翌日、私は影星がアジトとしている銀河所有のビルに向かった。
しかし、アジトとは名ばかりで彼らがここにいることはなく、私たちも居場所は把握できていない。
「わざわざお出向き頂かなくても、連絡さえいただければこちらから伺いましたのに」
私が通された一室に佇んでいた男は、私の姿を確認するとわざとらしく頭を深く下げた。
「いえ、こちらの事情であなた方を動かすわけにもいかないですから」
「……お気遣い感謝します」
目の前の男は一瞬、苦虫を嚙み潰したような表情を見せた。
影星の現トップのこの男は、”夜吹の一族(ナイトエミット)”と呼ばれる忍びの一族の当主であり、あの夜吹くんの父親でもある。
元々、影星と夜吹の一族は同じ銀河の下部組織だが組織としては全くの別物であり、指揮系統も全くの別物だった。しかし、トップが同じ人物になったことから、最近では影星が夜吹の一族の傘下組織なりつつある。そのような背景から、影星は東雲家をあまり快く思っていないのか、当主が私になってからというもの今回のような嫌味を言い続けている。
「今回、あなた方に聞きたいのは菅生家についてです」
「……菅生家ですか?」
私が要件を口にした途端、彼の表情からは分かりやすく疑問が浮かんでいた。
「えぇ。菅生家が六花において不穏な動きを見せています。確か、影星の傘下に菅生家お抱えの暗部がいましたよね?」
「えぇ。彼らのことを探らせますか?」
彼はここまで聞いたところで、私がなぜここに来たのかを察したようだった。
「はい。これは東雲家からの依頼ということでお願いします」
「承知いたしました」
彼は膝をつき、頭を下げた。
(……忠誠心があるのやら、ないのやら)
私が頷くと同時に彼は姿を消した。
「……お送りいたします」
タイミングを見計らったように彼の使いの人が現れ、私も学園へと戻った。
「それで、収穫はあった?」
学園の寮の一室で、私は総司の報告を受けていた。
基本的に総司は仕事中は結果を得るまで私の元には戻ってこないため、こうして総司が戻ってきたということはそれなりに収穫があったということだ。
「辻斬りの正体が絞れました」
幾ら総司といえど、たった一日で正体を絞れたということは相手は隠す気などないということだろうか。
「辻斬りは……菅生信明本人である可能性が高いです」
総司は簡潔にそれだけを述べた。
総司自身はこれと言って尻尾は掴めなかったようだが、本家の方で菅生家から菅生信明へ入手経路不明の純星煌式武装が流れているという情報を掴んだとのことだった。
この情報だけで判断するには早いが、可能性としてはかなり高い。だが、菅生信明にはそこまでの星辰力はなく、純星煌式武装を持ったとしても序列上位者に闇討ちとはいえ勝てるとは思えない。
「……これは確定した情報ではないのですが…」
私が疑問に思っていることを察したように、総司は渋々ながら口を開いた。
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それではまた