昨年の終わりからフィクションか、と突っ込みたくなる程様々なことが起きた作者です。
幸いにコロナ禍にありながら作者はなんとか陰性を保ち続けています。
「恐らく、手紙その物が“レイズ”のビブルカードだな」
同封されていたビブルカードに目を向けながら、カリーナが大事そうに机に置いた手紙に意識を向けた。
「あ、どういう事だ」
付き合いが比較的に短いサガはエースの発言に納得ができずにいた。
さてさて、レイズという男は90%以上の勝ちを確信するまでギャンブルを行わない良く言えば慎重な、悪く言えば臆病な男である。
それはエースも解りきったことであり、今回の置き手紙も穴が空くほど(実際、炙り出しを疑い燃やしかけた)眺めた。
「だってよ、同封してある紙が“レイズ”のビブルカードだなんて一切書いて無いんたぜ」
確かに手紙には「手元に届いたビブルカード」と書かれている。
しかし、どこにも「同封された紙が“レイズ”のビブルカード」とは書かれていないのである。
「それに、手紙と一緒に入ってたこの紙。確かに“誰かの”ビブルカードで間違えないけど、レイズが作ったにしては妙に古い」
そして、エースが言うとおり同封されたビブルカードは手紙と違い多少色がついており、昔に作られた事が見受けられた。
「何より、その手紙がさっきから動いてんだよな」
机に置かれた手紙は確かにゆっくりと海のある方向に動いていた。
「しかし、それ自体がレイズの罠である可能性も」
「それはないな」
エースが自信満々に断言する。
彼には確信があった。
「だって、その手紙はよ“
何らかの手段で一斉に配られた訳でなく、この手紙だけはレイズが直接手渡した。
だからこそ、エースは断言するのだった。
「それに、下書きに紛れてヒントまで残しやがった」
レイズの使っていた部屋に残された下書。
無駄に書きなぐられたように見えるその紙の一番最初の文字だけ上から読んでいくとこんな文が現れた。
「やくそく、まもる、なかま、ふやす」
エースに言っていた航海に必要な人員で欠落しているのは「船大工」と「船医」であり、「船大工」については宛があると言っていたのをエースは覚えていた。
それに、男ばかりの航海は女の子のカリーナに知らず知らずストレスになるんじゃないかと愚痴を溢していたのも知っている。
「さて、
エースの号令で彼等は動き始めた。
グランドライン某所
「あぁ、なぜ大天才である私が貴様ごときにアゴで遣われなければならないんだ」
「“お母ちゃま”に外の世界を見てくるように言われたのはお前のせいだろ。文句言わずに働け“ラチェット”」
小型のキャラベル船に乗りながら、とある海域を進んでいるのはレイズとガリガリの男性。
「ラチェット」と呼ばれたこの男性、賞金稼ぎ時代のレイズが偶々立ち寄ったカラクリだらけの島の領主であったが、紆余曲折を経てボコボコにされた上に彼の母親であるローバにお仕置きされ、性根を叩き直すためにレイズに預けられた。
自尊心の塊であったが、レイズが迎えに言った際には一般人くらいには筋肉をつけていた。
それで勝てると思い再びレイズに喧嘩を吹っ掛けたところ4日ほど気絶させられて、起きたら海の上にいた。
「にしても、何処に向かっているんだ?この先には確か」
「いや、そいつに貸してる“負債”を取り立てに行くんだよ」
「いや、あのな」
「そろそろ、気づく頃だな」
呑気に双眼鏡で何かを見つめているレイズ。
ラチェットもそれにならい、デッキチェアでレイズが準備したミックスジュースを飲み始めた。
「お、キタキタキタ」
「ん?いったい何が来たというのだ」
「ん」
双眼鏡を差し出され、ラチェットが覗き込む。
そこには、ラチェットの想像を越えるモノが写っていた。
「お、おおおおおおおおお女の子が空を飛んでる」
「しばらく見ない間にまた一段と可愛くなったな」
そこには“空”を飛ぶ少女の姿があった。
「レーーイーーズーー」
「元気そうだな“ペローナ”」
ピンクブロンドを靡かせて、猛スピードで空を駆け抜ける少女、ペローナの姿があった。
「キッシシシシ、久しぶりだな風迅」
「お久し振りです、“ゲッコー海賊団船長”“ゲッコー・モリア”」
ラチェットをペローナに任せ船長室に来ていたレイズ。
その目の前には、ニンジンを彷彿とさせる体型と悪魔のような人間離れした容姿の巨漢。
周囲にあからさまな輩集団。
そんな最中、レイズは朗らかに笑顔で対峙していた。
「ガスパーデをブッ飛ばすのに一枚噛んでるそうじゃないか」
「王下七武海の打診があったとか、おめでとうございます」
「てめぇ、オレの仲間になるんだよな」
「いい加減お貸ししたお金返してください」
「副船長の席を用意するぜ」
「最後通告です、いい加減金返せ」
「「人の話を聞きやがれ」」
噛み合わない(合わせない?)不毛な会話を続ける2人。
すると、レイズは懐から懐中時計を取り出すと何かを確認するように笑みを浮かべた。
「モリアさん」
「あぁん、なんだ」
「貴方が七武海の地位を利用して海賊王になろうとしているのは存じております」
「キシシシシ、それがどうした」
「借金だけでなく、オレへの賃金支払いも滞っている。約束を守ろうとしない奴を信用しろと言う方が可笑しいんじゃないですか?」
「それは、お前が仲間になればチャラだろ」
レイズはより一層笑みを深める。
「戦争孤児のペローナを預かっていただき、その事には感謝しております。だから、賃金の未払いについては忘れましょう」
「それは、つまり」
「だから、借金の踏み倒しとオレを利用して七武海入りを果たしたことについては、“これ”でチャラにしましょう」
「てめぇ、何言ってやがる」
「船長!!」
突如、船長室にゲッコー海賊団の船員の悲鳴が木霊した。
「なんだ、騒がしいぞ」
「た、大変です」
「さっさと報告しやがれ」
「ひゃ、百獣海賊団と接敵しました」
「何!?」
「(来たのはカイドウの大旦那達か)」
船内が突如として動き始めるなかモリアの耳にだけレイズの声が聞こえた。
「運が無いですねモリアさん。まぁ、オレとの約束を破るだけ破った上に最後まで利用しようとしたんだから悪いのは貴方ですよ?」
モリアが辺りを見回すと、先ほどまでいた筈のレイズの姿は消えていた。
「レイズ、てめぇの差し金か!!」
「クフフフフフ、まさか。四皇の何方かがいらっしゃるとは思ってましたが、辺りを付けていたわけではありませんよ」
「てめぇ、何が目的だ」
「強いて言えば、嫌がらせでしょうか。まぁ、1時間凌げれば海軍が来てくれますよ。それじゃ踏み倒された分の金はチャラにしますけど変わりにペローナを貰っていきますね」
この時、モリアはレイズが何をしに来たのか正確に把握した。
七武海になるために政府の闇とも繋がったモリア。
その闇を毛嫌いするレイズを騙して仕事を手伝わせていたことに気が付かれていたことを。
これは、その報復であると。
「それじゃ、お達者で~」
レイズの声が途絶えてから1時間後。
海軍が到着した時には百獣海賊団は姿を消していた。
そこには重症を負った船長のモリア。
そして、モリア以外の船員の死体が残っているだけだった。
「でぇい、あの餓鬼確かにあそこにいた筈なのに」
百獣海賊団本船ではカイドウが浴びるように酒を飲みながら当たり散らしていた。
その光景をクイーンは黙って見ていた。
「(お嬢がいなくて良かったぜ)」
何を隠そう、カイドウをこの場所に誘導したのはクイーンだった。
弱味を握られ、自身の趣味の疫病菌にかかりにくいレイズを様々な意味で苦手扱いしていた。
そんな中、レイズから個別で来た“依頼”。
『指定された日に、指定された場所に“少し酔った”カイドウを誘導させる』
この条件を守れば、クイーンの弱味の証拠を目の前で燃やす。
互いに海賊規約に乗っ取り結んだ約束はカイドウをゲッコー海賊団の船に誘導し、レイズが持つ弱味の証拠が燃えるのを確認して終結した。
出向先での仕事が一段落したので契約解除となり、次に行こうとしたところ出向予定先が全てコロナ対応のため半年先までニート確定です。
これを気に何か資格でもと考えております。
今年は自分のペースでまったりと更新していく予定です。