ソードアート・オンライン -赤の魔剣士と蒼の狙撃手-   作:ラトリン

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第一話です!
(特に書くことがない)


第一話 全ての始まり

 2022年10月某日

 ―アインクラッド内―

 

【まもなくベータテストが終了します。テストプレイヤーの皆様は速やかにログアウトしてください。皆様の正式サービスへの参加をお待ちしております】

 

 無機質なアナウンスが響き渡り、俺の前にいたエネミーがポリゴンとともに消えた。俺―タツヤ―は一緒に狩りをしていた友人の方を向いて言った。

 

 タツヤ「もう終わりなんだな」

 

 俺は今あるゲームをやっている。やっていると言っても、モニター越しにコントローラーを握ってやるようなゲームではない。世界初のVRMMORPG ソードアート・オンラインのゲームにダイブ(・・・)をしている。

 ナーヴギアというのはヘッドギアタイプの家庭用VR機器でアーガスという今までは無名であった会社を1人で業績トップには行かないまでも大企業に育てた天才、茅場晶彦によって開発された。

 ナーヴギアは脳からの信号を体からシャットダウンし電子信号にすることにより、VR中にリアルで動くということがないような作りになっている。今こうやって敵をバシバシ倒していても、現実の体はベッドに寝転がっているだけなのである。

 この画期的な開発は世間の評判を集めた。そしてこのソードアート・オンラインがナーヴギア対応の本格ゲームだった。1000人限定のベータテスト権利は抽選倍率が驚愕の50倍だったらしい。正式サービス版も初期ロット1万本が予約開始15分で完売したというのだから、世間の注目もすごかったのである。

 俺はそんなベータテスト権利を運良く手に入れた普通の中学生で、ベータテストが始まってからというもの頭の中ではこのゲームのことしか考えられなくなってしまった。

 

 キリト「この2ヶ月あっという間だったな、タツヤは正式サービス当日は来れるのか?」

 

 彼はこのゲーム内で出来た唯一の友達だ。ゲーム内では基本リアルのことを尋ねるのはご法度なのだが、彼の言動的に同じ学生であるらしい。

 

 タツヤ「あぁ、もちろん12時きっかりにログインするつもりだぜ」

 

 キリト「じゃあログインしたら、転移広場の前に集合しようぜ」

 

 タツヤ「オーケー、じゃあまたな」

 

 そういい俺はメニューにあるログアウトボタンを押した。

 

 

 ──────────────────

 

 2022年11月6日11時30分

 side桐々谷和人

 

 和人「じょあスグ、俺ゲームやるから絶対勝手に外したりするなよ」

 

 直葉「分かってるよ、お兄ちゃん。今日のご飯当番はお兄ちゃんなんだからなるべく早くもどってきてよ」

 

 和人「はいはい。分かりましたよ」

 

 俺の家は両親とも帰りが遅くなることが多いため妹である直葉と交代で晩飯の準備をしている。これがあるおかげで俺はある程度の料理ができるので一人暮らしをすることになってもカップ麺生活をしなくて済むので、この生活に不満はない。

 

 俺は準備は5時くらいからだから、5時間はできるなと頭の中で考えながら自分の部屋に戻りパソコンに写る[ ソードアート・オンライン]の正式サービス開始記念放送を見ながら、ナーヴギアにソフトを差し込み時間になるのを待った。

 パソコンから12時を知らせる時報がなると同時にベッドに寝転がりナーヴギアをかぶり合言葉を言う。

 

 和人「リンクスタート!」

 

 途端に視界が暗くなり、次の瞬間何も無い白い空間にいた。

 すると突然、

 

【ようこそ、アインクラッドの世界へ、ただいまベータテストのデータを読み込んでいます。しばらくそのままでお待ちください。お待たせしました。それでもお楽しみください】

 

 そのあと自分の周りが光に包まれて光が消えたと思ったら、自分はベータテストの時のアバター、キリトになっていた。全くすごい技術だと、感嘆してる間に再び光に包まれた。

 さっきよりも長い間光に包まれていた。そして気がつくと目の前には懐かしい光景が広かっていた。

 ファンタジー物のゲームによくありがちなどこか中世ヨーロッパを彷彿とさせるような建物が立ち並ぶ大きい広場、そこに俺はいた。

 周りには俺と同じようにサービス開始きっかりにログインしたらしいプレイヤーが沢山いた。俺はその中からベータテスト時に再会を約束した友人―タツヤ―を探していた。その人物はすぐに見つかった。

 ──────

 同日同時刻

 side西井龍也(タツヤ)

 俺―西井龍也はいつもより少し早めに昼食を済ませ、あらかじめスタンバイさせておいたナーヴギアを頭からかぶりあの世界に行く合言葉を唱えた。

 

 龍也「リンクスタートッ!」

 途端に目の前が暗くなり龍也からタツヤへとアバターが変わりログイン画面をぬけた先、そこには懐かしい光景が待っていた。

 

 転移広場にログインした俺はこの素晴らしい世界に感動をするのも置いといて、キリトを探した。すると後ろから、

 

 キリト「よお!久しぶりだな!タツヤ!」

 

 タツヤ「キリト、だよな?久しぶりだな!元気にしてたか?」

 

 キリト「もちろんだ。帰ってきたんだな。なんかこっちが俺たちが前から居た世界みたいな感じがあるんだよな」

 

 この世界通称アインクラッドは先細りの形状をした100の階層からなる巨大な浮遊物体である。各階層は円形で、階層ごとに異なる街や自然環境を内包していて、層と層は迷宮区と呼ばれる塔で繋がっている他、 主街区にある転移門広場からアクティベートされたところにのみ転移することが出来る。

 なのでまずは、迷宮区タワーをのぼり最上階にいるフロアボスを倒し、次の層の街に行き転移門をアクティベートする必要がある。

 事前に告知されていた情報ではこれ以上は何も明かされなかった。おそらくこのゲームの最終目標は頂上の100層まで行き、この浮遊物体が出来た経緯を知ることが出来る、ことだと勝手に思っていたりしている。

 

 キリト「さぁ早く行こうぜ。もうまちきれなぇよ」

 

 そういうや否やキリトは転移広場からひとつ入った商店街エリアへかけて行った。

 

 このゲームの開始時にはまず全プレイヤーに初期資金として5000コルが配布される。もちろん何に使うのもプレイヤー次第だが、ログインしたてだと武器すら何も持っておらず初期装備の布の服しかない。なのでまずはこの商店街エリアで武器や回復アイテム──ポーションなどを買う必要がある。

 

 タツヤ「俺はこのスチールソードかな」

 

 武器は剣やレイピア、槍や短剣などの近距離武器から弓、ボウガンなどの中遠距離武器までたくさんの種類がある。

 ちなみにこのゲームはスキル制を採用しており剣を使うなら片手直剣スキル、レイピアを使うなら細剣スキルが必要である。武器用のスキル以外にも、隠蔽やバトルヒーリングなどの戦闘補助スキルや所持容量増量や聞き耳、料理などこの世界を満喫できるような様々なスキルがある。

 スキルには熟練度があり、その熟練度を上げることにより、スキルの成功率を上げたり、武器スキルならば新しいソードスキルを使えるようになる。

 どのプレイヤーも最初はスキルを3つまで選ぶことができ、レベルが10上がる事に1つスキル欄が増え新しいスキルを選ぶことが出来る。俺はスチールソードを選んだことにより1つ目のスキルが片手直剣スキルに決定した。

 

 キリト「俺もそれにしたよ。やっぱ剣だよな!」

 

 タツヤ「キリトはあとのふたつのスキルは何にするんだ?」

 

 キリト「俺は所持容量増加は決まりだけどあとは決めてないんだよな。1つ開けといた方があとから何かと便利だし」

 

 タツヤ「確かにそうだな。俺も1つ枠空けとくか。よし、武器は買えたからあとはポーションだな」

 

 この世界には魔法は無いので基本はアイテムを使うことで回復を行う。上の層に行けば即時回復出来る回復結晶を手にいれることができるが、今の時点だと、時間がかかる上に美味しくもないポーションしか手に入れることしか出来ない。このゲームには最新の味覚エンジンが搭載されていて現実とほぼ差異がないレベルの食事をとることができるので、このポーションを飲むのは結構勇気がいる。しかしこれがないと体力は回復しないので我慢するしかない。

 

 タツヤ「これで全部だな。じゃあ早速外に出てみるか」

 

 ──────

 

 第一層主街区近郊

 

 キリト「せあっ!そっちいったぞ!」

 

 タツヤ「おっけぇ…うおりゃああぁ!」

 

 第一層主街区近郊のフィールドには俺たちと同じくらいの身長で青い毛におおわれたフレンジーボアが主に出現する。このモンスターの攻撃方法は突進なのでそれが分かれば何も怖くはないのだが、ここがVRの中で現実とは違うと入っても、最初は目の前に巨大なイノシシが襲ってきたら誰でも怖くなる。

 ベータテストの頃は俺もなれるのに時間がかかったし、周りにも恐怖に負けてそのまま死に戻りするやつもいた。まだ正式サービスではそういうプレイヤーを見てはないのだが……

 

 ???「どわああぁぁ!!」

 

 ふと叫び声が聞こえたので俺とキリトは思わずそちらを見る。すると、1人の赤いバンダナをつけた男性プレイヤーが5匹ものフレンジーボアに追われていた。

 

 ???「頼む兄ちゃんたち!こいつらどうにかしてくれぇ──!」

 

 男性プレイヤーは俺たちの横を通り過ぎて後ろに隠れた。自分にターゲットが向いてる敵をほかのプレイヤーに擦り付ける行為はトレインと言いマナー違反行為に当たるのだが今はそうも言ってられない。

 

 キリト「おーけー。タツヤ右の2体を頼む」

 

 タツヤ「…ったくしゃーねーな。おい!アンタッ!俺たちの戦い方しっかり見とけよ!」

 

 そう言い残し俺は剣を構える。モンスターたちとの距離はおよそ10メートル。ただ己の剣技で倒すのでもいいが、2体同時に対処するのは初めてだったからここは、ソードスキルの出番だ。

 ソードスキルとは、武器ごとのスキルを習得したプレイヤーが特定の動作を行うことによって発動し、発動したあとは体が勝手に動いて攻撃動作を行うものである。発動すればあとはシステムが体を動かしてくれるため、自分では何もしなくても攻撃を終わりまで行うことができる。発動したあとはスキルごとに設定された硬直時間があり一切動くことが出来なくなる。

 大抵のソードスキルは、スキルの熟練度を上げることにより習得することが出来るが一部特定の武器を装備した時にのみ使えるスキルもあるらしい。

 俺は剣を左に構え腰を低くした。すると剣にモワモワとしたエフェクトがかかりそのまま前に突進していく。片手直剣下段突進技《レイジスパイク》最初に突撃してきたフレンジーボアを捉えてもその勢いは止まることなく2体目も仕留めることが出来た。

 

 ???「すげぇな、もしかしてあんた達ベータテスターか?あっまずは俺の名前からだよな。俺はクラインってんだ」

 

 タツヤ「俺はタツヤだそれで向こうで戦ってるのが……」

 

 キリト「俺はキリトだ」

 

 タツヤ「なんだ、もう終わってたのか」

 

 キリト「1ヶ月やちょっとで腕が落ちるほど俺もおちぶれてねぇよ」

 

 クライン「やっぱそうなのか!さすがベータテスターは違ぇな。なぁ!出来ればでいいんだけどさ。俺に戦闘をおしえてくれねぇか?ダチがいるんだけどまだログインしてねえから一人でやってたんだけど、あんたらに教えてもらえば百人力よ!」

 

 キリト「俺は全然構わないぜ。いいだろ?タツヤ」

 

 タツヤ「あぁ、もちろんだ」

 

 そうして俺達はクラインに手とり足取り様々なことを教えた。

 ──────

 16:30

 

 クライン「どぅりゃああぁ!」

 

 最初よりはいくらかマシになったか前でクラインはフレンジーボアに向かっていく。クラインが持っている武器、曲刀はライトエフェクトがユラユラとついたり消えたりしている。そんな不完全な状態ではもちろんソードスキルが発動されるはずもなくそのままモンスターの突進をもろに受けてしまう。さらに追撃を仕掛けようとしてるモンスターに対し俺は片手直剣スキル単発斜め切り《スラント》で倒す。

 

 キリト「もっと集中しないとダメだよ。そしたら体が勝手に動くからあとはズバーンだ!」

 

 クライン「そうは言ってもよー……集中か……」

 

 さっきよりも様になった構えをすると、ライトエフェクトがさらに強くなり、目の前にいたモンスターに向けて斬りかかった。曲刀基本スキル《リーバー》がモンスターの脇を抉りそのまま倒した。

 

 クライン「よっしゃー!」

 

 キリト「いい感じだな、そんな感じでやっていけばすぐに良くなると思うよ」

 

 クライン「いやーマジで助かったよ、サンキューな!この恩はいつか精神的に……てか、やっぱすげえなー。これがゲームの中だっていまだに信じられねぇぜ。俺が子供の時なんてまだ据え置きゲームの時代だったのによ」

 

 タツヤ「たしかにな。俺もベータの時はログインする度に思ってたよ」

 

 クライン「…っともうこんな時間か俺17時にピザの予約してるんだわ、てわけで一旦落ちるわ。ほんとありがとな。またの機会に俺のダチに紹介させてくれよ」

 

 タツヤ「あぁ、まぁそれはおいおいな。そういやキリトも17時には落ちるんじゃなかったのか?」

 

 俺はあまり多くの人と関わるのが苦手、所謂コミュ障というやつだ。クライン相手だと──まぁ2対1なのもあるが──そんなにでもないが人数が増えると……

 

 キリト「俺は、もう少しいるよ」

 

 クライン「そうか、じゃあお先に!」

 

 そう言いながらクラインは右手を下におろす。このゲームのメインウインドウを呼び出す動作だ。その一番下にある《LOGOUT》のボタンを押すだけ……なのだがクラインはいつまでたってもログアウトしない。

 

 キリト「……どうしたんだ?クライン、ログアウトボタンの場所はわかるよな?」

 

 クライン「ねぇんだよ。そのボタンが」

 

 タツヤ「そんなわけないだろ。メニューの一番下だぞ?」

 

 クライン「なんべん見てもねぇんだ。おめぇらも見てみろよ」

 

 そう言われて俺もクラインと同じようにウインドウを出した。《ITEM》や《EQUIPMENT》や《SETTING》などのボタンの下にある《LOGOUT》のボタンを……

 

 キリト「……確かにないな」

 

 俺と同じように確認をしていたキリトが静かに呟いた。

 

 クライン「だろ?ったく初日からこんな重大なバグが起きたんじゃこれからも不安だなあ。運営に報告してもただの定型文だしよ。なぁ他になにかログアウトするほうほうはねぇのかよ?」

 

 キリト「多分ないと思う。マニュアルにもそんなことは載ってなかったからな」

 

 クライン「んな……なにかあるだろうよー」

 

 タツヤ「なぁおかしくないか?クラインだけならまだしも俺やキリトのやつもボタンが消えてるんだからおそらく全プレイヤーのが消えたんだろう。なら俺たちより前にこのバグに気づいたやつが報告した時点で強制ログアウトさせるとかの対応もないし」

 

 キリト「たしかに。それがなくても何かしらのアナウンスぐらい欲しいよな」

 

 キリトがそう呟いた途端、辺りに鐘の音が鳴り響いた、開いたままのウインドウを見る限り時報でも無さそうだ。ようやく何かしらのアナウンスかと安堵した途端、俺たちは周りを白い光に包まれた。

 

 ──────

 気づいたら俺は夕日で赤く染められた主街区の転移門広場に強制転移されていた。周りを見るとキリトやクラインもいるし、おそらく今ログインしている全てのプレイヤーが集められたのだろう。

 周りのプレイヤ──俺達も含めて―はなにがおきたのかわからない顔をしている。

 すると突然警告音が鳴り響いた。上を見上げると空に【Warning System Announcement】と書かれたパターンが表示されていた。そしてその後夕日で真紅に染った空の一部にノイズが走ったと思ったら大きな歪みになりそこから人間のようなもの(・・・・・・・・)がでてきた。高さは20メートルをゆうに超えるであろうそれはローブを着ているものの中にいるはずの人の顔が全く見えないで暗闇が拡がっているのが不安を誘う。

 周りも「なんで顔がないんだ?」「なんか不気味だな」とザワザワしている。

 その声を制するかのようにローブを着た物体は右手を上げた。それにより袖に隠れていた手袋が見えたがその先に伸びているはずである腕が全く見えなかった。そしてそのローブの中の口当たりが蠢き低く落ち着いた男の声が響いた。

 

『 プレイヤーの諸君、ようこそ私の世界へ』

 

 こんな重大事態なのにロールプレイをしているかのような振る舞いに苛立ちを覚えたがそのあとに発せられた言葉はさらに驚きだった。

 

『私はナーヴギアの開発者でありこの世界の創造者茅場晶彦だ。これからこのソードアート・オンラインのチュートリアルを始める。よく聞いて欲しい』

 

 クライン「茅場、晶彦ってあの?まじか」

 

 みんな驚いているがそれももちろんだ。彼は今まで表の舞台に立つことを嫌っていたのでメディアへの露出も最低限だった。その人物がこんな大仕掛けをしているのだ。確かに先程の声を聞くとテレビに出ていた白衣をまとった彼の容貌が頭に浮かんでくる。

 一呼吸を置いてさらにつづく。

 

『プレイヤーの諸君には気づいているものもいるかもしれない。メニュー画面からログアウトボタンが消えていることに。既に多くの報告が来ているが、これはバグでは無い。本来の仕様である』

 

 言っていることがよくわからなかった。その言葉を考えるまもなくアナウンスは続く。

 

『諸君らはこのゲームをクリアするまで自発的ログアウトは不能だ』

 

「ふざせるなっ!」

 誰かが叫んだ。それに釣られるかのように広場は罵声で覆われた。それを静止するかのように手を挙げ、茅場は続ける。

 

『また外部からの手による脱出がありうることはない。なぜならナーヴギアは強制的に排除または分解が試みられた場合には……ナーヴギアより高圧の電流が流れ脳を破壊し死に至らしめるだろう。既に現実世界ではいくらかの犠牲が出ていることを含め報道されているので安心して攻略に励んで欲しい』

 

 と言うと、周りにモニタが浮かび上がり現実世界のであろうニュース画面が表示される。どの番組からも緊迫した様子がみてとれる。

 ……が俺たちがこのことを飲み込むのには時間がかかった。辺りが静寂に包まれた。

 

 クライン「安心してって……どういう頭してやがるんだ!しかも大量の電流が流れるってそんなこと可能なのかよ?」

 

 キリト「……おそらく可能だ。ナーヴギアには大型のバッテリーパックが内蔵されているからたとえ電源を切ったとしてもそこから電流を流すことは可能だ」

 

『しかし注意してもらいたい。この世界は言わばもうひとつの現実だ。そのため今後一切の蘇生手段はない。HPが0になった瞬間、同じように高圧の電流により脳を破壊することになる』

 

『諸君らが開放されるためにはこのアインクラッド最上層100まで辿り着きラスボスを倒すことだ。そうすればその時点で生き残っている全てのプレイヤーは無事にログアウトできる』

 

 タツヤ「……でもなんでそんなことをするんだ」

 

 タツヤのつぶやきに答えるように茅場は続ける。

 

『諸君らは今なぜ?と思っただろう。なぜこの一技術者でしかない私がこんなことをするのかと。理由は簡単だ』

 

『まず、言っておきたいのはこれはテロや身代金などが目的ではない。私の真の目的は既に達成している。今のこの状況こそが私の望むものだ。この世界は私が鑑賞するためにつくった。あとは諸君らにまかせたいと思う』

 

 クライン「ふざけんなよ!まかせるだと!?ベータテストの時は1層登るのもすげー苦労したって聞いたぞ!」

 

 確かにベータテストの時はろくにあげれなかったがそれはただのゲームだったからだ。この状況が本当ならば正式な攻略部隊も出来てそれなりのスピードで登ることもできるだろう。それでも1ヶ月やちょっとでは到底できないこともわかる。このゲームがクリアされなければ一生この中に閉じ込められ現実の体が持たなくなりみんな死んでいくのだろう。

 ―これはただのゲームじゃない、デスゲームだ―

 

『それとこれが現実だとわかるようなプレゼントを各プレイヤーのアイテム欄に入れて置いた。確認してもらいたい』

 

 途端に周りにウインドウの開く音がした。俺もそれに釣られるようにウインドウをあけて《ITEM》の欄をタップした店で買った剣やポーション、先程までの戦闘で得た戦利品の下に《???》と記されているアイテムを見つけた。それをタップし実体化させる。

 それは手鏡だった。これのどこが現実がわかるようなものなんだ。と思いながら覗き込む。そこには30分かかり作ったアバターがうつっていた。美男子という言葉がそのまま現れたような顔だった。

 と次の瞬間、鏡から光が現れ包まれた。

 目を開けて周りを見るとさっきとは全く違う風景になっていた。さっきまでは美男美女が揃い現実離れしたいかにもゲームの中と言った感じだった。しかし今、周りを見ると美男美女ではなく―一部にはそういう人もいたが―様々なかおがいた。言うならば現実の何かのイベント会場のような感じだ。慌てて鏡を覗き込むとそこには苦労して作ったアバターのタツヤではなく現実世界の龍也がいた。

 さっきまで隣にいたクラインの方を見る。そこに今までいたのは爽快な青年ではなくおそらく20代で無精髭を生やした男がいた。

 

 タツヤ「お前がクラインか?」

 

 クライン「お前こそほんとにタツヤなのかよ?」

 

 キリト「なるほどな……そういうことか」

 

 そちらを見るとこれまた先程までの青年の面影は全くなく俺と同い年もしくは年下がと思う少年が立っていた。

 

 クライン「そういうことってどういうことだよ」

 

 キリト「さっきの鏡を見ると現実世界の姿になっちゃうんだよ。周り見てみろ。女の装備をした男がいるだろ。所謂ネ〇マだよ」

 

 タツヤ「でもどうして現実の顔がわかるんだ」

 

 クライン「俺は今日ナーヴギア始めたばっかだから覚えてるけどよ。セッティング中に体中触らせてキャリなんたらってやっただろ」

 

 キリト「そうか、キャリブレーションか。確かにあれなら現実の体がが分かるかもしれないな」

 

『これにてチュートリアルを終了する。チュートリアル報酬として諸君らにひとつアドバイスをあげよう。今までひとつの層にはフロアボス一体しかいなかった。しかしベータテストからの変更点として、さらに一体フィールドボスを配置した。これは討伐必須ではないが倒すことが出来ればフロアボスに関する情報が入るようにした。それではプレイヤー諸君の健闘を祈る』

 

 そう言い残すと、茅場晶彦のアバターは歪みの中に入り、直後周りのパターンも消え前と変わらない状況になった。しかしそこには前にはあったものが無くなっていた。

 周りは全くの沈黙につつまれていた。

 誰かが悲鳴をあげるとそれが時間停止解除の合図でもあったかのように怒号がひびきわたる。

「嘘だろ……ふざけんじゃねー!」「いますぐここからだせ!出せよ!」

 もちろんそう叫んだところで運営が出てくる訳でもない。俺も固まっていた。

 俺は脳裏に家族の姿がうつった。もう会えないのかもしれないという絶望がおおった

 

 キリト「……い!おい!タツヤ、クラインもこっち来い!」

 

 キリトに呼びかけられ俺は我に返る。見るとキリトが裏路地のところで手招きしていた。

 

 キリト「いいか、クライン、タツヤよく聞いてくれ。俺はこの後次の町に行く。ここはもうすぐにリソースが尽きるだろうからお前らもこい。俺とタツヤがいればお前をサポートしながらいくこともできる」

 

 タツヤ「確かに。のった!」

 

 クライン「あーいや、俺はパスだ。さっきも言ったけど俺にはダチがいるから。多分もうアイツらももうログインしてさっきの広場にいると思うんだ。そいつらのこと置いてけねぇよ」

 

 キリト「そうか、俺とタツヤだけじゃそんなに護衛するのは無理……だな」

 

 クライン「いいんだ!お前らは先に行ってくれよ!俺達は後から追いかけていくからよ。さっき習ったこと活かせばすぐお前らに追いついてやるよ!」

 

 タツヤ「ごめんな、クライン。まぁ何かあったらメッセージ飛ばしてくれ。さっきも言ったけどこのゲームの基本はソードスキルだ。この周辺の敵ならどんなソードスキルでも一発で倒せる。だから焦らずに戦えよ。HPが半分を切ったらすぐぐに逃げることも必要だからな」

 

 クライン「あぁなにからなにまでありがとな。ほんとに助かったよ。じゃあまたな!キリト!」

 

 そう言い残しクラインはまだ広場に戻っていった、がすぐに振り返りこうつけ加えた。

 

 クライン「キリト!お前の顔結構可愛い顔してるよな!タツヤもリアルでもそんなにかっこいいなんてうらやましいぜ!じゃあな!」

 

 キリト「お前の野武士面も充分似合っていると思うぜ!」

 

 タツヤ「さて、じゃあ行くか、確かホルンカだったよな」

 

 キリト「あぁ、行くか」

 

 こうして俺たちの物語がスタートした。




いかがでしたでしょうか?作者ものんびり書いていくのでおつきいただければ幸いです!

あとがきには原作との相違点を書いていこうと思います。

・和人と直葉の仲は悪くなってない
・一層からフィールドボスがいる
・弓などの遠距離武器が登場している

今回はこれくらいですかね。
作者も気づいてないこともあると思うので、これ原作と違くない?みたいなのがあれば感想でどしどしおしえてください。
今回はヒロインをクラインでおとどけしましたが次回からはシノンが出てくると思うのでお楽しみに!
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