「それで私のところに来たんですね……」
私が最初に訪れたのは、この学園の生徒会長であるクローディアの場所だった。
クローディアは、私が生徒会室に訪れた時は晴れやかな表情だったが要件を伝えると少し落胆した様に見えた。
「この学園のことでクローディア知らないことなさそうだし、私の素性も知ってるからね」
「……そうですね。菅生信明という生徒は確かにこの学園に在籍しています。ですが、私もどういう人物かはあまりわかりません」
クローディアは、菅生信明のデータベースを見せながら知っている限りの情報を話始めた。
彼、菅生信明はこの学園に二年前に入学して以来何もしていなかった。星武祭参加はおろか、決闘も行っていない。
学業成績も特別優れていることもなく、目立たない生徒であるということしかわからなかった。
「……なんて言うか、不気味だね」
「えぇ。私も菅生家の御曹司ということを忘れかけていました」
菅生家という世界的にも有名な財閥の御曹司にも関わらず、ここまで情報がないのは不気味としか言いようがなかった。
決闘を一度もしていないことに加えて、彼は純星煌式武装の所持申請もしていなかった。誰でも所持しているものではないとはいえ、菅生家の御曹司が所持していないのは、おかしな話である。
「……気が進まないけど、彼らに頼もうかな」
クローディアですらここまで情報がない相手を調べ上げるというのは、骨が折れるというレベルではない。
とは言え、直属でない彼らに頼むのはどこか気が引ける。
「……影星ですか」
影星は、星導館の経営母体である”銀河”の暗部である。
六花に存在する各校の経営母体はそれぞれ暗部を抱えており、それぞれが独立したものとして存在している。
それら暗部を取り仕切っているのが東雲家であるのだが、それぞれに東雲家とは別に直属の組織があるため一枚岩ともいかない。
「あんまり権力を振りかざすのは好きじゃないけど、仕方ないかな」
「夜吹くんを呼びますか?」
夜吹くんは学生でありながら影星の一員である。
最近では影星というよりは、クローディアお抱えの部下のような気もしなくもないが。
「いや、直接行くよ」
夜吹くんを呼び出す方が楽ではあるが、彼を駒使いしすぎるのも悪い。
なにより、そろそろ影星の様子を直接見ておきたいという考えもあった。
「そうですか。一応、こちらでも調べてみます。要らない心配かとは思いますが、お気をつけて」
「ありがと。それじゃ」
私はクローディアに背を向け、生徒会室を後にした。
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