モブになりたくて   作:冥々

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久しぶりです。


学園ラブコメ系は最初に出る女性がだいたいメインヒロイン説。

年が明けて、数日経った頃のホームルームにて、キョーコ先生がポツリと呟いた。

 

「席替え、やるわよー」

 

教室中に面倒だとか、楽しみとかの声が飛び交う中、キョーコ先生は気にも留めずに話を進めた。

 

「いやぁー、私としたことが二学期の時にやり忘れててねー。この際、ささっとやっちゃお~」

 

くじを作ってね~っと生徒に軽いノリで頼んでいるキョーコ先生を横目に俺はぼーっと考え事をしていた。

 

「(この(席替え)後は、確か.....バレンタインとなにかしらで、小野寺妹が入学してくるんだっけ?)」

 

「くじが出来たから、出席番号順に引きに来て~」

 

席替えか。入学してから全くなかったし、席替え自体がないのでは?っと思ってたけどあるんだな。

 

「.....森谷君は誰と隣の席になりたいの?小咲とかしら?」

「いや、特に誰と隣になりたいとか、なりたくないとかの希望ないな」

 

列に並んでいると、俺の前にいる宮本に話しかけられて来たので無難な返事を返した。因みにうちのクラスには「む」「め」から始まる人がいない。

 

「ほら、ささっと引け」

「はい」

 

引く順番が来たので、適当にくじを取って自分の席へと戻った。

 

「(さっき、宮本にはああ言ったが、希望してる席はある。クラスの中で最も人気の席であろう窓際の一番後ろがいいな)」

 

手元のにあるくじを開くと『E6』とあり、場所は......おぉ。ちょうど俺が希望してた席のくじを引いた。だが、原作通りだと五回以上のやり直しが行われるから、手放しで喜べないだよな。

 

〝えぇ~、この席ヤだ~〟

 

〝後ろの席がいい~〟

 

〝周り男子ばっかで、ヤなんだけど~〟

 

〝やり直したいんだけど~〟

 

「ふふっ、皆さん....文句言っても無駄ですよ。席替えは一度だけ、やり直しなんて.....」

「いいよ~」

 

ドヤ顔で文句を言うクラスメイトに諭すように言う橘に、ぼけ~っとした表情を浮かべたキョーコ先生がOKサインを出したので、再度席替えのくじ引きが行われて......そこに、橘や桐崎、鶫のやり直しの申し出とキョーコ先生のOKサインが出る事.....12回目。

 

「よくわからん理由でやり直しが行っている為、これが正真正銘ラスト一回!その後の異論や文句は受けつけ~ん!!」

 

流石に色々と寛容なキョーコ先生も痺れを切らしたのか。これで最後のくじを引く事になった。並んでいる男子は女子と隣になりたいのか、天に祈りを捧げるように両手を合わせている傍ら....女子は〝やっと終わる〟っと肩の力が抜けたようなダラっとした感じで並んでいる。

 

「お、ここか」

「あ!」

 

くじに書かれている席に着くと隣から聞き馴染みのある声が聞こえた。

 

「え!?武広君!!」

「おぉ、小咲か」

 

席替えの席は最終的にまた小咲と隣になった。それと、主人公は桐崎と鶫の間の席になったっぽい。

 

 

 

 

 

 

 

席替えから約一か月後、全男子学生の嫉妬と羨望の視線が渦巻く聖戦(バレンタインデー)の二月十四日。俺は特に女子からチョコが欲しいとかないので、普通の二月十四日として過ごすつもりだった.....家の前でスタンバってる小野寺春ちゃんが現れるまでは。

 

「おはようございます!森谷さん!」

「あ、あぁ....おはよう。春ちゃん」

 

挨拶を交わした小野寺春は、肩に担いでいるバッグから包装された箱を両手に持って俺へ差し出した。

 

「森谷さん!これ!どうぞ!お返し待ってます!では!」

「え!?あ、ありがとう....?」

 

怒涛の勢いに困惑している俺を、気にも留めず箱を渡してその場から立ち去って行った。受け取った(?)箱をバッグに詰めて、学校の飼育場へ向かった。

 

「......それにしても、すごい勢いだったなぁ。春ちゃん」

 

動物達に餌を与えながら、先程の小野寺春の事を思い返していた。恐らく受け取った箱にはチョコとかのお菓子が入っていると思う。気になるのはどうして今年だけ俺に渡したのか?ご近所付き合いならば春ちゃんが通う学校から遠い所からわざわざ渡しに来たのは......俺に好意があるのか?

 

「......好かれる切欠って、あったか?」

「ん?誰に好かれたのタケ」

「うおっ!びっくりした!急に耳元で囁くな。気持ち悪い」

「気持ち悪いとは心外だなぁ。ぼーっと立ってるタケを心配で来てやったのに」

「あ、ああ。悪い」

 

驚いてマジで心臓がびくってなったわ......今、何時だ?八時二十三分。ホームルームまで、七分前。やべ、本当にぼーっとし過ぎてた!

 

「急いで教室に戻るぞ!古田!」

「そうだな」

 

駆け足で古田と一緒に教室の方へと向かって走った。

 

 

 

何とかホームルームには間に合った。キョーコ先生の出席確認や連絡事項を話し終え、教室から出て行くのを確認した瞬間体から力が一気に抜けたように呟いた。

 

「はぁ~、焦った。遅刻扱いされずに済んだ」

「ふふっ、間に合ってよかったね。武広君」

「本当によかったわ」

「......」

「......」

 

一言二言話して、無言状態になって気まずい空気になったとは思わないが、小咲はそう思ったらしく小さく「あぅ」とか「ぇっと」等呟いてる。優しい優しい小咲の事だから、気を利かしてるのだろう。

 

〝あ、楽様!〟

 

〝橘!?何だ!その.....それは!〟

 

〝これは私の楽様への気持ちですわ!!〟

 

「(おお、流石橘って所か?色々とすげぇな)」

 

 

 

小野寺小咲side

 

う~ん、中々渡せないなぁ。折角美味しいチョコを作る事が出来たし!渡すタイミングで.....タイ....ミングで,

やっぱり緊張するよ。

 

「で?何時渡すの?今日中にじゃないと意味がないのよ。小咲」

「.....えっ!?るりちゃん。驚かさないでよ」

 

近くにいたるりちゃんに気づかないぐらい考え込んでみたい。

 

「るりちゃんの言ってる事はわかってるけど、どうしても萎縮しちゃうんだよ」

「知らないわよ。変に思い詰めるより....いっそのこと、気楽に渡しちゃいなよ」

「......出来たら、苦労しないよ」

 

そんな私にるりちゃんは深いため息を吐いた後、私の耳に囁いた。

 

「森谷君。如何やらチョコ......貰ったらしいわ。誰かは知らないけど」

「!?」

 

そ、そんな素振りなかった.....と思うんだけど!いつの間に武広君に渡したのだろう。飼育係の仕事をやってる時にかな?教室に入ってきた時には、チョコが入ってそうな箱とか紙袋を持ってなかったから違うよね?だれなんだろう......ん?

 

「るりちゃん。何で武広君が貰ったのを知ってるの?」

「さっき、森谷君と古田君が話しているのを聞いたからよ」

「そうなんだ」

「ちょうど森谷君、一人になったようね。行ってきな、小咲」

「う、うん。行ってくるね。.......やっぱり、無理だよぉ」

 

呆れた表情を浮かべたるりちゃんは頭を抑えた。

 

 

_放課後

 

タイミングは何回もあったのに、その都度ヘタレて渡せずに放課後になってしまった......!!私はいつもこういう時、ズルズルと先延ばしてしまう。るりちゃんが何度も背中を押してくれてるのに、何て情けないんだろう。小中三年間、渡したいのに結局渡せずに自分で処理する羽目になったけど!!放課後まで引き伸ばしたけど、渡しに行くぞ!頑張れ、私!

 

「あ、あの!待って、武広君!」

 

正門へ向かっている武広君に待つよう声を掛けた。

 

「どうした?小咲」

「こっ、これ!!受け取ってくれないかな?」

 

両手にチョコを乗せて渡した。

 

「俺にくれるのか?」

「うん。本当はもっと早く渡したかったけど」

「今、ここで食べてもいい?」

「是非!美味しく作れたから」

「......では、いただきます」

 

大丈夫だよね?何度も味見だってしたし、レシピ通りに作れたと思う。美味しく出来たよね?......よね?

 

「うん、美味しいよ。小咲」

「本当!?本当に!?よかった.....だって、これは」

「これは?(やべ、聞き返しちゃった)」

「.........特別な、義理だから」

「えっ」

「じゃ、じゃあまた明日ね!」

 

...........やった!




何か久しぶりに書いて、思ったのですが.......小咲の心情の書き方、ワンパターンな気がする。

次話について

  • 1.原作通りに正月
  • 2.話を飛ばして、席替えとバレンタイン
  • 3.お好きにどうゾ
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