くそ雑魚メンタルな作者をお許しください。
悪魔の実。
『ONE PIECCE』という物語を語る上でなくてはならないアイテムの一つとも言える。
「海の悪魔の化身」と言われる果実で、食べた者には特殊な能力を得ることが出来る。
味は非常に不味く、一口でも齧ればその齧った者が能力を得られ、余った身を食べたところで能力を得ることはできない。
同じ悪魔の実が、同時期に世界に2つ存在することはないが、悪魔の実の能力者が死ぬと、世界のどこかにその能力を秘めた悪魔の実が復活すると言われてる。
いかなる生物、果ては兵器等の無機物が食べても能力を得られる摩訶不思議な果実。
火。
物質と酸素が結びつくことを酸化と言い、この酸化反応がある条件で起こるときに熱と光を発する。
この時に感じる光と熱の正体が火・炎といわれている“現象”。
原作のエースは自身を火に変えていたが、実際にはどのようなプロセスを経てその能力は使われていたのか。
そして、彼は何をエネルギーとしての炎を燃やし続けたのか。
悪魔の実を口にした瞬間、エースは不思議な感覚に襲われた。
エースを囲うようにしてボンヤリと人影が現れたからであった。
“歴史のその先を見るために”
レイズが。
“理不尽から希望を盗み返すために”
カリーナが。
“世界最高の剣士になるために”
サガが。
そして
“この“カリ”を帰して、新しい夢のために”
シュライヤの全員の声が聞こえてきたような錯覚を覚えた。
レイズと旅をする中で、時折“誰か”の声が聞こえるような気がしていたエース。
ボンヤリと聞こえていた声が、今はハッキリと聞こえた気がした。
自分の身体の中心に本来では感じられない筈の熱を感じ取っていた。
「“心火”」
その呟きに反応するようにエースを中心に巨大な火柱が立ち上がった。
「あぁ、そうか」
エースが感じているこの僅かな時間。
もしかしたら、数秒にも満たない時間の筈なのにエースは長い時間に感じていた。
「オレは、“火”だ」
「オレが前を走っているのに、そんなオレが迷ったら仲間に迷惑だよな」
エースは火柱の中、握り締めた拳を空へと掲げる。
「今一度、オレは誓うぜ」
「オレはこの海で誰よりも自由に生きてやる」
「オレは仲間のために前に走り続けてやる」
「その為に」
掲げていた拳を胸の前に置き、熱が灯った体の中心にエースが拳を叩きつけると、エースの周りで燃え盛っていた炎は更に勢いをまし、その火柱は空を貫いた。
「オレはこの心に宿る火を、“心火”を燃やし続ける」
そんな呟きと同時に、一歩を踏み出そうとしたエースを誰かが背中を押した気がした。
“いつまでも待たせんじゃねえよ”
“そんな奴に遊んでる余裕あるの?”
“さっさと決めて帰ってこい”
“頼んだぜ、エース”
そんな、仲間達の声に推されるような感覚がひどく心地よかったエースだった。
一歩踏み出した足は軽く、ついさっきまでエースが感じていた痛みや疲労感を感じさせない、まるで気の合う仲間と冒険に繰り出そうとしているような感覚をエースに与えた。
「よう、ガスパーデ」
先程まで感じていた筈の強さが目の前の敵からは感じられなかった。
自らを濡らすように降る雨すらも今のエースにとっては心地よさを与えるモノでしかなかった。
「第二ラウンドと行こうじゃないか」
ふと気が付くとこの場を覆っていた真っ黒い雨雲はエースの頭上のみ消え去り、エースだけが快晴の空のした無邪気に笑っていたのだった。
エースは不思議と負ける気がしなかった。
その一言が切欠になったのか、ガスパーデは今までの気だるげな動きが嘘のようにエースへと突撃してきた。
全身をトゲで覆い突進してくるその姿は巨大な鉄球を思わせる。
ガスパーデ渾身の突撃を前にエースはただ立ち尽くしているかの様に思えた。
しかし、ガスパーデがエースに当たったその時エースの姿が霞のように揺らぎ消えた。
「
エースの声はガスパーデの遥か後ろから聞こえ、その姿を現した。
「レイズの言う通りだ、何がしたいか体がその通り動いてくれる。まるで昔から
「てめぇ、何だ今のは」
雨が強さを増すなか、互いに牽制をし合うように話し始めるエースとガスパーデ。
「元海軍のお前なら知ってるだろ?“剃”と炎の力を使った幻影だよ」
そう、エースが呟くとエースの姿がまた揺らぎ、ガスパーデの後ろに姿を現す。
「能力を得たからといって油断はしねぇ。能力の細かい調整、何より能力に対する理解力は今しがた能力者になったオレよりガスパーデ、お前の方が上手だ」
「何を長々と負けた時の言い訳か」
エースを嘲笑うかの様に顔を歪めるガスパーデに対し、不遜な態度を崩さず、勝ち誇ったかのような顔をするエース。
「いや」
エースが顔をあげる。
「時間稼ぎだ」
その時、ガスパーデに二つの麻袋が投げつけられた。
ガスパーデは咄嗟に両腕を刃状にし袋を切り付けると中から白い粉が溢れだした。
「よう、知ってるかガスパーデ」
袋を投げつけた張本人であるシュライヤは、瓦礫に腰かけると憎んでいるはずのガスパーデに気軽に話しかけた。
「飴を細工する時、職人によっては手に粉を付けるんだそうだ」
「それが?何だってんだ」
「そうするとな」
シュライヤの言葉に続くように、今度はエースがガスパーデに飛びかかった。
物理攻撃に対してダメージを受けない自身のあるガスパーデは不敵に笑っていた。
「飴が掴みやすく成るんだそうだ」
エースの握りしめた拳はガスパーデの予想に反して深々と体に突き刺さるようにダメージを与えた。
「
そう言うと気絶するように倒れるシュライヤ。
「おう、任せとけ」
そう言って肩をグルグルと回しガスバーデはと歩みを進めるエース。
肩を回し終えたエースはそのまま助走を付けてガスパーデへと走り出した。方やガスパーデも全身をトゲで覆いエースの攻撃を防ぐ準備をした。
この時、ガスパーデは思い違いをしていた。
エースの食べた悪魔の実が超人系だと。
それが勝負を分けたのだった。
走り出したエースはその勢いのまま、全身を炎に変じさせ、速度を上げた。
その勢いのまま 利き手の右手を引き、左手は狙いを定めるように眼前へとつきだした。
炎と速さ、この二つが一気に右手に収束していき、気が付くとエースは叫んでいた。
「
紅蓮の拳がガスパーデに突き刺さり、その勢いのままガスパーデは瓦礫と化した船の外に飛ばされていった。
そして、発達した積乱雲へと飲み込まれたのだった。