指揮官と人形、時々○○   作:影元冬華

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どっかで別の作品書いてる系の人。見つけたらすごいね!

日常もの書ける人がすげえと思ってる


新入り人形

 DSRは困惑していた。

 

 新たに配属される基地、その執務室の扉の前で思いっきり固まってしまった。その理由は、他でもない執務室から漏れ出ている声のせいである。

 

 

 

『し、しきかっ…まっ…そこ、は…っ!』

『いいや、待たないね。それに…これだけ硬くして…。そんなに俺の言うことが聞けないのか?』

『ちっ、違っ…んっ!ぁあ、う、んぅ!!』

 

 

 

 どう考えてもアレな方向にしか行かない声が聞こえてくるのだ。現在、日が一番高く昇っているタイミング。執務室でやらかすとはこれ如何に。

 完全に入るタイミングを逃したと思ったDSRは扉の前でフリーズしたまま動けない。しかもその間もずっと、部屋の中から指揮官らしき男性の声と副官であろう人形の声が聞こえているのだ。

 

 

「…えっと、これは…。どうしま、しょう…。」

 

 

 そして何より、このDSRは通常の個体とメンタルが違っているのも固まってしまった理由だろう。

具体的には「DSR」という戦術人形は見た目と言動、行動などは高確率で「誘う」ように設定されている。しかし、このDSRは元となった民間モデルの記憶があるためか、他個体に比べてそういったことを一切しない。それどころか、そういった行動は苦手、あるいは未知の領域に近いのである。

 

 

つまるところ、純情で健全すぎるDSRなのだ。

 

 

 

「(着任の挨拶である以上、入らなければいけないのでしょうが…今このタイミングは流石に…。そ、それに・・・うぅ…。)」

 

 

扉の前で固まったまま、若干涙目になるDSR。すると後ろから足音が聞こえてきた、と思った後すぐに声を掛けられた。

 

 

「うん…?ああ、お主が今日着任する新しい人形じゃな?」

「あ、はい。DSR-50と言います。」

「そのような場所で留まっておるとは…緊張しておるのか?」

「いえ、その…えっと…。な、中からちょっと聞こえてはいけない声が…。」

 

 

 やってきたのは本部でもたびたび見かけたM1895ナガンリボルバーであった。DSRは中に入れない理由をナガンに話して、そのまままだ中から聞こえる声に「うぅ」と呻き声を出す。このDSRからすれば刺激が強すぎたのだ。

 

 

「聞こえてはいけない声…ああ、いつもの事じゃな。別に気しなくとも大丈夫じゃよ。」

「い、いつものこっ…!?」

「指揮官、わしじゃ。入るぞ。」

 

 

 うぇええ!?と内心ビビりまくってるDSRは、何事も無いように入っていくナガンを見て余計にフリーズした。ナガンもナガンで中から返事の声が来る前に扉を開けて入っていく。

 

 

「ん?ああ、ナガンか。何か用かい?」

「新人が扉の前で固まっておったぞ。それと、わしからは報告書の提出じゃ。確認を頼む。」

「あいよ…っと。さーて、これで懲りたら大人しくメンテルームに行ってくるんだな。」

「うっ…。」

 

 

 しかし扉を開いてみれば、予想していたことは行われておらず…いや、体勢的にはアウトかもしれない。

グリフィンの制服を着ている男性は指揮官で間違いないだろう。だが、その下にうつぶせで組み伏せられる形でいるのは紛れもなく人形だろう。

 

 

「あー、悪いな新人。ちょいと言う事を聞かない副官にお仕置きをしてたんだがな。」

「まあ割といつもの事じゃな。コンテンダー、お主も懲りぬのぅ。」

「し、仕方ないじゃないですか…時間がなかなか取れない以上、オールメンテなんて受けるわけにはいかないので…いてて。」

 「だーかーら。俺の矯正が入るんだろうが。これは一時的なものだからあとでちゃんと行けよ?副官なら一時的にナガンでも当てればいいからな。」

「指揮官、お主さらっとわしに押し付けたな?」

 

 

 余計に訳が分からなくなるDSR。前の司令部では絶対にあり得ないやり取りと緩さである以上、仕方ないと言えば仕方ないだろう。

 指揮官は椅子に掛けていた制服の上着を羽織り、DSRの方に向いてきっちりとあいさつをし始めた。

 

 

「いきなり見た光景がこれというのは何とも言えないが…ようこそ、F08地区へ。指揮官のオダス・トゥマーンだ。慣れないことが多いとは思うが、まぁ、何か困ったら気軽に聞いてくれ。」

 

 

 こうして、DSRはF08地区の基地へと着任した。

 




オダス=大胆
トゥマーン=霧

声:どっかのナンパしてきそうな、それでいてキングスキャ何とかってところでチャンピオンになろうとしてるおじさん
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