リメイク作でもあるので出来るだけ、早い更新を心掛けたいと思います
「なんでこんなことになってるんですかね…、先輩」
「いやぁ、それがさ………」
私と先輩の周りには取り囲むように多くの学生が決闘が始まるのを今か今かと待ち構えている。
何故このようになったか。それは全てある一人の人物のせいである。
そして、その張本人は一ノ瀬先輩の言葉を遮るように高らかに宣言をする。
「この決闘は、私星導学園性生徒会長であるクローディア・エンフィールドが取り仕切らせて貰います」
このオーデォエンスとも言える大衆をかき集めた本人。今朝、学園中に決闘の情報が流れていた時はその仕事の早さに驚きを通り越して呆れたものだ。
(………きっと、隣でげっそりしてる夜吹くんが徹夜したんだろうけど)
クローディアの横でげっそりしている彼は訳あって私の数少ない仲の良い男子生徒の1人である。
「さて、そろそろ始めようぜ?周りの奴らも退屈してるみたいだし」
「不撓の証たる赤蓮の名の下に、我一ノ瀬翔は汝東雲琴音への決闘を申請する」
「我東雲琴音は、汝一ノ瀬翔の決闘申請を受諾する」
私たちの宣言と共に、校章が輝く。
これがここでの決闘の合図だ。
(…………流石早い)
彼の魔術師としての実力は六花でも指折りであり、その戦い方は氷を操る実に美しいもの。
私は自分に迫る氷に対し、退くのではなく真っ直ぐ突っ込む。
「…………黒影」
鞘から抜いた私の純星煌式武装”黒影”は既に解放状態。
迫りくる氷は全てわたしの目の前で消滅する。
そのまま一ノ瀬先輩に向かって刀を真っ直ぐと伸ばす。
しかし、私の剣先が校章まであと一歩というところで、私は思いっ切り後ろへと飛ぶことになった。
「…………一筋縄じゃいきませんか」
私が居た一歩先のところには、氷の刃ともいうべき細かい結晶のようなものがちりばめられている。
それは一ノ瀬先輩を守るように、彼の周りを漂っていた。
「まさかいきなり切り札を使うなんて思わなかったぜ」
切り札。
確かに彼のあの防御を崩すのは容易ではないし、尚且つあの氷の刃から自分の身を守るということを同時に行わなければいけないのだ。
"黒影"の能力を最大限使えば負けるなんてことは無いが、あの能力は人前で易々と使うものでもないし、下手したら相手の命を奪いかねない。
「(仕方ない…少しだけ)……覚悟してくださいね」
黒影を鞘へと戻し、星辰力を流す。
「…………解放(リリース)」
私の足元から黒い影が一ノ瀬先輩に向かって一直線に伸びる。
そして、次の瞬間私の抜いた刀は一ノ瀬先輩の校章を真っ二つに切り裂いていた。
「チェックメイト…です」
『校章破壊 勝者東雲琴音』
無機質な声が私の勝利を告げ、周りにいた観客たちも湧き上がる。
「いやぁ、情けねぇな。後輩の女の子にコテンパンにやられるとはな」
その言葉同様、座り込んでいる一ノ瀬先輩の顔は笑っているが地面をつかんでいるその手は震えていた。
「お手合わせありがとうございました」
命のやり取りではなかったとはいえ、勝った私にあまり物を言われるのはいい気がしないはずだ。
私は一礼だけして、その場所を立ち去り寮へと一人戻った。
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それではまた