モブになりたくて   作:冥々

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どうも、冥々です。遅れた理由は活動報告にあります。

それと年内更新はこの話で最後です。

次はロミジュリ編を出します。





Q:夏休みは誰と過ごしましたか?家族以外で。A:同級生の小野寺さんです。

夏休み。それは学生達の楽園とも言える夏の長期休暇期間のことである。そんな長期休暇期間中の学生達は其々花火や旅行、海水浴などの夏の思い出を作る事だろう。

 

そして、俺は終業式の際に約束した『小咲の両親が営んでいる和菓子屋〝おのでら〟の手伝い』をしに来てから、五時間程が経過した。おのでらの手伝いも一段落して落ち着いた。その時、店の電話が鳴り響いた。その電話に小咲が出た。

 

「あ、私が出てくるね」

 

「わかった。小咲の分まで頑張っとく」

 

 

 

 

その間俺は一人で店番を続けていると電話から帰って来た小野寺は顔を朱に染めながら話し始めた。

 

「さっきお母さんが武広君を泊めてって言ってて、武広君の両親から許可取ってあるらしいんだけど……どうする?」

 

………………what?余りの事に理解が出来れてなかったが、小咲(女の子)の家に泊るという事でおk?

 

「い、嫌なら、その悪いんだけど………」

 

おっと、一人で考えに耽ってしまい、小咲を放ってしまった。ちゃんと返事を返さないといけないな。

 

「別に嫌って訳じゃない。少し驚いてしまっただけだから、大丈夫だ問題ない」

 

誰が聞いても不安を感じる返答だった。

 

「はぁ~よかった!……ってそういう意味じゃないから!!」

 

俺の返事に安堵の息を吐いたかと思いきや、数瞬の間を空けてよくわからない事を言ってきた。〝そういう意味〟ってどういう意味なんだろ?

 

 

 

 

 

 

あの後。俺達は店仕舞いと明日の仕込みの準備をして、俺は今日寝る部屋へ案内された。

 

「うっあぁ、足の裏が地味に痛てぇ。とりあえず、先に布団敷いとくか」

 

襖に入っている敷布団を出す為によっこらせと立ち上がって、襖を開けて中に入っている敷布団を出している間、俺はこの後の事を考えながら布団を敷いているとある重大な事に気づいてしまった。それは、

 

 

小咲の手料理が出てくる可能性がある事だ!

 

 

何故その可能性に辿りついたのかは、この後の流れを考えているとまず出てくるのが〝風呂〟そして〝料理〟だった。風呂に関しては気を付けていれば、変なこと(ラキスケ)は起こらない。しかし、料理に関しては優しさの化身とも言える小咲が率先してやりそうだから、俺が「泊めてくれるお礼として、夜ご飯を作るから」って声掛けすれば未曾有の事態(小咲の手料理)は回避する事は出来るだろう。

 

と言う訳で布団を敷いた俺は、小咲の私室の前に来たんだが、ノックをせずに入った場合はラキスケになる可能性が多分にあるだろうから、しっかりとノックをするとしよう。

 

「小咲、部屋に入っていいか?ちょっと話があるんだが」

 

そう言いながらノックをした。

 

「………」

 

「返事がないな。風呂にでも入ってるのか?」

 

そう判断した俺は勝手ながら小咲宅のキッチンへ向かった。

 

 

 

 

 

キッチンに着いた俺は菜月さんにキッチンを借りる事を伝える為に電話をした。

 

『はい、もしもしって武広君じゃない。どうしたの?もしかして………夕飯の事?』

 

「はい、まさにその事に関して聞きたくて、電話したんです。」

 

『いいわよ。別に好きに使っても、但し条件として……』

 

「条件として?」

 

『何品かの作り置きをよろしく!タッパーは右上の棚に入っているから。じゃ、また今度ね!』

 

「あ、ありがとうございます!………ふぅ、ちょっと緊張したぁ~」

 

そう呟き俺は冷蔵庫の中にある食材を見ていたら、キッチンの近くにある扉から、部屋に入って来た小咲は風呂から上がって来たのか頬が赤く若干湯気が出ていた。

 

「ふぅ~気持ちよかった~って、あれ?武広君がなんでキッチンにいるの?」

 

カクカクシカジカとなんで俺が小咲に料理をさせたくなかったという本音を伏せながら、どうしてキッチンにいるのかを所々誤魔化しながら説明をした。

 

「なるほど、そういう事なんだね!」

 

「ああ、そういう事だ」

 

うっし、なんとか乗り越え___

 

「私も手伝うよ!武広君!」

 

てないだと…!?……これはもう諦めて料理する以外の手伝いをして危機を乗り越えるしかあるまい。

 

「あぁ~………じゃあ、皿や箸とかの食器を出してくれないか?」

 

「うん!わかったよ!」

 

うん。危機は去ったな。

 

 

 

あれから三時間弱経過し料理も少しの所で終わるんだが、包丁や菜箸などで腕を使いすぎて攣りそうなくらい痛い。菜月さんに幾つか作ってっと頼まれたしもう一頑張りだな。

 

「ね、ねぇ、武広君!」

 

小咲がどこか照れた様子でカウンター越しに話しかけてきた。

 

「ん?どうした。小咲」

 

「来週にある神社の夏祭りにさ。私と、い、一緒に行かない?」

 

あーそんな(イベント)あったな。すっかりぽんっと忘れていたぜ。で、どう答えたものか。うーん、う~ん。まぁ、いいっかなぁ~。確か一回目のって、小咲はそんな出てなかった気がするし、それに夏祭りは(前世)で行ったっきりだし、漫画の世界の夏祭り云うのを体験してみたいしな。という訳なので俺は快く返事をしたのだった。……その後ちゃんとご飯食べて寝ました。

 

 

 

 

 

 

翌日、俺と小咲は来週の夏祭りはどこで待ち合わせをするかを電話で話し合いながら決めた。小咲の家の方が若干神社に近いので、小咲の家を当日の集合地点として、小咲と話し合っていた際にせっかく夏祭りに行くのだから、お互い浴衣を着て行こうとなった。

 

「はぁ、着て行くの面倒だなぁ。でも、決まっちゃったしなぁ~」

 

小咲との話し合いが終わった直後から、俺はだらだらと愚痴を当日まで吐いていた。

 

「いい加減に覚悟を決めたら?武広君。あんな可愛い子に夏祭りデートに誘われるなんて滅多にないと思うよ私は」

 

その時、玄関付近でうじうじしている俺に田辺さんが渇を入れてくれたおかげで、腹を括りなんとか頑張って行こうという気持ちになった。

 

 

 

小咲side

 

「おかしい所は…ない…よね?」

 

スタンドミラーの前で私は昨日買ったばかりの浴衣を着て、おかしな所がないか確認している所だ。そこに___

 

 

バン!

 

 

扉を強めに開けた先には片手を腰に当てて、ため息を吐きながら私の部屋にお母さんが入ってきた。

 

「武広君、家の前に来ているから、さっさと行きなさい!」

 

「う、うん。わかった!」

 

私は必要最低限入った荷物袋を手に持って、武広君の所へ向かった。

 

 

 

家の前に出てみると、お母さんが言ってた通りに武広君が居たんだけど……

 

「お、来たか。小咲」

 

か、かか、かっこいい~、何時もと違って新鮮な感じがする!そ、それに___

 

「…………」

 

浴衣の首元の間から見える鎖骨に何故か視線が向いた。

 

「おーい、小咲?ぼーっとしているな。何でぼーっといるんだ?てか、ここで時間を潰している場合じゃねぇな。強引だが、手を握って行くか」

 

そう武広君は言って、私の手を掴んで神社へ引っ張って行った。私は神社に着くまでの間、手を繋いでいる事に頭が理解できないでいた。

 

 

 

十分程歩いて神社に着くと、武広君は繋いだ手を離して入口近くにある屋台へ向かって行ったので私も付いて行った。

 

「小咲。ほら、たこ焼き一ついるか?」

 

屋台でたこ焼きを買った武広君は私に一つ向けて聞いてきた。

 

「うん、一つ貰う……ね!」

 

差し出されたたこ焼きを食べようとする時、私は気づいてしまった。恋人同士がやる『あーん』という事に!

 

「…………」

 

湯を被ったが如く顔が熱く真っ赤に染まった事がわかる程になってしまった。

 

「ふぅ~」

 

とりあえず軽く深呼吸をして意を決して食べた。

 

「んっ~~~!熱いけどおいしいよ!あ、ありがとう!」

 

「あ、ああ。どういたしまして(やっべ、冷ますの忘れてた)」

 

 

 

それから私たちは神社の奥へと進んで行った。そのまま拝殿の近くに来ると社務所の周囲を埋め尽くすような人が並んでいた。

 

「ん?めっちゃ人が並んでいるな。何を買いに来たんだろう」

 

そう呟く武広君に私は軽く微笑みながら教えた。

 

「ふふっ、あれはきっと恋愛成就のお守りを買いに来た人達なんじゃないかな?」

 

「へぇ、そんなお守りがあるんだな。ってここに居たら人混みに流されそうだ。ちょっと離れようか」

 

「そ、そうだね」

 

ああ!今日一日ずっと心臓がドキドキしっぱなしだよ~!

 

 

 

 

主人公side

 

今日の俺ってば、マジで何やってんのかな!さっきから歯が浮きそうな程の臭い事を言ったり、行動しているんだよ!頭、大丈夫か!俺!

 

「ふぅ、ここまで来れば大丈夫だろ」

 

とりあえず人混みに呑まれないように人気が少なそうな所に来たけど、何処だここ?と思い、周囲を見渡すと看板が立っていたので読んだ俺は苦笑するしかなかった。

 

「?どうしたの武…弘……君!」

 

苦笑している俺を不思議に思ったのか俺の名前を言いながら、視線を看板に向けた瞬間、一気に顔が真っ赤に染まり、動揺した様子で俺の方へと顔を向けた。

 

「あぁ、あわわわ~」

 

ちなみにその内容を簡潔に言えば『夏の夜、男女二人っきりで此処に来ると将来結婚するよ』といった内容で、これを見た瞬間に俺は手を離した。

 

「……」

 

「……」

 

まぁ、あんな看板を見りゃ、そういう気が無くても意識してしまうよな。俺もよくわからんが顔が熱くて仕方がない。

 

 

 

 

 

………で、この後俺は場の空気を変える為、小咲に今日はもう帰宅しないかという事を伝え、お互い顔を赤くして帰路を歩いて行った。

 




一応、気になったのでアンケート

追記:アンケートの回答してくれた方々、ありがとうございます。結果を反映させていただきます。

副題いる?

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