ONE PIECE-彼を王に-   作:完全怠惰宣言

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皆さん、体には本当に気を付けましょう


その果てにつかみ取れ/Rであること

最上階のテラスは見るも無残な状態となっていた。

ガスパーデとにらみ合うエース。

ガスパーデの腹心ニードルスの鉄爪と刀で競り合っているサガ。

その光景を欄干に背を預けて眺めているレイズとベンサム。

レイズの傍にある階段から救急箱と濡れタオルを持って駆け上がってくるロビンとカリーナ。

そして、無残にもやられ欄干に吹き飛ばされ傷だらけのシュライヤ。

朦朧とする意識の中、シュライヤは先ほどまでのやり取りを思い出していた。

 

 

「お前がガスパーデか」

 

湯気のようにシュライヤの体から憎悪が立ち上っているようにエースは見えていた。

シュライヤの事情は手を組むと決めた日に聞いていたが、実際目の前でその姿を見るとシュライヤに恐怖だけしかなかった。

一緒に行動するようになり、一緒に馬鹿なことしてレイズに叱られる。

ご飯時はおかずの取り合いをしてカリーナに殴られる。

サガとの戦闘訓練でボコボコにされ、その間抜け面を互いに見て笑い合う。

そんなイメージとはかけ離れた友の姿にエースは恐怖していた。

 

「あぁ、だったら何だってんだクソ餓鬼」

 

その言葉に歪な笑みを強めるシュライヤ。

 

「今ここで死ね

 

そう叫ぶと手近に落ちていたサーベルを拾い上げ、ガスパーデへと投げつけ、そのまま加速してガスパーデへと迫るシュライヤ。

 

おい、待てシュライヤ

 

危険を察知したエースに呼び止められるも、今のシュライヤには効果はなかった。

目の前に殺すと決めた復讐の対象がいる。

いつもなら、冷静になれと言う自分がいる。

しかし、この時はシュライヤの思考の全てがガスパーデへと向いてしまっていた。

だからこそ、気づけなかった。

 

「邪魔だ」

「ガッ」

 

横合いから伸びてきたニードルスの蹴りを。

 

 

シュライヤの最高速に達していたスピードに合わせるように放たれた蹴りは腹部にめり込むように極り、その場へとシュライヤを押し留めた。

全ての衝撃が一点に集中してしまったがゆえに、シュライヤの受けたダメージは想像を絶するものとなっていた。

しかし、シュライヤは倒れこむことはなかった。

それはもしかしたら、シュライヤがこれまで積み重ねてきたモノがそうさせたのかもしれない。

だが、現実はひどく残酷であった。

 

「邪魔だと言っただろうが」

 

ニードルスは追撃にとシュライヤへ蹴りを放つと、いともたやすくシュライヤは欄干へ叩きつけられた。

ニードルスが鉄爪を装備し走り出し、意識を朦朧としたシュライヤへと襲い掛かる。

朦朧とする意識の中、シュライヤはその攻撃を避けようとするが体が一切動いてくれなかった。

シュライヤが死を予感した次の瞬間、金属が打ち合う甲高い音が彼の耳に届いたのだった。

 

「邪魔をするな”剣士”」

「邪魔させてもらうぜ”刺青野郎”」

 

左腕で逆手に抜刀した刀で鉄爪を受け止め、尚且つニードルスのパワーと拮抗しているサガがそこにはいた。

 

 

下から登ってきてその惨事を目撃したロビンはカリーナを伴い治療道具を探しに戻った。

ベンサムとレイズは欄干にもたれ掛かるシュライヤの両脇に陣取り、事の成り行きを見守っているような体勢でいる。

しかし、見る者が見ればいかなる攻撃にも対処できるように迎撃態勢を整えていた。

エースはそんな光景を見ながら久方ぶりに頭に血が上っていく感覚を覚えた。

ゆったりとした足取りでガスパーデへと歩むエース。

その姿を不敵に、傲慢な笑顔を浮かべながら酒を飲み干すガスパーデ。

エースとガスパーデ、二人の間合いがついに重なった。

 

「ふん、雑魚の集まりかと思ったら中々に骨がありそうな奴らじゃないか。おいニードルス手を引け」

「・・・・・・・・・・・フン」

 

ガスパーデの言葉に従うように得物をおさめ目にもとまらぬ速さでガスパーデの右隣に現れるニードルス。

ニードルスが戻ったのを確認すると笑顔を浮かべたまま、エースに話しかけ始めるガスパーデ。

 

「お前ら、面白え連中だな。今のバカ騒ぎでだいぶ部下が減っちまったな」

 

そう言うと値踏みするようにエースたちを見回し始める。

次の瞬間、驚くべき言葉が彼の口から放たれた。

 

「お前ら、オレの部下になれ」

 

静寂が支配する空間。

その静寂を破ったのはどこからか聞こえてきた笑い声だった。

 

「ハハハハハハハ、エースどうする気だい?」

 

それは喜劇でも見ているような笑みを浮かべたレイズだった。

そして、言外に決定権をエースに委ねていると言っている物言いだった。

 

断る!!!!!

 

それは、そのフロアー以外の存在にも響くような大声だった。

 

「こいつからはオレの嫌いなクズの匂いがする」

 

エースのその一言を合図にガスパーデ側から複数の殺気が放たれる。

目を凝らすと暗闇に潜むようにニードルスと同等と思える実力者がこちらを見ていた。

 

「おいおい、やめねえかお前ら」

 

気だるげに手を上げ()()を制するガスパーデ。

 

「楽しみはレースまで取っておこうぜ。じゃあな新人共(ルーキーズ)

 

シュライヤが覚えていたのはそこまでだった。




そう言って風邪をひいているアホ作者

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