閃の軌跡~剣神と謳われた者~   作:璞毘

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十一話

ルーファスと別れた、Ⅶ組の五人は受け取った封筒を開け、中身を確認する

ケルディックの時と同じように、各種様々な依頼が用意されていた

 

・オーロックス峡谷道の手配魔獣

・穢れなき半貴石

 

の二つの依頼だった

このバリアハートについた時間も考え、終わるころにはいい時間帯であろう

まぁ“手分けをしなかった”場合の話だが・・・

 

「んー、手配魔獣はオレとフィーでいくから

エマ、ユーシス、マキアスは二つ目の依頼を頼んだ」

 

「リ、リィンさん

せめて、フィーちゃんか、リィンさんどちらかをこっちに・・・」

 

リィンは明らかにめんどくさいことになるからと、面倒ごとをエマに押し付け

ようとしてるのを察したエマは、慌てて引き留める

 

「フィー、どうだ」

 

「ん・・・」

 

フィーは首を横に振る

 

「リィンが行ったらいい」

 

「え、やだ」

 

リィンもフィーもあの二人といるとめんどくさくなるのが目に見えてるのと

なんかやらかして、こっちに飛び火した時の対処を考えると魔獣を狩るほうが楽だ

それに、二人ともあれこれ考えるより体動かすほうが向いてるタイプもあり、真っ先に魔獣の討伐を行くと申し出たのだ

 

「リィンさん、フィーちゃんも・・・・

頼みます、マキアスさんもユーシスさんも人目考えず、言い争いし始めますし、なんか実習地の人たちなんか生暖かい目で若いねぇとか言うんですよ

確かに、喧嘩するほどなんとかって言いますけど、もう少し常識とか持って行動してほしいわけでして、えぇ、本当迷惑極まりないんですよ

そんな喧嘩に巻き込まれる私の身にもなってください!!」

 

「お、おい」

 

「エマ、落ち着いて」

 

息切れしながらまくしたてるエマを、リィンとフィーが宥める

そして、呆れた表情を浮かべ、マキアスとユーシスを見る

 

「おまえら、エマにここまで言わせるって・・・」

 

「ある意味すごいね・・・」

 

「グ・・・・」

 

「む・・・・」

 

二人は、バツが悪いのか、呻き声のようなものをあげると、視線を逸らす

 

「あー、しょうがねぇな・・・

じゃあ、喧嘩する二人を切り離すか・・・

オレとユーシスで魔獣の対応

そして、残りで半貴石とやらの依頼だ

これで、文句ねぇだろ

 

「えぇ、それでしたら・・・」

 

「ん・・・」

 

エマとフィーはそれだったらと納得して頷いた

 

「前回はどんだけひどかったんだよ・・・」

 

リィンは、呆れた表情をマキアスとユーシスに向けるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、喧嘩する二人を切り離し、魔獣討伐組となった、リィンとユーシスは魔獣の目撃場所である

オーロックス峡谷道まで来ていた

道のりはそこまで言うほど険しいわけではなく、魔獣も襲い掛かってきたりはするが、リィンの一刀のもと、切り伏せられるか、ユーシスも決して弱いわけではないのでそんな苦にならず、進むことができた

 

「中々、やるな」

 

リィンは、ユーシスの太刀筋をみて称賛する

別にお世辞とかではなく、素直にそう思ったから、リィンは言ったのだ

 

「フン、貴様に言われると、嫌みにしか聞こえんな」

 

だが、ユーシスの言う通り、リィンの剣は次元が違う

リィンの剣は帝国で有名な光の剣匠や黄金の羅刹などの達人の領域に達した者たちのレベルだと感じていた

ユーシスやラウラの剣が学生内では強いほうだとするならば、リィンの剣はこのゼムリア大陸で通用するレベルだ

そして、加減され剣さえ抜かせることさえできなかったとはいえ、直接手合わせしたユーシスは・・・感じた

リィンの“底が見えない”・・・と

オリエンテーリングの時、先行し、フィーと一緒になって魔獣の死体の群れを作ったときは確かに強いとは感じた。

だが、直接手を合わせ、そして今一緒になって戦ってみるとその底知れなさが肌で感じ取ったのだった。

そして、リィンとユーシスは、担当した依頼である、標的の手配魔獣を見つける

依頼書の魔獣の特徴とも一致する

その名はフェイト・スピナー

外見こそ、そこら辺にいる虫のような姿、形だが、両腕の鋭利な爪は要注意だろう

まともに喰らえばケガどころでは済まない

下手をすれば死に関わる

 

「さて、狩りの時間だ

行くぜ、遅れんなよ、ユーシス」

 

「フン、言われるまでもない」

 

先に駆け出したリィンを追うように、ユーシスは駆け出した

リィンとユーシスに気付いた、フェイト・スピナーは迎え撃たんとその両の腕の鋭利な爪を交差させるように薙ぐ

 

「ハッ・・・!」

 

「くっ・・・」

 

フェイト。スピナーの攻撃にユーシスは獲物である騎士剣を盾のように構え、フェイト・スピナーの攻撃を防ぐが・・・衝撃までは消しきれず衝撃でわずかに後退する

リィンは、薙ぎの瞬間すでに姿を消しており、すでにフェイト・スピナーの背後に回っており、腰の刀を抜く、そしてそのまま一閃する

 

「・・・・!?」

 

フェイト・スピナーはリィンを狩らんと反対を向くがすでにリィンはいない

 

「・・・・!?」

 

そして、またもや背後から一閃される

 

「まだまだ、行くぜ?」

 

そう言うと、リィンはまた姿を消す

流石に攻撃パターンを理解したのか、フェイト・スピナーは、後ろを振り向くだが、そこにリィンの姿はなく

横からの斬撃がフェイト・スピナーを襲った

 

「ハハハ

どうした、ユーシス

もう、ばてたのか

なら、こいつはそのまんまもらっちまうぜ?」

 

リィンは、フェイト・スピナーの相手をしながら、ユーシスを挑発する

 

「ぐ・・・

舐めるな!!」

 

ユーシスはまだしびれが残っている腕を無理やり動かし、フェイト・スピナーへ、駆ける

 

「喰らうがいい、クリスタル・・・・セイバー!!」

 

ユーシスは剣に闘気を纏わせ、それをフェイト・スピナーの前で一気に解放し結界状に展開し、フェイト・スピナーを閉じ込め、そして、その結界ごとユーシスはフェイト・スピナーを切り裂く

 

「クク、やればできんじゃねぇか」

 

ユーシスの技を受けたフェイト・スピナーはそのまま倒れ伏した

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・」

 

それを見届けたユーシスは、地面に手をつく

 

「クク、まぁ上々といったところか

さて、“奴ら”が本格的に動き出すまでどこまで抗えるかな・・・」

 

リィンは、ユーシスの様子を見ながら楽し気に呟く

力を使い果たし、息を整えている最中のユーシスには、そんなリィンを気に掛ける余裕など微塵もなかった

 

「・・・・さて、目的は達成したし、戻るかユーシス」

 

リィンは、未だ息を整えている最中だが、落ち着いてきた頃合いを見計らって、声をかける

 

「・・・・あぁ・・・」

 

依頼の魔獣を倒し、バリアハートへ戻る道なりを進んでいる、巨大な施設のようなものが目に見えた

 

「へぇ、あれがクロイツェン州領邦軍拠点、オーロックス砦か・・・」

 

リィンは、無駄に拡張された痕跡がある、砦を見ながら言う

当のユーシスは、砦の拡張のことは伝わっていないらしく、呆然とその砦を見ている

 

「ふ~ん、その様子だと”知らなかったみたいだな”?」

 

「あぁ、父はオレには無関心だから仕方ないが・・・

兄上からの手紙にもこのような事・・・」

 

ユーシスはそこまで言うと下を向き俯いた

 

「まぁ、わざわざ言うようなことでもないけどな」

 

「なに・・・!?」

 

「考えてもみろ、いくら四大名門の若様だからって、一々軍事のことを伝えてなんになるんだよ

しかも、おまえはお前の父親やルーファスさんからみて、学生またはただの子供でしかない

そんなやつに報告する必要なんかないだろ」

 

「それは・・・」

 

リィンの言い分に、ユーシスは押し黙る

家督に関しても、ルーファスが後を継ぐことはほぼ確定している

そして、ユーシスはその代用でしかない、それはユーシス自身もわかっているし、仕方のないことだと割り切っている

だから、アルバレア家の人間として恥ずかしくない教育は受けていても、家の根っこの部分まではユーシスは知らなかった

今回の軍事施設拡張についてもだ

ルーファスもユーシスの父も知る必要のないことだと判断したのだろう

それに関しては頭では理解しても、納得できないと思うのもまた事実だ

ユーシスは唇をかみしめるのだった

その葛藤をリィンはユーシスを馬鹿らしいなど思わず

”人間らしい”と思うのだった

それは、人間として当たり前の感情なのだから・・・

 

リィンとユーシスがそんな軍事施設を眺めていると、警報が鳴り、戦車やら車が何台も走っていくのを見かける

 

「なんだぁ?」

 

リィンはその様子を見ていると、一台の車がリィンとユーシスに気付き、リィンたちの前で停車し、降りてくる

そして、兵士はユーシスに気付くと背筋を正し、敬礼する

 

「ユーシス様、お戻りになられていたのですね

お疲れ様です」

 

兵士たちはユーシスたちに敬礼しながらも先程の警報の件を話した

リィンだけならこの兵士は話さなかっただろう

そこはユーシスがアルバレアの人間故であろう

 

「実は、砦の方に侵入者が現れまして我々はそれを追っていたのです」

 

「侵入者?」

 

「えぇ、なんでも銀色の人形を操る子供でして・・・」

 

「は?」

 

兵士からそれを聞いた途端リィンの口から間抜けな声が出た

リィンの想像が正しければ。その子供はリィンがよく知る”子供たち”の一人だ

そもそも、子供で銀色の人形を操りバリアハートの軍事施設に侵入する者など、リィンの知る限り”彼女”しかいない

というよりこんなことをするのは彼女くらいなのでリィンは顔をしかめた

そしてリィンは小声で毒づいた

 

「あのバカ・・・・」

 

そして、その後ユーシスも含めてその侵入者について兵士たちは聞いてきたが、リィンは当然のようにとぼけ、ユーシスは本当に知らないため知らないと一言だけ兵士たちに告げた

それを聞いた兵士たちはその回答が来るのが分かり切っていたのかそれを聞くと敬礼し車に乗り込んで去っていった

 

「いやぁ、すげぇ練度だなー」

 

リィンは去っていく車を眺めながら何気なく言う

 

「フン、当然だ兄上が直々に指導しているのだからな」

 

ユーシスはいつも通りの傲慢な態度で言うが若干どうだと言わんばかりの嬉しさが混じっていた

 

「へぇ、あの若様が直々に・・・ね

まぁ、確かにあの若様はまさしく文武両道を絵にかいたような人物だが・・・

やりあってみたいもんだな」

 

リィンはそれを聞いてニヤリと笑みを浮かべ呟いた

 

「おまえは・・・・」

 

「あぁ、悪い

だがオレは腐っても剣に生きる人間だからな

強いって聞くと殺りあいたくなっちまうんだよ

さて、そろそろ行こうぜ

エマ達の様子を見にな」

 

そして、リィンとユーシスはバリアハートへ戻るのだった

 

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