では、どうぞ
Ⅶ組の特別実習から、数日・・・
授業も本格になってきていた
一般の高等授業に加えて、士官学校ならではの授業も行われてきている
そして、リィンも、度々帝都のほうに呼び出されるのが多くなっていた
ケルディックの件を受けて、帝国政府も”なにか”が動き始めていると考えた結果である
リィンの所属を知る、サラは、なんとか苦しくない理由をつたえているが彼らのリィンへの疑念は募っていくのはサラにも感じられた
「まぁ、あの子はバレた所で何も思わなさそうだけど・・・」
リィンが自身の正体がバレても、特に気にした様子を見せないリィンをサラは容易に想像できるのだった
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「よう、数日ぶりだな」
リィンが帝国政府からの呼び出しを受け、帝都に向かってから数日
特別実習以来にトールズのⅦ組に顔を出した
「リィン、なんかサラ教官から用事で帝都に行くって聞いたけど・・・」
「おぉ、まぁちょっとした用事があってな・・・」
「そ、そうなんだ・・・」
数日ぶりに顔を出したリィンに、声をかけたのはエリオットだった
何気に入学式から、声をかけてくれるクラスメイトだ
その、エリオットもリィンに対して疑問があるが元来の性格も災いして聞けずにいた
そして、なにを聞こうとリィンは絶対に答えないだろうとも思っていた
リィンが来た瞬間Ⅶ組・・・主にリィンともに実習に行ったA班の空気が心なしか暗いように感じた
それもそのはずで実習の最終日にいくら、盗賊団とグルだったとはいえ、領邦軍の隊長の足を突き刺し、拷問に近いことを行ったのが原因だ。
だが、当の本人は気にした様子もなくいつもと変わらない態度だ
「リィン・・・」
「あ?」
そんな空気を破って、リィンと同じ班だったラウラが椅子に座りぐだーとしてるリィンに話しかける
その表情は心なしかリィンには険しく感じた
「この前の特別実習だが・・・」
「あぁ・・・
あれは、大変だったな。お疲れさん」
「そうではない!!」
リィンの、ねぎらいの言葉をラウラは無視し、声を荒げる
「リィン、答えよ、何故、あんなことをした!?」
「ハッハハハハハハハハハ!
何を言うかと思えば、そんなことかよくだらねぇ」
「なっ・・・!?
リィン、そなたは・・・!?」
「“戦場に事の善悪はない、ただひたすらに斬る”それだけだ」
リィンはラウラの言葉を遮り先程の問いに答える
それは、リィンが戦場で、そして今は亡き師から学んだ真実.
「確かにオレのやり方が正しいとは言えない
だけどな、お前らあの場で何とかでたのか?」
「それは・・・」
「「・・・・」」
特別実習のあの日、ルナリア自然公園でラウラたちはピンチになった
確かに、あの巨大魔獣はリィンが出ていかなくても何とかなったかもしれないが、あの領邦軍に関しては、あの手この手で適当な理由をつけ、ラウラたちを連行していたかもしれないのは事実だ
まぁ、リィンがあんな荒事にしなくとも、多少時間を稼ぐことで、クレアたちが乗り込んできていたのでなんとも言えないのだが、リィンはそのことを言わないでおくことにした
「特別実習初日から両班とも程度はあれ面倒ごと・・・か
楽しくなりそうだ・・・」
リィンは、これから何かあるであろう予感に笑みを浮かべた
そして、二度目の自由行動日の日が来た
リィンは自分にあてがわれた部屋のベットでぼーっと寝転がっていた
すでにこのⅦ組のために用意された寮、第三学生寮にほとんど人の気配はなく皆出ているようだった
「皆は、出てんのか
それにしても、実習初日であれか・・・
中々、楽しませてくれるな・・・」
リィンは、ケルディック方面での実習を思い出していた
あれは、リィンからすればどうともないが貴族と平民の関連性をA班はなんとなく感じれたのではないかと思う
彼らからすればいい社会勉強にはなっただろう、まぁ社会勉強というには少々過激であったかもしれないが・・・
「そして、“奴ら”はとうとう動き出した
見せてもらおうじゃねぇか
どうやって、あの人をかき乱すのかをな・・・」
リィンは、これから起こるであろう荒事に笑みを浮かべるのだった
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「さて、ここに来るのも久しぶりだな・・・」
リィンは、前回同様一人で旧校舎に来ていた
そして旧校舎の気配がなんとなくだが変わっていることに気付く
外観は特に変化は見られないが、おそらく内観は変わっているであろうことに予想を立てる
旧校舎に入ってみると、案の定と言うべきか内観が変わっていた
更に奥へ進むと、そこには大きなダンジョンになっていたのだが、そこは昇降機のようなものが置かれていた
「おいおい、マジかよ・・・」
リィンは、その光景をみて、呆れたような表情を浮かべた
「まさか、ここまで大きく内部が変わるとはな・・・
それにこの気配・・・」
旧校舎の内部だけでなく、生息する魔獣の気配もあの時より強力だと感じたリィンは笑みを浮かべて昇降機を操作し進んだ
昇降機を降り、リィンは周辺を見渡したがダンジョンの構造については前回と変わらず見た感じ進みながらこのダンジョンのロジックを解いていく仕様のようだった
「まぁ、腕を鈍らせない程度にはなるが、拍子抜けだな・・・」
リィンは、襲ってくる魔獣を難なく切り伏せ、ロジックを解きながら、先に進んでいく
そして、難なくリィンは最奥へとたどり着いた
「おい、もったいぶってないで出て来いよ・・・
なぁ・・・?」
リィンが、そう言うと前回同様空間を裂くようにこの階層のボスクラスの魔獣が姿を現した
そこから現れたのは三体の大型魔獣だ
いくら武術を学んでいても、三体となると苦戦は免れないだろう
そう、相手が“リィンでなければ”・・・
「前回よりは、楽しませてくれんだろ・・・?」
リィンは腰の太刀に手を添え、いつでも抜刀できるようにする
「ガァァァァァァァァア!!」
三体の大型魔獣は、すべて同じ姿形をしていた
前回同様、強靭な四肢がなく、代わりに翼のようなものが生えていた
大型魔獣は、三体とも大きく息を吸い込み溜めこむ
「へぇ、三体でオレを囲み
逃げ場をなくしてオレを狩る気か・・・」
リィンの言う通り、三体の大型魔獣はリィンを取り囲み攻撃態勢を作っている
戦術としては悪くない、むしろ多対一のセオリーを理解していると言っていい
「gaaaaaaaaaaa」
そして三体の魔獣は一斉に雄たけびを上げ、リィンに向かって口に溜めていた力を吐き出す
それはビームとなって、リィンに迫る
「ハッ・・・」
「ガっ・・・!?」
リィンは、迫りくるビームを前にするが・・・
次の瞬間、リィンは姿を消した、そして一体目の大型魔獣の背後に廻り、翼のようなものを斬り飛ばす
リィンは、二体目、三体目も同じ要領で片方の翼を斬り飛ばしていく
更にもう片方の翼も斬り飛ばす
「おいおい、付属品を斬っただけだろ
喚くなよ」
リィンは、翼を斬り飛ばされて、怒りの雄たけびを上げている魔獣にそう言う
魔獣は、リィンの言葉を理解してるのか、リィンにビームを放ってくる
だが、それは悪手だ
一度、リィンに見せ、なおかつ初見にも関わらず、リィンに通じなかった攻撃が効くはずもない
「馬鹿が、効くか・・・」
リィンは、次はかわすことなく太刀で弾いて見せる
「我が閃きの剣、受けるがいい」
リィンは、そういうと魔獣に向かい駆け出す
「一歩、音越え」
更にリィンは加速する
「二歩、無間」
そして、リィンは魔獣からは視認できないほどの速度に到達する
それはまさに、リィンの師が歩法だ
その名も“縮地”
「三歩、絶刀・・・
無明三段突き!!」
そして、リィンの全く同時の三突きが魔獣を捕える
リィンの必殺の剣、無明三段突き
それは,今は亡き師の技であり、師から教わった必殺の剣
ほぼ同時ではなく全く同時の三度の突きを喰らわせる技だ
一の突きを防いでも二の突き、二の突きを防いでも三の突きが襲いかかる
防御不可の対人魔剣それがリィンの剣である
「・・・話にならないな・・・」
リィンは、広い空間で一人呟き、旧校舎を後にした
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そして、実力テストの日・・・・
「はい、それじゃ、始めるわよ
リィン、アリサ、エリオット、ラウラ前に出なさい」
「なるほど、そういうメンツか・・・」
「これって、前の特別実習の時の・・・」
「そうみたいね」
「・・・・・・」
選ばれたメンバーは先月の特別実習で、A班としてケルディックに行ったメンバーが最初に選ばれた
察しのいいリィンは選ばれた時点で気付き、それ以外の者も後になって気付きこれなら前回の実力テストのように酷い結果にはならないだろうとアリサとエリオットは内心思った。
確かに、前回の特別実習を通じて親睦を深めたのは事実だろう、だがそれは、一部を除いてだ
リィンは、途中で特別実習を中断し、別件にあたっていた
そして、その後合流はしたが、リィンが領邦軍にやったことに関してそれぞれいい思いは抱いていない
特にラウラは、それが強く出ている
現に今もリィンを複雑な表情で見つめている
「やれやれ」
Ⅶ組の生徒の中で唯一それに気づいたリィンは、肩をすくめるのだった
担任であるサラは、そんなリィンの様子を見て呆れたように溜息を吐いた
結果で言えば、散々だった。
アリサ、エリオット、ラウラの三人は問題なく、リンクをつなげれたのだが
何故か、三人ともリィンとだけ繋ぐことができなかった
いや、原因などわかり切っている、ケルディックでリィンが行った行為が原因だ
領邦軍から窃盗団とのつながりを聞き出すため拷問まがいなことをしたせいで三人のリィンの評価が大きく悪い意味で変わってしまったのだ
エリオットやアリサは恐怖の対象、ラウラは己の信じる騎士道が正道とするならリィンの行ったそれは邪道そのものだ
「おいおい、なんだよ
そんなにオレのこと嫌いか?」
リィンは、からかうような口調で言う
口ぶりからしてそこまで気にしてはいない様子だ
「ご、ごめん」
「エリオット、冗談だ
所詮は、卒業までの付き合いだろ?」
「リィン・・・」
エリオットは何とも言えない表情をした
確かに、リィンの言う通り二年後リィンたちは卒業し、それぞれの進路に進み、バラバラになることはエリオットにもわかっている
だけど、例え二年後の進路の進む道が違うとしてもこの士官学院で築いたⅦ組と言うクラスは大事にしていきたいと感じるのだった・・・
「それじゃ、残り前に出なさい!」
そして、A班以外のⅦ組が前に出て、実力テストが開始された
A班以外のメンバー・・・B班の成績も酷いありさまだった、というよりとある二人が確実に足を引っ張てるのが目に見えていた
マキアスとユーシスだ
この二人も他のⅦ組メンバーとは結べるのだが、ユーシスとマキアスこの二人の組み合わせだけできなかった
できないのならこの二人だけリンクしなければと話はそう簡単ではない
戦闘中、どんな状態になるかわからない
もしかしたら、相性の悪い、ユーシスとマキアス二人だけになり戦況を何とかしなければならない状況が絶対にないとも言い切れない
だからⅦ組とのリンクは最低限必要だ
リィンに関しては元々の戦闘能力に状況把握能力と元から高い能力を有してるので必要ないと言えばないがⅦ組に属してる以上特別扱いはできない
「原因は言わなくてもわかるわね?
さぁ、お待ちかね次の実習地とそのメンバーよ
受け取りなさい」
そう言うとサラは、次の実習地の詳細とメンバーが書かれた紙を配った
翡翠の公都バリアハート:リィン、ユーシス、マキアス、エマ、フィー
白亜の旧都セントアーク:アリサ、ラウラ、エリオット、ガイウス
「ハハハ、マジかよ
面白そうな、メンツだな
しかも、アルバレアの若様はともかく、帝都知事の息子を貴族の街に放り込んで大丈夫かよ?」
「えぇ、そこらへんは安心していいわ」
「じょ、冗談じゃない!!
バリアハートと言えば貴族の巣窟じゃないか!!
セントアークも似たようなところだがバリアハートよりはマシだ!!」
「ふざけるのも大概にしてもらおう
メンバーの再編を要求する」
「セントアークも貴族の街だけど、ハイアームズの当主は穏健派で有名だしな」
貴族派と言っても派閥が分かれており、先程の話にあったハイアームズ公は穏健派として有名だ
そして過激派として四大名門の一角カイエン公が有名な話だ
そして、ラウラの実家であるアルゼイド、ユミルのシュバルツァー家は中立派だ
貴族と言っても一枚岩ではなく様々で、家柄も習慣も何もかもが違うのだ
そして、今回のメンバーに納得のいかないユーシスとマキアスはサラに食って掛かる
まぁ二回連続でそりの合わないクラスメイトと一緒の班にされたら文句ぐらいは言いたくなるだろう・・・
「・・・まぁ、確かにアタシは軍人ってわけじゃないから、命令が絶対とは言わないわ
だけどね、Ⅶ組の担任教官として君たちを導く義務がある・・・
文句があるなら、いいわ
力ずくで聞かせて・・・みる!?」
そう言うとサラは、ブレードと導力銃を取り出し、戦闘態勢になる
「と言いたいところだけど、いいわ
ユーシス、マキアスにチャンスをあげましょう」
「チャンス・・・だと?」
「えぇ、そこのリィンに一本でも入れられたら班の再編を考えてあげるわ」
「は?
オレ?」
まさかの予想しない提案に流石のリィンも目を見開いてサラを見た
話の流れ的にもリィンは、サラが二人の相手をすると思ってた手前まさか、自分が指名されるとは思ってなかったのだろう。
「まぁ、いいけどな
ただ、お前ら二人で、どこまでオレに食い下がれる?」
「・・・・いいだろう」
「目にモノをみせてやる!!」
リィンのわかりやすい挑発に乗ったユーシスとマキアスはそれぞれの獲物を構え、戦闘態勢に入る
「フフ、リィンも準備はいいわね」
「えぇ、構いません」
「それでは、リィンVSユーシス&マキアス・・・はじめ!!」