お久しぶり過ぎて覚えている方がいるかわかりませんが、少しずつ進めていこうと思いますのでよろしくお願いします
「まだ遅い……」
私の記憶の中の彼の剣は、もっと美しく、なにより速い。
今はもう見ることは出来ないが、彼の剣が私の中には強く残っている。
「……精が出ますね、琴音」
こちらへと歩いてきた彼女、そう言いながらタオルを私に投げてきた。
私はタオルを有難く受け取り、軽く額の汗を拭きとった。
「やはり、琴音の剣裁きをみていると自信をなくしますね……」
クローディアは落ち込んだように、腰に差している”パン=ドラ”をなでた。
彼女自身、”千見の盟主”という二つ名を持つ実力者であり、”パン=ドラ”の制約上王竜星武祭には出場することはないが、その実力は六花でも上位に食い込む。
「…手合わせでもする?」
「遠慮しておきます。あなたの相手をするぐらいなら事務処理をしてきますよ」
私の提案を即座に断ると、クローディアは私の後ろを眺めるように微笑んだ。
「その強さの先、私も見てみたいものです」
そういうとクローディアはそのまま、校舎の方へと歩いて行った。
「……どうしたんだろう」
クローディアが一瞬見せた寂しそうな表情が、私の心に少し引っかかった。
「編入生だ。みんな仲良くしてやってくれ」
担任の先生がそう紹介したのは、いかにもお嬢様といった風貌の女の子だった。
綺麗な長いピンク色の髪に、エメラルドグリーンの瞳は、まるでお人形のようにも見える。
しかし、彼女の放つ空気はどこか棘があり、誰も寄せ付けない。そう言っているようにも感じた。
(……随分とげとげしい。まるで、オーフェリア・ランドルーフェンみたい)
”孤毒の魔女”の2つ名をもつオーフェリア・ランドルーフェンは、その2つ名の通り誰とも関わろうとしない。私自身も、彼女は遠目から見たことがある程度だが、編入生の彼女は孤毒の魔女ほどではないが、それに近い雰囲気を持っていた。
「……まるで、本気の時の琴音みたいですね。まぁ、琴音と比べたら猛獣と小動物ぐらいの差はありますが」
私の後ろの席からぼぞっと悪口のようなものが聞こえたが、私はスルーを決め込んだ。
「ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルト」
編入生はそれだけ言うと、また黙った。
「…まぁみんな仲良くしてやってくれ。わからないことは、生徒会長のクローディアに聞いてくれ」
「お任せください。ユリスさんもよろしくお願い致しますね」
先生も流石の無愛想さに戸惑いながら、あとのことはクローディアに投げた。
当の本人であるクローディアはあまり気にしていないというよりは、あの編入生に興味津々のようだ。
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