良いでしょう! ならば行きましょうか日本へ!」

 

 こうして俺たちは、日本へ旅立つ事が決定した。

 決定した夜、街の人が殆どやってきて、俺やセレナに強硬派の事は頼んだぞと言われた。

 ドクターは街の住人に胴上げされて、ボブさんに「コドモたち、たのんだぞ! ここは俺に任せろ」と言われていたような気がする。

 

 こうして夜も更けて朝になり。

 俺たちは、日本へ旅立った。




ウェル「442nd Regimental Combat Team出発ですよ!」
鍵音「長いし、その名前は辞めてくれ…」
セレナ「はは…」
ウェル「じゃあ英雄部隊でいいですよ…」

ーーー

シンフォギアXV最終回見ました。
これでシンフォギアが終わると思うとロスが凄い……

ところで最期のシェムハが響ちゃんに言ってた言葉、「ならば責務を果たせよ、お前たちがこれからの未来を司るのだ」と言ったシーン。
グレンラガンのアンチスパイラルとシモンのシーンとアーマードコアVの財団のラストシーンを思い出して涙がポロリと出ました。

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