思春期ぐだ男は愛せない   作:ヒイラギP

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ほんますいません!大スランプでした。色々書いてみてこっち浮かぶかなーってやっていたら1年近い年月が!?

私レベルの文才で年一更新とか読者に愛想尽かされちゃう!捨てないで!(メンヘラクレスオオカブト)

ちなみに前回のお話にちょこーっと手を加えました。最後の方のぐだ男の心境の描写に変更を入れて無理がない感じに修正できたと思っています。


導入編(0.27話)/お ま た せ

 マスターを連れてくる。そう言ってジャンヌが飛び出してから大体30分程経とうとしている恋愛研究会会場は部屋のすぐ外で行われている大惨事に気がつかず例年通りの活気に包まれていた。

 

 それもそのはず。サーヴァント数10人に対して、マスター1人。通常の聖杯戦争からしてあまりにもな人数比率。当然サーヴァント1人1人にかけられる時間も減っているので……

 

『召喚されたはいいけど戦闘に出してくれない!』『最近、全然会えてない!』『酒飲ませたい!!』『鍛えたい』『もっと遊びたい』『セッ『やめないか!』だって本当の事だろう!?』……etc

 

 マスターに対する欲求が爆発寸前に達していた。ちなみにこの事についてぐだ男は全然気づいていない。この男、そもそも付かず離れずの関係を作ろうと必死になっているため、自分に向けられた好意に気づかないのだ。なんならそういった態度が欲求の蓄積を加速させている節すらある。羨ま可哀想に。

 

 そんなこんなでウッキウキの参加者を他所に、頭を抱えている面子が2人いた。黒髭とランスロットその人である。何故こんな事になっているのかというと、意外と単純な事である。清姫が現れたのだ。しかも、会の中止を呼びかけるためにだ。彼等は恋愛研究会の前身である、『マスターを女体に目覚めさせるの会』を清姫によって木っ端微塵に破壊された過去がある。簡潔に言えばトラウマっているのだ。

 

「どどどどどうしましょう黒髭殿!清姫様がまた敵対してしまいました」

 

「そんなこと言われてもくろひーわかんない☆オワタ\(^^)/」

 

「く、黒髭殿!?……まさかあの日を思い出してしまったショックで幼児退行してッッッ!?」

 

「バブー!おぎゃ!おぎゃ!」

 

「それは絶対わざとですよね!」

 

そんな時だった。

 

 会場の雑音にかき消されて今まで聞こえなかった()()がうっすらと響く。それはまるで突撃する猛牛の様な、カルデアで聞こえてはいけない類の地鳴りだった。

 

ドドドドド!!!

 

 次第に大きくなっていくその音が、こちらに向かってくる何かだと気がついたその瞬間、ドアが弾け飛ぶ様な勢いで開け放たれた。

 

「うるrrrrrrrrらぁ!!!野郎共!地獄(パーティー)の時間だぜぇ!」

 

「ぐ、ぐだ男様ーッ!」

 

「わー!弟君、きまってるよー!」

 

 何この……何?を全力で体現した致命的に振り切れてしまった者(マスター)達の登場に唖然とするサーヴァント達。その視線を感じて胃がキリキリと悲鳴を上げるが、もはや退路はないぐだ男。両者には言いようのない緊張感が流れていた。

 

「ま、マスター?一体何があったのですか?」

 

 一時の沈黙を破りランスロットがぐだ男に話しかける。開ききった瞳孔に荒い呼吸。そして漏れ出る修羅のオーラ。どれをとっても平常ではない様子のぐだ男が心配だったのだろう。

 

 何があったかって?そりゃとんでもねぇ事だよ!不適に笑って誤魔化そうとするそんな俺の拳はガチガチと震えていた。特異点でも何でもない所で唐突な人類存亡をかけたミッション開始、こんなん誰が予想できるってんだ。

 

 状況を整理すると、俺は約1時間半の間サーヴァント達の妄想劇(恋愛要素増し増し)に参加してなおかつアドリブが求められる場面で機嫌を損ねずにそれをこなし、清姫がいる手前嘘がつけない……なぁにこれぇ?こんな無理ゲーフロムでも作らんわ!

 

 なんて矢継ぎ早に文句を唱えても状況は好転しない。これから始まる事柄すらこなせない様で何が人類最後のマスターだ。やってやる、やってやるぞ!

 

「ランスロットさん。安心して、俺は大丈夫だから」

 

「いや、凄い汗ですよマスター。体調を崩しているのでは……」

 

 ええい!邪魔だ!人が良い!

 

「催し物くらいこなして見せる。始めよう」

 

「じゃあねー!弟くーん!お姉ちゃん5番目だからーー!」

 

 ジャンヌさんは頭お姉ちゃんだからいけるとして、ランスロットはこっちが本当にダメな感じだと思ったら絶対に止めようとするだろう……だから眼光を操作する。熱意を作り上げて奥に灯す。今の俺は誰にも止められない積極性を持ってこの会に参加している。そう自己を改竄する事で(なんとなくバレてる気がするけど)英霊すら誤魔化す。最近不甲斐ないところばかりだったけど、ちょっと前まではずっとこうしていたのだ。乗り切って見せる!

 

「え、えぇ。マスターがそれで良いのなら始めますが……こほん!

 

それではみなさん!第5回恋愛研究会を始めていきたいと思います!!」

 

ランスロットの号令と共に爆発の様な拍手の音が上がる。あんまり大きな音だったからビビってのけぞった。どんな熱量だよ。

 

 ワッとあがったボルテージを右手の一つで鎮めると、元凶(MC)の2人がお決まりの文句を言い始めた。

 

「司会を務めさせていただきますのは、……今回もやっぱりあれ、言うんですか?……わかりました……円卓内恋愛最強の騎士ランスロットと!」

 

そこは恥を捨ててプリーズ!シチュエーションには人100倍うるさい黒髭ことエドワード・ティーチでございます!」

 

 やけに小慣れた導入で緩やかに進行する2人。英霊がキャラ作ってるのシュールすぎやしないか?

 

 今は特異点攻略が無く資源回収ローテしか仕事がないので暇を持て余していたのだろう。なんでそれでMCの技術を上げてしまったのか、他のことに時間使って欲しいと切に願う俺であった。

 

「さて、どんなに我々がトークをしてても皆さんの期待は満たされないですよね?」

 

「そりゃそうですよランちゃん!あの人が居なきゃ始まらないですからね!」

 

「焦らすのは無しにしましょう!我らがカルデアのマスターぐだ男殿!ご挨拶よろしくお願いします!」

 

 ……出番来ちゃったかー!地の文で粘れば次回まで引き延ばせるかと思ったのになー!そしたら1年近く時間が生まれたのになー!(毎度更新が遅くて申し訳ありません)

 

「どうもー!お待たせしました!ぐだ男でございまぁぁぁぁす!!!」

 

 久々に大声を出したからか所々声がひっくり返って恥ずい。が、そんな小さなミスなど意に介さない勢いと熱でゴリ押しすると、俺の登場で最高潮に達したボルテージが上限を突破した。物珍しい動物を見に来た観光客みたいだ。さながらパンダ?

 

「今回も盛り上がってますねぇ、てか年々規模がでかくなってない?」

 

「おかげさまで大盛況です。ですがこんな規模になってもいまいち女性にこう、ガッと行く感じがないのは流石の難攻不落といいますか」

 

「今年こそマスターをオトす強者が現れるのか、それとも無敗記録が積み上がるのか拙者、今からワクワクしてきましたぞ!」

 

「おっと、ついトークが弾んでしまいました。お待たせしました!早速、エントリーNo.1の方の発表に移りましょうか!」

 

 ご覧くださいと誘導された視線の先にあったのは街中とかで昔見たでかい液晶。ここに最初の試練が映し出されるというわけか……なんだか震えてきた。やばい。冷静になると恐怖が、もし皆んなの理想と今の俺がズレていたら俺はどうされるんだ?サーヴァントは圧倒的な存在だ。マスターであるというだけで俺に従っているが、腹の中で何を考えているのかわからない。怒っているのか、蔑んでいるのか、それなのに何故こんな会を開くのか、もしかしたら清姫の様に純粋な好意で持って接してくれているかも知らないがこの数だ。世界なんてどうでも良いと考えているサーヴァントがいてもおかしくない。それで僕のことがキライな子がいていじめたいってころしたいって思ってるんだ。

 

「それではご登場お願いします!」

 

それがいまから来るんだ。ころしにくる……怖い。誰が守ってくれるんだ。俺が死んだら全世界の人間が俺を恨むんだぞ?呪われて、死んでもずっとだ。お前のせいだって、死んだら困るだけだって、そうじゃなきゃ殺してるって、サポートがなきゃ何も出来ない屑の分際で女のサーヴァントと乳繰り合ってるって?言いがかりなんだ!ただ俺はみんなの期待に応えたいから必死でやってただけで、そんな……こんな目に遭うために生きてきたんじゃない。もうゆるしてくれ。もう投げ出させてくれよ……

 

「ハァ……ハァ……!!」

 

 こんな時に、フラッシュバックかよ。はは、バレてない。会は順調に進んでいる。だが、これで最後まで、いけるのか?どうすれば……!?

 

(大丈夫ですか!?)

 

 清姫の、声だ。霊体化して隣にいてくれたのか?いや、これだけ乱れていても流石に隣にいれば気がつくはずだ。だったらどうしてここに清姫が?

 

(ぐだ男様の体調が急に悪化したように見えまして、いてもたってもいられずに駆けつけてしまいました……やはり辛いのですよね?だったら……)

 

 清姫はきっと俺のためを思っていってくれている。必要以上に傷つかないように、俺が逃げやすいように……でもここで逃げるってことはずっとこの先終わらないフラッシュバックと疑念に纏わりつかれて生きていくことになる。清姫に言い訳を作って、誰とも、自分とすら向き合わずに。

 

「辛いよ……でもさ、変わりたいんだ」

 

(変わる、ですか?)

 

 自分以外の全てを怖がって、遠ざけたい自分がいる。だが、清姫に本当の自分を見せて受け入れてもらえた今の俺には受け入れたい。受け入れて欲しいという気持ちが生まれ始めている。殻を破るときはすぐ近くまで来ている。ずっと過去に囚われ続けるのはもう終わりにしなくてはいけない。

 

「ああ。清姫、俺はーーー俺はもう逃げない。清姫が見せてくれた可能性を裏切らない」

 

(ぐだ男様……わかりました。私は見守っています。どうか無理だけはなさらないように)

 

「応!」

 

「エントリーNo.1 エレシュキガルさんです!」

 

 観覧席に帰ってゆく清姫を見送り、舞台袖に視線をやるともう最初の参加者が登場するようで、あーだこーだ考える時間も無いようだ。こちらに向かって歩みを進めるエレシュキガルは寒さに悴んだようにぎこちなく、(つまりはとてつもなく緊張している訳だ。)だが、その目は決意と覚悟で満ちていた。相手の眼を見るなんていつぶりだっただろうか。恐らく今までなら思わなかっただろう。「美しい眼だ」なんて。

 




次回からシチュエーション再現という体の短編集みたいにしたいな

ほぼオリ主状態のぐだ男の精神面での成長も書きたいけど、魔術面での変態っぷりも書きたい。なんならプロットのデータが消えたからこの先の展開が体当たりになる。全部こなさなくちゃいけないってのが辛いところ
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