ONE PIECE-彼を王に-   作:完全怠惰宣言

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(出来)上がったら、出す。
そんなスタイルでお送りしておりますが、そろそろ息切れしそう。



Cの快盗/嘘はドロボウと女の子の特権

“98”。

この数字が何を意味するのか。

答えはレイズの賞金首確保率である。

唐突だが、レイズは“新世界”の出身である。

馬鹿息子の悪評が及ぶ前にと祖母が故郷である東の海(イースト・ブルー)へとレイズが物心つくかつかないかの年齢の時に連れ出してくれたため、本人もぼんやりとしか覚えていないのが実状であるが。

そんなレイズは幼少期に“母から受け継いだ”悪魔の実の力が発現し、突如として様々な声が異常なまでに聞こえてしまう時期があった。

レイズ本人は未だに“能力の暴走”と考えているが、実際は“覇気”と呼ばれる力の一端が同時に覚醒してしまったことによる弊害であった。

祖母はこの異常な孫の将来を懸念してか、レイズが幼い頃から某中将と同等の訓練をしてきた。

おかげで、現在のレイズは“能力”と“覇気”を行使して周囲の状況を音で聴き、脳内で映像化するまでに至っている。

そんな、レイズだからこそ視覚を塞がれたとしても、“音”を感知して対象を捕捉してしまうのであった。

エースに説明した際には“恐ろしい地獄耳”という認識で終わったが、強ち間違っていないと思ってしまったのは言うまでもない。

なお、レイズは未だに“覇気”の概要を知らないという事実を記しておこう。

もう一つ、レイズは“原作知識を有する転生者”ではあるのだが、その知識には“穴”があるのである。

こんなキャラクターいたな、“悪魔の実”に関する知識、この世界の刀剣類に関する知識、ストーリー(ルフィの冒険の物語)に関わることは大抵思い出せるのだが、細かい内容については“インクで塗り潰されている”ような感覚で思い出そうとしてもはっきりと思い出せない状況にある。

しかし、知識を得ることでその“インクで塗り潰されているような箇所”が思い出されることに気が付いて以降、レイズは“情報”を得る重要性に重きを置いて、賞金稼ぎ業に勤しんでいた。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「助けていただきありがとう御座います、私は“カトリーナ”と申します」

 

エースに釣り上げられた少女が部屋から出てきたのは、翌日の朝方になってからだった。

“カトリーナ”を名乗る少女は現在、身体が一回り大きく、裾の長い服を好むレイズの服を借りていた。

身体中の治療に関しても了承を得た後に確りと成されていた。

 

「おう、オレはエース。このかい・・・・わいで旅をし始めた者だ。この船の船長もやっている」

 

人好きする笑みを浮かべながら挨拶を返すエース。

途中でレイズとの約束を思い出し、“海賊”と名のりそうになったが、何とか誤魔化した。

決して対面にいるレイズに睨まれたからではない。

 

「そっちで料理しているのは、相棒のレイズ」

 

エースに紹介され、軽く会釈をするレイズ。

お昼に近いというのもあってか、ダイニングに隣接する対面キッチンからだが、顔をしっかり出しての会釈だった。

 

「改めまして、助けていただいて本当にありがとうございます」

「あんた、傷だらけだったけど襲われでもしたのか」

 

エースの質問に突如として青ざめたカトリーナ。

震える身体を自分を守るように抱きしめた。

 

「あの、その事については・・・・」

「あ、イヤなオレ達も無理矢理聞こうって訳じやなくてな。あのよ、そのな・・・・」

 

カトリーナの態度に思わず狼狽えてしまうエース。

確かに見目可愛らしい少女が明らかに訳有りな状態で発見されたなら事情を聞こうとするのは当たり前である。

如何に此処が“東の海(イースト・ブルー)”と言っても大海賊時代真っ只中の今、どういった危険が待っているのか知れたものではないからだ。

 

「ま、事情は追々にして、エース取り敢えず飯にするか」

 

湿っぽい空気を打ち消すようにレイズが出来上がったばかりの昼食をダイニングテーブルにおいた。

大皿にはたくさんの肉団子とトマトソースがからめられた特盛のスパゲティーが置かれていた。

 

「男料理で悪いがカトリーナもまずは食べな」

「そうそう、腹が減ってたら悪いことばっか考えちまうからな」

 

そう、にこやかに話しかけてくるレイズと既にいただきますしているエースの姿が面白かったのか、カトリーナの顔も笑顔になっていた。

 

「それでは、お言葉に甘えまして」

「おう、レイズの飯は美味ぇぞ」

「サラダも食えよエース」

 

三人の昼食は穏やかに進むのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

レイズと航海をするようになってエースには日課と言うものが出来た。

まずは、「早寝早起き」である。

異世界の知識を持つレイズはエースを王にするために、エースを鍛え直すことにした。

その為、成長ホルモンが分泌される黄金時間に睡眠を取れるように夕食の時間を調整して早寝させるようにした。

そして、部屋を別々にしたのを利用して早朝に釣りをさせるようにし、早起きの習慣を身に付けさせたのである。

次に、エースの身体の使い方を矯正し始めたのであった。

祖母直伝のこの特訓、簡単に言ってしまうと自分の身体がどのように動いているのかを把握させることで、攻撃に移る際の体重移動や、攻撃を繰り出す最高のタイミングを掴ませることで、どうなるか解らない未来に置いてエースの基礎能力を上げる目的があったのである。

その中には太極拳擬きの動きもあり、地味にエースの戦闘技能向上に役立っていたのである。

そして、最後が短時間睡眠つまりお昼寝であった。

昼前に行う身体の動作確認はエースが思っていた以上に体力を消耗させてしまう。

そのため、午後からも元気に動くために昼寝をするようになったのである。

ちなみに、最初期はご飯食べながら寝るという一コマもありレイズは地味に原作的な行動に喜んでいた。

 

「エースさんってこうして寝顔を拝見していますと本当に子供みたいですね」

 

一応の部外者がいるにも関わらずソファで爆睡しているエースを見てカトリーナの感想がそれであった。

 

「食って、寝て、遊んで。こう見ると確かに子供だな」

 

昼食の後片付けで皿を拭きながらレイズの同意を得てついついクスリと笑ってしまうカトリーナ。

 

「レイズさん、この後はどうかされるんですか?」

「今日は無風状態だし、オールでっていう気分でもないからな。部屋で本を読んでいるよ」

「それでしたら、私もお借りしているお部屋に戻らさせていただきます」

 

そう言ってダイニングを後にするカトリーナ。

 

「”彼女”のことは任せてもらうぞエース」

「おう、レイズなら悪いことにならないだろうからな」

 

レイズの手の中にはキツネを模した一対のイヤリングが握られていた。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「あれ、おかしいな、“あんな物”外れるはずないのに」

 

部屋の中を探し回っているカトリーナ。

先ほどまでの怯えていた様子もなく、かといって奥ゆかしさも見当たらない元気な少女の姿がそこにはあった。

 

「にしても、このご時世に呑気にクルージングって訳でもなさそうね」

 

捜索を一区切りつけて自分の借りている部屋を見渡すカトリーナ。

調度品もけして安いというわけでもなく、かといって馬鹿みたいに高いというわけでもない。

 

「エースっていう金持ちの放蕩息子に付き合わされている執事のレイズ・・・・・でもなさそうだしな」

 

先ほどのやり取りと生来の自分の他人の気配に対する鋭さから周りに誰もいないことを確信して素に戻ってしまっている。

 

「救助ボートで逃げ出そうにもな・・・・・はい、考えタイム終了。探し物続きしないと」

 

いつもの彼女なら気が付くはずだった自分が背を向けたドアが開いていたことに。

そして、そこに人が立っていたことに。

 

「探し物はこれかな“カリーナ”」

 

そう、後ろからイヤリングを目の前に垂らされ、思わず安堵したような雰囲気を出すカトリーナ”だった”少女。

 

「あら、ご親切にありが・・・と・・・・う?」

 

さび付いたブリキのおもちゃのように後ろを振り向くと入り口にはダイニングにいるはずのレイズが開けられたドアに背を預けながら立っていた。

 

「あの、レイズさん私は「“女狐”カリーナ、海賊や無法者を相手取る盗賊のお前がなんて漂流してたんだ」

「・・・・・・・・なんだ、バレてたのか。ウシシシシシシシシシシ」

 

カリーナは悪戯がばれた子供のような顔をして笑ったのだった。

 

 




個人的な話ですが01のイズちゃんがめっさ可愛い件について東映さんありがとう。
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