ONE PIECE-彼を王に-   作:完全怠惰宣言

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前話において「五皇」ではなく「五帝」と表記しましたが、敢えてです。
記載ミスではありませんのであしからず。



Aの男/二人のコウカイ

「エースは“悪魔の実”についてどこまで知ってるんだ」

 

あの後、オレの華麗なる交渉術(嘘)により仲間になることを承諾してくれたレイズ。

現状、仲間も船も金も知識も足りてないオレ達が「海賊団」を名乗るのは烏滸がましいとレイズに言われ、最低でも後 3人仲間が増えるまでは「海賊“団”を名乗らない」、「海賊旗を掲げない」の二つを約束させられた。

そんな状況の中、レイズの方が物事を知っているため、オレは毎日“お勉強”させられていた。

 

「“悪魔の実”、ていうと食えば何らかの“特別な力”が手に入るってことと、味が最悪だってぐらいかな」

 

そうオレの言葉を聞いたレイズは頭を押さえやがった。

あ、これはマジ勉強パターンだ。

 

「大体は、“大体(・・)”はその理解で良いけど、今後のこともあるから少し勉強しようか」

 

そう言うとマキノさんが本気で怒った時のような笑顔を顔に張り付けたレイズと視線が合った。

 

「ハイ、オレガンバリマス」

 

めっちゃ怖かった。

 

悪魔の実

「海の悪魔の化身」と言われる果実で、いかなる生物が食べても特殊な能力を得られる。

悪魔の実の種類は多岐にわたり、食べた実の種類に応じた能力を得られる。

実を一口でもかじると、その時点で食べた者に能力が発現し、残りの実はただのマズイ果実となる。

 

「それじゃよ、1つの実から同じ能力を持つ奴が沢山できるわけじゃないんだな」

 

そういうことだ。

一般的に希少と言われている悪魔の実だが、偉大なる航路(グランド・ライン)にはかなりの数の能力者が存在している。

能力者になることでデメリットもあるが、それにも勝る”強さ”を得ることが出来ることから、偉大なる航路(グランド・ライン)に能力者が集まってくると言われている。

 

「能力者のデメリットって海で泳げなくなる“カナヅチ”になることじゃないのか」

 

この場合、“海”は「水が溜まっている場所」、更に言うと「“全身”を一定時間濡らせられる場所」と解釈したほうがいい。

流水は特に問題ないが、風呂なんかでも力が入らなくなるからな。

あと、理由は定かではないが二つ以上の能力を得ることができない。

 

「そういうもんなのか」

 

そう考えてもらって構わない。

悪魔の実の大分類についてはこの前やったからいいとして、悪魔の実には明確な能力の上下関係がある事が最近分かった。

 

「あぁ、この前言ってた似たような能力の相互関係性ってやつか」

 

正解、同種の能力を持つ悪魔の実の間には、明確な上下関係がある場合がある事が最近の研究で判明したんだ。

ただし、能力の強さと能力者の強さが必ずしも一致するわけではないんだ。

ようは使い方だな。

 

「さて、今日はこれくらいにして、エースは魚釣りな」

「え~、少し休ませろよ」

「冷蔵庫の中身がだいぶ減ってるんだけど、誰かがつまみ食いしたのかな」

「ハイ、行ってきます」

 

そういって元気よくエースは釣りに出掛けた。

エースがいなくなり、これからのことを考えた。

航海士としての技能はある事はあるんだが、料理人もやりながら、船医に船大工の真似事も、という状況だと満足に航海がしにくい。

どこかで、せめて航海士だけでも見つけないとな。

 

 

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レイズに言われて仕方なく釣りを始める。

ここ最近レイズに言われてきたことだが、この先成り上がって行くためには“頭”を使えて、“情報”を常に集め続けられる状況が一番望ましいとも言っていた。

無作為に飛ぶニュースクーから買う新聞じゃ制限された情報しか集まらないと言っていたし、どうしたものか。

ない頭で知恵を絞っていると竿に当たりがきた。

竿の撓りから見てかなりの大物だろう。

見てろよレイズ、船長(仮)の底力を見せてやる。

 

 

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エースが釣りを始めてそろそろ1時間。

洗い物も終わり、おやつのクッキーを焼いている。

ルフィの義兄だからと侮っていたが、そこそこ節制した食事に満足してもらっているので、手が空いたときはおやつを作ってやるようにしている。

オーブンに形成したクッキーを入れて焼き上がりを待っていると外からエースの悲鳴が聞こえてきた。

また、海王類の稚魚でも釣り上げたのだろうと呑気に甲板に顔を出したのが運のつきだった。

 

レ、レ、レ、レ、レイズ。“女の子”が釣れた

何つう物を釣り上げとるんじゃ、このお馬鹿

「あと息してねえ」

先にそれを言え、ド阿呆

 

救命処置は大切。

みんなも機会があったら覚えようね。

レイズお兄さんとの約束だよ。

 

 

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レイズがオレが釣っちまった女の子とキスして胸揉んでから、女の子が息を吹き返した。

キスして乳揉めば女の子は息吹き返すんだなと言ったら、思いっきり殴られた上に、おやつ抜きで救命処置の勉強を正座でさせられた。

理不尽だ。

 

今は余っていたベッドルームに寝かせているがいつ目を覚ますのかはレイズにも判らないとのことだった。

 

「ただの“遭難者”では無さそうだな。身体中見える範囲で傷だらけだったし、その傷も鎖を打ち付けられた痕のようにも見えたしな」

「ひでぇことしやがるぜ。何かこの子の身の上が判るような物はあったか」

「ダアホ、気絶した女の子をまさぐれるか。「乳は揉んだのにな」

 

 

ガス、バキ、ドコ、ドカ、バキ、ドゴス

 

 

「それに何か、あの子のことどこかで見たことあるような」

「リェ、リェイジュしゃん。もうひわけありまひぇんでひた」

 

 

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シリアスな顔をし何かを思い出そうとしているレイズ。

そのレイズにボコボコに殴られ顔を大きく張らしたエースが鎮座する扉の中。

少女は目を覚ましていた。

 

「ナミ、無事逃げられたかな」

 




助けられた少女は誰なのか?
なぜ、ウチのエースは一言多くなってしまうのか?
救命処置は本当に大切です。
皆さんも機会があったら是非、講習を受けてみてください。
昔は免許取る時にあったんですが今はどうなんでしょう?

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