ONE PIECE-彼を王に-   作:完全怠惰宣言

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自分の裁量以上の仕事を任されるとテンパるよね。


バロックワークス、今思うと・・・・・・。

「ドルドル彫刻(アーツ)

 

Mr.3が両腕を勢いよく振り抜く。

 

投合剣群(ブレードショット)!!」

 

腕から溢れ出た蝋、その蝋から様々な形の刀剣がノインへと迫り来る。

しかし、ノインは目を閉じ、両腕をクロスしたまま動こうとしなかった。

 

「美髪武装・・・・」

 

その言葉が紡がれるのと同時にノインへと刀剣群が突き刺さっていく。

 

「ふぅん、こんなもんかねミス・ヴァケーション」

 

土煙で姿が見えなくなってしまっているが刀剣が突き刺さったシルエットが浮かび上がっている現状に疑問を浮かべるMr.3。

彼の恐ろしさは戦闘能力ではなく、任務遂行に対する執念とそのための思考力。

能力者になる以前からその知略で出世し続け現在に至る彼の思考が疑問符を浮かべていた。

 

「あら、油断してくれないのね」

 

土煙が晴れ渡る。

そこには純白の巨大な翼で自身を包み込むノインの姿があった。

 

堕天使の白翼(フォールダウン・ウィング)!!」

 

翼により塞がれた刀剣の先は固い何かにぶつかったように押し潰れていた。

 

「本当に厄介だがね、貴女という人は」

 

2人の戦闘が繰り広げられている上空、その姿を片時も見逃さぬように見つめるレイズ。

 

「(“カミカミの実”の頭髪自在人間、というところか)」

 

眼下で繰り広げられる目まぐるしい速さで行われる戦闘。

 

「(頭髪を自在に操る、と言うけど恐らく髪の毛一本一本に疑似神経のようなモノが通っているから相手の“起こり”が解る。だから、後の先が成立していると言うところか)」

「(てか絶対に見聞色使えてないなあの女)」

 

上空から宿敵認定した存在を観察し続けるレイズ。

エースですら久方ぶりに見る戦闘モードの真剣な眼差しのレイズを遠くから望遠映像電々虫で盗撮し女子会モードで堪能しているシャッフル海賊団女子ズ(未婚者)がいることは公然の秘密である。

ノインのギフト、それは「“ニコ・ロビン”よりも数段上をいく」という抽象的なモノであった。

ノインにとっては“原作”のロビンよりもやや上の存在になると思っているため、覇気に関しては使え“ない”と考えているためノインは覇気を使えない。

その結果、彼女の得た「自身の髪を自在に操る」という能力を利用して戦い続けた。

そのため、現行のロビンよりも僅かに上をいく成果を挙げ続けたため、ギフトが正常に機能していると考えている。

しかし、ノインが知らない事実をレイズは知っている。

 

「(ロビン、使えるんだよなぁ。“武装色”をだけど)」

 

それは、リトルガーデンに到着する数日前。

ノインがサンジと物資調達に行っている間のことだった。

ロビンが頼んでエースとの模擬戦で露呈した。

 

「え、何その黒光りする手。“火”のオレぶん殴られたんだけど」

「でも、火傷までは防げなかったみたい。まだまだね」

 

シャッフル海賊団一同エネル顔で見たその光景。

 

「まさか、それは“覇気”か」

「えぇ、以前組んでいた頃にエースが時々、腕を真っ黒に染めて戦っていたのを見て興味がわいて調べてみたの」

「そしたら、覇気の存在に行き着いたと。ロビン、知識欲半端ないな」

「うふふ、レイズを驚かせられて少し嬉しい」

 

この時の経験から“この世界線”での強化はレイズの“虫食いの原作知識”には保管されないことが発覚したのだがそれ以上に衝撃だった。

 

「(つまり、あのアマ(ノイン)の特典は“原作時間軸のロビン”に準じているということか)」

 

心の内で呟いた言葉、しかしそれはレイズにとって今後を決める重要な情報の一つだった。

 

「(あくまで、“この世界線”での出来事に影響を受ける事柄に関してはオレの“虫食いの原作知識”に影響を与えないということか)」

 

そんな風に考察していると眼下の戦闘も佳境に入っていた。

 

「受けるがイイ、私の最高傑作、“キャンドルチャンピオン”」

 

そこには綺麗に着色され首を除く全身を硬いロウで包み、巨大なロボットのような外見になったMr.3がいた。

 

「「か、カッコイイイイイィィィィィィィィィィ!!」」

 

その姿にルフィとウソップは目を輝かす。

遠くから覗いていたエースも目を輝かせているが今は置いておく。

 

「あら?ミス・ゴールデンウィークたらそんな遠くからも色づけできたのね」

「えぇ、私も意外と負けず嫌いなのだからココまでは頑張るわ。後はお願いねMr.3」

「ふん、寧ろ手出し無用と言わせてもらおう!!4200万ベリーの賞金首を仕留めたことのある私の最高芸術!!たっぷりと堪能してくれたまえ!!」

 

その言葉と共に繰り出されるのは腕を回転させる一般的に「ぐるぐるパンチ」と言われるものであったが、そんな可愛らしいものではなかった。

腕を縦横無尽に回転させて放たれるその技、どこかルフィの「ゴムゴムの銃乱打」を思い起こす鉄球の嵐が周囲の木々をなぎ倒していきながらノインへと迫り来る。。

 

「チャンプファイト「おらが畑Ver.02」」

「あら、怖いわね」

 

しかし、ノインはその姿に対して未だに笑顔を崩さないでいた。

 

美髪色付加(カラーチェンジ)

 

その言葉と共に長く伸びていた白髪がうねり始め先端からその色を替え始めた。

 

炎々ノ赤(フレイムルージュ)

 

ノインの髪が赤く染まった、それと同時に彼女の髪はまるで炎のように燃え上がった。

 

「ほう(悪魔の実の能力者に求められるのは“発想”と“着眼点”そして“能力の理解度”だと思っていたが、まさかここまでやるとは)」

 

ノインの見せた能力に感嘆のため息を思わず漏らしてしまうレイズ。

髪というモノを理解し、その性質を熟知し、自身の能力の理解度を高めることで過大解釈による能力範囲の向上。

ノインはそれらを成し遂げていた。

 

「(これは、少し甘く見ていたと理解せねばならない)」

 

一口に頭が良いと言っても色々な意味があり、ノインの場合は前世の知識を引っ張り出し現世の知識と統合して活用できる応用力に秀でているとレイズは考えた。

実際、「劇場版」などでフランキーやブルックの髪色が変わっていることを考えると「髪の染色」という概念自体はこの世界にも存在しているのだろう。

しかし、それを能力に落とし込み自在に使いこなすにはそれ相応の理解力と応用力が求められる。

ノインを少し甘く見ていたことを反省しつつ戦いの最後をレイズは見届けることにした。

 

炎々ノ赤(フレイムルージュ)美髪ノ炎蛇(サラマンダー)

 

長く伸びた髪が蛇のような姿を象る。

それはまるで燃えたぎる炎を纏った蛇の怪物の様であった。

 

「あなたの能力の弱点、それは“熱さ”」

 

その声に呼応するように髪の大蛇はMr.3へと巻き付いていく。

 

「や、止めるがね!!」

「私たちに敵対したこと、不運に思いなさい」

 

燃えたぎる髪の大蛇がMr.3の蝋の鎧を締め上げていく。

 

美髪ノ炎蛇(サラマンダー)締上捕縛(ツイスト)

 

赤く燃える大蛇が鎧を締め上げるとその炎の熱量で鎧は溶け砕け散った。

 

「かひ。な、なんて無粋な女だがね」

「まだよ、Mr.3」

 

蝋の鎧を剥がされ無防備になったMr.3へと迫り来るビビ。

Mr.3が手に入れていた事前情報よりも数段早いその移動速度に思わず思考が纏まらず止まってしまった彼の運命はそれまでだった。

 

孔雀(クジャッキー)スラッシャー」

 

手の両小指に小さい刃物をつけた紐を取り付け、その刃物を回転させながら相手を切り裂くその技はMr.3を傷つけることなく逸れてしまった。

それを察したMr.3は逃げようとするも彼の目に写ったのは衝撃の光景だった。

 

尾翼ノ檻(ピーコックゲージ)

 

的外れに放たれた筈の紐は周囲の木々や岩・大地といった周辺の環境を巧みに使いMr.3を捉える檻となっていた。

 

「ち、ちからがぬけるがね」

「これが、海楼石の力」

 

ビビの孔雀スラッシャーはラチェットによって素材全てが海楼石に置き換えられていた。

対能力者、そしてビビの事を知っている存在であればあるほどこの攻撃は必ず当たると考え紐も特定条件下で伸縮する素材を併用する拘りぶりである。

そして、Mr.3を縛り上げるとビビは両手を思いっきり振り下ろした。

突如後に引っ張られるMr.3、そして尾翼ノ檻に叩きつけられると反動で前に押し出される。

そこには、紐の伸縮を利用して加速したビビ自身がドロップキックの構えをとってMr.3へと飛んできていた。

 

王印両脚撃(ロイヤリティドロップ)!!」

 

紐の反動と加速、それにビビの体重とヒールによる衝撃の一点集中。

Mr.3が意識を保てたのはそこまでだった。

 

「ん(勝った、私“でも”オフィサーエージェントに勝てた!!)」

 

ビビが喜びをかみしめる後でノインはあることに気が付いた。

 

「!?(あの男、私を踏み台にしてビビに自信を付けさせたわね!!)」

 

上空を見上げるノイン。

そこには自分に向けて舌を出して戯けたように身を竦めるレイズがいた。

 

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