閃の軌跡~剣神と謳われた者~   作:璞毘

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九話

「お前らに、先行を譲ってやるよ」

 

「なに・・・?」

 

「どういうつもりだ・・・・?」

 

リィンの言動にマキアスやユーシスは勿論のこと観戦していたⅦ組の皆も訝しげにリィンを見る

どういうつもりなのかと、皆の目がリィンにそう訴えていた

 

「なに、いくらサラさんがお前らの勝利条件を緩くしたって言っても、万全のオレじゃ、お前らじゃ一太刀どころか“触れることすら”できねぇだろうからな

なんなら、オレはこいつを抜かずに相手をしてやるよ」

 

リィンは、そういうと己の腰に差してある二本の刀のうちリィン自身が使っている太刀を軽く叩きながら言う

要するに自分は素手で相手してやる・・・とリィンはそう言っているのだ

 

「ず、随分な自信ね・・・」

 

「うん、特別実習の時のリィンは確かに強かったけど・・・」

 

「いくら、リィンとは言え、連携できておらぬがあの二人を相手に大きく出たものだな・・・」

 

「ふむ、リィンのことはラウラ達から聞いてはいるが・・・」

 

「はい、いくらリィンさんでも・・・」

 

リィンの素手で相手してやる宣言にあのケルディックの実習の日リィンの実力を目の当たりにしてるラウラ達でさえ、リィンが負けると誰もが思っていた・・・

そう、一部を除いて・・・・

 

「皆、めでたいね・・・」

 

「まっ、リィンのこと知らないとそういう評価になるわよね・・・」

 

「え・・・?」

 

「サラ教官・・・?」

 

「まぁ、見ていればわかるわ

あの子の異常ともとれる戦闘能力を・・・・ね」

 

「・・・正直、リィンは化け物レベル」

 

サラとフィーのリィンの戦闘力の評価にⅦ組の面々は今まさに始まろうとしてる、実習メンバーをかけた戦いに目を向けるのだった

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、来いよ・・・」

 

リィンは、人差し指を上げ、それを曲げて戻すを繰り返し挑発する

 

「舐めるな!」

 

「君に恨みはないが、行くぞ・・・リィン!!」

 

リィンの挑発に簡単に乗ったユーシスとマキアスは、リィンに向かって駆け出した

 

「フッ・・・!」

 

ユーシスは、リィンに向かい大きく足を踏み込み剣を横なぎに振るう

踏み込みも剣筋も悪くない、学生にしては中々いい太刀筋だろう

だが、それでも所詮は学生レベルでの話だ

 

「なっ・・・・!?」

 

「悪くはねぇ、このまま鍛錬を続ければいずれはその高みへと至れるだろう・・・

だが・・・オレを相手にするには“足りねぇな”」

 

リィンは、ユーシスの剣を片手で掴み、そのまま回し蹴りでユーシスを蹴り飛ばす

 

「ガ・・・ッ」

 

「おい、おい、もろすぎねぇか・・・?

ちょっとつついただけだろ・・・?」

 

リィンは、そう言うとユーシスの元へゆっくりとした足取りで向かう

 

「ま、待て!」

 

呆然としていたマキアスだったが我に返り、ユーシスに向かって歩き出しているリィンにショットガンを向ける

 

「・・・マキアス、その獲物は飾りか?」

 

「なに・・・?」

 

「ゴム弾なんてつまんねぇもん入れてねぇでオレ相手の時ぐらい実弾で来な

いや・・・殺す気でかかってきな」

 

「なっ・・・!?」

 

リィンの発言にマキアスは驚愕も表情を浮かべた

Ⅶ組の実力テストではもしものために銃火器を扱う生徒には原則として、実弾ではなく、ゴム弾を使用させていた

それは、模擬戦などの時に誤って生徒を殺すことなどないように安全を考慮してのことだ

だが、リィンはそれをやめろと言っている

下手をすればリィンが死にかけない提案でもある

マキアスは、指示を仰ごうと困ったような表情でサラを見た

 

「・・・・」

 

サラは無言で首を縦に振る

実弾を使ってもオーケーとの合図だ

マキアスは、サラの許可があったとはいえ、しばらく悩んでいたが、意を決してショットガンの弾をゴム弾から実弾に入れ替える

そして、マキアスはそれをリィンに向ける

 

「クク、それでいい

さぁ、始めるとしようぜ

この、命たぎる刹那の殺しあいをな!!」

 

「クッ・・・

君は・・・・」

 

マキアスは、リィンのその異常とも呼べる嬉々とした態度にひるみながらも実弾の込めたショットガンをリィンに向けるだが、それは震えていた

 

「・・・クク、その震え・・・

相手を殺してしまうかもしれないという”恐怖”・・・

だが、悪くはねぇな・・・

恐怖に支配されながらもオレにそいつを向けて見せたんだからな」

 

リィンは、マキアスを称賛していた

いくら士官学生とは言え、相手を殺してしまうかもしれないこの状況で

銃を向けて見せた

大半は恐怖に支配されてしまい、向ける前に戦意喪失してしまうのがほとんどだ

それは軍人になったばかりの奴は特にだ

士官学生のうちからこのようにできる奴は稀だ

 

「さて、おまえの覚悟はどの程度か見させてもらおうか!!」

 

リィンは、そういうと駆ける

そしてリィンは、その拳をマキアスにむけて放つ

 

「グ・・・」

 

マキアスはかろうじてだが、自らの獲物でそれを防ぐが、それだけでリィンが止まるわけがない

 

「ハッ!!

いいねぇ、上げるぜ!!」

 

リィンは。目に見えないほどの速さで連続で拳を叩き込む

 

「ガッ・・・ハッ・・・・」

 

いくら、リィンの拳を防いで見せたからと言っても、目で追えない攻撃をすべて防げるわけでもない

マキアスは、リィンの連続の拳を受けそのまま倒れ込む

 

「まぁ、こんなもんかな」

 

リィンは、マキアスを下し、一言そう言った

 

「さて・・・と

おい、ユーシス、いつまで寝てやがんだよ」

 

リィンは、先程蹴り飛ばした方向に目を向ける

ユーシスは、そんなリィンの言葉に反応したかのように肩がピクッと動き

ゆっくりとだが、ユーシスは身体を起き上がらせ、そして立ち上がる

 

「なんだよ、元気そうじゃねぇか

それじゃ、始めようぜ

オレを殺して、お前の意見を通すのか

それとも、お前をオレが殺して屍となるのかをな!!」

 

リィンは、一瞬でユーシスの元まで駆け抜け、その拳を振るった

 

「な、なんか、趣向が違ってないかしら?」

 

リィンとマキアス&ユーシスの戦闘をみていたアリサがリィンの様子から感じたことを口にした

それは、口には出さなかったが、他のⅦ組のメンバーも同じように感じていた

そもそも、今回の戦闘の発端はユーシスとマキアスのわがままによるものだ

リィンは、それに巻き込まれ相手をしてるだけに過ぎない

 

「まぁ、あの子なら大丈夫よ

殺しはしないわ

気絶にとどめるでしょうからね」

 

「・・・ん」

 

Ⅶ組の懸念を悟ったサラがリィンを擁護するような発言をした

フィーもサラの発言に頷いた

 

「まぁ、刹那の命のやり取りは楽しむけどリィンはね」

 

フィーは付け加えるように言うとリィンとユーシスの戦いに目を向けた

勝敗が分かり切っている戦いを・・・

 

「ハッハハハハハハハハハ!

いいねぇ、よく耐えるじゃねぇか

まぁ、折角獲物は使ってねぇんだから

これくらいはたえてくれねぇとな!!」

 

リィンは、さらに振るう拳の速度を上げる

 

「クッ・・・

これ以上は・・・」

 

「ハハハ

どうした

もうへばる時間か?

まだまだ、早くできんだけどな」

 

リィンは、次々と拳をユーシスに振るう

ユーシスは自身の獲物、騎士剣で防いではいるが、それはかろうじて防いでるにすぎない

リィンもその気になればいつでも自分など下せると気付いていた

だが、リィンがどんな思惑かは知らないが、リィンは大幅に加減し、自分が対応できるギリギリのラインの質で拳を振ってくる

だが、ユーシスがそんな思考をしているうちに集中力が知らないうちに切れかけていた

それを見逃すリィンではない

 

「馬鹿が

切れたな・・・」

 

「え・・・」

 

「終わりだ」

 

リィンは、大きく踏み込み、掌底をユーシスの胸部に叩き込んだ

 

「ガッ・・・」

 

リィンの掌底をまともに喰らったユーシスはそのまま意識を手放すのだった・・・

 

「勝者、リィン!!」

 

ユーシスが意識を手放す直前、担任教官のそんな声が聞こえたのだった

 

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