感想には必ず眼を通しております。
お返事を返すことが今だできませんが、この場を借りてお礼申し上げます。
エースがガスパーデを倒して数日、エース達はセンゴク元帥が用意したとあるリゾート島の水上コテージの一軒で寛いでいた。
「はぁ、サッちゃん」
「あぁ、サンディお姉さま」
外を見ながら黄昏るエースとカリーナは、ここ数日お昼前になるとデッキに座りながらベンザムとロビンを思い出すように名前を呟くようになっていた。
「またか、お前らいい加減にしろよ」
酒瓶を片手にトレーニングの汗を流したサガがいつもの光景と化しているその姿に苦言を放つ。
その声に反応しサガへと顔を向けるエースとカリーナ。
「「ざびじぃ~」」
「阿保共が、協定関係が済んだら居なくなることは前から解っていたことだろうに」
「なんだと、サガ。お前は寂しくないのか、この飲兵衛が」
「そうよ、この野蛮人。あんたには血も涙もないの」
「そこまで言うか」
ガスパーデを倒し、ガープとの合流地点の無人島についた時、既に二人の姿は無くなっていた。
レイズだけは挨拶をしたそうだが、僅か数日とはいえ、仲間がなにも言わずに居なくなることは辛いことであった。
「二人とも、海軍に存在を知られたくない事情があるんだろ。サンディに関しては、レイズから理由は聞いてるだろ」
酒瓶に口をつけ、半ばまで飲むとサガは呆れたように二人を見つめる。
「んなこた、解ってんだよ」
「あたし達だって馬鹿じゃないのよ」
「「でも、ざびじぃ~」」
「・・・・、アホゥ共が(にしても、何処で何してんのかね)」
サガも二人の空気に感化せれてきた同じ頃。
「んが~っはっはっは、もうすぐスパイダーカフェねぃ」
「えぇ、私も少し喉が渇いてきたわ」
広大な砂漠のど真ん中を爆走する亀の背に二人は座っていた。
「んにしても、今回の任務は有意義だったわねぃ。懐かしい顔にも会えたし、友達も増えたし」
「ボスにどう報告するか迷うとこね、彼らとの関係がどう転ぶかに懸かってくるわ」
今回の任務の余韻からか、いつも以上に喋る二人だったが徐々にその顔から笑顔が薄れていく。
「サンディちゃん、降りるなら今しかないわよ」
「Mr.3、あなたもそうなんじゃない」
真剣な眼差しで遠くを見つめる二人。
エース達とのこの数日間は二人にとって、まるで久方ぶりの休暇のような感覚であった。
「ま、あちしにはあちしの、サンディちゃんにはサンディちゃんの、譲れない目的のために他人が不幸に成るのを黙って見過ごしてるんだからあちしたちは立派な悪人ねぃ」
ベンザムのその言葉を最後に二人は喋らなくなった。
「(世界の真実を知るために)」
「(“あの方”の所在を知るために)」
二人の芯にある目的のために、他人を見捨てる。
そんな二人がエース達と再会することになるとは、この時は誰にも予想がつかないことだった。
個室に篭り、手紙を書くレイズ。
最後の手紙を書き終えると封筒にビブルカードを同封して4通を上着に仕舞うと、残り1通を手に取りエース達が居るリビングルームへと歩いていく。
「あぁ~あ、なにしてんの“3人”共」
「「「ざびじぃ~」」」
そこには、ソファに寝転がり悲しみを一身に著しているエースとカリーナ、“サガ”がいた。
「全く、今日はオレ忙しいんだからツッコんでいられないよ。それと、ちょっと出掛けてくるから後のこと宜しくね」
「「「は~い。はぁ、ざーびーじーい」」」
その光景を苦笑いで見ながらレイズは出掛けた。
「(船の改造、終了。荷物の積み込み、終了。後は・・・)“これ”だけか」
レイズが立ち止まり見上げた先は島唯一のシュライヤが入院させられていた病院だった。
本来であればエースも強制入院中だったのだが、大量の肉を食った翌日に完全回復していた。
しかし、“まだ”一般人の範疇に居るシュライヤは確りと入院させられており、本日退院の運びとなったのだった。
「おう、出迎えご苦労レイズ」
「取り敢えず、退院おめでとうシュライヤ」
コテージにいく道すがら、二人は取り留めない話を続けた。
「アデルちゃん、良く許したな」
「賞金首にでも成ればそれが何よりの便りだなんて、一体誰に似たんだか」
シュライヤの入院中、兄妹で話し合った末に何とか認められた海賊への道。
アデルとビエラに認められ、エースの仲間になるならと許可が降りたのだった。
もとより、エースの仲間に成ることしか考えていなかったシュライヤは笑顔で承諾したのだった。
「シュライヤ、悪いんだけど“これ”持って先に帰ってて」
そう言うとレイズは少々厚い封筒をシュライヤに押し付ける。
「なんだこれ?」
「オレ用事があって少し空けるけど、明日の朝になってもオレがいなかったら中身見ちゃって良いから」
「お前宛じゃないのか?」
「さぁ、ね。後は此処から真っ直ぐだから」
その声を合図にレイズは喧騒の中に消えていった。
「社長自ら来てくれるなんて。悪いねモルガンズさん」
シュライヤと別れ、カフェで一息着くレイズ。
背中合わせになる位置に座る巨大な鳥に話しかけた。
「君が連絡をくれる時は、世界がひっくり返りかねないビッグニュースが有る時だからね。私直々にくるのが礼儀というものだろう」
そこにいたのは「世界経済新聞」社長であり、暗黒街の上役「ビッグニュース」の異名を持つ「モルガンズ」本人だった。
声の大きさや、位置関係から二人が会話をしているようには見えない。
「この4通をあなたの伝で渡してもらいたい、出来れば2日以内に」
そう言うと巧みにモルガンズに4通の封筒を手渡すレイズ。
「中身は見ないのが約束だが、一つ教えて欲しい。これが一体どんなニュースに化けるんだい?」
「・・・にひ」
レイズが大気を操作して呟いたその一言。
モルガンズは叫びそうになる口を押さえつけ何とか堪えた。
「じゃ、宜しくね」
店を後にするレイズの後ろ姿を眺めながら、モルガンズは今自分が大きな時代の波の始まりに立っている感覚に襲われていた。
「こうしちゃいられん」
再起動を果たしたモルガンズは急ぎ、頼まれた封筒を指定先に届けるようニュース・クーに運ばせた。
翌日、朝になっても帰ってこないレイズ。
エースはリビングに仲間を集めるとシュライヤから預かった封筒を開き、中身の手紙を確認した。
同時刻 グランドライン後半の海。
レイズがモルガンズに託した封筒が指定された人物達の手に渡っていた。
「親父、一体誰からの手紙だよい」
母船に急遽集められた白髭海賊団の各部隊長を代表して副船長的立場にいるマルコが敬愛する船長へ声をかける。
「グララララララ、風使いの小僧からだ」
その異名に不思議な緊張感に襲われる隊長達。
同時刻 万国 ホールケーキアイランド 女王の間
「ママ、それでアイツは何て寄越したんだ」
長男ペロスペローにとって最も厄介で最も便りになる他人の名前は、そこにいた全ての海賊団員に冷や汗を流させるのに十分だった。
「ママママ、そう慌てるなよ可愛い子供達」
「ママ、カタクリがいない今、レイズの手紙が我々海賊団にとってどれ程厄介か解っているだろう」
「落ち着け、ペロスペロー。大方“あの事”だろう」
同時刻 ワノ国 百獣海賊団アジト鬼ヶ島
「“あの事”、まさか親父まだ諦めてなかったのか!!」
朝から酒を浴びるように飲む血縁上の父親に怒鳴り付けるヤマト。
「うるせぇなぁ。お前とアイツが夫婦になる話なら諦めてねぇぞオレは」
「クドイ、ボクは必ずワノ国を開国するんだ」
「ウロロロロロロ、だが安心しろ。今回はアイツが胴元のアイツが賞品のレースの案内だ」
同時刻 とある無人島
「なんだ遂に腹括ったのかレイズは」
本来、封筒を受け取るべき男であるシャンクスが久方ぶりに本気の二日酔いで地獄を見ている頃、副船長ベン・ベックマンは代表として中身の確認をしていた。
「しかし、頭もこんな時に働けない状態になるなんて大丈夫なのか」
「兎に角、手紙の内容を話するぞ」
拝啓
この手紙が届いているであろう皆様。
この度、私事で申し訳有りませんが、この海の王にしたい存在と会いました。
しかし、今まで私のような輩を重宝していただいたり、ご息女との結婚まで進めて頂いた方々に仁義が通らないだろうと思い、一つゲームを開始いたします。これからお手元に届いたビブルカードを用いて、私を探しだしてください。景品として“フェンシルバード・レイズ”を一番最初に見つけられた船長のいらっしゃる海賊団に在籍させていただきます。皆様、奮ってご参加ください。
この手紙が引き金となり四皇を巻き込んだ事件が起こるのだった。