モブになりたくて   作:冥々

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はい、活動報告では2月の上旬に更新すると言っていましたが、意外とすらすらとまではいかなかったですが、1月中にはできたので、自分にしてみれば、御の字です。

次回はクリスマス回です。原作とは乖離してしまいますが、オリ主と小咲がイチャイチャする(予定)です。

後、文章中に可笑しい所がありますが、気にしないでください。


シスコンなあの子が......

夏休みが明けてから、一週間程経った。今朝のHR時に、黒板前にはクラスのムードメーカーとも言える舞子集が二週間ちょい先にある文化祭で行う出し物の劇で、『ロミオとジュリエット』の役決めの進行役として、場を回していた。

 

「さぁ、さぁ!まずは主役のロミオをやりたい人は手を上げて!」

 

まぁ、誰が好き好んで目立つ役をやると思うのかね?でも、まぁやる奴といったら、主人公なんじゃねぇの?

 

「誰か、本当にやりたい男子いないの?……はぁ、此処で時間を潰してもあれだから、こいつにロミオをやって欲しい人はいるー?」

 

そう舞子が言うと二人の女子___宮本と橘が手を上げた。

 

「んじゃあ、まずは宮本さんからどうぞ!」

 

サッと宮本が席から立ち上がり、さらっと(俺にとって)爆弾発言をした。

 

「私は森谷君がいいと思いまーす」

 

宮本の発言に何処か納得した舞子は、意味有り気に俺の方へと視線を一瞬向け、そのまま橘へと向けた。

 

「ほほう?……で、橘さんは誰がいいのかな?まぁ予想は付いてるけど」

 

名前を呼ばれた橘さんはスッと立ち上がり、軽く深呼吸した瞬間____

 

(わたくし)としては、楽様がいいです!それは何故か?もちろん私がヒロイン役であるジュリエットを演じるからですわ!それに……キャッ!これ以上言うのは恥ずかしいですわ!」

 

「………ロミオ役候補は二人だけなんだけど、他に『この人にやって欲しい』って人いるー?」

 

橘の発言をガン無視した舞子は、他のクラスメイトに意見を求めた。

 

『…………』

 

「うん!いないね。じゃ次は、ジュリエット役をやりたい女子!自薦他薦でもいいから手を上げて!」

 

俺と主人公以外に名乗りをあげる男子がいないのを確認した舞子は次の役の事へと話を進めた。

 

「はい!私しか楽様の相手はいませんわ!」

 

「橘さん、まだロミオ役決めてないからね?で、他にはいるー?」

 

舞子の奴、橘さんに恨みでもあるのかって位に、態度が冷たいな。ま、俺には関係ないけど。

 

「はい」

 

「お!また上げたね?宮本さん。もしかして自薦かな?」

 

ニヤニヤしながら舞子は宮本を指した。

 

「いえ、私はやらないわ。ただ、小咲をジュリエット(ヒロイン)役に推すわ」

 

そう言い切った宮本は席に座ると小咲に向けて、グッと親指を立てていた。そんな事は、今の俺にとってはどうでもいい事だった。一刻も早く地雷(ロミオ役)を回避するべく、意識をそっちに向けていた。

 

 

 

 

 

結論を言うなら、ロミオ役をやるはめになった。これが原因で原作崩壊するかもしれないと、俺の心の内としてはその事で頭の中がいっぱいだった。何故此処まで、慌てているか?それはあの後、くじ引きでどっちがロミオか代役かを決める事になり、せめて代役になれるように必死に心の中で願っていたのだが、思いっきり当たりの印が入っている紙を引いてしまった。

 

此処で頼みの綱は橘になるのだが、宮本が一言、二言くらい橘と話したら、渋々といった態度で舞子にこう言った。

 

「私はジュリエットの代役で構いませんわ」

 

うん。此処はさすがに諦め……っ!そうだ!確か原作だと本番直前で小咲が足を捻って、代役で桐崎がジュリエットをやる展開があったな。だから、練習だけ頑張って、本番の時に主人公が桐崎を連れて来たらロミオ役を変わってやるとしよう。

 

__文化祭、当日

 

俺のクラスの劇は午後一時に行うのでそれまで、俺は他のクラスの出し物を一人で回る予定だったのだが、俺の隣に小咲の妹で、原作では恐らく出てなかったであろう小野寺春と一緒に回る事になってしまった。

どういう経緯でこうなったかは、簡潔に言えば小野寺妹から誘ってきたとしか言えない。そもそも小野寺妹って大のシスコンじゃなかったけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

__小野寺春side

 

 

今日は学校の何かの記念日とかで休みになった。昨日、お母さんからお姉ちゃんが通っている高校が文化祭をやる事や、劇に出る事を聞いた私は自分が通っている中学よりちょっと遠いけど、三年ぶり?くらいにお姉ちゃんと森谷さんにも会えるから、頑張ってやってきた。

 

いざ、お姉ちゃん達が通う高校についたはいいけど、初めて来た場所なので、何処に何があるのかが分からずキョロキョロと辺りを見渡しながら校内を回っていると、見知った人の背が見えてきたので駆け足で寄って行った。

 

「久しぶりですね!森谷さん!」

 

そう後ろから声を掛けると私の方へと少し驚いた顔を向けてきた。

 

「ん?おぉ、春ちゃんじゃないか!」

 

「こんにちは、森谷さん」

 

森谷さんは頭を片手で掻きながら聞いてきた。

 

「どうして此処にいるんだ?確か全寮制の学校だったと思うんだけど?」

 

「ああ、それは今日、うちの学校はなんかの記念日とかで、休みなんですよ」

 

「へぇ~、そうなんだ」

 

私は森谷さんに劇について訊ねてみた。

 

「そういえば、お母さんから聞いたのですけど、劇に出るそうですね。森谷さんとお姉ちゃんは何の役なんですか?」

 

そう聞くとピシッと森谷さんの顔が固くなった。

 

「あ、あぁ。どうしても知りたい?」

 

「はい、どうして知りたいです」

 

?役を聞いただけなのに、この反応.....まさか!?

 

「あ〜、俺と小咲は主人公(ロミオ)ヒロイン(ジュリエット)なんだよ」

 

「えっ!?本当ですか!?」

 

あれ、なんか胸の辺りがチクッとした気がしたけど、それよりも!

 

「二人とも、主役をやるなんて驚きました!」

 

お姉ちゃんなんて特に、こういう目立つ事なんてやりたがらないのに!

 

「まぁ、俺と小咲は自ら名乗りを上げた訳じゃないんだけどね.......」

 

あぁ、なるほど宮本さんの仕業だな。二人をくっ付ける為に何かしらやったんだろうな。.......?なんだろうこの感じは.....気にしても仕方ない。

 

「森谷さん、一緒に回りませんか?」

 

「あ、あぁ、いいよ」

 

最終的に森谷さんとお姉ちゃんがくっ付けば、うちの店は安泰だしね!

 

 

 

 

 

 

あの後、森谷さんは劇の準備があるので、その場でお別れとなった。私は森谷さんから、貰った学内マップ(文化祭用)を見ながら、様々な出し物を見て回った。

 

腕時計をチラッと見てみると、お姉ちゃん達の劇まで三十分を切っていた。

 

「やっば、もうこんな時間!!急がないと、お姉ちゃん達の勇姿を見逃しちゃう!」

 

そう呟きながら、私は駆け足で劇が行われる体育館へ向かった。____すると、

 

 

 

ガッシャーン!!

 

 

体育館の中から何かが崩れた音が聞こえてきた。

 

「何があったんだろう?」

 

そう思い、体育館に入ってみると私と同じく崩れた音に戸惑っている人達がいるだけで、崩れた物は影も形も無かった。

 

さっきの事が気になりつつも、私は舞台になるべく近い席に座った。

 

 

十五分程待っていると、ブーと音が鳴り響き。その音に合わせて、舞台カーテンが引いた。そこにいたのは森谷さんではなく____

 

「.....誰?この人」

 

もやしみたいな男の人が森谷さんの代わりに出ているだけではなく、お姉ちゃんの役も別のハーフ?の女の人に代わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん達に、何かあったのかな?」

 

お姉ちゃん達のクラスの劇が見終わった私は、お姉ちゃん達がいるクラスへ向かった。

 

学内マップを見ながら、お姉ちゃん達のクラスに着いた。私は、廊下側にある窓からお姉ちゃん達に何故出てなかったのかを聞く為に覗いた。

 

「あれ?お姉ちゃん達がいない?....あ」

 

教室内を見ていたら、宮本さんと目が合ったと思ったら、ずんずんと私がいるところに宮本さんがやってきてこう言った。

 

「小咲達なら、屋上にいるわよ。嫌な予感がするけど、まぁいいわよね

 

「あ、ありがとうございます!では、また」

 

宮本さんが小声で何か言ってた気がするけど、気のせい....だよね。

 

 

 

 

 

 

屋上の扉までたどり着いた私は、ゆっくりと扉を開けると二人の声が聞こえてきた。

 

『___________』

 

『____』

 

『_______』

 

『_________』

 

何か話している?.....いや、これは恐らくロミオとジュリエットのあの名シーン、扉越しなので微かにしか聞こえないがそうだと思う。......っ、さっきから何だろう。このモヤモヤしたような、胸焼けしたかのような、この違和感(気持ち)は......、何かお姉ちゃん達に会いたくないな。

 

 

...........■■しいな、お姉ちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次の更新は、4月になるかもしれません。

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