ONE PIECE-彼を王に-   作:完全怠惰宣言

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はい、今年最後の投稿になります。
来年も宜しくお願いいたします。


初対決

「なははははは、そうか遂にルフィも賞金首か」

「おう!!エースなんかすぐに追い抜いてやるからな」

「おぉ!?いっちょまえに言うようになったじゃないか」

 

ナミとウソップの目の前、ルフィと侵入者もとい兄を名乗る男エースが楽しげに語り合っていた。

 

「なんなの、あれは」

「ナミナミ、あっちも見てみろ」

 

ウソップの指差す方角にはゾロとその親友であるサガが酒を汲み交わしていた。

 

「まさか、サガも海賊になってるとはな」

「それはこっちの台詞だぞゾロ」

「「くいなの奴ぶちギレてるんだろうなぁ」」

 

互いに盃を傾けつつ、遠い目をしながら海軍に所属する幼馴染みの少女を思い出していた。

そんな2人の奥、クジラのラブーンの近くでは。

 

「はい、問題なし。良い子ねラブーン」

「ブオォォォォォォォォォォォォォ」

「マァヤァちゅわーーーーーん、紅茶とケーキはいかが?」

 

砲撃を受け、目を殴られたラブーンの診察を終え一息つくマヤと、そんな彼女の傍でメロリーンモードのサンジがティータイムの準備をしていた。

 

「一味に知り合いが2人もいるなんて、一体どういう偶然だよ」

「にしても、ルフィのお兄さんとゾロの友達にすごい見覚えがあるんだけど」

 

麦わらの一味(ひ弱)戦闘員(自称)の2人が意識を飛ばしているなか、ラブーンが何かを察したかのように潮吹きを思い切り吹いた。

すると、上空に2人の人影が飛び出してきた。

 

「あ!クロッカスさんあいつらか」

 

その2人に気が付いたのかエースが灯台守りのクロッカスに話しかけた。

 

「んん、あぁそうだ。あいつらがラブーンを狙ってる近隣のゴロツキどもだ」

「しかし、あの高さから落ちると流石にヤバいか」

 

エースは徐に立ち上がる。

 

「んぁ?どしたエース?」

「ルフィ。お前“こんなこと”出来ないだろう?」

 

ニャっと笑うとエースは落ちてくる人影に目をやる。

 

「“剃刀(かみそり)”」

 

その言葉が響くのと同時にエースは空を走っていた。

 

「“焔鵺晃路(えんやこうろ)”」

 

脚に焔を纏い空を高速で駆け巡るエース。

 

「うほぉー、スッゲー!!エースが空飛んでる!!」

「何よあれ!?あれも悪魔の実の力なの?」

 

純粋にその光景を見いるルフィと今まで見てきた能力者のデタラメ性からエースも悪魔の実の能力者ではないかと考えるナミ。

 

「まぁ、あながち間違いではないわね」

 

そんな2人に声をかけたのは治療道具を仕舞い終えたマヤだった。

 

「でもあれは、能力と体術の組み合わせよ。もとになった体術なら頑張れば出来るようになれるわよ」

 

そう言って微笑むマヤ。

その頃、上空では。

 

「よっと、流石にこの高さから落ちると死ぬぜお前ら」

 

落下してきていた男女2人組をエースが救出していた。

 

「おおおおおおおおおおおお前、お前のような奴がなんでこんなとこに!?」

「おおおおおおおお落ち着きなさいMr.9」

「なははははは、オレ達のことは下に着いたら黙ってくれてると有難いんだが」

「「無論です!!」」

 

そんな会話をしていた。

 

「クロッカスさん、コイツら?」

「あぁ、ラブーンを狙ってるゴロツキどもだ」

 

クロッカスの前で涙を滝のように流しながら正座させられている男女。

そんな2人の後ろにはサガが刀に手を掛けて控えていた。

 

「うぅぅぅ、Mr.9。私、もう、ラブーンを殺すことなんて無理よ」

「ぶぉぉぉぉ、オレもだミス・ウェンズデー。こんな健気なラブーンを殺すことなんて、オレ達には出来ない」

「いや、お前ら大丈夫かよ?」

 

ラブーンの境遇を聞き、悲嘆にくれるMr.9とミス・ウェンズデー。

その向かい、クロッカスの後ろでは麦わらの一味もやり場の内感情を持っていた。

 

「だが、エース達のお陰でラブーンも気持ちを持ち直してくれた。そう思うとワシも奴らの事を信じてやれてなかったんだな」

 

クロッカスのその場を締めるような言葉に違和感を覚えつつ、ナミがルフィに声をかけようと辺りを見回した。

 

「いいかクジラ!!オレも今日からお前と友達だ!!いつか、お前の仲間達の事を土産にまたもどってくるから、その時はまた遊ぼうぜ!!」

「ブオォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

いつの間にかラブーンと友達になっていた。

 

「さて、ルフィ“これ”お前にやる」

 

再会を祝したサンジのランチを食いつくし、グランド・ラインの滅茶苦茶さを知った麦わらの一味による一悶着の後、エースがルフィに紙切れの入ったペンダントを渡した。

 

「なんだ?」

「御守りみたいなもんだ、出来れば肌身離さずに持っててくれ」

「よく解んねぇけど、エースがそう言うなら解った」

 

ルフィとエースが話し込んでいるなか、双子岬に船が近づいてきた。

メリー号の数倍はある船首シンボルに焔のような鬣と頭部に巨大な槍をもつ黒馬があしらわれた巨大な帆船だった。

 

「エース」

 

その帆船から男性の優しい声が響いた。

その声に名前を呼ばれたエースだけが顔を青ざめているが。

そんなエースの反応をよそに帆船から男性が飛び降りてきた。

男性は“ふわり”と地面に降り立つとエースの隣を通り過ぎ、ルフィの前に立った。

 

「麦わらの一味船長“モンキー・D・ルフィ”さんですね?」

「おう、ルフィはオレだ!お前誰だ?」

 

線の細い柔和な優男、そんな印象の男性を前に戦闘を本能で捉えるルフィが油断無く警戒していることにナミは気が付いた。

 

「初めまして、貴方の自慢はそこのバカ(エース)から伺っております。突然の来訪ご容赦ください。シャッフル海賊団にて副船長をやらしてもらってます“フェンシルバード・レイズ”と申します」

「なんだなんだ、あんたルフィの兄ちゃんの部下か」

 

深々と頭を下げる男の雰囲気に、ついいつもの通りに調子にのったウソップ。

 

「黙れ」

 

そんなウソップを見ること無く、レイズと名乗った男はただ静かに頭を下げたまま一言呟いた。

けして脅すような声でなく、なにかを諭すような声色だったにも関わらず、ウソップは瞬間的に自分が殺されるイメージを叩きつけられた。

 

「少なくとも、他海賊団の相手が船長と話していて、しかも役職持ちであるならば、少なくとも通すべき筋があるだろ」

 

そう言って頭を上げたレイズの顔には一切の表情が無かった。

 

「覚えておけ、この海を渡るなら普段はともかく、船長の雰囲気を察せれるようになってないと恥をかくのは自分達の船長だということを。そして、自分達が今までの海でどれだけ名を上げていてもこの海に来た時点で新人共(ルーキーズ)に成り下がったことを」

 

その顔には麦わらの一味を見下すような感情も視線も無かった。

ただただ、事実を述べているだけというその事しかなかった。

 

「なぁ、レイズ」

「道草食って着くの遅れた馬鹿が、なんか言ったか」

「あ、あぁー、ご免なさい。ご免なさい次いでに頼みが有るんだけど」

 

流石に自分が悪いと自覚があるエースは素直に謝りつつ、義弟(ルフィ)と再会したら頼もうと思っていたことを実行中に移した。

 

「ルフィと戦ってくれ」

「「はぁ!?」」

 

その言葉にレイズだけでなくルフィも不思議そうにエースを見つめる。

 

「お前、強そうだな」

 

戦闘モードに意識が移行しているルフィ。

そんなルフィを見て溜め息を漏らすレイズ。

 

「義兄弟揃って、人の話し聞かないんだから」

「よーし、いいかルフィ。ルールは簡単3分間の乱取りみたいなものだ!」

 

1人ニコニコと笑みを浮かべるエース。

 

「開始の合図はラブーンに鳴いてもらおう、ラブーン頼む」

 

エースの声が聞こえたのかラブーンはその体を空へと向ける。

 

「ブオォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

その巨体から発せられる声に一同が耳を塞ぐなか、ルフィの行動は速かった。

 

「ゴムゴムのぉぉぉぉぉ!!」

 

パンチをくり出すように右手をその場で引くと右腕はゴムのように伸びていく。

 

「ピストル!!」

 

ゴムの反動を利用した右ストレートが、常人の反応速度を凌駕した勢いでレイズへと迫る。

麦わらの一味の面々はルフィの必殺の一撃が男に突き刺さる瞬間を目にした。

そのはずだった。

しかし、ルフィの拳はレイズに当たること無く、勝手に右にそれていった。

 

「ありゃ?可笑しいなぁ?」

「喋ってる暇があるなら打ち込んでこい」

「なんだとぉ!?このやろう」

 

そこから、ルフィが一方的に攻撃を仕掛けるが何故か当たらず、レイズはその場にただただ立っているだけだった。

 

「ゼェ、ゼェ、ちくしょなんで当たらねぇんだ」

「やれやれ、未だこんなものですか」

 

肩で息をする見るからに疲弊したルフィとは対照的に、どこか冷めた目でルフィを見るに留まっているレイズ。

 

「解った」

 

そんな二人の戦いの様子を眺めていたナミはレイズの秘密に気が付いたようだった。

 

「ルフィ!その人もきっと能力者よ!多分風か大気を操ってあんたの攻撃を反らしてるのよ」

「本当かナミ?」

「天候に関係することで私はウソつかないわよ!」

 

ルフィがナミの言葉を確かめるようにレイズに視線を移す。

 

「どうやら優秀な航海士がいるようだね。ご明察、私はエアエアの実を食べた大気自在操作人間。既に私の周囲の大気は私の支配下にあります」

 

レイズは地面の砂を蹴り上げる。

すると、レイズの周囲に風の流れ道のような壁のようなものが見えるようになった。

 

「“艮の鎧(リジェクト・アウト)”、自分の周りに壁の様に纏わせた風の鎧。攻撃を受け止めるのではなく、軌道を変える事で相手からの攻撃を防御する技です」

 

風の鎧が目視出来るようになった、その事でナミとウソップはルフィが勝機を見いだしたと思っていた。

 

「実力差が有りすぎる、ルフィの負けか」

「あんだよ、レイズさんあんなに強かったのかよ。そりゃジジイが認めるわけだぜ」

 

しかし、戦闘力高めの2人ゾロとサンジは隔絶した実力差をその肌で感じ取っていた。

ゾロはミホークとの戦闘を経て得た強者に対する感覚から、サンジはかつて師であるゼフが下していた評価から、ルフィであっても“今は”勝てない相手であると悟った。

そんな中、レイズがチラッとエースに視線を送る。

正確にはエースの側にいつの間にか立っていたドでかい懐中時計を持つシュライヤへ視線を送っていた。

 

「3分経ったぞ。会ったばかりのエースでも、もう少し頭使って戦ってた気がするが生来の気質というものか」

 

そう、レイズが呟くと海ギリギリまでジャンプして下がる。

 

「ルフィ、君は恐らく本能的に自分がどうにかしなきゃならない相手をかぎ分けて戦うタイプなんだろう」

 

レイズの右手に取り出された扇に周囲の風が集められていく。

その最中でも攻撃の手を緩めないルフィであったが、今度は完全に見切られて攻撃を避けられていた。

 

「自分に出来ることだけを研ぎ澄ますことも大事だが、少しは頭を使うようにしな。まぁ、仲間を信じてるならそれで良いかもね」

 

右手に集まった風を扇に纏わせると風が流れているからかレイズの計らいか風の刃が形成されているのが解った。

そのまま剣士のように居合の姿勢に身体を創るとルフィを見据える。

 

「オレはエースを“王”にする」

 

その呟きが放たれると同時に、ルフィが駆け出した。

 

「ゴムゴムのぉ!!」

 

そして、両手を後ろに伸ばした。

 

「バズゥーーーカァーーーー!!」

 

その勢いを利用した掌底をレイズに打ち込む。

 

南風の弦(ノトス・コード)

 

ルフィ渾身の攻撃と同時に扇が振るわれると三本の風の斬撃がルフィ目掛けてを放たれた。

三本の風の斬撃を受け岸壁にめり込むまで吹き飛ばされ気絶するルフィ。

 

「・・・、まぁ合格点かな?」

 

そう呟くとレイズの頬に一筋の切り傷ができた。

先程のバズーカーは確りとレイズに届いていた。




皆様にとって来年がより良い年になりますように。
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