友人に自慢したら今までもちょくちょくランキング入りしていたという驚愕の事実が発覚。
私の作品にこのような評価を頂き誠にありがとうございます。
「よっしゃ、行くぜ野郎共」
紆余曲折はあったが、チームを組むこととなり参加を申し込みに全員で出会った酒場へと歩いていた。
先頭を歩くエースは満面の笑顔を浮かべて人混みの中を歩いていた。
「ねぇ、エース分かりやす過ぎない」
最後尾を“歩きにくそうに”レイズに捕まりながら歩くカリーナ。
「仕方ないよ、一時とはいえ“海賊”を名乗れるんだから。あとカリーナはいい加減に離れてくれると嬉しいんだけどなぁ」
「
「海楼石の手錠使って拘束した上で跨がってきたのはどっちだ」
最後尾で話すそんなレイズとカリーナを尻目にその前を歩くのはサガとロビン。
「あら、
「あぁ、昨晩にな。カリーナの我慢が限界を越えたらしい」
笑顔で核心をついてくるロビンと頭を押さえながらその横を歩くサガ。
「しかし、サンディよ」
「何かしら?」
「オレから見たら、お前の笑顔も大分凄味が出ているがな」
サガの指摘を受けて思わず自分の両頬を押さえるようにムニムニと揉んでいるロビン。
同盟を組んだあの日、船に乗り移り生活を共にしていた。
昨晩は、面白半分でカリーナを焚き付けたロビンだったが何故か今彼女の心を占める感情は嫉妬に近い感情だった。
知略班として組むことになったレイズとはあらゆる手段を考察しており、一緒にいる時間が増えていた。
反面、時間が取られたエースとカリーナは誰が見ても不満な顔をしており、二人が一緒に買い物に出掛けた時などカリーナは“あの時”の笑顔で周囲を威嚇していた。
それを面白がったロビンはカリーナを焚き付けて、ナニも出来ずに撃沈するだろうと悪い笑顔を浮かべていた。
しかし、翌朝現れた二人はあからさまに事後であった。
その二人を見たロビンはその時から笑顔に凄味があふれでてきていた。
なお、その事についてロビンは認識していなかったようである。
「んがっはははは、サンディちゃんたら“人らしく”なってきたじゃな~い」
「あんた、それも狙いだったのかい」
エースを前に後二組の会話を聞きながらベンサムとシュライヤは歩いていた。
「んふ、レイちゃんたら無自覚なんでしょうけど人の心の内側に入り込むのが上手だからねい。サンディちゃんったら最近怖い顔ばっかしてるんだから」
「・・・本当に偶然か、
「もちこーす。あちしもそこはびっくらしてるのよう」
戦闘訓練や買い出し、夜番と一緒になって以降なにかとバディを組んで行動することが多かったベンサムとシュライヤ。
互いに腹に抱えた”何か”を悟らせないように行動しているが、それでも一応の信頼関係を結んでいるようであった。
レイズを通して知り合った二人ではあるが互いに成し遂げたい何かのために邁進する姿勢は共感を覚えたのだろう。
「お、飯屋だ寄ってこうぜ」
「「「「「「寄らない、さっさと行く」」」」」」
そんな”雰囲気”を感じたエースはいつも以上に自由に振舞い裏通りを歩いていた。
エースは今の雰囲気が大変気に入っていた。
自分が憧れた海賊という名の自由の象徴のように互いが好きなことをやりながらそれでも一つの目標に向かっている雰囲気が。
ただし、一番後ろで相棒と戯れるカリーナに対しては兄を取られた弟のような変な嫉妬を覚えているが。
酒場につくとロビンを先頭にカウンターへと歩く一同。
「こんにちわ」
「おう、何かようか」
ロビンの挨拶にぶっきらぼうに返す店主。
そんな様子を気にすることなくロビンは胸元から3枚の古い貨幣を取り出した。
「【ジャック・ローズをお願い】」
ロビンの言葉と貨幣を確認した店主は拭いていたグラスを棚に戻すと、改めてロビンに振り返る。
「【アップル・ジャックの上物が入ったとこだ】」
「あら良かった。そうしたら【”7人分”よくかき混ぜてショットグラスに注いでちょうだい】」
「・・・・・全員こっちに来い」
店主に顎で示された先には一つのドアがあった。
真っ暗な部屋にエースたち全員が中に入ると店主は徐に明かりをつけた。
そこには所狭しと酒棚があるが明らかに一番奥に場違いな扉があった。
「ここから先はこのランプを持って行きな」
そう言うと店主は壁に架けられていたランプに火をつけエースへと手渡した。
「おう、あんがとな」
満面の笑みでランプを受け取るエースを見て店主の男は驚いた顔をし、何かを考えるようなそぶりを見せた。
「・・・・おい、あんちゃん」
「あん、なんだ」
扉を開けようとするエースに対して店主はある言葉を投げかけた。
「何がそんなに楽しいんだ?」
それは何か答えを求めているような声色だった。
「こいつら仲間と冒険が出来る、それが嬉しくて楽しいのさ」
これから起こることを想像しないわけでもないが、エースは満面の笑みを店主へと向けた。
そんなエースを見て、店主の男は少し笑みを浮かべるとどこから取り出したのか煙草を銜え火をつけた。
「こいつは独り言だが、オレは”このレース”の敗北者だ。この島にはそういった輩で溢れていやがる。今回のレース裏でガスパーデが何か企んでいるらしい、何もかも疑ってかかるくらいの覚悟がなきゃ生き残れないと思いな。・・・・・ここからは一本道だからよほどの馬鹿じゃなければ迷うことはねえぞ」
「おう、解った」
そうエースは満面の笑みで答えたのだった。
店主の言葉通り、一本道の洞窟を元気よく歩くエース。
腕を振りすぎてランプが飛んでいかないか心配になってしまうレベルだった。
「レイズ、どうだ」
シュライヤの声にエースも歩みを止め、最後尾を歩くレイズに視線を向ける。
「風を流し続けて探索してるけど問題ないよ」
「そうか、てかその両腕どうにかしろ」
レイズの風の探知網の精度を知る全員が安堵した中、シュライヤのツッコミがレイズへと突き刺さる。
そこには右腕をカリーナが、左腕をロビンに抱きつかれながら彼女たちの負担にならないようゆっくり歩くレイズがいた。
「何よシュライヤ。文句あるの」
「あら、ご免なさい。こんなに歩きづらいとは思わなかったの」
カリーナとロビンは悪びれもせず、かといって離れる素振りをみせるどころか、より確りとレイズの腕にしがみつくように腕の力を強めていた。
「落ち着きなさいなシューちゃん」
「騒がれるよりましだろ」
肩にベンサムとサガが労るように優しく手を置かれたシュライヤ。
「いや、羨ましいわけじゃないからな」
その慈愛の目線に込められた言葉を読み取ってしまい、大慌てで否定するが逆に怪しさが増すだけだった。
「おーーーーい、出口あったぞ」
気が付くと遠くの方でエースがランプを振っている姿があった。
その姿に毒気を抜かれたのか、全員が歩く速度を早めたのだった。
「全員いるな、それじゃ開けるぞ」
エースはそう言うと簡素な造りのドアを開け放った。
その後には目を疑うような光景が広がっていた。
そこには広大な縦穴が存在しており、島民以上の数の海賊達がひしめき合っていたのである。
「うはーーーー、コレ全員が参加者か」
エースが目を輝かせながら周囲を見渡していると最後尾にいたレイズが話しかけてきた。
「はい、それじゃオレとサンディは受付してくるから皆は“大人しく”座ってご飯楽しんでてね、タダらしいから」
「アタシも行く」
「あらあら、そうしたらこのまま行きましょう」
カリーナの一言に反応したロビンに連行されるように連れていかれたレイズ。
傍目には「両手に花」に見えるだろうが、レイズからしたら色々と複雑な状況なのであった。
「それじゃ、受付はレイズ達に任せて、オレ等はメシにしよう」
DEAD END RACE。
エース達の冒険が始まったのである。
ジャック・ローズはカクテルの名前です。
本文中の作り方は間違った作り方ですので興味がある方は調べてみてください。