ONE PIECE-彼を王に-   作:完全怠惰宣言

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お待たせしました。


"海賊同盟"

「成る程ね。にしても思いの外、組織が大きくなったね」

「ちょっとそこの若白髪、馴れ馴れしくアタシのロビンに近づかないで」

「えぇ、お姫様達には悪いと思ったけど、やっぱり私は歴史の真実が知りたいの」

「きゃー、ロビンたら相変わらず可愛いわぁ!お姉ちゃんちょっと濡れちゃう」

「・・・・(プッチン)、煩い黙ってろこのシスコンが!!」

「あぁ?ナニよ、喧嘩売ろうってんなら買うわよ若白髪!!」

「「あぁん!!」」

 

レイズの執務室となっている部屋にてミス・オールサンデーとミス・ヴァケーション、(作者が面倒くさいから)もといニコ・ロビンとニコ・ノインへの尋問が行われていた。

そして、ロビンへの形式的な尋問を終えると一息つき、プリンの煎れてくれたアイスティを飲む。

そんな中、扉の前で待っていたカリーナにロビンを連れていかせるとレイズにとっての本番が始まった。

 

「「で、お前誰よ?」」

 

ニコ・ノインという女にとってこの転生は自ら望んで得た権利であった。

生前、色々な意味でONE PIECEと言う作品のファンで腐女子で貴腐人だった彼女はその日、戦利品と言う名の薔薇で百合な毒本を大きい紙袋6袋に詰め込んでルンルンと一目も気にせず歩いていた。

そんな時、目の前の道路に(美)少女が走り出てきた光景を目にしてしまった。

そして、その(美)少女に向けて大型車が急ブレーキをかけて止まろうとしている姿も目に入ってきた。

 

「子供(ショタとロリ)は国の宝!!」

 

その言葉と共に、彼女は気付くと(美)少女を押し退けていた。

そして、彼女は大型車に引かれること無く、自らの思い込みで心臓を止めて亡くなったのであった。

それからは、古き良きテンプレの通りにONE PIECEの“ニコ・ロビンの双子の姉”として転生し、可愛い妹と共に歴史をなぞっていった。

そんな彼女の目の前に自身の知るストーリーに存在しない異物がいるのであった。

それは、レイズからしても同じであった。

ノインの存在はロビンの情報を精査していくなかで何度も出てきていたが、あえて無視していた。

しかし、実際に目の前にしても記憶の更新が起こらないことから、目の前の存在が自分と同じ異物であると認識していた。

 

「でっさぁ若白髪。あんた何が目的なのよ」

「はん、それが素かよ。お前こそ何が目的なんだよ」

 

 

互いに笑顔を浮かべ見つめ合う2人。

しかし、2人から発せられるのは明確な殺意。

テーブルの上のカップには2人の殺意でヒビが入り、海が2人の殺意に呼応するかのように少し荒れていた。

 

「オレはエースを王にする」

「無理よ」

 

レイズの目的を明かす、その瞬間なんの感慨もなくただただ真顔でノインがきっぱりと切り捨てた。

 

「あんたがどこまで知ってるか解らないけど、エースは死ぬ。これは決定事項なの」

「知るか、あいつが笑顔で死ねない世界なんて興味ねえ。ウチのバカ共は死ぬときはベッドの上と勝手に決めたんだよ」

「エースが死ななきゃルフィが上に行けない、目標を一度失うことで彼はその先に進めるのよ」

「それはお前の都合だろ。オレはオレの都合を世界に押しつけるだけだ」

 

再びの硬直状態。

そこにドアをノックする音が響いた。

 

『なぁ、レイズよ難しいことは明日にしようぜ。てか早くこっち来てくれねえかな、ロビンが追い詰められて見てて可哀想なんだが』

 

エースの声に2人から放たれていた殺意はその身に収まっていった。

 

「とりあえず、オレ(レイズ)お前(ノイン)の考えは平行線だな」

「えぇ、アラバスタの件が片付いたら私は麦わらの一味に加わるわ」

「勝手にしろ」

 

そして、ドアを開けるとそこには。

 

「だから、レイズとはまだ何もないから。ね、信じて」

「ウソつくなコラァ。あたし達にない大人の色気って武器を持ちながら手を出されないなんてあり得ない」

「そうよ、ペローナの言う通りよ。何よ見せつけてくれちゃって。あたしもあと2年でそこまで大きくなるもん」

「プリン落ち着いて、その視線はダメよ。てことでロビンもちゃっちゃと白状しなさいよ、お姫様抱っこされた時ちょっとはムラっとしたんでしょ」

 

ロビンに詰め寄る少女達がいた。

 

「・・・・・うん、ウチの娘らが申し訳ない」

「あんなに顔に感情出てるロビン久しぶりだから許す、てかカリーナちゃんもペロちゃんもプリンちゃんもカワユス」

「素が出てるぞ貴腐人」

「え、ちょっとなんで三○様がいるの、ゴ○ちゃんもいるし。この船は楽園ね」

「落ち着け、腐れ。あとペドロとラチェットはウチのクルーだ」

 

そして、夜は更けていく。

朝日が上がると共に海には沢山の樽が浮かんでいた。

その樽の上に上半身裸のエースとペドロが立っていた。

互いに礼をし息を整え目を見開くのと同時に姿を消した。

 

『ドゴッ!!』

「な、何!?」

 

巨大な物がぶつかり合う音で目を覚ましたナミ。

甲板へと出てきて彼女が見たのは無数の樽が浮かぶ海で拳をぶつけ合うエースとペドロだった。

 

「軸がブレてるぞ!」

「うるせぇ!ミンク族に体幹でどうこう言われると腹立つんだよ!!」

 

怒鳴り合いながら樽の上だけを足場に行われる殴り合い。

互いの拳がぶつかり合うだけでそれこそ巨大な戦艦がぶつかったような音が轟く。

目の前の2人がどれだけ非常識な存在なのか思い知らされてしまう。

更にナミは気づいた。

樽の上という不安定な足場であるにもかかわらず2人の攻撃はしっかりと足場を踏み込んで行われていた。

そして、着地した樽は波に揺れることはあってもけして沈むことはなかった。

さらに、海流によって動く樽の位置を正確に把握し続けないと海に落ちるというのに一向に落ちる気配がない。

 

「これが、“シャッフル海賊団”。この海で今、注目の的になっている海賊団よ」

「あらビビお目覚め?」

「これだけ、爆音が響けば起きるわよ。でも、実際に目にすると恐ろしいわね」

 

樽は流されていき、流れ着く先に準備された網に溜まっていっておりその数は徐々に少なくなっていた。

 

「今日こそオレ“が”勝ーーーーーーーつ!!」

「悪いが、今日もオレの勝ちだ」

 

ペドロのその言葉と共に蹴り抜かれたエースは海へと叩きつけられた。

 

「はいエースの負けぇ。今日の皿洗いはエースだね」

 

ペドロに担がれて甲板に戻ったエースに暖かいココアを手渡したレイズは悪戯が成功した子供のような顔をしていた。

 

「だぁ、また負けた」

「しかし、始めた頃に比べて格段によくなってきているな流石だエース」

「褒めるの禁止、負けたエースが悪い」

 

ワイワイガヤガヤと五月蠅くなっていく向こう側の甲板。

ふと見るとマストの上で刀を正眼に構え微動だにしない男をナミとビビは見つけた。

ゾロの幼馴染みと言っていた男、サガはナミで揺れる船のマストポールの上で大地の上に立っているかのような安定感で正眼の構えをとり続けていた。

すると、サガは両目を開き刀を鞘に収める。

次の瞬間、気がつけばサガは刀を振り抜いた姿勢でマストの上に立っていた。

15kmは先にある積乱雲に発達仕掛けていた雲が10等分に斬られていることに気がついたナミはその恐ろしさにようやく気が付いた。

 

「サガ、朝の日課が終わったら寝ている麦わらのクルーに声かけてくれ」

「目を覚ましている奴らはどうする?」

「あっと、お嬢さん方。サンジもこっちで朝飯準備してるからさ、色々思うところがあるかもしれないけど朝飯食べに来なよ」

 

そう笑ってこちらを呼ぶ男、レイズと呼ばれていた銀髪の青年の声に思考を巡らせ。

 

「ビビ、良いわね」

「えぇ、ミス・ダブルフィンガーにオールバケーションの思惑も知りたいし」

 

寝ている男共を置き去りに相手の船へと渡っていった。

 

「おはようナミさん、オレンジジュースはいかが?」

 

甲板に降り立ったナミが見たのは女性に目もくれず本当に楽しそうに料理するサンジの姿だった。

 

「いや、マジでありがてえ。お古でも鍵付き冷蔵庫もらえるなんて」

「型落ち品でよければ貰っていってよ。今度新型のオーブン入れるスペース確保したいんだから」

「しかし、プリンちゃんのパティシエールとしての腕もたいしたもんだな」

「サンジもそうね。お菓子が専門って言ってるけど、料理だって負けない自信あったけどあんな出汁の取り方あったのね」

「いや、プリンちゃんも確かにアレなら簡単にクッキーやらパイやらが作れるぜ」

 

料理人談義に花が咲いていた。

 

「おい、エース!!お前朝からこんな御馳走食ってるのか狡いぞ!!」

 

ご飯の匂いにつられて現れたルフィ。

サンジの手料理であることを差し引いても品数も量も自分のところでは考えられない豪華さに嫉妬していた。

 

「バーカ、いいかルフィ。うちではつまみ食いをする奴はいないし、暇があれば魚釣ったりしてるし食料を大切ににすることは当たり前なんだよ」

「つい最近まで肉見つけたら冷蔵庫に行く前に自分で焼いて食ってた奴が何言ってる。行儀が悪いけど食べながら話しましょうか」

 

ジャック・ポッド号甲板での朝食会。

エースとルフィが肉を取り合う時あまりに行儀がなってなければ、ナミとカリーナの極低温の視線で黙らされ。

ゾロとサガが朝から酒を飲もうと酒蔵エリアに近づけば、マヤのインジェクションで麻痺させられ。

サンジとプリンが真面目に料理人談義をしていたら、レイズがスマートに2人分の軽食を準備し。

ロビンとノインが机から離れた位置を取ろうとしたら、シュライヤとペドロに華麗にエスコートされ。

ビビとイガラムが無駄に警戒を示したら、ウソップとラチェットとペローナの陽気な声に誘われてしまった。

そんな賑やかな朝食会の最中。

 

「さて、今後の方針を話す前にアラバスタ組にはニコ姉妹の目的を知っておいて欲しいわけだ」

「2人の目的ですと?」

 

エースが場の空気から方針決定前に多少の蟠りを解くべくいつものおちゃらけた拍子で会話を開始する。

そして、エースの言葉にイガラムが何かを感じ取ったように聞き返す。

 

「おう、2人の目的?というか夢だな。そいつを知ってもらうのは実はオレ達シャッフル海賊団が今回の件に関わる理由でもある訳だ」

「国一つをボロボロにしてまで果たしたい夢?それってそんなに大事なことなの!?」

 

ビビの声に若干顔色を悪くするロビン、そんなロビンの姿を隠すように笑顔のエースはレイズをロビンの壁にして、自分はビビの前に立った。

 

「言うねぇお姫様、あんたにとってアラバスタという国はそれ位大切なんだろうな。王女という肩書きだけでなくあんた一個人が国を愛していることは今回の行動で理解はした」

 

そう言い終えるとエースの顔から一切の感情が消え、それと同時にビビは首を捕まれた状態で甲板へと叩きつけられていた。

ビビの危機を察知しイガラムとサンジが動こうとするが、イガラムは後ろからペドロの濃密な殺気を叩きつけられ動けなくなり、サンジはシュライヤが先回りして攻撃の意思を見せたことで止まってしまった。

あまりの展開にナミが周りを見回すと。

ルフィはレイズが作り出した風の牢獄で身動きがとれなくなっており。

ゾロはサガと共に刀に手をかけた状態で間合いの探り合いにより動きを止められ。

ウソップはラチェットの背中から現れたマジックハンドで身体ごと持ち上げられており。

ナミ自身もカリーナの持つ旗が篩われる間合いに止められていた。

 

「だがな、その人が人生かけて為し得たいと思っている“夢”をあんたの尺度で善悪をつけるな傲慢な王族が!!」

 

エースのその言葉にビビは思い切り殴られたような感覚を覚えた。

 

「大方の話は昨日ロビンとノインの姐さんから聞いてるがよ。クロコダイル(王下七武海)を受け入れると決めたのも、そいつが海賊なのに無条件で信じたのも、そいつが裏で何かしてるか考えなかったのも全部全部あんたらが悪いんじゃないか」

 

ルフィは初めて見る“海賊(覚悟)”を背負ったエースの雰囲気に飲まれていた。

僅かな差で海に出た義兄は自分が知らぬ間にとんでもないところに進んでいた。

 

「国民は何も知らない?知ろうとしないだけだろ!オレ達はどこまで行っても海賊、自分たちのやりたいようにやる無頼者(アウトロー)だ。そんな奴を盲目的に信じて知ろうとしなかったのはあんたらの罪だろ?確かにロビンもノインの姐さんも誰が見てもやってることは“悪”だろう。けどな」

 

すっとエースがビビから手を離し立ち上がる。

 

「自分の“夢”を叶えたい。たった其れだけのために生きてることを“悪”とされる奴の気持ちが解るか?解らねえよな、悲劇によって被害者面して自分達は何も悪くないと考えてる奴は」

 

その時、ビビが見たエースの顔は声色とまったく別の物だった。

声色こそ怒りに満ちていたが、その顔には悲嘆の色が出ていた。

 

「そこまでだ船長(エース)、少し落ち着け」

 

エースの肩を優しく諭すように叩いたレイズは周囲を見渡しため息が漏れてしまった。

 

「話し合う雰囲気ではないけど進ませて貰う。オレ達とニコ姉妹の目的はアラバスタに保管されている“歴史の本文(ポーネグリフ)”を読むことだ」

 

歴史の本文(ポーネグリフ)”と言う単語が出た時、ビビは何を言っているか解らないと言う表情をしたが、イガラムは顔を青ざめさせ、そして理解してしまった。

 

「まさか、クロコダイルの目的も」

「貴方たちが潜り込んだ際に聞かされた“楽園(ユートピア)”の建設。そのためにアラバスタを乗っ取ると言うことも事実だけど、そのために彼が探している物がポーネグリフに書かれていると解ったの」

「つまり、クロコダイルもまたポーネグリフを狙っていると。“あれ”が安置されている場所は現在はコブラ王しか知らない、だからか」

「つまり、あんたらアラバスタ組はいつ起こるか解らない状態の反乱を止めたい。麦わらの一味はその戦力として雇われ、かつバロックワークスから狙われている状況を打破するためにアラバスタへと向かわなければならない。そして我々シャッフル海賊団はポーネグリフに何が書かれているか知りたい。つまり利害が一致しているわけだ」

 

そう言うとレイズは風を操りエースの目の前に机と葡萄ジュースのボトル、3つのグラスをセッティングし、そこにルフィとビビをこれまた風を操り無理矢理立たせた。

 

「利害が一致している期間だけ手を組めば良い。つまり組んじゃえば良いんだよ“海賊同盟”を」

「「「「「はぁっ!?」」」」」

「いいなそれ、面白そう」

「悪くねえな、それ」

「・・・・・・・・・・」

 

レイズがグラスにジュースを注ぎテーブルに戻すとルフィとエースはノリノリでグラスを手に持つがビビだけは何かを考えるかのようにグラスに手を出そうとしなかった。

 

「ビビ王女、戦力が欲しいでしょ?今回の同盟、実質2対1みたいなもんじゃないですかこれから見極めていけばいいんですよ。それに」

 

言葉を態と切ったレイズはビビにしか聞こえない声でしゃべりかけた。

 

「強くなりたくないですか?」

 

その言葉に思わずレイズを見つめるビビ。

 

「ウチと同盟組んでいる間は貴方を鍛えてさし上げてもいいですよ。実際、貴方弱いでしょ?」

 

その挑発にしか聞こえない言葉で吹っ切れたのかグラスを勢いよく手に取ってビビ。

 

「私は、アラバスタのために出来ることは全てやる。そう決めました!!」

「よっしゃ、それじゃ“海賊同盟”締結だな」

「にししし、それじゃ乾杯」

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